「薯童謠(ソドンヨ)」(全55話)第42話 作戦失敗 のあらすじとネタバレ感想
42話 作戦失敗 あらすじ
「よくも・・・私を・・・・・・。あの古だぬきにはめられたようだ。」
威徳王はワング将軍により逃がされました。影武者は王の装束を身に纏いました。フクチピョンはプヨソンと合流しました。フクチピョンは武康太子(ムガンテジャ)に譲位するという勅書を見つけました。プヨソンは武康太子を殺すように命じました。
太学舎殿の門が閉じられました。太学舎の人員たちは軟禁されました。兵士は威徳王と武康太子を探しました。威徳王は宮殿の外に逃げてヨン・ギョンフ大将とソンファ公主と合流しましたがチャンとモンナス博士は祠堂の隠し部屋から出られなくなりました。ワング将軍はチャンドゥに武康太子の姿を見られたので戻らなければならないと言いました。ヨン・ギョンフはチャン太子を連れてくると言い、威徳王に逃げるようにすすめました。
隣の部屋ではプヨソン達が血眼になっていました。フクチピョンは親衛隊がチャン太子を救うために戻ってきたと報告しました。プヨソンは衛士部の兵を祠堂に集結させるように命じました。
「扉があります。」
サテッキルは密室への扉を見つけました。
「兵士に開けさせろ。」
プヨソンは命令しました。
祠堂の外では決死隊の親衛隊と衛士部の兵士が戦っていました。衛士部の兵士は決死隊を皆殺しにしました。
「目の前にいたのに逃がすとは・・・」
チャンとモンナス博士は壁を破って逃げました。しかしその部屋には気を失ったチャンドゥがいました。チャンとモンナス博士はヨン・ギョンフ大将と合流しました。
町中では衛士佐平のプヨソンが阿佐太子を殺したという噂をはじめました。ソンファ公主はチャンと出会いました。ヨン・ギョンフ大将はチャンに拝礼しました。
「大将」
「当然のことです。」
ヨン・ギョンフ大将は威徳王の手紙をチャン太子に見せました。
「私はより安全な場所に行くが私にはお前の安全のためすべきことがある。箱の中身はそのために必要なものだ。」
モジンたちは混乱していました。
「私たちは危険なことをしたわ。口外した瞬間に皆殺されます。ですが黙っていれば譲位式で任務があった私たちは疑われません。どんな状況になっても気を確かに持って。」
ウスは泣いてきました。
「それが、だって・・・譲位式のために門に立っていたコイソジやククスさんが・・・みんな宮殿に来た衛士部に殺されました。」
「ひどいことを。何の罪があるんだ!」
天の峠学舎の仲間たちもたくさん殺されてしまいました。
プヨソンとプヨゲと貴族は話し合いました。
「王様に四男がいた件は知っていますね。阿佐太子を殺した四男がこのように私まで襲い陛下と上佐平様を譲位式で殺そうと。私が事前に気づき防ぎました。陛下は上佐平様に譲位するとうい手紙を残し寺に向かわれました。上佐平様への譲位に関し、政事巌(チョンサアム)会議で追認を。」
プヨソンは皆に会議でプヨゲを王にするように言いました。
「実は・・・・・・譲位式の頃手紙が張られていました。阿佐太子様を殺した衛士佐平様を陛下が罰したと。」
貴族のひとりサドゥガンが手紙を出しました。
「四男の仕業だ。」
「陛下の命令による張り紙を民が読んでいることが問題です。」
「今譲位式を行えば王位を奪ったと思われます。」
三人の貴族が部屋に集まりました。
「手立ては?」
ククヨンテク(国氏族の長)は二人に言いました。
「衛士佐平の慌てようを見ていると、陛下は生きておられます。衛士佐平が優位のように見えるが雲行きが怪しい。」
別の貴族たち三人はこのように話していました。
「どうしますか?」
「陛下は阿錯へ行ったはず。チルリョの私兵で戦いを挑む気では?今は衛士佐平が優勢ですが性急には判断できません。」
プヨソンはフクチピョンを叱りました。
「どちらにしても譲位式を強行するしかない。急がねば貴族が裏切るやもしれぬ。勅書を偽造してでも行う。」
