「大王世宗(テワンセジョン)」(全86話) 第50話 孝寧大君は敵か あらすじとネタバレ感想
あらすじネタバレを含む感想
チョ・マルセン「無礼をお許しください殿下。しかし王様があのとき重臣の進言を聞き入れ集賢殿を閉鎖していれば我々もこんな無礼はしませんでした。側近との密室政治は政局を揺るがすといいました。天だけでなく重臣までも敵にまわすのですか。すぐ集賢殿を閉鎖し役人たちをもとの職務に戻してください。」
仏教の祈祷をしている孝寧大君と民のところにイ・スンモンとパク・ウンが兵を連れて民と王子をこらしめました。そこに議政府の参賛のピョン・ゲリャンが来て孝寧大君様だぞ無礼ではないかとパク・ウンに言いました。
イ・スンモン「惑世誣民(ホクセムミン)の輩とご一緒だったとは。」
孝寧大君「朝廷では民の救済を惑世誣民と言うのか!」
パク・ウン「まったく500年の悪習はひどいものですな。王子様もいつの間にか惑わされてしまった。我々が安全にお守りします。」
仏教を信じる民が捕らわれしいたげられました。
集賢殿。
世宗「世は民の弾圧など命じてはいない。」
マルセン「上王様でしたらこれを弾圧とはいわず崇儒抑仏(スンユオクプル)とおっしゃいます。国家理念を粗末になさるならなおさら王命には従えません。我々が上王様に従っても?この朝鮮国の王は誰なのです?」
世宗は集賢殿から出ていきました。
上王の部屋。
太宗「チョ・マルセンイノミ!臣下の分際で王を操ろうと?今すぐマルセンを呼べ」
尚膳ノ・ヒボン「それは・・・できません殿下。そろそろ政治への関心はお捨てになってお体を大事にしてください。」
太宗「そなたは余の影だ。影はおとなしく命令に従っていればよい。死にたいのか?」
尚膳「それはできません殿下。たとえ死んでも私の気持ちは変わりません・」
太宗「今の国の状況がわかっているのか?」
尚膳「少なくとも今の私は国の状況など眼中にありません。私はこの国よりも上王様のお体が大切なのです。」
太宗「・・・・・・。」
賓庁。
チョ・マルセン「世間知らずな王のことはお任せします。集賢殿は大監がおつぶしください。ご自身のためですよ。」
パク・ウン「そなたは私の弟子だったが、脅迫するようになったのか?」
マルセン「30年の政治人生を無駄にするのですか?」
パク・ウン「そんなはずはない。」
マルセン「さすがは左議政様です。大監に政治をご教示いただくことは大きな喜びです。」
マルセンは賓庁を後にしました。
太宗「どけ、いい加減に・・・」
行く手を遮る尚膳を叱っていると太宗は頭を押さえ壁にもたれかかりました。
太宗「世にはこの国がすべてだ。自分の命と引き換えにしても惜しくはない、国が安定するのをみるまで安らかに眠ることはできぬ。そなたの望みはなんだ。世がこの世に恨みを残し成仏できずにさまようことか?兵判(ヒョンパン)を呼べ。」
上王は部屋に戻りました。
太宗「そなたは近頃忙しいようだな。何事にもぬかりのないそなたが余の許可も得ず勝手に兵を動かすとは。どうしたのだ。」
マルセン「崇儒抑仏は何よりも大切な国家理念です。長年お仕えした者として当然のことをしたまでです。」
太宗「いや、いいのだ、よくやった。兵曹判書になれば自ら判断することも必要だ。」
マルセン「恐れ入ります。」
太宗「孝寧大君についてそなたの考えを聞きたい。布教活動の中心となっているようだが、どうするつもりだ?」
マルセン「私が意見を申せばそれはれっきとした越権行為になります。民の秩序を保つのは官吏の役目、王室の秩序を保つのは君主の役目です。」
太宗「余の命令を望むのか」
マルセン「王様にお任せしてみては?日食が遅れ王様は王の資質を疑われています。それゆえ民心は孝寧大君に向かっています。今や孝寧大君は王様の最大の政敵なのです。政敵を倒す方法は上王様が王様に最も教えたかったことでは?」
太宗「王様が孝寧を倒さぬといったら?」
