韓国ドラマ大王世宗(テワンセジョン)86話最終回 偉大なる文字 あらすじとネタバレ感想
最終回偉大なる文字 あらすじ ストーリー結末
世宗はほとんど見えない目で集賢殿を目指していました。
「右へ六歩。」
世宗は集賢殿に入り机にぶつかりました。
「殿下。」
尚膳のオム・ジャチが世宗に駆け寄りました。
「新に机を置いたとは知らなかった。」
「殿下、正直におっしゃってください。いつまでも隠しておけません。」
「暗中模索。目が見えていても30年間暗闇の中を手探りで歩んできた。」
「それが政治であり王としての定めだからです。」
ファン・ヒが世宗の前に現れました。
「私のほうを、御覧になっています。」
オム・ジャチが言いました。
オム・ジャチが言いました。
「余はこの戦いに決して負けるつもりはない領相(ヨンサン、領議政)。」
鴨緑江(アムノッカン)には明の軍が集まっていました。
「明の軍隊が国境を脅かしているだと?対策は講じたか?」
世宗は賓庁でユンドクとキム・ジョンソに言いました。
世宗は賓庁でユンドクとキム・ジョンソに言いました。
「もちろんです殿下。」
チェ・ユンドクは言いました。キム・ジョンソもユンドクの隣にいました。
チャン・ヨンシルは図面を描いていました。
「順調か?」
イ・チョンはヨンシルの研究室を訪ねてきました。
「義州の国境へ赴かれると聞きました。」
「火車の特性を生かし改良した大神機箭(テシンギジョン)。その威力を見せつけるよい機会となるだろう。銃筒謄録か・・・朝鮮の文字で記した物を見られる日が来るとは。」
「ご武運を祈ります。」
ヨンシルは静かに言いました。
ヨンシルは静かに言いました。
「私の心配よりチェ・ヘサンの遺志を告げ。生きて会おう。」
イ・チョンはヨンシルの本をめくった後、部屋を出ていきました。
「文字の創製反対。これが集賢殿の公式的な立場だ。一つ目の名目は、朝鮮文化の衰退を防ぐためである。だがそれだけでない。」
チェ・マルリは集賢殿の学士を集めて力を込めて演説をしていました。
「朝鮮の文字。その普及を邪魔することは朝鮮の自主性を踏みにじる行為である。余はそれがだれであれ断じて許すことはできぬ。断固として戦っていく。」
世宗は決意しました。
「朝鮮が、戦乱の危機に陥ることを防ぎたい。君主は政策を正当化するために時に危険な手を打つ。その最たる例が戦だ。いつも犠牲になるのは民なのだ!これは我々のための反対運動ではない。官吏として民を守るための最後の手段なのだ。賛同者は署名してくれ。」
演説を終えたチェ・マルリの配下たちは次々に署名しました。
「反対の上訴文だと?いよいよ、真の戦いを始める時が来たようだな。」
世宗はチョン・インジにつぶやきました。
「殿下は上訴文をどう思われるでしょう。文字の普及を撤回する見込みは・・・・・。」
ハ・ウィジはチェ・マルリに向かって言いました。
「ない。」
皆が声のするほうを見ると世宗が現れました。
「余は文字の普及をあきらめるつもりなどまったくない。」
チェ・マルリが憤り立ち上がりました。
世宗は近くにあった椅子に腰かけました。
「ただし例外がある。」
「なんでしょうか。」
「期限は問わぬ。余と戦い勝ってみよ。そなたが勝てば文字の創製はなかったことにする。」
「我々はすでに上訴文を通じて意思を明かにしました。」
「余の意見はそなたたちとは反対だ。余と戦い勝ってみろ。そもそも政治とは筆の戦いだ。」
「私が勝てば撤回してくださいますか?」
「余が負けることはない。」
「私も決して負けるつもりはございません。」
「面白い戦いになりそうだ。」
「遠路はるばるお疲れさまでした。大人。」
ファン・ヒはワン・ジンら明の勅使を部屋に迎え、言いました。
「これも朝鮮の王の不埒な行いのせいだ。」
ワン・ジンは言いました。
「今上は立派なお方です。」
「朝鮮固有の文字にこだわる限り、立派な王とは言えぬだろう。」
「文字の創製は王様の最大の功績となるでしょう。」
「朝鮮の学問は地に落ちるでしょう。たやすく学べる文字があればだれも漢字を学ばなくなります。」
チェ・マルリは世宗に言いました。
