「王と妃」 第57話のあらすじとネタバレ感想
あらすじ
クォン・ラムは首陽大君に王位を望んでいるのか問いました。態度を明確にしたほうが犠牲者も少なくなり今はすぐにでも手に入ります、執政権と軍事権も手にしておられます、譲寧大君をはじめ王族も味方です。大君を阻むものはありません。態度を明確になされないから錦城大君が謀反をたくらむのですと言いました。
首陽大君は「クォン・ラムが好きだ、ハン・ミョンフェがかかわると複雑微妙なものに化けてしまう。そなたは複雑に絡み合ったものが単純明快に化けてしまう、だからそなたが好きなのだ。しかしこの件はそう簡単な問題ではないのだ」といいました。權擥(クォン・ラム)は「甥から王位を奪うのがおつらいですか?国を動かさねばならぬのです。人情や私情にとらわれていたら王位に就く資格はありません、もし狙っていないならもっと態度を明確にしなければなりません。皆に大君が王位を狙っていないことを信じさせるのです。」といいました。
首陽大君「今まで邪心がないことを示してきた(邪心を隠してきた)のに誰も信じてはいないと?」
クォン・ラム「だから問題なのです。大君様が邪心を否定されても誰も信じません。それが権力の性質なのです。いくら強者が謙譲の美徳を示してもその裏に忍ばせた刃は隠せぬものです。」
首陽大君「私を侮辱しているのか。(私の本心に気が付いたのか)」
クォン・ラム「弱者の謙譲は何の意味もありません。強者の謙譲もただの偽善でしかありません。大君様、死ぬ覚悟はできています。」
首陽大君「一体私にどうしろというのだ?」
クォン・ラム「私はすでに大君様に命を預けました。大君さまがどのような道を選択しようとも私は従いますので。大君さまは王位をお望みですか?大君大監。」
首陽大君「もう帰ってくれ。何百回も何千回も何が正しい道なのか(私が王になること)を考えた。すぐそこに私が夢見ている理想の国(甥から奪えば手に入る玉座)がある。君主や民がみな勤勉で外的にも揺らがぬ強い王朝(だれもが私に跪きひれふす子供のころから抱いていた夢の国)がすぐそこにあるのだ。太祖も強国(俺様の国)を作るべく建国なさった。病んだ高麗を滅ぼして朝鮮を立てたのだ。だが鴨緑江で女真族を鎮圧したり倭寇を鎮圧した太祖の矢は今や輝きを失ってしまっている(殺しても殺しても言うことを聞かないオスがたくさん沸きやがる)。宮中の内官は高慢無礼で権臣らは私腹を肥やしている。一方民は苦しみ王室は力を失うばかりだ。だから(端宗から力を奪うために大義名分を得たので)癸酉靖難を起こした。だが王位は別物だ。君主が強ければいいというわけではない(私が王位に就くには正当性がなければならない)。私の言葉が理解できぬか?」
クォン・ラム「私は、愚かですので・・・」
首陽大君「ラムよ。私に幼い甥の王座を奪えようか。いくら理想の国のためでも幼い王から玉座を力で奪ったとの汚名を残せば統治などできぬ。人の道に背いて王位に就けというのか。はっはっはっはっは。(本心)」
クォン・ラム「それは大君大監の本心ですか。」
首陽大君「私は何も言っておらんぞ。(わかってくれたかラムよ。だからそなたが好きなのだ。)」
クォン・ラムは首陽大君に恭しく拝礼しました。
クォン・ラム「大君様は道をお示しになられました。私はその道をお整えいたします。」
ラムが去り誰もいなくなった部屋。
首陽大君の表情に笑みが浮かびました。
(ひえーーーーっ)
ハン・ミョンフェとクォン・ラムは会っていました。
首陽大君は孫(月山大君)を抱きました。首陽大君は桃源君夫人に蔵の鍵を渡す約束をしました。子供は「ジョン」と名づけられました。首陽婦人は淑嬪から明に奏聞使(チュムンサ)を送っていないといいました。そういうことは礼曹に任せておけばよいと首陽大君は無視し、孫を抱いてごまかしました。
端宗は恵嬪の手紙を受け取りました。端宗は手紙を読み病気の恵嬪を思い涙を流しました。
桃源君は夫人が外で王位を狙う活動を行っていることを知っていました。もうやめなさいと桃源君はいいましたらハン氏は玉座はお義父さまのものですといいました。そなたは恐ろしい人だと桃源君はいいました。ハン氏はお義父さまはもう後にはひけません、王位に就かれるまではと言い寝床のろうそくの火を消しました。
