「王と妃」 第84話 上王廃位 とあらすじネタバレ感想
84話 上王廃位 あらすじ
「大監。大監。どういうことですか。」
クォン・ワンは事態を理解していませんでした。
「検討もつきません。」
ソン・ヒョンスは恐怖に震えていました。
「なぜ殿下は重臣たちをお呼びになったのだ?」
チョン・インジはシン・スクチュに聞きました。
「謀反が企まれたようです。」
「謀反が企まれただと?」
「府院君が捕まったそうです。」
「ソン・ヒョンスのことか?」
「そうです。上王殿下のお立場が困ったことに。」
「近くに来なさい。そなたは私の義弟ではないか。外戚ゆえ出世させられず申し訳なくて堂々と顔を見せられぬ。」
世祖はソン・ヒョンスを密告したユン・サユンに言いました。
「殿下は覚えておいででしたか。」
「私が忘れたと思っているのか?そなたを出世させようと思ったが王妃が難色を示した。」
「王妃様は外戚は出世できぬと言われたため、そのつもりでおりました。」
「ユン殿。そなたはこの件に関わるな。そなたが関わると王妃が誤解を受ける。意味がわかるな?」
「はい殿下。承知いたしました。」
「下がりなさい。そなたの功は忘れぬ。」
ユン・サユンは胸をなでおろしました。
「はっはっはっはっはっは。王妃はどこにいる?」
「世子妃様の安産を祈っておいでです。」
「告発者がユン・サユンと知ったらどんな顔をするだろう?はっはっはっはっはっは。」
王妃ユン氏は仏堂で祈っていました。
「世子様がお目にかかりたいと・・・・・・。」
王妃に知らせが入りました。
「何の用事でここに来たの?行ってみなさい。」
「媽媽、ユン叔父上が殿下にお会いして・・・」
「弟はなんの用事で謁見を?」
「上王様の謀反を告発したとか。ソン・ヒョンスが謀反を企んだと。」
「南無観世音菩薩。」
ソン・ヒョンスは震えが止まりませんでした。
「そなたは兵曹参判ではないか?私はどうして捕まえられたのだ?」
「謀反だと?謀反を企んだ覚えはありません。大監、晴天の霹靂ではありまえんか。何か言ってください。これは濡れ衣です。」
クォン・ワンは事態を知りました。
「どうなさいますか殿下。」
ハン・ミョンフェは世祖に聞きました。
「殿下が尋問なさいますか。」
「領議政に伝えよ。こういうのだ。ソンとクォンを尋問し、無実かもしれぬゆえ手加減して尋問せよと。そう伝えよ。」
「殿下・・・・・。」
ハン・ミョンフェは気に入りませんでした。
「昌徳宮に行き伝えてこい。府院君を捕らえたがあまり驚かぬように。」
「はい殿下。」
チョン内官は昌徳宮に行きました。
「都承旨殿、殿下はなんと?」
「領議政殿が尋問を。罪人が口を割るまで徹底的にやれと。」
「当然です。殺してでも自白せねば。行きましょう。」
ホン・ユンソンは喜びました。
「おいラム。殿下の狙いは分かるな?」
「昌徳宮殿下の廃位というのか。」
「最後の機会だ。」
「いっそ私を殺せ。罪のない者を捕まえるな。支度せよ。景福宮へ行く。叔父上にお会いして私を殺せと言う。叔父上の票手kいは私だ。私がいる限りきりがない。ゆえに私が死ぬ。そうすればすべて終わる。早く支度せよ。ぐずぐずするな。」
端宗は覚悟を決めました。
「上王殿下、謀反を注進した者が偽りを申したかもしれぬゆえ府院君を厳しく尋問するなと命じられました。」
チョン内官は言いました。
「叔父上は寛容なふりをなされただけだ。だがいつも腹の中は違う。私はもうだまされぬ。」
「私の父を殺しはしないでしょう。少し様子を見ましょう。」
「いや、叔父上に直談判する。」
「口を出せば上王様もひどい目に遭います。」
「府院君が罪を認めるまでむごい拷問を続けるだろう。それでも黙っていろと?」
「私の父はたとえ拷問で死んだとしても上王様を恨みはしないでしょう。」
王妃は端宗を説得しました。
股裂きの拷問が加えられていました。
ソン・ヒョンスとクォン・ワンは苦しみました。
「もっと力を入れぬか。手を抜かずに本気でやれ。どけ。」
ホン・ユンソンは力いっぱいソン・ヒョンスの股を咲きました。ソン・ヒョンスは叫びました。ホン・ユンソンは笑いながら重臣たちを見ていました。重臣たちはホン・ユンソンの残酷さから目を背けました。
端宗は昌徳宮から出ようとすると兵士が囲みました。
「叔父に殺されるのもお前たちに殺されるのも同じことだ。殺すがよい。」
端宗は昌徳宮から出ていきました。
チョン内官は「上王殿下・・・・」と繰り返し端宗の後に続きました。
ソン・ヒョンスは意識を失いました。ホン・ユンソンはクォン・ワンを見ました。
「府院君が一人で謀反を企んだのか?」
「府院君の家は尋ねましたが・・・」