「余は少なくとも我が国の官吏は違うと思う。自国の文字を学び民を守ることと外国の文化と学問を受け入れることは両立できるとわかっているはずだ。イ・スンジ。そなたを中心に学士を集め三綱行実図を翻訳し配布する計画を立てよ。」
「はい殿下。文字を学ばせ教化する。まさに一途両得でございます。」
イ・スンジは言いました。
「不可能です。民が卑しく愚かなのは無学無盲だからではありません。人間の品性を教育で直すことはできません。」
チョン・チャンソンは世宗に口答えしました。世宗は机を叩き立ち上がりました。
「余の民を侮辱するな。この愚か者が。直せないなら何のために政治する。ただ民の上に君臨し権勢を振るうだけか。副提学。そなたも同じ理由で文字創製に反対するのか。民に対するそなたの考えを聞きたい。」
「民を軽んじてはなりませんが、信頼を置きすぎてもよくないかと。」
「それでも学士か。」
「文字を学んだ民が己の利のためだけの文字を使おうとすれば朝鮮はさらに乱れるでしょう。」
「それを治められぬ者には官吏としての資格がないチェ・マルリ。結局、そなたの本音はこうだろう。民が官吏と同じ文字を使うことも民が己の利権を主張することも許せぬ。一段上に立っていたいのだろう。難解な漢字にしがみつき既得権を守りたいだけなのだろう。違うか?」
「・・・・・・。」
「民の心を思いやる気持ちや民に使える意思がない者は皆この集賢殿から出ていけ。そなたたちは学士ではない。政治に携わる官吏としても認めることはできぬ。」
世宗とオム・ジャチは集賢殿を出ていきました。
「朝鮮固有の文字に執着する限り、明は朝鮮の王への任命を行わない。」
ワン・ジンはファン・ヒたちに言いました。
「外交を断絶すると?」
「軍事的な制裁も辞さぬつもりだ。」
「これは恐ろしいお話しですな。」
「あくまで逆らうつもりか?」
「礼判。」
ファン・ヒはキム・ジョンソに発言を許しました。
「明が投入できる兵力は今の時点で30万人。」
「朝鮮はかき集めてもせいぜい10万人。我が国の兵の三分の一にすぎぬ。その上我が国の兵士は戦闘で鍛え抜かれた精鋭だ。」
「それは朝鮮軍も同じです。そのうえ朝鮮には明がほしがっている新兵器もあります。」
「新兵器だと?」
「大中小の神機箭をはじめ一刻で百連発が可能な火区jるまが三百台以上。三百台が火を噴けば一刻に三万発。十分の一が命中した場合、一刻で少なくとも三千の明軍が死神と会うことになります。」
「それは宣戦布告か?」
「先に国境を侵されたのは明国のほうでございましょう。」
キム・ジョンソが説明を終えるとファン・ヒはワン・ジンに言いました。
夜。
ワン・ジンはチョン・チャンソンを引き連れたチェ・マルリに赤封筒を渡しました。
「晋陽(首陽)大君に密書を渡したか?」
「もちろんです。」
首陽大君はキム・ムンが持参した手紙を読みました。
「朝鮮の文字を否定してください。そうすれば明は次の君主として今の後継者でなく媽媽を選びます。」
「朝鮮に新たな王を立てたいのだ。そのためにはまず一人の王が世を去るべきだ。王が消えれば戦は起こらない。朝鮮にとってもよいことだろう?」
ワン・ジンはチェ・マルリに言いました。
昭憲王后は首陽大君の屋敷に行きました。
「晋陽。何を思い悩んでいるのだ。集賢殿に行きなさい。そこである人が待っている。」
集賢殿。
世宗は辞職上疏と書かれた紙を置きました。
「晋陽か?いや、もう首陽と呼ぶべきか。」
「どういうことでしょう。お前に新たな名前を授けよう。首陽。首長の首。陽射しの陽。将来王室の長の立場に就くということだ。よいな。王室を率いる長としていずれ君主となるお前の兄を支えてやってくれ。」
「私の愚かな欲をご存知だったのですね。」
「お前の立場なら一度は考えることだ。だが欲に捕らわれるな。」
「チェ・マルリの辞職届ですか?」
「これは受け取れぬ。」
「父上にことごとく逆らい私と共に謀略を・・・・・。」
「功績のほうが大きい。集賢殿が積み上げた成果の半分以上は彼の功績といっても過言ではない。」
「人材はほかにいくらでもいます。」
