「大王世宗(テワンセジョン)」(全86話) 第79話 王の涙を測る器 あらすじとネタバレ感想
79話 王の涙を測る器 あらすじ
天、地、人(サラ)。男と女、老人と若者。胸をえぐられる。喜ぶ。喜びに満ちる。悲しい。悲しみに涙が溢れる。我が民は心を表現する美しい言葉を持っている。美しい朝鮮の言葉。それは明国の言葉とは異なる。言葉が違うのだから・・・明国の言葉で表せるはずがない。何よりも明国の文字は書き方が難しく数も多い。二千の文字を覚えなければ意思を伝えられない表意文字だからである。それゆえに我が民は・・・我が民は常に苦しみの中にいる。だが余は彼らの苦しみの中に夢を見る。熱い思いを胸に・・・不安でも・・・決して退かぬ。文字創製は壮大な夢である。余はその夢を共に見る仲間を得た。それから5年・・・・・。文字創製はまだ実現していないが、決して諦めることのできない夢である。
東廠のワン・ジンは皇帝に朝鮮が独自の暦を作ろうとしていると教えました。明の最高学者のファン・チャンはヘ・スに拷問されていました。
「白状しろ。」
「時計の見返りに何を渡した?」
「知らぬ。」
東廠は朝鮮が明の技術を盗んだと考えていました。
世宗は明の皇帝がワン・ジンを信頼しているとマルセンに言いました。
「冬至使団に入れたい者がいる。随行する理由を作ってくれ。」
世宗はマルセンに頼みました。
「安平大君の要請だから受け入れたのだろう。安平大君の書は明国でも有名だ。王子様が来るなら学者の随行を認めるらしい。」
チョ・マルセンは王子と集賢殿の学士らに言いました。
「安平はシン・スクチュとソン・サンムンと行きたいのだな。」
首陽大君が言うと安平大君はうなずきました。
チェ・マルリは反対しましたがマルセンはソン・サンムンの絵の才能も外交の役に立つと逆に説得しました。
「まだ若い二人です。粗相のないようにお気遣いを。」
チョン・インジはマルセンにお願いしました。
時計の鐘がなるとシン・スクチュたちは仕事を終えて帰ろうとしました。
チェ・マルリは「あの鐘の音は集賢殿とは何の関係もない。研究が終わったと自分で判断できた時に心の中で鐘が鳴るのだ。その姿勢こそが集賢殿だ」と若い学士たちを引き止めました。
「退庁します。」
あっさりとチェ・マルリに逆らうシン・スクチュにキム・ムンは怒りました。
シン・スクチュは言いました。
「心の鐘が鳴ってますよ。戌の刻からずっと。」
賢いシン・スクチュは仕事を終えたので帰りました。ソン・サンムンは腹の鐘が鳴ったと馬鹿な振りをして一緒に帰りました。
チョン・チャンソンは恨めしい目つきをして彼らの後を追いました。
二人は頷き合ってチョン・チャンソンに聞こえるように言いました。
「広通橋あたりに飲みに行かないか。」
「広通橋かー。」
「評判の芸妓がいるらしいぞ。」
「それはいい。」
「お前のおごりでな」
「誘ったのはお前だぞ。はっはっはっは。」
二人はチョン・チャンソンが引き返したのを確かめると宮殿の塀を越えて世宗に会いました。
「ファン・チャンに会えと?」
「この5年間朝鮮や明国をはじめ各国の言葉を研究してきた。朝鮮の言葉の特性を把握してふさわしい文字を作る資料になるからだ。もう一年以上研究が滞っておる。両班たちは漢字を使っているが朝鮮語に当てて使っているに過ぎない。漢字の音韻を研究する韻学の中でも声母と韻母について集中して研究したい。そこから糸口がつかめるかもしれないからな。」
世宗はシン・スクチュとソン・サンムンに命じました。そしてファン・ヒは明の情勢も考慮するように言いました。
「おめでたい兆しです。殿下、太子星が強く光っています。」
観測所の学士は世子に言いました。そこに内官のオグンが走ってきて世子を呼びました。
世子妃クォン承微の陣痛が始まりました。昭憲王后は喜びました。世子はクォン淑儀の手を握りました。
「おなかの中にいるころから優しい子です。母を苦しめずに生まれてくるはずです。」
「ここに、私の心を置いていく。嬪宮はひとりではない。」