マルセン「上王様がご命令を。政敵も倒さぬ王様にはお仕えできません。」
太宗は世宗を呼びました。
太宗「孝寧を倒してください殿下。ここでためらっていると臣下は離れていきます。民心が急速に孝寧に向かうのを阻止せねばなりません。」
世宗「兄上が野心をもつとお思いですか?」
太宗「民がそうしむけるでしょう。500年の栄華をたもった僧侶も必ずや孝寧を利用します。」
世宗「兄上と私は政敵になるしかないと?」
太宗「兄弟といえども政敵となれば厳しく罰しなければなりません。」
元敬王后「ほな、そうなればもはや人間ではない。兄を、血を分けた兄を斬るというのですか?王様も父王と同じように兄弟を斬るのですか。答えてください。」
太宗「王様は臣下からも民からも見放されている。」
元敬王后「やめてください。もう結構です。言いたいことはわかります。我が息子が兄をどう扱うのかききたいのです。お答えください殿下。兄上をどうするつもりですか。」
世宗「まだ何も考えていません。十分に考えたうえで・・・」
元敬王后「考えるとはどういうことですか、これが考えるような問題ですか。兄を殺せるのか聞いているのです。結局王様も実の兄を殺せるような残酷な人間なのですか。そうでしょう。そうでしょうとも。残酷な人間だからこそ父王はそなたを後継者にしたのです。もうこうなっては私も黙っていません。守って見せます。私が生んだドではなくこの国のお偉い王様から我が息子の孝寧を必ず守ってみせます。」
孝寧大君は寺で貧しい民たちを救っていました。そこに母の元敬王后が前掛けをつけて手伝いに来ました。「お前は優しい。何も望まずに仏の道を歩いている。それなのに弟はなんと薄情なのだ。」
孝寧大君「いつか理解してくれます。」
倒れている子供を抱いておかゆを食べさせる元敬王后。
太宗は尚膳に財宝を差し出し暇を出しました。「そなたに対する最初で最後の頼みなのだ。今後も同じようなことが起こるだろう。このままそなたが余のもとにいればそのやさしさゆえ今日のようなことがたびたび起こるだろう。起こらないと否定できるか?そうなればそなたは真意と関係なく余を邪魔する不敬者になる。そうなればそなたを斬ることになるだろう。」
尚膳は上王様にお仕えしながら死なせてくださいと涙を流しました。「そなたまで余を残酷な人間にしないでください。せめて大切にしてきた臣下の1人くらいは感謝の気持ちを込めて見送りたい。そうさせてくれるのはそなたしかいない。挨拶などいらん、早くでていけ、永遠の別れではない。いつか呼び寄せるかもしれぬ。また明日も会うかのように出て行ってくれ。」
孝寧大君のいる寺で、元敬王后は民を救済している昭憲王后を呼びました。
元敬王后「父上を守れなかった王様が恨めしいのですか。こうまでして仕返しをしたいと?」
昭憲王后「いけませんか」
元敬王后「当然です。国母として絶対に抱いてはいけない感情です。国母はすべての国の母です。もし王后様がここにいたいのならまずは心を入れ替えてください。病に苦しむ民を憐れんでください。その心が大事なのです。実を言うとこの私も愚かでした。民を憐れんだことなど一度もなかったのです。私の関心は政治にありました。女だてらに政治欲が強かったのです。だから私は妻ではなく政治の同士になりたかった。しかし上王はそれを許さなかった。」
昭憲王后「お腹立ちで?」
元敬王后「腹立たしいです。上王ではなく自分に腹が立つのです。この愚かな母は国母が何をすべきかわかりませんでした。中殿、国母の政治とは賓庁を探らせたり政治情勢を知ることではないのです。王に見向きもない民を母のように守る、それが国母の政治なのです。もちろん今の私の目的は王に圧力をかけることです。でも王后さまはなりませぬ。今すぐ王宮にお帰りください。」
昭憲王后「よくわかりました。しかし簡単には決心を変えられません。」
元敬王后「それでも王宮にお帰りください。」
