「王と妃」 第87話 世子危篤 とあらすじネタバレ感想
あらすじと感想
懿敬世子の意識がなくなりました。のちの仁粋大妃である嬪宮ハン氏は自分の息子を王位に就けさせるために何としてでも世子を失うわけにはいきませんでした。
懿敬世子には月山君(ウォルサングン)と者山君(チャサングン、もしくは乽山君のちの成宗)という二人の王子がいました。
ハン氏の従兄ハン・チヒョンは世子の意識がないと言います。しかしハン氏は私を見たと言い張ります。
「将来王位に就くお方です。絶対に助かります。私が世子様を看病します。」
ハン氏はとんでもない強欲を発揮します。
「静かにせぬか。世子様が休めぬではないの!死神どころか閻魔大王が来ても決して渡しません。死なせるものですか。」
桂陽君夫人は月山君と者山君の世話をしていました。彼女にとって仁粋大妃はライバルではないのでしょうか。そうしてそんなに彼女の味方をするのでしょうか。
「世子の代わりになる者がおらぬ。海陽大君(睿宗、世祖の子供)はやっと七歳だ。私に万一のことがあれば誰が私の後を継ぐのだ。」
首陽大君は焦っています。病気の息子はまるで文宗を彷彿とさせます、そして海陽大君は端宗を連想させる幼さです。このとき首陽大君は何を考えたのでしょう。
海陽大君も病弱で早逝します。この子が元気だったら仁粋大妃は歴史に存在しなかったのですね。兄の懿敬世子に病気でもうつされたのでしょうか。
「親より先だとうとしているのだ。親不孝も甚だしい。世子は幼い頃から女々しいところがあった。私は世子を勇ましく育てたかった。兄上が生きていたら私はどうなったと思う。天寿を全うできたと思うか?とんでもない。官僚も私を殺せと騒いだだろうな。兄上に呼び出されるたびに思った。もしや今日殺されるのではないかとそなたや子の顔を目に焼き付け宮殿に赴いたものだった。兄上が倒れられてからは朝晩お見舞いに伺い枕元で涙まで流した。ふっふ。私ならば自分の命が尽きる前に血気盛んな兄弟たちを殺しただろう。かわいい息子を守るために。王妃よそなたは私の心中を察していたのに上王を廃するなと食い下がったのか?私は今日文宗の位牌にすがってきた。世子を助けてくれと。魯山君を救いたければまずは世子を助けろと。気がふれたように見えただろうな。私は正気ではない。私はキム・ジョンソや弟たち、ソン・サンムンらを殺した。だが今世子が死ねば多くの血を流してきた意味がなくなる。こんな時に私が正気でいられるか!兄上。兄上はまず私を殺すべきだったのです。ここに横たわり私の手を握りながら幼い息子のことを頼む前に。私を殺しておくべきでした。先に私を殺すべきだったのです。私を・・・。」
世祖は文昭殿(ムンソジョン)に行きます。
「約束通り甥を守りますから私の息子を助けてください兄上。」
息子のために敵である兄に祈る世祖。文昭殿から聞こえる世祖の泣き声にホン・ユンソンはそわそわとしました。
辞職しようとするチョン・インジをハン・ミョンフェは引き留めます。チョン・インジが世祖に辞職を申し出るとこんなときに辞めやがって!と怒りを食らいました。世祖はどうやら嫌いなチョン・インジに手を汚してほしいようです。世祖にとってチョン・インジも政敵でしたが隙がないチョン・インジを捨てるには嫌な仕事を引き受けさせるか濡れ衣を着せるしかありませんでした。内心で端宗に同情するチョン・インジは世祖に逆らう気はもうとうない小心者なので怒鳴りつけておけば恐れて辞めないだろうと世祖は思うのでした。世祖のチョン・インジへの扱いはまさに糞を拭いて捨てるトイレットペーパーのような扱いです。これで功臣を厚遇、手厚くもてなすことができるからでした。
嬪宮ハン氏(仁粋大妃)にとって王妃(貞熹王后)は殺しても殺したりない敵でした。王妃はそんなことは思ってもいなかったかもしれませんが、欲深い仁粋大妃にとっては海陽大君も殺したいほどの人物だったでしょう。
ではなぜ桂陽君と結婚した姉の息子たちと対立しなかったかというと桂陽君は世宗の数多くの庶子の一人だったので、王位に就ける権利がなかったからでした。
王妃は寺で拝礼し、ヒャンイたち貴族の夫人は外の仏塔をぐるぐると廻り懿敬世子の回復を祈ります。
王妃は端宗の妻(郡夫人)に貢物を送りました。でもソン夫人は端宗や奴婢にされた父のことを思うととても「うわべだけのお情け」を受け取ることができませんでした。ソン夫人にとってお情けとは一族の復権と端宗の復位だったからです。
話の流れから、功徳を施して懿敬世子を助けようという魂胆だったのでしょう。
それなら謀反など起こさないことのほうが徳なはずですが。人間であることを捨てた動物に彼らの欲望が満たさせる以外の話が通じないのですから本当の善に基づいた行動をすることのほうが無理でしょう。
端宗は民からもらった鶏肉を口にしましたが食事が喉を通りませんでした。
「父上が今の私を見たらさぞ嘆かれるだろうな。」
端宗(魯山君)とパク尚宮は一緒に泣きました。
錦城大君の世話をしている下女は手紙を盗み恋人の奴婢に渡しました。
「安東府事のハン・ミョンジンのところにに一緒に持っていこう。」
ハン・ミョンジンは震えました。
「謀反だ。明らかな謀反だ。」
檄文が渡ったと知ったイ・ボフムは寝返ります。事が発覚したと知るとそのまま漢陽に行き世祖に密告しました。