「王と妃」 第74話 恵嬪処刑 とあらすじネタバレ感想
74話 恵嬪処刑 あらすじ
首陽大君は錦城大君についての嘘の報告を聞いて笑いました。
「さようでございます。錦城大君様は。申し訳ありません。私は見たままを申し上げただけで・・・・・・。」
ホン内官はホン・ユンソンの命令通りに世祖(首陽大君)に偽りの報告をしました。
世祖はソン・サンムンを呼び意見を求めました。
「内官の話しを聞いたか。錦城大君は悪態を並べたと言っていた。恥ずべきことではないか。」
「なぜでしょうか。」
「兄弟で相争っているのだからな。錦城大君は謀反を企んだ罪で流刑になったが実際のところ同情の余地もなくはない。安平は私を妬みキム・ジョンソを利用して私と上王様を殺そうとしたが錦城は彼らに比べたら単純な男だ。安平に非があるとは認めず私にことだけを恨んでいる。味方によっては哀れではないか。ふっふっふっふ。左副承旨はどう思う。ふっふっふっふ。私はどうしたら、そなたの心を得られる?いくら求愛しても目もくれてはくれぬ。私には集賢殿の学者が必要だ。欲の深い功臣たちより理想にあふれ高潔な学者のほうが不可欠な人材だ。国政を刷新するためだ。人間を一新せねば新しい政策も行えぬだろう。」
「政治は現実では?集賢殿の学者は政治に疎いのです。」
「手を汚すのは私一人だけだ。私は甥の譲位を譲り受けた。しかしその足かせから自由になりたい。さもなくば何一つ実現できぬ。重臣と功臣たちは私の体と心をさらに縛り付けてくるだろう。謀反の証拠を突き付け絶えず褒美を求めようとするだろう。今は静かだが錦城と恵嬪の処刑を求める上奏が届きはじめる。二人を殺してもそれで終わらぬ。次は誰だと思う?どうして太宗が功臣と外戚をすべて殺したのかようやく分かった気がする・・・・・・。そなたたちが私を正しく導いてくれ。これ以上人を殺したくないのだ。私の気持ちがわからぬのか。」
「私には、殿下の深いお考えはわかりません。申し訳、ございません。」
ソン・サンムンは世祖にひれ伏しました。
「はっはっはっは。突き放すのか。」
「・・・・・・。」
「ふっふ。はぁー。」
世祖は深いため息をつきました。
「君主に哀願されたら応じるのは臣下の道理ではないか?殿下が王位に就くまで我々のような俗物が殿下を補佐してきたのだ。集賢殿の学者はうまい汁だけを吸ってきた。なのに殿下に逆らうとは大した学者ぶりではないか。」
ハン・ミョンフェはソン・サンムンに毒ず来ました。
「心は昌徳宮にあるのに俸禄は景福宮からもらっているだろう?はっはっは。すまない。私が言い過ぎた。おっほほほほ。」
ソン・サンムンは心をかき乱されて動揺しました。
「(首陽大君から俸禄をもらっていると言われれば、不快だろうな。)」
ハン・ミョンフェはサンムンを挑発したのでした。
「私を軽蔑している眼差しだった。目をかけてきたのに。」
世祖はソン・サンムンが味方につかないので酒に酔っていました。
ソン・スンは息子を工曹判書キム・ムンギに紹介して言いました。
「サンムンよ。こちらは工判大監です。挨拶なさい。大監、私の息子です。まだ未熟な学者ですやっと己の名前の意味をやっと悟った程度でただ名前は理解したので名を汚すような愚行はしないでしょう。」
「今は誰もが名を売るのに必死なご時世です。」
「下がりなさい。」
「はい。父上。」
ソン・サンムンは下がりました。
ソン・スンとキム・ムンギは酒を酌み交わしていました。
「お恥ずかしいことです。」
「恥ずかしい?大殿の動向をつかむのにうってつけでしょう。私をお呼びなさったのは仲間が必要だからでしょう。」
「工判大監様は私の心を見通しておられるゆえ正直に申し上げます。康寧殿に本来の主を迎えたいのです。」
「私も同感です。」