「だがそれはチェ・マルリではない。集賢殿の副提学。この座はチェ・マルリが戻ってくるまで空けておくことにしよう。」
チェ・マルリは茶を飲み世宗との昔を思い出していました。
「成均館は本来、国に献身する役人となるために、勉強するところです。でもこの国には希望はない。」
「絶望とは何か。力の限り走り続けてもう精も根も尽きた。それでも壁は高くびくともしない。そのときはじめて絶望する資格が得られるのだ。」
「官吏にするのが正解か疑問ですな。でも天文儀器の必要性は知っています。」
「そなたとの議論はいつでも歓迎だ。頼んだぞ。チェ・マルリ。」
チェ・マルリは茶碗を投げ暗くなっても悩みました。
「私は、チェ・マルリだ。一度決意を固めたら、決して後には退かぬ。」
「今からちょうど二刻後、津寛寺に行き朝鮮の王を暗殺する。」
ワン・ジンは東廠のプンゲたちに命じました。
プンゲたちは夜道を走りました。
「ソ・チョンは?」
プンゲは部下に聞きました。
「先に津寛寺に向かいました。」
「なんだと?」
津寛寺。
「尚膳か?」
世宗の部屋に何者かが侵入しました。
「何事だ?」
ワン・ジンはチョ・マルセンに言いました。
「領府事大監にお伝えしろ。時が来たと。今こそ大監の手で私を制圧せねばならぬと。ついにそのときが来たと。」
チェ・マルリは言いました。
「聞き分けの悪い臣下ばかりだ。慣れているから大丈夫だ。ここでは盲人扱いするな。咳をしていたから休めといったのに。」
世宗はチェ・マルリに向かってオム・ジャチに言うかのように言いました。
「一国の王を狙った罪をどう償うつもりだ?」
チョ・マルセンはワン・ジンに言いました。
「証拠はあるのか?」
チェ・マルリは椅子にこしかけました。
「もうすぐつかむだろう。」
東廠のプンゲたちに矢が打ち込まれました。プンゲたちはキム・ジョンソと兵に囲まれました。
「武器を捨てろ。」
「王様が危険です。」
プンゲはキム・ジョンソに言いました。
「何の話だ?」
「ソ・チョンが・・・大監。」
「朝鮮の武衛軍の情報力を甘く見るな。」
ソ・チョンは津寛寺に来ました。そこにはカン・フィが待っていました。二人は剣を抜くと戦いました。ソ・チョンはカン・フィに殺されました。カン・フィも傷を負いました。
「どうした。受け取れ。」
世宗はオム・ジャチと思ってチェ・マルリに言いました。
チェ・マルリは驚愕で震えていました。
「医官がくれた薬だ。咳には驚くほどよく効く。せめてそなただけは健康で末永くそばにいてくれ。冷たい臣下たちは余を見捨ててひとりずつ去り始めている。そなたまで余から離れようとすればただでは置かぬからな。」
チェ・マルリは目に涙をためました。
世宗は座り仕事をはじめました。
マルリは世宗を見て涙を流しました。
「そなたではなかったのか?」
後から駆け付けたオム・ジャチに世宗は言いました。
「この世は常に乱世。殿下と私は各々のやり方でその乱世を渡ってきた。しかし私はどうしても殿下が作られた文字を認めることができません。」
チェ・マルリは津寛寺を後にしました。その様子をオム・ジャチに連れられた世宗は見ていました。
「ただ、あなた(タンシン)が注いだ心血は認めざるを得ません。たとえ後世の歴史が私をたたえあなたが間違っていたと判断しても、今日の私はあなたに敗れます。肉体が衰え視力を失うことになっても決して歩みを止めなかった。祖国朝鮮を思うあなたのその熱意に敗れるのです。」
チェ・マルリは涙が止まりませんでした。
遼東の別宮。
「そなたが朝鮮の王后か。」
皇帝は昭憲王后と会っていました。
「そうでございます。」
「朝鮮から遼東までは三千里の道のりだ。何のために来た。」
「遠い蒙古へ遠征に行かれるとか。冬がまじかで寒さも厳しくなります。手縫いの綿入れを差し上げたくて。」
「服を届けるために三千里を駆け付けた?それを信じろというのか?」
「つたない出来ですが、母の真心を込めました。陛下の末永いご健勝をお祈り申し上げます陛下。」
昭憲王后と首陽大君は礼をしました。
「待て。朝貢を受けるなら手ぶらで帰しては皇帝の面子に関わる。そなたの望みを申せ。」
