「王と妃」 第77話 死六臣 端宗復位事件 とあらすじネタバレ感想
77話 死六臣 端宗復位事件 あらすじ
「実の息子のように目をかけていたのに!謀反を企てた者の名を言えー!」
「ソン・サンムンと集賢殿の学士らを中心に・・・・・・」
右賛成チョン・チャンソンは恐る恐る言いました。
「だから名前を言え!」
「殿下、そこまで詳しくは存じません。」
チョン・チャンソンはあたふたとしながら言いました。
「集賢殿の学士たちだとそなたが言ったのではないか!」
「私も成均館の司芸である娘婿から聞きまして、あまりにも驚き急いで駆け付けたのでございます殿下。」
「そなたの娘婿だと?」
「さようでございます殿下。」
「ここに呼べ!私が直接聞いてやる。」
チョン・チャンソンは外にいる息子を呼びました。
「よいか。私を領議政にする予定だったという話は口が裂けても話すな。よいか。」
「はい義父上。」
キム・ジルは義父と一緒に康寧殿に入りました。
「ソン・サンムンらが謀反を企てているのか。詳しく述べよ。」
キム・ジルは震えながら世祖に一部始終を報告しました。
「先日左副承旨のソン・サンムンに呼ばれ、彼の屋敷に行ったのでございます。するとソン・サンムンは'先日ほうき星が流れ、突然蒸籠が揺れたがこれは大変なことが起きる前兆だ'と。その意味をサンムンに尋ねました。近頃、上王様が錦城大君の元の屋敷へ出入りできるようになったのですが、これはハン・ミョンフェの罠だと。つまり上王様を殺す気だとサンムンは言うのです。」
「なんという回りくどい言い方だ。早く核心を言わんか。」
息子の婉曲表現に義父のチョン・チャンソンは叱りました。
「い・・・いぇーー・・・・。」
かわりにチョン・チャンソンが世祖に説明をしました。
「上王様と世子様はお二人とも若いため、将来王位を争うだろうとサンムンは言いました。しかも左議政はまだ明から戻らぬし右議政は優柔不断な性分。よってシン・スクチュやハン・ミョンフェら功臣を殺し上王様を玉座に据えれば周りも従うはずだといったのです。」
「ソン・サンムンらが私の亡きあと世子ではなく上王様を王にすると言ったのか?」
「く・・・くくくくっ・・」
「返事をせぬか!」
「畏れながら亡き後と申しますより・・・」
「世子の王座が危ないのだろう?」
「ちちちチューナー・・・実は宴の宴席で・・・奴らは殿下を亡き者にしようとしていましたが事がうまく運ばず未遂に・・・」
「亡き者といったのか。」
「そうでございます殿下。」
「私を殺そうとしているのか。」
「そのとおりでございます殿下。」
「ソン・サンムンのほかに誰がいるのだ。」
「イ・ゲとハ・ウィジとユ・ウンブでございます。パク・ペンニョン、ユ・ソンウォン、クォン・ジャシン・・・・・・」
(どびゃーんと鐘のなる音)
「都承旨と承旨らを呼べ。今から思政殿へ行く。ソン・サンムンを呼べ。ただし普段通りだ。私が直接問いただしてやる。」
内官たちはいそいそと散らばりました。
「宮殿を厳重にせよとの王命だ。」
チョン内官は兵士に命じました。
「上王様も知っておるのか。答えよ。昌徳宮の上王様も知っているのか。」
キム・ジルは震えあがりました。
「ご存じのようでした。」
「なんということだ。」
チョン・チャンソンも震えあがりました。
世祖は目に涙を溜めました。
昌徳宮。
「上王様・・・」
大妃は外を眺める端宗を呼びました。
「また星が流れた・・・・・・。少し前には大きな星が身を焦がしながら落ちてきた。見てみよ。また星が流れた。人が死ぬと星が流れるそうだ。父上がなくなった晩にも大きな星が流れたときいた。」
「お父様を思い出し泣いておられるのですか。」