「うぉっほん。お前たちのたくらみをキム・ジョンスが聞いたのだ。」
「それは嘘です。」
「ぼやぼやするな。正直に吐くまで拷問しろ。大逆罪人が自白するまで拷問しろ。」
端宗は世祖の部屋の前に来ました。
「早く取りつげ!」
端宗は扉をあけました。
「ようこそ上王殿下。入らぬおつもりですか。どうぞ中へ。」
世祖は笑いました。
「お座りください。話があるのでしょう。親戚道士忌憚なく話しましょう。」
「府院君に何を・・・?」
「ご心配なく。」
「謀反だなんて。府院君にそんな力はありません!私からお願いします。助けてください。私の父同然の叔父上ではありませんか。私に免じて府院君をお助けください。」
「私が府院君を殺すとでも?殺したりしません。」
「叔父上。」
端宗は涙を流しました。
「宮殿を出ます。私が宮殿を出るかわりに府院君を助けてください。府院君を殺さないでください。府院君を救ってくださるなら恩は忘れません。殿下、お助けください。」
端宗は世祖に拝礼しました。
「上王様、おやめ下さい。」
「助けてください。望むなら宮殿を出ます。死ねというなら死にます。府院君を助けてください。お願いします。上王ではいたくありません。王大妃とともに宮殿を出て平凡に生きたいのです。息子に恵まれたら普通の名前を付け平民のように暮らし、天寿をまっとうできるなら・・・そして父の墓の見えるところに葬ってもらえたら私はそれ以上望むことはありません。」
「何を言うのですか。私は甥を守ると兄上に約束を・・・」
「なら守ってください。私は府院君を救えねば王大妃に合わせる顔がありません。叔父上ーーーー!!!!」
端宗は世祖の手を握り泣きました。
クォン・ワンの脚に焼きごてが押し付けられました。クォン・ワンは悲鳴を上げました。重臣たちは渋い表情をしてその様子を見ていました。
「やめなさい・・・・・。」
ソン・ヒョンスが言いました。
「ほんとうのことを言う。もうやめなさい。」
「どうぞ。」
ホン・ユンソンは楽しそうでした。
「何が聞きたいのだ。」
「それは大監がご存知でしょう。誰と謀反をたくらみましたか?」
「私が、一人で企んだ。」
「一人では無理でしょう。」
「私一人で企てた。だから一人としか言えぬ。」
「こてを熱せ。」
「貴様らー!世宗が天から見ておられるぞ。文宗も地面の下で嘆き悲しんでおられる。お前たち、それでも世宗大王と文宗大王の臣下だったと胸を張って言えるのかーーーー!」
ソン・ヒョンスは泣きました。
重臣たちは目を背けました。
「自白しました。はっはっはっは。」
ホン・ユンソンはハン・ミョンフェに調書を見せました。
「クォン・ワンは処刑する。甥の対面を考えて行敦寧府判官に任命し優遇したのだ。平然と上王の復位を画策したのだ。府院君は罰しはするが、殺しはせぬ。もう何も言うな。」
世祖は酒を飲みながら王妃に話しました。
「媽媽・・・・・・。朝廷と宮殿に凶事が続いてなりません。ハン・ファクとイ・サチョルが相次いで亡くなり懿敬世子も病気に・・・・殺生しないでください。」
「中殿は何が言いたいのだ。謀反人を処罰するなと言うのか?」
「慈悲を施してはいかがですか。罪人を哀れに思い情けをおかけください。」
「王は情けなどかけてはおられぬ!宗廟社稷を守るために手を血で汚すしかないのだ。」
都承旨のハン・ミョンフェが自白をしたと報告しました。
「私が思政殿へ行く!自分の兄弟に気を付けるがよい。そなたの弟に謀反を注進されて無視するわけにはいかぬ。」
「私の弟が・・・なんと浅はかなことを。」
「私は心を固めた。二度と誰にも謀反を起こさせぬ。」
世祖は王妃に怒鳴りつけて思政殿に向かいました。
ソン・ヒョンスの母は端宗を尋ねました。
「命乞いしました。」
「それで助けてくれるのですか?お答えください上王様。」
端宗はうつむいて涙を流していました。
世祖はハン・ミョンフェが持参した文書に目を通していました。
「ソン・ヒョンスの署名がない。」
「ソン・ヒョンスが自白した内容は残らず書き留めてあります殿下。署名させてまいりますか?何度も気絶したため署名させられないとのこと。」
「クォンは斬首せよ。」
「王大妃の実父ゆえ毒殺にすべきかと。」
「ソン・ヒョンスは・・・」
「殿下、ソン・ヒョンスの罪を見過ごせば上王様を処罰できません。」
「上王様も処罰せよというのか?その理由は?」
「ソン・サンムンらは上王様も謀議に加わったとか。それを聞いた王族と百官たちは上王も罪を犯した以上都から追放すべきと考えました。殿下にそう申しましたがご同意いただけませんでした。殿下、殿下は幼い甥を上王に奉じ昌徳宮に住まわせました。殿下はできる限りのことをなさったのです。しかし殿下を軟弱な君主とみなした連中が連日謀反を企てています。殿下はこれ以上国の法に背き国をないがしろにすべきではありません。殿下、上王様を魯山君に降格し地方に追いやってください。そうすればソン・ヒョンスの罪を軽くし、生かしておいても反対する者はございません。ご命令を書き取りますか殿下?殿下。」