サテッキルは国璽がないと報告しました。
「陛下、陛下が持ち去ったのだ。」
阿錯の陳呂(チルリョ、陳氏族の長)の屋敷に威徳王とワング将軍、ヨン・ギョンフ大将はいました。
「こんな目にあわれるとは無念にございます。」
チルリョは威徳王に謝りました。
「悲しむな。私がすべきことを怠っていたため起きたことだ。」
「陛下はここにおられます。地方の貴族に号令をかければ私兵をよこすはずです。ここで持ちこたえれば天も民も陛下の味方に。」
「お前と貴族の私兵では貴族連合に太刀打ちできぬ。私の目的はほかにある。玉璽はまだ我々の手にある。」
チャンは「衛士佐平暗殺令」と書かれた書に玉璽を押していました。
「貴族たちは衛士佐平に忠実です。玉璽が押された勅書にも従わないはずです。では陛下がこんなことを命じられる理由は?」
「わかりませんか?ソドン公の基盤づくりです。陛下はソドン公のことを世に公表することが第一の目的です。それに貴族には絶対的な忠誠はありません。衛士佐平に逆らう名目を彼らに与える目的です。それも後日ソドン公の礎となります。陛下はソドン公の礎を築くことをお考えです。礎をどう生かすかはソドン公次第なのです。」
ソンファ公主はチャンに威徳王の考えを伝えました。
貴族たちの屋敷にソチュンの放った矢文が届けられました。貴族が甕の中を開けてみると「プヨソンを暗殺し武康太子を擁立せよ」という勅書が入っていました。貴族たちはサドグァンの家に集まり話し合いました。
「プヨソンを暗殺し武康太子を擁立せよと。」
「阿錯へ私兵を送れとの王命も。」
「どうしますか。」
「衛士佐平は国璽を持っていないのでは?」
「四男の陰謀というのも嘘でしょうな。」
「陛下の譲位勅書があるというのも。陛下は引き下がるつもりはないようです。」
「内戦がおこりかねません。」
「そうなれば衛士佐平が勝つはず。この勅書には我々の得にこそなれ損にはならないはずです。ヘ氏以外は力を合わせるはずです。下手に動かず様子を見ましょう。」
解(ヘ) 陳(チン) 木(モク) 白(ペク) 沙 燕(ヨン) 国 協(ヒョプ)の各氏
「衛士佐平に知らせますか?」
「先に我々でも歩調を合わせたほうが。」
「上佐平様は王位に就くのは目に見えています。」
「サドグァン様が考えているのは我々がどれだけ利益を得られるかです。誰も知らせなければあとで危険もありません。」
サドグァンはまだ話し合っていました。
「衛士佐平を暗殺し武康太子を擁立せよ。武康太子か。」
「何をお考えで?誰かもわからぬ太子を擁立するつもりですか?」
「まさか。しかし武康太子は我々の役に立ってくれそうです。上佐平と衛士佐平には玉璽がありません。陛下は武康太子が持つ玉璽を・・・・・・」
モンナス博士はチャンに言いました。
「ペンム達率を倭国に送ります。」
「倭国の聖徳太子は阿佐太子と親交が深いため、外交で力になってくれるはず。」
「玉璽を偽造できるか?」
プヨソンはサテッキルに玉璽を偽造するように言いました。
ウヨンは懸念しました。
「貴族に気づかれたら我々は追い込まれます。」
「だがそれしかない。本物の玉璽と思わせ譲位を済ませ陛下とチルリョの勢力をつぶすのだ。」
そこにフクチピョンが威徳王の勅書を持ってきました。
チャンはソンファ公主の言葉を思い出しどうするべきか考えていました。
「陛下を生け捕りにするしか・・・・・・玉璽を手に入れ譲位式を行うのです。」
サテッキルは阿錯のチルリョを倒し威徳王を捕まえることを考えました。
阿錯にいる威徳王はモンナス博士からの手紙を読みました。
「きっと聖徳太子が力になってくれるでしょう。」
ワング将軍は言いました。
「コンナ氏とチョミ氏に私兵の要請をしました。陛下、ご辛抱ください。ほかの貴族に比べ私兵は劣りますが民が味方です。心を強く持ってください。我々の手勢が増えることでしょう。」
チリュリョは威徳王を慰めました。