昭憲王后「お願いします。民の世話を通じてこの胸の怒りが収まるよう努力をします。ここで母上にお仕えしながら国母の政治を学べるようお助けください。」
孝寧大君を守るために元敬王后と昭憲王后が寺に行きました。賓庁ではこのことについて重臣たちが話し合いをしていました。
ホ・ジョ「集賢殿は閉鎖するでしょう。孝寧大君を守るには最高の方法ですよ。」
チェ・ユンドク「楽しいですか。王様を木に登らせ下から揺するのが楽しいですか。」
パク・ウンは夜中にチェ・マルリら集賢殿の学士たちを集めました。
パク・ウン「私は重臣たちから王様を守る。王様と集賢殿を守る道があればその道を進むか?」
パク・ウンはユン・フェとイ・ス、チェ・マルリらを書庫に案内しました。
パク・ウン「ここには重臣たちの考績(コジョク)から一族全員の財産に至るまですべて記録されている。」
ユン・フェ「チョ・マルセンですか。」
パク・ウン「一族はもちろん外戚に至るまで、そして家臣の財産までくまなく調べるのだ。」
マルセンの犬キム・ムンも一緒になって不正の証拠を探していました。
パク・ウン「そなたが不正を見つければ兵判との関係は終わりだぞ。」
キム・ムン「私をお疑いで?左議政大監が変わったように私も変わりました。私も集賢殿の一員として生きたいのです。」
朝になりました。書庫の中には本が散らばっていました。ユン・フェは不自然なくらいマルセンは潔白ですといいました。もうあきらめるしかないのか?とマルリ。
チェ・ヘサン(崔海山)はイ・チョンに集賢殿の危機に活版印刷の彫刻ばかりしていてよいのかといいました。イ・チョンは試行錯誤と思えば失敗は決して無駄にはならないのだといいました。また印刷に失敗して怒って椅子を投げるイ・チョン。壊れた椅子の足を見てイ・チョンはひらめきました。「これだ!このように活字を組めばよいのだ!我が国は新たな活版印刷技術を発明した!今まで作ったやつは捨てろ!」
ヨンシルもまた何かを思いつき書雲観(ソウングァン)を紹介してくれとヘサンにいいました。書雲観では明の暦を使っていました。ヨンシルは計算するために明の暦をくださいといいました。ヨンシルは自分の手を人質に暦を手に入れました。ヨンシルが暦を計算しているところを世宗は影から見守っていました。
世宗「天と戦うなどといわなければよかった。」
イ・チョンは新しい活版印刷技術を発明しました。活字を蜜蝋で固定せずに竹の枠を使い組み立て式にしたといいました。太宗の癸未字(ケミジャ)より5倍早く印刷できました。世宗はこの活字を庚子字(キョンジャジャ)と命名しました。1420年のことでした。庚子字は1434年に作られた甲寅字(カビンジャ)の基礎となりました。1234年に高麗も金属活字を発明しましたがそのころは活用されませんでした。活版印刷で情報の伝達を朝鮮中に伝えることができたのでした。
パク・ウン「さすがだな。」
チョ・マルセン「なんのことでしょうか。」
パク・ウン「そなたのことについて調べさせてもらった。知っていたか?」
マルセン「そうでしたか。」
パク・ウン「私が仕掛けた網にかからない者はいない。あのハ・リュン(李仁任の親戚)でさえ逃れられなかった。」
マルセン「よく存じております大監。」
パク・ウン「そなたなら財物が政治にどれほど役立つか知っているはず。だからそなたはどこかに財物を隠している。」
マルセン「監査の専門家がおっしゃるのなら間違いないでしょう。」
パク・ウン「しかしそなたは見事に網を潜り抜けた。その点は誉めてやろう。」
マルセン「素直に受け取るべきではなさそうですね。」
パク・ウン「私の降伏を受け入れてほしい。」
パク・ウンはマルセンにひざまずきました。
マルセン「大監・・・」
パク・ウン「私の命は差し出す。だから集賢殿には手を出さにでくれ。王様から集賢殿だけは取り上げないでほしい。」