「望むことは何もございません。すでに夫からこの世の何物にもかえられない貴重なものをもらいました。」
「母の真心か。私は母上から一度も手縫いの服をもらったことはない。」
明の皇帝は手縫いの着物に触れました。
1446年 世宗28年 10月。
「アレア、ア、妻(アンヘ)・・・・・・。」
世宗は朝鮮語の版木の文字に触れていました。
ワン・ジンが世宗に謁見しました。
「皇帝が朝廷の王后様の逝去に深い弔意を示されました。」
「今は亡き妻も喜んでいるだろう。」
「皇帝からのお言葉です。王后様が愛された朝鮮の文字が広く普及することを望んでいると。」
「皇帝のご厚意は余の胸にいつまでも残るだろう。」
ワン・ジンは部屋を出ると中国語でつぶやきました。
「勅使は何をつぶやいたのだ?」
世子は言いました。
「一人の盲人が万民の目を開いた。」
シン・スクチュは言いました。
「殿下。もうすぐ儀式がはじまります。」
オム・ジャチは世宗に言いました。
百官たちが宮殿に集まりました。
チャン・ヨンシルはチェ・ヘサンの墓に「銃筒謄録」を供えました。
「父さん。見ていますか?あなたの長年の努力がこうして実を結びました。朝鮮の文字で記されたのです。」
ヨンシルは涙を流して泣きました。
世宗は儀式の衣装を着ていました。
「訓明正音、我が国の言葉は中国と異なり文字と相通じず・・・・・。」
チョン・インジは宣旨を読み始めました。
「既存の漢字とは相通じない。漢字を知らぬ民は己の意思を十分に述べ伝えることができない。余はこれを哀れみ新たに二十八文字を創製した。朝鮮すべての民がやさしく学び、日常に用いられるようにするものである。」
世宗は大木の下に子供たちを集めました。
「学んだ文字を書いてみなさい。」
世宗は手のひらを差し出すと子供は手のひらの学んだ文字を書きました。
ヨンシルはその様子を温かく見守っていました。
「ダルレ、私の名前?」
「だん・・・ご・・・鼻?マクトゥン!」
「だんご鼻~だんご鼻~」
「友達をからかうために使うな。」
いじめっこたちは逃げていきました。
「え~ん。」
ダルレは泣きました。
世宗はダルレの手のひらに文字を書きました。
「ダルレ、きれいだ。」
「顔を同じくjらい心根も実に美しい子だ。」
世宗は少女を撫でました。
「ねえ。」
ダルレはヨンシルに言いました。
「あのおじさんはだれ?」
「この世で、もっとも高貴なお方だ。そして、最も低きところにおられる。たった一人の民もあのお方には天地だった。そして、宇宙だった。」
ヨンシルは世宗のもとに歩きました。
「ここから見下ろす世界は今も変わらず広大だ。」
子供たちは仲よく遊んでいました。
世宗大王 あなたは私たちの輝く未来です。
完。
感想
いやぁ、壮大なドラマでしたね。当時の朝鮮の価値観ではこのようなことをする王は暗殺されるのがオチでは?というくらい民の味方をしましたね。だいぶ感動的な演出がされて、現代風になって熱いドラマとなっておりますが、実際はもっと殺伐無味乾燥としていたのかもしれませんね。訓民正音に猛反対したチェ・マルリ(崔萬理)のその後はどうなったのでしょうね。ハングル語はいうなればひらがなみたいなものでしょうか。漢字はとても美しいのに・・・。たとえば中国の星宿海という言葉はロマンを感じますよね。漢字も混ざっていたほうが便利だと思うのですが、今の韓国語はどうなのでしょうね。首陽大君の名前の由来、これ本当かな?そうだったら世宗大王は首陽が王にならないように願っていたのでしょうね。それがのちにあんなことになるなんて!現代劇の要素を織り交ぜたこの時代劇、これをほんとうにあったととるかどうかはみなさんの検討能力と解釈力にかかっていると思います。頭の悪い人だったらあんな友情やこんな愛情、そして敵意があったのだとドラマをほんとうだと思い信じ込んでしまいそう(笑)それくらい熱烈に演出されたドラマでした。ですので素直に製作者の空想に騙されたくはない気持ちがありました。もしも疑いなく観られたのであれば、感動的なドラマとなったでしょう。ついうっとりしちゃいましたが、ドラマの歴史歪曲には気を付けたいですね。