「薯童謠(ソドンヨ)」(全55話)第44話 新王に仕える のあらすじとネタバレ感想
44話 新王に仕える あらすじ
チャンはウヨン博士と取引をしました。
「彼らに夜明珠を渡すなんて、太子様の身分を保証する唯一の物です。」
ワング将軍とヨン・ギョンフ大将はチャンを心配しました。
「何の必要もありません。その二つがなければ王になれないなら王になるべきではない。私に王の能力がないなら無用の長物です。王になるのが天命なら私が力を手に入れた時夜明珠も戻ってきます。」
チャンはモンナス博士たちを説得しました。
「宮殿に入るのは危ない。陛下は太子様を守れとおっしゃった。宮殿では私は太子様をお守りできない。」
ワング将軍は言いました。
「外にいても危険です。」
モンナス博士は言いました。
「まずは身の安全を守ることが大事だ。」
ソンファ公主が小屋に入ってきました。
「聞きました。私も太子様と同じ考えです。」
ソンファ公主は言いました。
「太子様は危険を避けるか志を貫くか迷うといつも後者をお選びに・・・」
モンナス博士は言いました。
「香炉の信託です。百済を再興できる王に自分を変えたいのです。だから玉璽も夜明珠も捨てるのです。」
ソンファ公主はチャンの気持ちを皆に伝えました。
「逃げましょうか。これが最後の機会だと思います。」
小屋の外に腰かけていたチャンはソンファ公主に言いました。
「いいえ。逃げる機会は何度でもあります。何度も逃げたくなり捨てたくなるはずです。私も昔はそうでした。危険だからではなく、自分を育て信じるのが大変だから。自分を信じてください。ソドン公が逃げようというならいつでもお供します。私のいたずらが必要ならいつでも応じます。周囲の態度が変わっても、私だけは、私だけはいつも同じ場所に。ソドン公に捨てられても利用されることがあっても、同じ場所にいます。」
チャンはソンファ公主を抱き寄せました。
「お返事はまだですか?王座をあけてはなりません。早く即位なさらなければ。プヨソンが私一人を攻撃すればすむ話ではありません。早くお願いします。」
サドゥガンはウヨン博士に言いました。
「もう待つ必要はない。ただちのサドゥガンを討つ。同時に即位を行う太学舎の準備をしろ。」
プヨソンはフクチピョンとサテッキルに言いました。
ウヨン博士は父プヨゲに言いました。
「なんだと?その者は信用できるのか?モンナス博士は嘘を言いません。最善の手です。我々に損はありません。倭国に行ったり内戦するよりマシです。」
ソンファ公主はウヨンからの手紙を受け取りました。チャンは玉璽を偽の勅書に押しました。
便殿会議が招集されました。
王座にプヨゲが座りました。
「上佐平様、なぜ上座にお座りなのですか。まだ玉璽と勅書を継いでおられません。」
サドゥガンが反発しました。
「阿佐太子と陛下にの死に関する悪い噂を鎮めるために、玉璽つきの勅書をお見せください。そうすれば混乱を治められます。」
「まさにそうだ。陛下の譲位勅書が届いた。」
プヨゲが言いました。ウヨンがモンナス博士とチャンを呼びました。
「陛下が上佐平様に渡せとおっしゃった玉璽でございます。」
「これは譲位勅書です。」
チャンとモンナス博士は玉璽と譲位勅書を持ってきました。
重臣たちは動揺しました。
「このプヨゲは先代王の命を奉じ即位式を行う。百済王室の玉璽を押した私の最初の勅書で命じる。混乱を鎮めたチャンとモンナス博士を私の一等功臣とする。モンナス博士を太学舎の長に。技術士チャンを内臣佐平の恩卒とする。」
プヨソンとフクチピョンとサテッキルも驚きました。
「陛下を守ろうとしただけでも称えられるべきだ。皆今後の仕事に心して打ちこむのだ。」
プヨソン以外の臣下は「はい」と従いました。
「一体どういうことでしょう。骨折り損です。ウヨン王女に出し抜かれるとは。」
フクチピョンはプヨソンに言いました。そこにウヨンがチャンとモンナス博士を連れて通りがかりました。
「こいつらが何をしたと思っている。」
プヨソンは怒りました。
「玉璽をくれました。」
ウヨン王女は答えました。
「それが陛下のご意思でした。」
モンナス博士も言いました。
「陛下が何をしでかしたと思う。」
「なんと失礼な言い方」
「私を刺した。」
「では公表してください。」
チャンはプヨソンに言いました。
プヨソンはチャンに剣を抜きましたがサテッキルはプヨソンを止めました。
「これが父上と兄上にとって最善の方法なのです。」
ウヨンはチャンとモンナス博士を連れて去りました。
その様子をサドゥガンが見ていました。
「四男が死んだことを話さなかったのは?」
チャンはウヨン王女に訊きました。
「あとで話す。」
ウヨンは答えました。
「隠しましょう。そのほうが得策です。」
モンナス博士が言いました。