キム・ムンギの号は白村。ハムギルド都節制使(トチョルチェサ)を経て工曹判書に在職中だった。端宗復位事件における首謀者のひとりだった。パク・ペンニョンの親戚であり都鎮撫を兼任していたので兵を動員する役割を担った。
ソン・サンムンとソン・スンは決起について話し合っていました。
「決起の話しをされたのですか?」
「お前たちが宮殿で事を起こしたら外で支援する者が必要だろう。首陽の功臣を皆殺しにせねば事は成し遂げられぬ。」
「兵のことは父上にお任せします。」
「宮殿の様子はどうだ。」
「ハン・ミョンフェは曲者ですが気づいておらぬでしょう。クォン・ラムとシン・スクチュが不在ゆえ絶好の機会では?急いではどうでしょう。」
「準備が足らず失敗すれば誰よりも上王様に害が及ぶ。事前に綿密な計画を立てる必要がある。」
「我々には名分があります父上。」
「名分だけではだめだ。人を集めて時期をまとう。」
「虐げられている上王殿下を思うと・・・一日も耐えられません。」
懐に恵嬪の手紙を抱いた端宗は眠れませんでした。
「月光などなくても構わぬ。目を閉じても一行もぬかすことなく全部読める。」
恵嬪は朔寧(サニョン)の錦城大君とチョ・ユレに手紙を持って行くように男に命じました。男は恵嬪の家から出ると「これはうまくいった」と言いホン・ユンソンに手紙を持って行きました。
「ふはっはっはっは。これで功臣録に乗るどころか領議政になれそうだ。」
ホン・ユンソンは喜び大殿で世祖を待ちました。
世祖と端宗は妃を伴い菓子を食べ談笑していました。
「奏聞使が戻ったら錦城大君と寧陽尉を自由の身にしようと。時期文宗大王の史書が完成し、宝録館に石碑も立てられるので、文宗大王の娘婿の寧陽尉を赦免するのが道理でしょう。」
「感謝します叔父上。これで姉に面目が立ちます。」
王妃は敬恵公主に20人の奴婢を与えると端宗に約束しました。
王妃は大妃に子を産むように勧めました。大妃は王室に迷惑がかかると言いました。
「どうせなら王子がいいでしょう。そのほうが王室が繁栄するでしょう。はっはっはっは。」
世祖も気前よく王子を望むと言いました。
「とんだ仏様ですわ。」
桂陽君夫人は世子妃(嬪宮)ハン氏と端宗と大妃の悪口を言っていました。
ホン・ユンソンは恵嬪の手紙を世祖に見せました。世祖は手紙を読んで怒りに震えていました。
恵嬪はだまされたことに気が付いたとソン・ヒョンスは端宗と大妃に報告しました。端宗たちは焦りました。ソン・ヒョンスは手紙を処分するように端宗に言いました。
「おばあさまの手紙を燃やすくらいなら、いっそ自分の体を燃やします。」
端宗は涙を流しました。
「叔父上は錦城大君と寧陽尉を放免なさると言った。あの言葉は嘘だったのか。おばあさまを殺すことは私を殺すことと同じだ。まさか祖母は殺さないだろう。」
宮殿の内外に兵士が配置されました。
「恵嬪と錦城大君の謀反です。そんなことだから殿下に怒られるのです。」
ホン・ユンソンは何も知らない兵曹判書に説明しました。兵曹判書は辺境にいる恵嬪と錦城大君のせいでなぜ王宮を警戒せねばならないのかわかりませんでした。
「これは大事ではないか。我々が謀反に気が付かなかったとは。」
ハン・ファクたちは慌てて賓庁に行きました。
譲寧大君は喜々として世祖に恵嬪と錦城大君を殺すように言いました。
「このままでは上王様に同情する声はやみません。世宗の功臣たちは殿下に服従していません。殿下が隙さえ見せれば上王に味方するやつらです。気を緩めてはなりません。昌徳宮に王がいる限り謀反はやみません。イ氏の王権は太祖が血によって安定させたのです。まず恵嬪を殺すのです。それから錦城を殺しましょう。」
「いっそ私を殺してください首陽叔父上。」
端宗は大妃に泣きつきました。