端宗は星を見て涙を流していました。
「今夜は、次々と星が流れていく。あの中には、身分の高い星もいるだろうか。きっと名もなき民もいることだろう。息を引き取った者が誰かは知らぬが私はそのものたちがうらやましい。」
「上王様・・・」
「謀反が失敗に終わったことで、近いうちこの身に危険がせまるだろう。」
「ご心配にはおよびません。ことは失敗に終わりましたが彼らは上王様をかばうはず。それに首陽大君は上王様の命まで奪いません。」
「死を恐れているのではない。私は命より尊いものを失った。父上から譲り受けた王位を守れなかった。命をもってしても償えぬ罪だ。」
「媽媽(マーマー)・・・」
たくさんの兵士が慌ただしく昌徳宮に向かって走り、彼らの持つ松明が見えました。
「大妃よ。」
「見えておりますわ。たいまつの火が近づいてくるのを。」
「こちらに来るぞ。」
「上王様をお守りしに来るのでしょう。」
端宗と大妃は涙を流しました。
「門を開けよー、誰かおらぬのか。」
右承旨のハン・ミョンフェが呼ばれました。
「宮殿が一大事です。都中で兵が厳戒態勢をとっております。」
「今夜殿下は生涯忘れられぬ教訓を得られるだろう。はっはっはっは。ふっはっはっは。」
ハン・ミョンフェは布団から起き上がらずに眠りました。
「承旨たちは皆来たか?普段通りに呼べと命令したではないか!誰も都から出すな。誰一人として都城から出してはならぬ。」
首陽大君は部下に命じました。
都承旨のパク・ウォニョンはなぜ世祖に呼ばれたのかわかりませんでした。
左副承旨のソン・サンムンも康寧殿の前に着きました。
「様子が尋常ではない。昌徳宮も塀で囲まれていた。」
パク・ウォニョンはソン・サンムンに言いました。
昌徳宮が兵に囲まれました。
「大妃様・・・もしや・・・」
「パク尚宮は寝床の準備を。」
「大妃様・・・・・。」
パク尚宮は端宗を安心させようとする大妃に涙しました。
「上王様・・・」
「分かっている。分かっている。」
「左副承旨は前に出よ。」
世祖はソン・サンムンを呼びました。
「私に何か言うことは?何か言うことはないのか?」
「どういう意味ですか?」
「そなたとは長い付き合いであるしこれまで厚遇してきたではないか。まだわからぬというのか。」
「何のことか・・・・・」
「ネイノーン!謀反を企てているのはお見通しだ!最後までシラを斬るつもりか。過去の情に免じて先に尋ねてやったというのに。」
「謀反ですと?」
「ひざまずけー!」
「謀反などとんでもない。王を亡き者にする計画など企てたことはありません。」
「キム・ジルを呼べー!計略を隠し通すつもりか。罪を犯したとしても潔く自白するのが学者というものだ。そなたの実直さを買っていたのにこんな腐った者だとは!」
キム・ジルが入りました。
「行ってみよ!ソン・サンムンは何を企てた!行ってみよ!」
「ちちちチューナー」
キム・ジルは怯えてまともに話せませんでした。
「いう必要はない。そなたが密告した内容は首陽殿も知っておる。王を殺そうなどとはしておりません。」
ソン・サンムンは至って冷静でした。
「首陽殿だと・・・」
世祖は椅子に尻もちをつきました。
「私は王を殺そうなどとはしません。私にとって王とは昌徳宮にいる方です。だから謀反ではないのです。あなたは王座を奪って君主になった。その盗人を追い出すのは謀反ですか?」
「なんという奴だ!私は功臣達を捨てお前と王道を歩もうとした。そんな私に向かって首陽殿だと?お前はそれでも人間か?」
「人間らしく生きるための計画が失敗に終わったので、獣言えるでしょうねー。」