端宗は眠れず「死ぬのが怖くてたまらぬのだ」と王妃に泣きつきました。
王妃「殿下、ご安心ください。私が殿下をお守りします。威厳を保ってください。怖がれば怖がるもの恐怖は増すものです。気を楽になさいませ。いずれにせよ嵐はくるのです。嵐の中の雑草を思い出してください。雑草は真っ先に雨風に倒れてしまいます。ですが嵐が過ぎた後真っ先に立ち上がるのも雑草なのでございます。殿下、殿下は雑草にも及ばぬ君主ですか。取るに足りぬ雑草も嵐に打ち勝つのに殿下はその雑草にも劣るはずがございません。」
端宗「中殿は知らぬのだ。首陽大君の恐ろしさを。謝っている私を氷のような眼で見ておられたのだ。あのような顔は今まで見たことがない。あんなに恐ろしく冷酷な目は一度も見たことがない。」
端宗は怖くて泣きました。
(王妃はとっくに知ってますがな)
(王妃はとっくに知ってますがな)
ミョンフェとラムは一晩中飲んでいました。左議政と右議政と姻戚になった首陽大君はもう味方だ。譲寧大君も味方だ。何も気にすることはないとミョンフェはいいました。ラムは「大君は体裁を気にしておられる。大君は殿下が自ら譲位され臣下から推挙されて王位につくことをお望みだ」といいました。
ミョンフェは「大君さまも欲が深いな」と笑いました。ミョンフェは大勢があれば大丈夫だといいました。「心配するな。このままことを推し進めればよい。」クォン・ラムは集賢殿を説得する力は持ち合わせていないといいました。ミョンフェは「そなたは名分を作ってくれ。私は王様から玉璽を預かる」といいました。
(作戦準備完了!)
ヒャンイは桂陽君夫人の命令で民に噂を流しました。恵嬪にはサモルという奴隷を監視に遣わしているとヒャンイは報告しました。サモルは恵嬪に煎じ薬を持ってきました。そしてサモルは恵嬪に「お守りよりも呪詛にたけている巫女」を紹介しました。
朝廷に恵嬪を処刑しろとの上訴が届きました。首陽大君は「なんと非情なことか。世宗大王の側室とはいえ恵嬪は殿下の祖母ではないか。私が恵嬪と不仲との噂(ヒャンイが流した噂)を聞きつけ私の歓心を買おうとしているのだ。けしからん者(私の手下)たちが出した上書だ」と永豊君に言いました。首陽大君は永豊君のいる前で恵嬪に医官を派遣し米と絹を送るように命じました。「私は恵嬪に恨みはない。(恵嬪を殺したいほど憎い)私を恨まないでくれと伝えてくれ。」
(自作自演。なんてわるいやつなのでしょう。)
ハン・ミョンフェは殿下が退かれ首陽大君が即位すればチョン左議政に領議政の座をあげると話しました。「なっ・・・なんということを」
ハン・ミョンフェは桂陽君夫人に左議政のことを報告しました。ハン右議政には桂陽君夫人が直接お話しくださいと伝えました。
ソン・サンムンはシン・スクチュに首陽大君が王位を狙っているのか問いました。もしそうなったらソン・サンムンは戦うのかと聞いたらそなたと同じ考えだとシン・スクチュは言いました。
(死ぬとわかってるのに、勇気のある人ですね)
端宗派の官僚たちは首陽大君の真意を確かめようと話し合っていました。
ヒャンイが流した噂は町中に流れ、首陽大君夫人の知るところとなりました。
譲寧大君は親しい貴族に誕生日を祝ってもらっていました。
ホン・ユンソンは宮殿でオム・ジャチを殴りました。オム・ジャチは「その眼は何だ」と何度も殴られました。この事件を知った王妃はチョン内官に領議政を呼ぶように言いました。
感想
とうとう首陽大君の表情に「悪魔のほほえみ」というわかりやすい本性が現れました(笑)
ミョンフェは首陽大君に王位簒奪の疑いを作り大君に疎まれましたが、さすがクォン・ラムには気を許していますね。
このホン・ユンソンという暴力的な男はのちに仁山府院君という高い称号まで与えられた首陽大君の腹心です。
まったくどうしてか、人を殺してまで政治をやりたいのか、やっぱり同胞を殺さないと貧しいのだろうか?
首陽大君もどうして王位に就きたいのか、「民のため」とはいうけど、ほんとうは偉くなって歴史に名前と子孫を残したいだけなのではないか?民のためにすることなら時の執権者でも十分に役目を果たすことができるだろうに。
首陽大君はまるで端宗の詐欺師みたいだねー。だんだんドラマの首陽大君の気持ちがわかるようになってきました。首陽大君は言葉にいつも額面とは逆の本性を隠していることがわかりました。