世祖は恵嬪たちを謀反の罪で断罪しました。
「恵嬪ヤン氏は世宗大王に寵愛され息子を産んだ側室ゆえ私を貶めてもとても殺せなかった。だがその罪を悔いるどころか他の者と謀反をたくらんだ故彼女と内通したチョ・ユレ、チェ・ユンソン、モク・ヒョジ、ソン・ムンチらは絞首刑に処し家財を没収する。残りの内通者は官奴とする。」
兵士たちが罪人を捉えに行きました。
「王妃様、祖母をお助けください。」
端宗は王妃に拝礼しました。
「上王殿下、いけません。」
「王妃様、どうかご慈悲を。」
「上王様、おやめください、なりません。」
端宗は何度も王妃に拝礼しました。
王妃ユン氏は涙を流しました。
「逆賊ヤン氏を絞首刑にする。言い残したいことはあるか。」
「首陽大君が残忍なのは知っていたがここまで冷酷とは。父王の世宗大王に免じて自決させてくれてもよかったのに。殿下、祖母は先に逝きます。死ぬのは怖くありませんが、殿下のお苦しみを思うとこの胸が詰まります。どうぞご自愛なさってお元気でいてください。土の下からでも殿下が復位なさったお姿を見られれば私の恨みは晴れるでしょう。ご健康をお祈りします殿下。」
恵嬪は端宗のいる方角に向かって拝礼しようとしました。処刑人が背後から恵嬪の首を絞めました。
「おばあさま!おばあさま!おばあさま!」
端宗は祖母を呼び続けました。
恵嬪は端宗を育てその情は深いものでした。恵嬪は首陽大君の野心を見抜き最後まで端宗を守ろうとしましたがついに首陽大君により絞殺されました。
「はっはっはっは。内心では私を恨んておるとは思ったが謙虚な返事ではないか。ホン・ユンソンを佐翼功臣三等に任じよう。」
世祖は功臣録に名前がなかったホン・ユンソンを見て笑いました。
「厚恩の極みでございます殿下。」
ホン・ユンソンは喜び世祖に拝礼しました。
「はっはっはっはっはっは」
世祖はその様子を見て笑いました。
退室したホン・ユンソンは笑いが止まりませんでした。
「ホン・ユンソンは大手柄であった。」
「殿下が忠僕を得られましたのでお祝いもうしあげます殿下。」
ハン・ミョンフェは世祖にごまをすりました。
「ホン・ユンソンのような者なら百人でも得られる。だが学者は一人得るのも難しい。はぁー。私はまだサンムンの心を得ておらぬ。一人の学者の心も得られぬのに天下を取ったといえるのか。はぁー。」
世祖は深いため息をつきました。
有頂天になったホン・ユンソンは子分たちに酒をふるまっていました。子分たちは大喜びしました。
「恵嬪は世宗大王に寵愛された側室だ。父王の側室を殺した首陽大君にもう人間らしい情はない。ただちに決行しよう。サンムン、決めてくれ。」
イ・ゲ、ユ・ソンウォン、パク・ペンニョン、キム・ジルたちはソン・サンムンに決行を急かしました。
「奏聞使とともに明国の使臣が朝鮮に来る。首陽は慕華館で誥命を受け宴を開くだろう。そのとき決行しよう。」
ソン・サンムンは決行の時期を決めました。
「その前に上王様が殺されるかもしれん。」
「恵嬪を殺したので首陽は気を緩めるだろう。機会を見て上王様からお許しを得よう。」
「上王様には知らせぬほうがよい。もし失敗したら・・・・・・」
「仮にも王である首陽を殺すのですぞ。殿下の承認が必要だ。」
「あとで報告すればよいだろう。」
「首陽大君の真似などせぬ!大義を重んじる我々は奸臣とは違う!」
感想
ソン・サンムンたちはほんとうに心強い端宗の味方ですね。でも、時期が遅すぎましたね。すでに大勢を握った首陽大君に逆らうなど草で首陽大君に殴りかかるに等しいですから、結末は誰でも知ってる歴史の通りなのですが、あんなご時世に腐っていない官僚がほんとうにいたのかちょっと疑問ではありますが、ドラマの通りの人間だとしたらソン・サンムンは立派な人ですね。