そこにチョミ氏からの使いが来たとチリュリョは呼び出されました。チリュリョは屋敷の外に呼び出されました。しかしそこにいたのはサテッキルでした。
「太学舎の博士ではないか。」
「今は衛士佐平に送られた密使です。もう一度言いますが期限は一日。協力するなら上佐平の地位とヨン氏の地域の勢力はチルリョ様のものです。陛下を宮殿にお戻しください。」
「もし断ったならどうするのだ?」
「佐平様とヘ氏の私兵そして衛士部を総動員します。期限は一日です。」
「陛下、お位お顔ですね。」
ワング将軍は威徳王を気遣いました。
「悔いが胸を刺す。なぜもっと早く勇気を出せなかったのか後悔しておる。玉璽の持ち主であるだけ余には力があったのになぜあれほどにも恐れてばかりいたのか。死の恐怖を捨てれば心が軽くなるのに。」
「陛下。まだ遅くありません。」
「無謀だと知っておる。結局チルリョの勢力は根こそぎにされ私も消されるはずだ。だが今武康太子のために私ができることといえば、武康太子の正当性を知らしめることだけだ。一日耐えれば、民一人と貴族一人が知る。二日耐えれば民二人と貴族二人が知る。百日耐えて、民百人と貴族百人に知らせねばならん。忠義を尽くしてくれたチルリョには、すまないがやむをえん。今の私にできることはそれしかないのだ。だが感謝している。私に勇気をくれた武康太子に感謝している。今日になるか明日になるかわからんがプヨソンの兵が来て戦闘になったらお前は逃げろ。必ず逃げて私の気持ちを太子に知らせ、お前が太子を守ってくれ。いいな?分かったか。もう疲れた。横になる。もう下がりなさい。」
威徳王はワング将軍に頼みました。チルリョはその話を障子の向こうで聞いていました。
夜、威徳王は眠りに就きました。サテッキルは待機していました。チルリョは待っていました。プヨソンも自分の部屋で事を待っていました。
翌朝、輿がチルリョの屋敷から出ていきました。
「陛下。ご起床の時間です。」
「お疲れのようです。」
ワングが威徳王を起こしに来たら、チルリョは時間稼ぎをしました。
「こうせねば我が一族は滅びるのだ。」
ワングは威徳王を探しに出ました。
チルリョの部下がワング将軍を殺に行こうとしましたが、チルリョは陛下に半生仕えた者だと静止しました。
輿は町に入りました。ワング将軍は威徳王の輿に追いつきました。
「陛下。陛下を外に。」
「陛下とは何のことだ。」
サテッキルはとぼけました。
「討て。」
サテッキルは部下に命じました。
「陛下をお助けしろー。」
ワング将軍が叫ぶと民が輿の中から縛られた威徳王を助け出しました。
「もう好きにはさせぬ。阿佐を殺し私を殺そうとしたお前たちを許さぬ。」
威徳王は剣を抜きサテッキルを襲いました。サテッキルはことごとこ王の剣をかわしました。
すると、威徳王の背後から民の格好をした手下が王を斬りました。
「陛下ーーーーー!」
ワング将軍は威徳王に駆け寄りました。
「私認める世継ぎは、私の四男、武康太子だけだ。」
「陛下!陛下!」
「お前たちはこのことを、すべての民に知らせろ。チャンア。本当にすまぬ。チャンア・・・・・・。」
威徳王はチャンを思いながら息絶えました。
「陛下ー!」
ワングと民たちは泣きました。
「なりません。」
間に合わなかったチャンをヨン・ギョンフ大将が止めました。
「陛下、もう泣きません。もう泣きません。」
たいへんだー!王様がサテッキルにやられてしまいましたー。サテッキルめー。どうしようもない悪党です。王様もチルリョに裏切られてかわいそう。やっぱり朝鮮の貴族は富貴栄華がなければ王を支持しないのですね。なんと薄い主従関係なのでしょう。これぞ人間の悪党の本質です。だから昔の人は王と臣下の運命をともにすべく臣下を殺したり脅迫して脅して服従させることに必死だったのですねー。朝鮮ではそのように臣下を脅迫しなければいけなかったのですね。そしてなんと聖徳太子さまが出てきましたね。面白いですね。