「王と妃」 第71話 六曹直啓制の波紋 とあらすじネタバレ感想
71話 六曹直啓制の波紋 あらすじ
ハン・ミョンフェ「何という心配性な男だ。」
クォン・ラムは議政府署事制の廃止に反対でした。ハン・ミョンフェは首陽大君にもお考えがあるはずだといいました。
世祖(首陽大君)はソン・サンムンを呼びました。
ハン・ミョンフェは議政府を通さねば何一つ決定できないからだと、独裁を危惧するラムに世祖の心中を察するように、口出しすれば功臣の立場が危うくなる、しばらくは死んだようにおとなしくしていろと嵐が過ぎ去るのを待つように言いました。
世祖はソン・サンムンに六曹直啓制の意見を求めました。「六曹直啓制にしなければ新人を登用し下の者から意見を聞くことはできないだろう、私は大したことを実現できぬ。手を貸してもらいたいのだ。分かるな。」とソン・サンムンに集賢殿の仲間の支援を求めました。
ソン・サンムンは「根本から正すべきだ。新しい政治をするにはまず功臣を辞めさせるべきだ。」とサンムンに世祖に味方するように助言するチョン内官に言いました。チョン内官は「何もおっしゃっていませんでした」と世祖に報告しました。「ふっふっふっふはっはっはっはっはっは。劉備は諸葛亮を得るため三顧の礼を尽くしたというからな。(ここはサンムンが無礼でもあと一回我慢してやろう)」
チョン・チャンソンは議政府が存在する意味がないと腹を立てました。カン・メンギョンも六曹直啓制の撤回を求めるべきだといいました。ハン・ファクは口をつぐんでいようと言いました。シン・スクチュは黙っていました。専横政治だという声も上がりました。
ホン・ユンソンはホン・ダルソンが大殿へ世祖に進言するために出発したとハン・ミョンフェに報告しました。シン・スクチュは慌てました。
世祖は孫を抱いて王妃と世子と世子妃と部屋で過ごしていました。世子は元気がありませんでしたが疲れが溜まっただけだと世祖に言いました。そこにホン内官が「チューナ・・・」とシン・スクチュの訪問を報告しました。シン・スクチュは忍耐強く待っていました。
ソン・サンムンとキム・ジルとイ・ゲ(イ・セクのひ孫)は話し合っていました。
イ・ゲ「私は首陽大君の側近にはならぬ。サンムンお前は首陽の犬になるのか」
ソン・サンムン「行動するべきだ。当分は本を読まぬ。本を読んでいたら戦意を失いそうだ。だが今回は傍観しよう。」
世祖「言ってみよ。」
シン・スクチュ「六曹直啓制は見送りに・・・まだ即位されたばかりで・・・」
世祖「これだけは何があろうと譲れぬ。即位したばかりだからこそだ!議政府署事制は議政府の大臣が王を操り人形にするための制度だ!支度せよ。私は賓庁へ行く。」
世祖はいきり立ちました。
チョン・インジは六曹に任せて今回は様子を見よう「こう言ってはなんだが殿下も議政府を務められていたときは議政府署事制に満足されていたではないか。王になるや議政府署事制を否定する。矛盾しているではないか。」とクォン・ラムに言いました。
賓庁。
世祖「言ってみよ。早く言わぬか!」
兵曹判書イ・ゲジョン「殿下、殿下が六曹に下されたご命令を見ました。それによると意見を直接殿下にお伝えしろとのこと。我々の知るところでは、太祖がわれらの国をお建てになさったとき王様への建議事項はすべて議政府を経る制度を採用されました。ですが太宗がそれを排し世宗朝で復活して現在に至ります。どうか今の制度を踏襲なさってください。」
重臣は今の制度を踏襲なさってくださいとひれ伏しました。
世祖「かつて議政府では国の統治制理念を論じ、六曹が実務を負ってきた。そのため王は議政府と相談し、六曹に政務を行わせていた。だが、次第に議政府の大臣たちは六曹と王の間を隔てようとした。王は世間のことを知る術もなく、ただ議政府を通してのみ世の中のことをきいていた。それゆえ王の意思は直接民には伝えられず、民の思いも王に伝わらなかった。私は議政府を排したいわけではない。六曹を通して民の実情を知り、議政府の意見を聞いたうえで国をつかさどることが六曹直啓制を採用する目的だ。もしそなたたちが六曹直啓制に反対するのであれば職を辞するのが正当だろう。」
世祖「まだ納得できぬか。」
兵曹判書イ・ゲジョン「殿下、周の制度をご覧ください。三公が国のために理念を論じ三孤は三公を補佐して人々を教化し、六卿が実務を担当しました。三公と三孤は政務に参与せず、六卿の長、冢宰(ちょうさい)が国政を任されたのです。冢宰(ちょうさい)はこの国の領議政に該当します。殿下は周の制度を見習い領議政を通して国を統治なさるべきでございます。」
兵曹判書イ・ゲジョンは上奏しました。
世祖「・・・・・・。・・・・・・。・・・・・・。」(とても長い沈黙)
戸惑う兵曹判書イ・ゲジョン。
世祖「それは兵曹判書の考えか。かねてからそのように考えていたのか!」
兵曹判書イ・ゲジョン「同じようなことは考えておりましたが、実は、礼曹参判が・・・昔の文献から見つけた故事でございます。」