「あやつの舌を焼き、拷問にかけるのだ。あやつのことばが蛇の独のように私の体中に回っていく・・・」
「はっはっはっはっは。はっはっはっはっはっは。はっはっはっはっはっは。」
ソン・サンムンは清々しく笑いました。
ソン・サンムンはすぐに拷問にかけられました。ソン・サンムンは棒で何度も打たれました。
「右賛成大監殿、何事ですか?」
「ソン・サンムンらが謀反を起こしたのだ。」
重臣たちは夜中に呼ばれました。
「皆さまお急ぎください。」
「ネイノオーン!私を殺す計画はひとりだけで企てたのではあるまい!ともに謀反を企てた者の名を吐けー!」
世祖はソン・サンムンを直接尋問していました。
「まだ隠そうとするのか。」
「首陽殿がおたずねなので、答えましょう。」
「首陽殿とは無礼な!」
「謀反とおっしゃいますが、私は王を復位させようとしただけです。君主を愛さぬ者がどこにいましょうか。私は思うのです。空に太陽が一つあるように民にとって君主もひとつであると。」
世祖は目を丸くしました。
「ネイノーン!譲位の当初は私に媚びを売っていた奴が!なぜ今になって謀反を企てる!」
「そのころは形勢が悪かったため、歯を食いしばって耐えたのです。のちに必ず目的を果たすために。」
「お前は私の臣下のはずだ!私の与えた禄を食み、裏では上王のために謀反を企てた。さては政権を握るのが目的だなー!」
「旦那様の禄を食んだ覚えはない。旦那様のくださった俸禄は、米一粒たりとも手に付けぬまま蔵に積んであります。」
「ネイノーン!最後まで仲間の名を明かさぬとは!皆の者!あやつが白状するまで拷問を続けよー!」
「うああああ。うあああああ。」
ソン・サンムンの足に焼きごてが押されました。
「皆の者覚えておけ。裏切者は一人残らず見つけ出し私が処罰してやる。裏切者はどうなるかよく見ておけ。」
重臣たちは震えあがりました。
「うううああああああ。あああああ。」
シン・スクチュは友を見ました。
「旦那様は実にむごい仕打ちをなさる。」
「ネイノーン!よいか!私は国王なのだ。上王に尽くすことだけが忠義で私を殺すことは何とも思わぬだと?」
「旦那様は王位を奪ったので盗人とはいえても国王とはいえませぬ。」
「殿下、尋問は我々刑曹が行います。どうかお任せください。」
「ならば兵判そなたがここに座り尋問をせよ。ソン・サンムンと同門で学んだ仲ではないか。」
世祖はシン・スクチュに拷問するように命じました。
「あやつは私を旦那様と呼んでいる。王の面目が潰されこれ以上座ってられぬ。」
世祖は刑場から出ていきました。
シン・スクチュはソン・サンムンを見ました。ソン・サンムンはシン・スクチュを見つめました。
「全員捕らえろ。」
世祖は部下に命じました。
端宗は大妃と手をつないで眠っていました。大妃は眠らずに端宗を守っていました。
パク・ペンニョンとその兵士に妻が引きずられていきました。
「やっと来たか。来るのを待っていたぞ。はっはっはっはっは。」
パク・ペンニョンは笑いました。
「王位を奪ったあの男を捕まえよ。へっへっへっへ」
ハ・ウィジも笑いました。
イ・ゲも笑いました。
「はっはっはっは。まったく強引な連中だ。お前たちの主は気の毒な人間だ。」
ユ・ソンウォンは屋敷で妻と別れの杯を交わしたのちに自害しました。
「焼きごてがぬるいぞ。焼きなおしてこい。」
ユ・ウンブは拷問官に言いました。
「ああいい気持だ。おかげで背中が温まり実に気持ち良い。」
パク・ペンニョンがユ・ウンブの隣に縛り付けられました。
「旦那様、先にお越しでしたか。私があのまでお供いたします。お喜びください。」
