「大王世宗(テワンセジョン)」(全86話) 第54話 太宗の敗北 あらすじとネタバレ感想
太宗の敗北 あらすじ
チョン・インジはファン・ヒの登用を嫌がりました。王様に剣を持てと助言するべきというインジ。イ・スは「政治ではなく暴走だ」といいました。チェ・マルリは政治と暴走を分ける基準は「民のためになるか」が基準だ、反対するものはすべて罷免すればいいと主張ました。世宗はファン・ヒに会ってみようと言いました。
マルセン「譲寧大君の近況はご存知ですか?」
酒を飲んでいたファン・ヒはにやけました。
ファン・ヒ「日の出とともに起き日没とともに眠る、そんな農民に王室の近況などわかりません。」
マルセン「権力から離れて5年、どんなとがった石も丸くなるのが世の道理です。」
ファン・ヒ「聞き分けの良い王をお望みですか?」
マルセン「朝鮮の役に立つ王です。択君(テックン・臣下が君主を選ぶこと)しかありません大監。」
ファン・ヒ「兵判(ヒョンパン)大監、あなたも元気ですな。疲れを知らないお方です。」
マルセン「私が力を絞り出さなければ若い王の稚拙な自尊心で国が倒れるのを見ておられません。」
敬寧君は盗み聞きしていました。
上王太宗「択君だと?また勝手に王を廃し自分好みの王を選ぶ気か?」
敬寧君「そのとおりでございます大監」
ファン・ヒは藁で土産袋を編んでいました。その様子をマルセンは見ていました。
ファン・ヒ「つまらないものですがお土産に。」
マルセン「結局返事はなしですか。」
マルセン「近々またまいります。」
ファン・ヒ「次は土産がないかもしれません。あいつらは最近産みが悪いのです。」
マルセン「ファン・ヒか・・・無駄足だったようだな・・・」
マルセンはもらった土産を捨てました。
ファン・ヒ「晴れた天に星屑がたくさんある。上王様の心労もさぞ大きいだろう。」
ファン・ヒは天に向かって奴隷にも聞こえるようにつぶやきました。
太宗はパク・シルに兵判の座をを与えるので今晩中に謀反の名目でチョ・マルセンを捕らえるように密命を下しました。
チョ・マルセンは兵に囲まれました。パク・シルは上王様の命で逆徒を捕らえるのだといいました。
マルセンは太宗の前に連れてこられましたというより、マルセンがパク・シルを連れて太宗の前にやってきました。パク・シルは上王の命令に逆らいました。
マルセン「私はまだ王様の忠臣です。最後の忠言を。王様を警戒して軍権を譲らなかったのも王様をけん制するように私に命じたのも上王様です。何よりも明の皇帝に反旗を掲げ国を窮地に追い込もうとしたのは王様です。家族を脅かしたというだけで剣を向けるなど一介の武官でもいたしません。ましてや王の剣(つるぎ)です。王の剣は国を脅かす者に向けるべきでございます。殿下、挑戦を脅かす一番の敵は誰ですか?私の剣はその敵だけに向かいます。帰って殿下のご命令をお待ちしています。」
マルセンは太宗に逆らいました。
太宗「はっはっはっはっはっは、ふっはっはっはっはっはっは・・・ふっふっふっふっふ・・・・・・」
太宗は悔しくて泣きました。
マルセンと軍が上王に反旗を翻した知らせは世宗のもとに届きました。賓庁の官僚たちも荷物を片付けて王宮から去りました。ユ・ジョンヒョンとホ・ジョは世宗を愚弄しました。「いくら臣下が憎くても父王の影に隠れて剣を振り回す王に忠誠を誓う臣下などいないからな」重臣たちは賓庁から出ていきました。
チョン・インジは新しい人材を選べばいいといいました。ピョン・ゲリャンはどこから選ぶのだ?人材は限られているといいました。
イ・ス「見ていろ、そのうち全国の役人の辞職届で便殿はいっぱいになるだろう。」
ユン・フェ「やつらがこのまま引き下がるわけがない。これが賓庁で反論し続けた古だぬきどもの政治力なのだ。」
キム・ジョンソ「最悪の場合、国の行政と治安は麻痺します。しかも兵権はマルセンが握っている。どうなることやら。」
世宗はチェ・ユンドクに問いました。
世宗「将軍の知るマルセンはどんな人物です?」
チェ・ユンドク「正直に申しますと、この20年でもっと有能な兵判です。将軍だけでなく指揮官の特徴を熟知し適材適所に配置し全軍を安定させました。人事も公平なので不満もほとんどでていません。もっとも情に厚い兵判だとの称賛が絶えません。地方に派遣された指揮官の家族には生活の援助もするとか。」