世祖「礼曹参判の考えか。」
礼曹参判「左様でございます。」
世祖「官帽を取れ。よく聞け。周の制度では君主が死んだ時に冢宰(ちょうさい)に政務を委任したのだ。私はまだ死んではおらんぞ。私が幼くて政治ができぬゆえ権限を下の者に渡せというのか。」
礼曹参判「殿下が独断で政治をなさるのを警戒し・・・」
世祖「ねいのーーん!(貴様ァアア)上王殿下が幼くして王になられたためキム・ジョンソらが謀反を企て国が混乱した。私は国を建て直すため甥の王位を譲り受けた。それなのに国政を議政府に任せろというのかー!外に誰かいるか!こやつをただちに義禁府に監禁せよー!」
礼曹参判のハ・ウィジは連れていかれました。重臣たちは震え上がりました。
世祖「ハ・ウィジは議政府におもねり私を子ども扱いした。上王様が王位を退かれたのは、自分の力では国政を司れぬからだ。私は子供ではない。ハ・ウィジは私を貶めるため虚言を弄したのだ。町の中で首を斬り邪心を抱く者への戒めとする!」
世祖は賓庁を出ていきました。
ハ・ウィジは棒でたたかれました。
上王と王大妃のところにソン・ヒョンスは行きました。内官は彼らの話を盗み聞きしました。パク尚宮は盗み聞きしていたパク内官にスラッカンに言ってお茶菓子をもらってくるように命じました。パク内官がいなくなると、ソン・ヒョンスは恵嬪からの手紙を端宗に渡しました。手紙にはもう恵嬪の寿命が長くないこと、血の涙を流して何度も自害を思いとどまり屈辱に耐えてきたこと、いつか首陽は罪の代価をはらう日まで元気に生きていてくださいと書かれてありました。端宗は手紙に顔をうずめて泣きました。
ホン・ダルソンは大変なことをしたとホン・ユンソンに言いました。ホン・ダルソンは世祖に呼ばれました。
ホン・ダルソン「ちゅーなー。私を殺してくださいちゅーなー。愚かにも前後の見境もなくでしゃばりました。殺してくださいちゅーなー。」
世祖「ハ・ウィジの無礼は今日だけではない。領議政の私が政務に打ち込んでいた時もそうだ。酒に酔ったハ・ウィジは文宗の子孫を献身的に補佐してくださいと言った。私を疑っていなければそんなことを改めていうはずがない。私がハ・ウィジを罰し功臣のそなたを見逃せばどう思われる?公平でないと言われるだろう。そなたは私が粛清を行った日の夜、厳重に城門を守りキム・ジョンソを殺して来た私に門を開けてくれた。その恩を想うと私にはとてもそなたを殺せぬ。だが、私情に流されるべきではなかろう。ホン内官はいるか。義禁府から何か知らせは?大逆罪人にむち打ちしかしなかったのか。ハ・ウィジの黒幕を探せと伝えよ。けしからん事態だ。その程度の拷問で死ぬやつではない。どうせいずれ斬首される罪人だがな。今日はもう下がりなさい。ハ・ウィジを処罰したのち事情をかんがみてそなたをどうするか決める。」
ホン・ダルソン「誠にありがとうございます殿下。」
ホン・ダルソンは恐怖で震えてひれ伏したまま泣いていました。
ホン・ダルソンは力なくとぼとぼと宮殿から出てきました。兵曹判書イ・ゲジョンは兵曹参判ホン・ダルソンに様子を聞きました。兵曹判書イ・ゲジョンはつまらぬことに関わったと後悔しました。領議政のチョン・インジはなぜ我々を巻き込むのだ。六曹の不始末は六曹でしてくださいと言いました。左議政のハン・ファクは私たちが人肌脱ぎましょうと言いました。「ハを殺せば皆が自由に意見を言えなくなる」とハン・ファクはいうことにしようと約束しました。
「ハ・の次は私の番だ。助けてください。」とホン・ダルソンはハン・ミョンフェに助けを求めました。
ハン・ミョンフェはダルソンに20年も我慢して得たことだと忠告しました。
ハン・ファクたちが世祖の部屋の前に立っていると、部屋の中から譲寧大君の大きな声が聞こえてきました。
譲寧大君「(ハ・ウィジは)何という不届き者だ。殿下を子供だと思っているのです。笑い事ではありません。厳しくするべきです。腹に一物あるから殿下にたてつくのです。殺さねば謀反をたくらみかねません。極刑に処してください。必ずやそうなさるべきです。」
首陽大君「はっはっはっはっは。はっはっはっはっはっは。っはっはっはっはっはっは。」
感想
首陽大君と異なる自分の意見を言ったら殺される!なんという恐ろしい政治なのでしょう。これでは武力での殺し合いの時代と何も変わりません。私兵を持てなくなっただけ、反対勢力には不利(陰謀をたくらむしかない)です。内政で違う意見を言う人を殺していったらどうなるでしょうか。それは公園のブランコを独り占めをして「そして誰もいなくなった」とういパターンですから、外敵の集団に弱くなることを意味しています。国が強くなるには、反対の人をうまく協力させるかがカギとなります。どこの国でも異なる意見の人間を牢屋に入れたり殺していけば、最後は外敵に襲われてしまいです。私欲が第一にあるうちは、どんなに立派なことをしても身内以外の人間から政治は私欲を満たすための手段として信じられることはないでしょう。