「・・・・・・。言う通りに書け。上王を廃位し魯山君とする。」
「まことにありがとうございます殿下。」
昌徳宮を兵士が囲みました。世子妃の嬪宮ハン氏は喜びました。
「お祝い申し上げます。」
「本当にめでたいわ。うれしくて踊りだすほどよ。」
「殿下、ご命令をお取り下げください。世宗大王と文宗大王のこともお考えください。亡くなった顕徳王后に顔向けできません殿下。」
「誰が外で泣いておる。魯山君が宮殿を出る前に泣いた者はだれであれ首をはねる!」
世祖は部屋の外の王妃に向かって怒鳴りました。
「魯山君は表に出よ。」
兵士が端宗を催促しました。
「すでに決定はくだされた。どのみち王命に従うしかない。急かせというな。すぐに出ていく。外に誰が来ておる?」
「都承旨たちが王命を持参しております。」
「都承旨に伝えよ。どこかへ行かされるらしいが夫婦は一心同体ではないか。夫人と一緒に行けるかそれを教えてほしいと。」
「媽媽・・・・・。」
「廃位すると言われるならそれに従う。命令通り宮殿も出る。死ねといえば死ぬ。だが夫人とは別れぬ。そう伝えろ。」
「はい殿下。」
内官は部屋を出ました。
「夫人。よい呼び方だ。王大妃は中殿と呼んでいては夫婦の絆は深まらぬ。これからは蝉が脱皮するようにこの重い地位を捨て去って二人で仲睦まじくくらそう。」
端宗(魯山君)とソン夫人は泣きました。
「上王様・・・・・。」
「泣かないでくれ夫人。上王という位から降ろされ私は胸が軽くなった。何が幸せかは考え方次第だ。ただ一つ無念なのは父王に譲られた王位を失ったことだ。その罪は命をかけても償うつもりだ。」
「魯山君夫人は浄業院へ行けとの王命だ。そう伝えろ。」
ハン・ミョンフェは内官に言いました。
「殺されぬだけでもありがたいのに夫婦で暮らせると思うのか。」
内官は端宗にソン夫人は浄業院に行くように言いました。
「宮殿から追放し夫人とも別れろというのか!すべて失った私からなぜ夫人を奪う?」
「これから首陽大君は上王様を殺す口実を探すはずです。どうかお気をつけて。」
「これ以上生きていたくない。あいつらめ。私一人では行かぬ。私は殺されても一人だけでは行かぬぞー!」
「媽媽・・・・・。」
「人でなし目!貴様らはそれでも人間か!私の父に対して恥ずかしくないのかーーーー!」
端宗は叫びました。
「来なさい。」
ハン・ミョンフェは部下を引き連れ端宗の部屋に勝手にないりました。
「ネイノン、上王様のお許しも得ず入るとは。」
「郡夫人様落ち着いてください。」
「都承旨様、何をおっしゃるのですか。郡夫人なんて。」
パク尚宮は言いました。
「上太王を廃位し魯山君とする。」
宣旨が読みあがられました。
「魯山君様は早朝昌徳宮を出て寧越へお越しください。郡夫人様は浄業院へお行きください。」
「魯山君が宮殿を出るまで見張っていなさい。殿下は朝と言われたが夜明け前に出発しろ。人気のない道を選び寧越に出発しろ。」
「ご心配いりません。媽媽にお会いしに行きます。生きて行けねば魂だけでも参ります。」
ソン夫人は泣きました。端宗は宝剣を手に取り抜きました。
「媽媽」
「叔父上がほしいのは私の命だ。わかりました。死んで差し上げます。」
「媽媽。私から殺してください。魂になって上王様と添い遂げます。」
ソン夫人は泣きました。
「一緒に死のう。死ねば済むことだ。」
端宗はソン夫人を抱きしめました。
感想
端宗はかわいらしいですね。昔のドラマでも今見ても素敵です。端宗のにわかファンになりました。首陽大君とハン・ミョンフェとホン・ユンソン、インス大妃はこのドラマではとんでもない悪党ですね。そしてこのドラマは非常によくできています。登場人物が欲望目掛けて、あるいは誇り高くみんな生き生きしています。私はこのシリーズこそが朝鮮の人々の本心をよく表していると思います。悪党がいて、その庇護下に入りたくて従う子分がいて、そうやってより多くの人殺しができる人間のもとに民が従い国が成り立っていた。そんな時代があったのですね。現代よりも凶悪ですね。そんな悪にまみれた時代であるなら、生きていたいとは思わない、そう絶望して立ち上がった人々がいたことにも頷けます。そして奴隷階級の人たちは生まれながらに奴婢ではなく、元貴族や元王族、そういった高貴な人々も多く含まれていたということもこのドラマを通じてうかがい知ることができました。