世宗「(マルセンの子分がマルセンを)命がけで守ろうとするわけだ。マルセンが謀反を企てた可能性はありますか?」
チェ・ユンドク「軍部では一度も確認していません。」
チェ・ヘサンはヨンシルに王様に優れた発明で(やる気と新しい発想を湧かせて)たきつけるなといいました。ヨンシルは怒って部屋を出ていきました。
チョン・インジとチェ・マルリはファン・ヒの家を訪ねました。ファン・ヒは農作業をしていました。
チョン・インジ「つまり朝鮮の天は朝鮮の民のものだと、ならば当然朝鮮の暦が必要なはず。」
ファン・ヒ「そのとおりだ」
チェ・マルリ「天は天子が治めるもの。小国の王が治めるなど不敬です。」
ファン・ヒ「お前の言うこともただしい。」
チェ・マルリ「いえ、これは私の考えでは・・・」
世宗「すべて正しいだと?」
世宗もファン・ヒを尋ねてきました。
世宗「ファン殿、私の考えはこうだ。どちらも正しいならどちらも間違っている。どう思う?」
ファン・ヒ「それも正しいかと。」
ファン・ヒは世宗を家の中に案内しました。
ファン・ヒ「殿下がこんな粗末な家に何の用でしょう・・・」
世宗「ある物語の真似をしてみただけだ。一冊置いていく。暇なときにでも読んでくれ。」
ファン・ヒ「忙しい農民はのんきに本を読んでいる暇などございません。」
世宗「そなたは承諾するのは遅いのに断るのは早い。」
ファン・ヒ「農作が私の本分でございます。」
世宗「そなたの考えはわかった。邪魔したな。余は忙しい農民より暇な農民が好きだ。朝鮮の暦をもてば暇な農民を増やせると思うがそなたはどう思う?また来る。そのときはまた意見をきかせてくれ。」
ファン・ヒ「また、いらっしゃる・・・?」
世宗「物語の中に最低三回はで向けとあった。また来る。」
世宗はファン・ヒの家を後にしました。
「余は今でもファン・ヒが一番の政敵ではないかと思っている。」
太宗は病床に臥せっていました。剣で押さえつけていた臣下に剣を向けられるとは、これぞまさに自縄自縛だなとつぶやきました。「薬を持て、5年でも10年でも寿命を延ばせる薬を持ってくるのだ。さっさと隠居していればよかったのか。そうすればすくなくとも軍部を丸ごと息子の敵に回すことはなかったか?生き延びる。何としても生きねばならん。せめてチョ・マルセンとその部下たちを始末してから逝く。」
孝嬪「何をしている!早く不老不死の薬を持て。でなければそなたの命はないぞ。」
御医「まーまー・・・」
敬寧君は世宗にマルセンを謀反の罪で討つのですといいました。
世宗「そうすれば臣下たちは譲寧兄上を討てというでしょう。」
敬寧君「やむをえません。殿下。」
世宗「この国の兵権はすべてチョ・マルセンが握っています。王たる者が国と民を守る兵を相手に戦うことはできません。」
敬寧君「殿下、このまま父上を逝かせてよいのですか。部下に裏切られた恨みを抱いたまま逝かせて悔みませんか?」
世宗「逝かせるとは、どういうことですか?」
弓の練習場で休憩をしている太宗。孝寧大君はお相手しましょうか?と言ったら、太宗は手に力が入りませんでした。弓を要らずに太宗は弓道場を後にしました。世宗は父の死が近づいていることを知りました。
世宗は眠っている太宗のそばにいました。太宗は寝たふりをしていました。
妓楼でホ・ジョらが宴を開いているところにユン・フェがあらわれたようでした。
チョ・マルセン「上王様にはすべての兵権を含むすべての権力を手放し完全に隠居していただくのだ。この2つが解決するまで我々が登頂することはない。」
(なぜ妓楼にユン・フェが来ているのか説明がないので1つ目の話がカットされているようでした)
ユン・フェから報告を受けた世宗。
世宗「いつまで続けるのだ。余だけでなく父上まで揺さぶる不届きな行いをいつまで続ける気だ。」
酒に酔った世宗はファン・ヒの家に行きました。
世宗「そなたは余の手で始末する。次はチョ・マルセンだ。やつを捕らえるためなら兄上を殺してもいい。なんでもしてみせる。むやみに父上に盾突き侮辱しようとする者を捕らえるためなら地の果てまでいってやる。余も知っている、剣が一番の早道だと。だから余も厚かましくも王権に挑み反対する者はすべて殺すつもりだ。この国の主は王と王室であり民ではない。だから無駄な抵抗はやめ素直に服従しろ。こんな余をそなたは受け入れられるか?」
ファン・ヒ「それは難しいでしょう。」