マルセン「大監は私の政治の師匠です。師匠がこんな形で終わるのを見たくありません。」
パク・ウン「私の頼みを聞き入れぬつもりか。答えてくれ兵判!」
マルセンはパク・ウンに背を向けました。
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感想
なんだかものすごく重要なセリフばかりなので引用してしまいました。逆にこれらのセリフを理解できなければ大王世宗のストーリーは理解できないのではないかと思うほどでした!はぁ手が痛い。
簡単にまとめると、上王派のマルセンというより王を操りたいマルセン派と、世宗の派閥との対立、そして関係ないところで孝寧大君が政治に利用されて、元敬王后と昭憲王后は孝寧大君が殺されないように守っているつもり、上王は孤立している感じになってしまいましたね。そしてパク・ウンはいつの間にか世宗に忠誠を誓い太宗から寝返りました。
昭憲王后は上王の命令で父を殺し8人の側室を迎えた世宗が憎くて、力がないなりに孝寧大君を殺すことで問題を解決しないように抵抗していました。
話がややこしくなってきましたね。
パク・ウンはマルセンを倒す気になったようで、積極的に動きはじめました。
世宗は孝寧大君を殺すことでしか今回の洪水と孝寧大君に集まった民心を取り戻せないというところまできている。
カットされているのか、なぜ世宗が孝寧大君を殺さなければいけないのか話の流れがつかめません。ここもやはり朝鮮特有の思考パターンで韓国の人になら説明がなくても理解できるというのでしょうか。
あと、世宗は民に仏教弾圧をしていないとセリフがありましたけど、あれは嘘なんじゃないかと思います。寺を少なくしたときに、既得権益者である僧侶の反抗はそれなりにあったんじゃないかと。寺を少なくすること自体が弾圧ですが、しかし日本も同じころ僧兵が幅を利かせて一部は民から搾取していましたから、善意を利用した悪がはびこっていたのも事実なんじゃないかと思います。だってかつて栄華を極めた僧侶・僧兵を食わせるのって、かなり搾取しないと無理ですから。今の世でも世襲で宗教の最高指導者が交代しているくらいですから、おいしいものは手放したくないというのが人間の本音なんでしょうけどねぇ。そうかといって選挙で最高指導者が選ばれている宗教だってかなりの黒いところがありますから、黒くない清純な宗教というものはこの世にはないのかもしれませんね。
わからないのは、パク・ウンです。彼の政治信条は何なのだ?よくわかりませんね。保身のために上王の言う通りにやってみたり、世宗に心酔したり。マルセンに命を差し出すといったウンの本音はどこにあるのでしょうね。セリフのとおりに心を乗り換えたということでしょうかね。
あと、世宗は民に仏教弾圧をしていないとセリフがありましたけど、あれは嘘なんじゃないかと思います。寺を少なくしたときに、既得権益者である僧侶の反抗はそれなりにあったんじゃないかと。寺を少なくすること自体が弾圧ですが、しかし日本も同じころ僧兵が幅を利かせて一部は民から搾取していましたから、善意を利用した悪がはびこっていたのも事実なんじゃないかと思います。だってかつて栄華を極めた僧侶・僧兵を食わせるのって、かなり搾取しないと無理ですから。今の世でも世襲で宗教の最高指導者が交代しているくらいですから、おいしいものは手放したくないというのが人間の本音なんでしょうけどねぇ。そうかといって選挙で最高指導者が選ばれている宗教だってかなりの黒いところがありますから、黒くない清純な宗教というものはこの世にはないのかもしれませんね。
わからないのは、パク・ウンです。彼の政治信条は何なのだ?よくわかりませんね。保身のために上王の言う通りにやってみたり、世宗に心酔したり。マルセンに命を差し出すといったウンの本音はどこにあるのでしょうね。セリフのとおりに心を乗り換えたということでしょうかね。