サテッキルはプヨソンとフクチピョンに我慢するように言いました。
「はっきりさせたとは?死んだのか?捕らえたのか?なんなのだ?四男は我々の計画を脅かす存在なのだぞ。」
「兄上はご心配なく。」
「説明しろ。」
その様子をサドゥガンが見ていました。
「様子が変です。」
「まったくです。予想外の展開ですがとりあえず我々の身は安全なようだ。」
国氏族の長ククヨンテク(国延澤)は言いました。
そこにサドゥガン(沙道光)が入ってきました。
「面白くなってきた。ウヨン公主が政治に参加し初舞台で痛快な動きを見せた。ウヨン公主に協力するのがよいかと。」
「同感です。衛士佐平も混乱している。」
「ウヨン公主様よりお前が気に食わん。なぜ衛士佐平様を止めたのだ。お前は悔しくないのか。どこへ行く。答える価値もないと?」
フクチピョンはサテッキルに掴み掛りました。
「モンナス博士とチャンを捕まえろ。四男の場所を吐かせろ!ウヨン公主の執務室に行き奴らを捕らえてくるのだ!」
「はい!」
フクチピョンはチャンとモンナスを捕らえに行きました。サテッキルは今は動くべき時ではないといいましたがプヨソンもフクチピョンも聞きませんでした。
「四男の死を口止めしたのは私のためですか?」
チャンはモンナス博士に訊きました。
「必ずしもそうではない。情報を独占することも力を得るための方法だ。衛士佐平もこの方法を使った。情報を衛士部に集め徹底的に管理した。見てなさい。衛士佐平に内緒にした効果がすぐに出てくる。」
そこにフクチピョンが現れチャンとモンナス博士を連れて行きました。ウヨン公主の執務室はフクチピョンに荒らされました。
チャンとモンナスは四男の場所を訊くためフクチピョンに拷問されました。そこにウヨン公主があらわれフクチピョンが投獄されました。
「何の真似だ。衛士佐平は陛下より上か?投獄するのだ。すぐに二人を開放しなさい。」
チャンとモンナス博士は解放されました。
「申し訳ないことをした。」
ウヨン公主はチャンとモンナスに謝罪しました。
「勝手な事をしおって。私は王だ。王の上に立つ気か!お前の妙な噂が流れておる。その噂を鎮めたいのだ。お前を太子にするためにも。頼むから自重してくれ。」
プヨゲは言い訳するプヨソンを叱りました。
「単純ですが実に効果的な計略です。四男が死んだから宮殿に戻ったのでは?あるいは生きているとしてもウヨン姫は夜明珠を受け入れたから博士を受け入れた。隠し立てされるだけでプヨソン様があんな無茶をされるとは驚きです。それに博士がこんな計略を使うとは。」
サテッキルはモンナス博士を非難しました。
「衛士佐平が計略を用い無茶をさせたと?お前もそう思うか?」
「いいえ。今までの無茶が災いしたのです。自業自得です。阿佐太子様や陛下、大勢の民を死に追いやった。そのうしろめたさが無茶をさせたのです。もっとひどくなります。風の音にもおののくようになります。悪事は自分に返ってくると博士は証明されただけです。ですから博士の決断に私は少しも驚きません。」
チャンはモンナス博士を擁護しました。
プヨソンたちは焦っていました。
「考え直せ。どこでこじれたにせよ、もうやめるんだ。そうすれば許される。」
チャンはサテッキルに言いました。
「このまま進む。とことん進む気で宮殿に戻ったんだろ?俺もとことん進む。最後まで行こう。」
サテッキルはチャンを認めませんでした。
モジンは政治に参加したモンナス博士を批判しました。
「博士が陛下と太子様を補佐したのは政治のためではなかったはずです。王室と百済のためにある太学舎の原則にも反しません。ですがたとえ陛下の復讐やわけもなく殺された民や学舎の仲間への復讐が目的でもウヨン公主に仕えればそれは政治です。私の尊敬する博士は原則を守る人でした。もう博士を思うのはやめます。幼学蕫(ヨハクトウ)に行きます。」
「モジンや。」
「そんなふうに私を呼ぶのははじめてですね。でも手遅れです。疲れてしまいました。博士の罪ではないにしろ危ない綱渡りをする姿を見守るのに疲れました。私はこの宮殿が恐ろしくなったのです。宮中で起こることが怖くてたまらないのです。許せないのは原則を破ったことよりこの宮殿に博士がいなければならないことです。とにかくもう私は博士の後ろ姿を見ません。」
モジンは涙を流しモンナス博士のもとを去りました。
「博士・・・モジン様に事情を・・・・・。」
チャンはモンナス博士とモジンの関係を心配しました。
「いや、むしろこれでよかったのだ。私たちが失敗して消えてしまったら太学舎をモジンに託したい。」
モジンは子供に太学舎の教えを説いていました。
「太学舎には四つの規律があります。一つ目は学習の義務。二つ目は保安の義務。三つめは分派を形成しない義務。四つ目は民に奉仕する義務です。」