世宗「ほな、世に出るつもりもないのでしょう。政治という泥沼に入ることはうんざりでしょうから。」
ファン・ヒ「それもまた合っています。」
世宗「だから大監は余の、この朝鮮の最大の政敵なのです。反対する者よりも悪質なのは傍観者です。」
世宗「余が、ぶち壊してしまった。三顧の礼というものはこうではない。」
世宗はオム・ジャチに介抱されながらファン・ヒの家を後にしました。
道で世宗を見送ったファン・ヒが自分の庭に入ろうと振り返るとそこには上王の太宗がいました。
ファン・ヒは太宗に深く礼をしました。
太宗「三顧の礼か。息子を頼りなく思って王位を譲ってからも兵権だけは握り続けた。しかし今日はあの子を見直した。人を見る目だけは確かだ。息子をそなたに託してもいいか?もしかすると、いや、そなたはきっと余よりあの子と気が合うはずだ。いいから聞け。今日あの子が言ったことは気にするな。本心ではない。ただ、死期が迫った父が哀れで言ったことだ。明日、官服を届けさせる。」
ファン・ヒ「その命令には従えません。私には資格がありません。」
太宗「譲寧を支持して後悔を?」
ファン・ヒ「もしそうなら復帰しております。譲寧大君は私にも息子のような存在でした。父親はわが子が奈落の底に落ちても自分も死ぬとわかっても後を追って助けようとするものです。後悔はいたしません。反省はしています。政治家たる者はいかなる場合でも私情に負け判断を誤ってはいけません。しかもこの国の朝鮮の未来の王を決める問題でした。ご訪問いただき感謝しております。しかし私には戻る資格がございません。」
太宗「仕方ないな。そなたの決意は誰にも曲げられまい。」
ファン・ヒ「恐縮にございます。」
太宗「だが、これだけは言っておく。余は知っている。表向きは譲寧を支持していたが譲寧には苦言を呈し続けていた。いくら年が若くとも息子のように思っていても譲寧はそなたの息子ではなく君主だった。だから責任はそなたではなく、譲寧にあるのです。お願いだ工判、一度でいいから王様にも機会をやってくれ。あの子は、王様は父である余がよく知っている。譲寧とも余とも違うのだ。人をいつくしむことを知っている。何よりも人の話によく耳を傾ける。どうかこの朝鮮の王にあまり寂しい思いをさせないでやってくれ。」
ファン・ヒは青い官服で世宗のもとへ登庁しました。
世宗は笑顔でファン・ヒを迎えました。
ファン・ヒ「忙しい農民でいるのに、疲れましてな。この国に暇な農民を増やしたいのですか?それならば王様は朝鮮の天の主になるべきでございます。」
世宗「そなたは正しい。そして余は国王の君主はこの国の民だと思っている。」
ファン・ヒ「そのとおりでございます、王様」
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感想
きょうはーちょっと不覚にも感動してしまいました。
どの辺といいますと、世宗がファン・ヒを酔って訪ねた場面です。太宗がその様子を見守っていたとは!まったくの予想外で「親子」の憎い演出ですね。
世宗の忠臣を奪って世宗に冷たくしていた太宗はいつのまにか裪(ト)をかわいがっているではありませんか。この変わりようは詐欺でしょう。
太宗はすっかりいい人になっています。
ファン・ヒも世宗を愛するように太宗に説得されて、それは断りようがないでしょう。
でもね、世宗の立場が「首陽大君とハン・ミョンフェ」ならどうするでしょうかw
おのれ謀反じゃーっとマルセンやホ・ジョ、ユ・ジョンヒョンを殺して次々と政敵を処刑していくのではないでしょうか?首陽大君にしてみれば譲寧大君と孝寧大君も倒されて太宗大王でさえとっくに流刑になっていそうです。
でもね、こうなったのは、世宗の味方を太宗が粛清したからではありませんか。
ドラマでのマルセンの暴走は太宗の粛清の結果でもあるのですね。
ドラマの中でファン・ヒはマルセンのことを屑(くず)と呼んでいましたね。ファン・ヒにかかると上王の忠臣でもただのクズのようです。
何よりも哀れなのが太宗ですね。彼が養ってきた子分どもに皆裏切られたのですから。世宗が殺意を覚えるのも無理はありません。
ドラマの中でファン・ヒはマルセンのことを屑(くず)と呼んでいましたね。ファン・ヒにかかると上王の忠臣でもただのクズのようです。
何よりも哀れなのが太宗ですね。彼が養ってきた子分どもに皆裏切られたのですから。世宗が殺意を覚えるのも無理はありません。