「ネイノンお前たちは無能だとお思っていたがその通りだったな。宴会の日に首陽を斬ろうと言った私をお前たちが止めたせいでこんな結果になった。あの日首陽を斬っていれば昌徳宮の殿下はとっくに玉座に返り咲いただろう。」
「自決しただと?ユン・ソンウォンの遺体を引きずってこい!首を切り落としてやる!」
世祖は激怒しました。
「ソン・サンムンはまだ殺してはならぬ!いつまで私を旦那様と呼ぶか見せてもらおう!」
気を失っているソン・サンムンの縄がほどかれました。ソン・サンムンは荷車に乗せられました。
「しっかりせよサンムン。話してみよ。」
シン・スクチュは友人に言いました。
「世宗がご令孫を胸に抱き広い宮殿を歩いておられたな。そして学士たちにこういった。余がこの世を去ったあと、孫を頼む。そなたたちがこの子を守ってくれ。世宗のその言葉が今も私の耳には残っているというのに・・・そなたは・・・なぜその言葉を忘れてしまったのだ。そなたを見損なったぞ。極悪非道な奴め。思う存分富と栄誉に溺れるがよい。私はあの世に行き、昔の王たちに会ってこよう。」
「サンムン・・・・・・。しっかりせよサンムン。」
ソン・スンが捕まりました。
「あれは私の息子ではないか。」
「父上!」
「なんと情けない奴だ。たかが拷問に根を上げ横たわっているのか。男の癖にそんなことでどうする。そうとも。死ぬまで首陽大君に屈してはならんのだ。」
ソン・サンムンは父の言葉で起き上がり正座しました。
ハン・ミョンフェは世子と世子妃のところにいました。
「私は反対だ。上王様はこの件と無関係だ。」
懿敬世子は端宗の処刑に反対でした。
ハン・ミョンフェはソン・ヒョンスが昌徳宮と対策を練ることを監視するように命じました。
「謀反の罪まで着せるのはあまりにもかわいそうだ。」
懿敬世子は嬪宮に言いました。
「人間は騙せても天を騙すことはできぬ。上王殿下をお守りせねば。」
懿敬世子は世祖のところに行きました。
「通せ。」
世祖は懿敬世子を通しました。
「よいところへ来た。私のかわりに中殿を慰めてくれ。」
世祖は部屋を出ていきました。王妃は涙を流していました。
「南無観世音菩薩。」
王妃は仏に救いを求めました。
ソン・ヒョンスはご無事で何よりですと世子に言いました。
世祖はソン・ヒョンスに「昌徳宮に行けば?」と言いました。
クォン・ラムはソン・サンムンらを処罰すれば十分だ、上王を罰する必要はないとハン・ミョンフェに言いました。ハン・ミョンフェは端宗を殺したがっていました。
ソン・ヒョンスは昌徳宮に行き娘と息子に会いました。
「どのような状況ですか。詳しく話してください。」
「殿下がご安心くださいと。」
「叔父上がそうおっしゃったのですか。不要な心配をした。」
ソン・ヒョンスは視線を合わせませんでした。
世祖は刑場に戻ってきました。
「一つだけ答えよ。そうすれば助けてやる。」
世祖はパク・ペンニョンに聞きました。
「昌徳宮の上王様の命令なのか?上王様の命令なのかと聞いておる!」
感想
今回は首陽大君は終始怒鳴りっぱなしでした。ソン・サンムンは潔い人物ですね。ソン・スンもドラマでは立派な人として描かれています。この父にしてサンムンあり。パク・ペンニョンも男らしいですね。でもこの時代は妻は子供も無傷では済まされませんから、命がけというより、家族の命運がかかっていたのですね。自分ひとりが苦しめばよい時代ではなく、無関係の家族までひどい目にあわされるのですから、どれだけひどい世の中だったか、高麗と大して変わらない悪い世の中だったのでしょうか???そうかといって端宗が復権したとしてもこの朝鮮の風土は変わらず腐敗していたかもしれませんね。ソン・サンムンを演じる俳優さんの「はっはっはっは」は爽快でしたね。