プヨゲは百済の王に即位しました。ウヨンは正式に公主となりました。ウヨンはとても喜びました。
上佐平ヘドジュ。
中佐平サドゥグァン。
下佐平ククヨンテク。
前内部 内臣佐平 ウヨン公主(クンジュ)。
太学舎 達率 サテッキル。
内臣佐平 恩卒 チャン。
ワング将軍は私兵の訓練をしていました。
サテッキルは父キム・ドハムにソンファ公主の動向を探るように頼みました。
ヨン・ギョンフ大将は部下に商売を拡大し情報を集めるように命じました。
ソンファ公主の侍女は「お前は美男ではないけどなんだか親しみを感じる」とポムノに言いました。ポムノは喜びました。
ウンジンはソンファ公主に会いました。
「チャンの怒りはわかるけどウヨン公主のもとで何をするんです?一日中ウヨン公主と一緒に・・・」
「いつもウヨン公主と一緒なのですか?」
「別にいつもではないけど・・・・・・。」
ソンファ公主は少し心配になりました。
「覇道と王道は似ていて違います。覇道は王座への道で王道は国をどう治めるかが問題です。父上の王権を支えるには王道を行き衛士佐平様の力を奪うには覇道を行くべきです。両方の道に共通して大事なものがございます。それは人間です。志を共にできる優秀な人間が必要です。まずは人を集めねば。人材を見つけ関係を築くのはチャンにお任せを。」
モンナス博士はウヨン公主に説明しました。
「役人と貴族、太学舎の名簿を渡そう。」
ウヨン公主はチャンたちを信用しました。
「敬語はやめてください。ひとに訊かれます。とにかく志を共にする人材を集めます。」
チャンはモンナス博士に言いました。
「だが志を共にすることだけが絶対条件ではない。王の仕事は人を選ぶことだ。行いの良さだけを判断基準にしてはいけない。素質を見抜くのだ。口先だけ達者な人でも使い道はあるし、理論だけを提供する者も役に立つ。何も言わず行動する者も役に立つだろう。怠け者だが賢いのも長所だし、勤勉だが愚かなのも長所になりうる。すべてを把握したうえで人を選びどう役立てるか考えろ。」
「博士、サテッキルが言うように別人に見える。」
「驚くことはない。これが太学舎の首長による太子への教育なのだ。」
モンナス博士はにこやかにチャンを見つめました。
「今後、上書や報告書は前内部だけが管理します。」
チャンはサテッキルに言いました。
「今まで衛士佐平様が目を通してきた。」
「ですがそれは原則に反しています。お前たちも前内部に入る文書を陛下以外に見せるな。わかったか。」
「いぇー。」
ウヨン公主はソンファ公主を執務室に呼びました。
「兵士の養成を頼む。親衛隊や衛士部に潜り込ませる兵士が必要なのだ。必要な武器は太学舎が供給する。武器以外のことを引き受けてほしい。嫌なのか?」
「そうではなく、衛士佐平様に知れたら商団の存亡にかかわります。」
「だから、できないと?」
「いいえ、やります。」
「そうか。ありがとう。」
「ですがこちらも対策を考えます。衛士佐平様と交流が深まったり時には利権が衛士佐平様に回るかもしれません。私を信じてご理解ください。」
「そうか。わかった。」
恩卒はチン大人を送りなさい。
「いいえ、ひとりで帰ります。」
サテッキルはウヨン公主に会いました。
「今回の処置が衛士佐平様を刺激するとは思いませんか?」
「何のことだ。私は宮殿内の秩序をただしただけだ。陛下の権威のためにも。いずれ王になる兄上のためである。そういう考えなのだと兄上に伝えなさい。」
チン・ガギョン大人はプヨソンに会いました。
「ウヨン公主に呼ばれまして。」
「実は商団をさらに拡大させて各貴族の本拠地に店を出そうかと。そうなれば我々の利益も増え衛士佐平様も潤います。なので貴族との仲を取り持ってください。ほかの商団から牽制を受けるかもしれません。」
「アビジ商団だな。」
フクチピョンが言いました。
「妬みを買うかもしれませんし、何かお悩みのようですが気楽に構えてみては?うまくいかない時期もあるのだと。ですが大勢は変わらないはずです。」
「お前は何をしていたのだ。なぜ私に知らせない!私の権限を奪われたのだぞ。陛下の上書を読むなだと?」
プヨソンはサテッキルを叱りました。
便殿会議でウヨン公主は上書の検閲の禁止を提案しました。プヨソンはそれに反対しました。
「善悪の判断は私が直接くだせばよい。そのほうがお前の将来のためになる。」
ヘドジュも賛成しました。
感想
またまたややこしくなってきましたね。話が複雑になってきました。チャンは内臣佐平(王命の伝達,上奏の取りつぎなどを行う首相。)の恩卒という地位に上がりましたね。いきなり一国の首相ですよ!これはすごいですね。ウヨンはいまだプヨソンのような凶暴性を見せてはいませんが、将来はどうなるのでしょうか。そしてソンファ姫との恋の行方はどうなるのでしょうね。続きが気になります。