「朝鮮の王室は歴史から消えるだろう。朝鮮に天文観測の技術を渡したそなたのせいだ。」
ワン・ジンはファン・オムに言いました。
ボロボロになったファン・オムの姿を見て、ヨ・ジンはチャン・ヨンシルが技術を盗んだと白状してしまいました。
ヨンシル(栄実)は天竺から瑠璃(ガラス)を買って何かをつくるつもりでした。ヨンシルは世宗の視力が落ちていることに気が付いていました。ヨンシルはガラスを磨きました。
「やはりそうか。でも邪魔はしない。」
世子はヨンシルが眼鏡を作ろうとしていることに気が付きました。
「私に何か御用でも?」
ヨンシルは世子に言いました。
ハ・ウィジとパク・ペンニョンは部下に地面を掘らせていました。
「どうすればいい・・・どうすれば雨量を正確に測れるのだ?」
世子は呟きました。それをヨンシルは聞いていました。
子供が小便をしていました。
世子は小便の入った桶をのぞき込みました。
オム・ジャチは慌てました。
「そうすれば肥しが増えるととうちゃんは言っていた。」
「これだ!これだ!はーはっはっは。」
文宗(世子)はひらめきました。
雨量計が完成しました。世子は雨量計の説明を世宗に説明しました。チェ・ヘサンとイ・チョンは「お子様への最初の贈り物です」と計測台を作りました。
「もう数日経っているぞ。なんとかせぬか。」
世子妃の子供はなかなか産まれませんでした。
世子(文宗)は嬪宮と子供のために民のために尽くすと世宗に誓いました。
端宗が生まれました。
しかし嬪宮は目を覚ましませんでした。
世子は嬪宮の手のひらの傷についた血をを拭いてやりましたら嬪宮は目を覚ましました。
「元気な子なのですね。それなら父にも乳母たちにも世話を焼かずに済みますわ。父上を困らせてはならぬぞ。義母上。子を連れて行ってください。別れがつらくなります。我が子に母の最期を見せたくはありません。わかるのです。私は助かりません。ずっとおそばでお仕えしたかった・・・ご自分を責めないで。あなたは何も悪くありません。何一つあなたのせいではありません・・・・・・。」
嬪宮(顕徳王后)はなくなりました。
「媽媽・・・・・・・。」
女官たちは世子妃の死にひれ伏して泣きました。
「ヒャンア・・・こんなときに父は何もしてやれぬのか・・・・・・」
「私なら・・・大丈夫です。」
世子(文宗)は仕事に向かいました。
シン・スクチュ、ソン・サンムン、パク・ペンニョンたち若い学士が世子を気遣いました。
「全国に敬差官を派遣しよう。人災だけは・・・避けねばならぬからな。」
文宗は世子としての務めを果たそうとしました。
文宗は世子としての務めを果たそうとしました。
「国王は臣下に命じるのです。お忘れなく。世子様とお子様の後ろには我々がいます。」
シン・スクチュは世子に言いました。世子はスクチュの肩に手を置きました。
若い学士たちは廊下を去る世子の背中をただ見つめていました。
世子は雨の中、傘もささずに宮殿の庭を歩いて雨量計を見つめて泣いていました。その様子をヨンシルと世宗は見ていました。
「しばらくあのまま一人にしてやれ。一人でなく場所が必要なはず。そうしたいはずだ。雨量器か。ともすれば世子の涙まで測る器かもしれぬ。王の道を歩むまでにはあとどれくらいの涙をあの器に貯めねばならぬのだろう。」
感想
いきなりの端宗坊や登場、そして世子妃の早逝。ということは敬恵姫はもう生まれていたのかな。ドラマで一切出てこないので、全然知りませんでした。そして世宗やチョ・マルセンの髪も真っ白になりましたね。あと7話ですからどうなるのでしょうね。チェ・マルリがまるで悪党みたいになってますねwキム・ムンとチョン・チャンソンも悪党になってこれは一体どうなってるのでしょうか。チョン・チャンソンといえば「王と妃」では世祖の癸酉靖難の功臣ですからこのまま世宗と文宗と端宗を裏切るという筋書きにぴったりですね。そして裏切者といえばシン・スクチュ、このドラマの作者はわざと今話でシン・スクチュに大きな罪を犯させていしたね。歴史を知ればこのドラマやあのドラマとの繋がりを面白く思います。