「王と妃」 第72話 佐翼功臣 とあらすじネタバレ感想
72話 佐翼功臣 あらすじ
チョン・インジとハン・ファクとイ・サチョルは世祖(首陽大君)に目通りを願いました。譲寧大君は土下座に来た彼らに私がいては気まずいでしょうと帰りました。
チョン・インジは議政府署事制の素晴らしい制度の廃止はどうかといいました。
「辞職を申し出たいのか?(要するに死にたいのか)」
チョン・インジは物おじせずに議政府署事制の廃止についてお考え直しくださいと言いました。
「そなたは私の操り人形にしたいのか?洪武帝は独裁者といえるのか?私は多くのことを成し遂げたい。どうか力を貸してくれぬか。ただし、そなたたちも身の程をわきまえねばならぬ。ふっふ。わかった。ハ・ウィジを放免する。私が彼らを尋問すればそなたたちの立場もないからな。」
ハン・ファクは深く礼を述べました。
チョン・インジはまだ説得したそうでしたが下がらせました。
「体面を保てましたね」
何とか三人は無事に世祖の部屋から出てくることができました。
「四つ這いで歩こうとも手は借りぬ」拷問されてボロボロになり放免されたハ・ウィジが首陽大君を呪った言葉はすぐに世祖の耳に入りました。
「あんな拷問、痛くもかゆくもない。」
ハ・ウィジは誇りを保っていました。
「大臣らの代弁をしたばかりに危うく命を失うところだったな。今上のことを首陽大君と呼ぶことは無礼ではないか。」
イ・ゲは友人のウィジを諭しました。
「私が主君と認めるのはお一人だけだ。私は首陽には仕えない。私と親しくすればあらぬ誤解を受けるぞ。」
ハン・ミョンフェはホン・ユンソンから政丞の意見が世祖に取らなかったことを聞きました。
パク・ペンニョンはハ・ウィジを味方にしようとソン・サンムンに言いました。
「まだ我々には力がない。」
ソン・サンムンは慎重になるように言いました。
「急ごう。我々には名分があるではないか。イ・ゲジョンはどうだ?」
パク・ペンニョンは焦りました。
「イ・ゲジョンは権力に味を占めている。」
ソン・サンムンらは集まるのを控えようと慎重になるように約束しあいました。
ソン・サンムンの父はいつもは蘭の世話をしているはずが今夜は刀を研いでいました。
「父上・・・」
ソン・サンムンの問いかけに対し父は無言でした。
「世の中で最も怖いのが学者では?刀を突き付けられても信念を貫くとか。」
ヒャンイは主人に問いました。
「だから殿下は集賢殿の学者を懐柔しようとなさっている。殿下は名分を失ってしまった。今まで殿下が名分にされていたのは幼君を補佐するというものだった。だが今はそれが殿下の地位を危うくしている。酒を注いでくれ。当分は殿下に呼ばれることもあるまい。私が栄耀栄華を極め天寿をまっとうできるとしたら、それは機を見るに敏だからだ。はっはっはっは。」
ハン・ミョンフェは処世に自信たっぷりでした。
「毎晩世子が殺される夢を見る。悪夢にうなされどうにかなりそうだ。」
世祖は文宗の言葉を思い出していました。
「殿下、もうそろそろお休みになったほうが・・・」
チョン内官は世祖を心配しました。
「太宗は功臣たちを皆殺しになさった。太宗のなさったことは正しいと思うか?王位に就いたのは癸酉靖難の功臣のおかげだが、彼らはおごり高ぶり私利私欲に走るやもしれぬ。彼らを生かしておいて王室を建て直したとは言えまい。ふっふっふっふ。ふっふっふっふ。」
「恐れながら殿下。だいぶお酒を召し上がられたようです。お体に触らぬか心配しただけでございます。」
チョン内官は酔いのせいで過激なことを話していると思いましたが、すぐにその考えをひっこめました。
「ハン・ミョンフェは今の王位は自分のお陰だというはず。彼だけではない。チョン・インジも己の手柄だと思っているだろう。我こそが王に据えてやったと思っているだろう。彼らを生かしておいては真の君主になったとはいえまい。」
世祖は千鳥足で王妃の部屋に行きました。
「他の者はだませてもそなただけは騙せぬ。」
王妃は心細くなるたびに仏にすがりました。
王妃は心細くなるたびに仏にすがりました。
「南無観世音菩薩・・・」
世祖は兄の文宗のことを思い出し自分は獣と言いました。王妃は聖君になることが罪を償う方法ですと言いました。
「理想の国はまだまだだ。果たして王位とは何か。何もせずとも守れる座ではない。だから太宗は功臣達と姻戚を皆殺しにされたのだ。獣は飢えを感じぬ限り殺生はしないそうだ。この座では満腹であっても殺生をせねばならぬ。歴代の王を見よ。慈悲を示して生き残った王はいるか。私は兄上とは違う。息子を守ってくれと功臣に頼むことはできぬ。ふっはっはっはっは。はっはっはっはっはっはっはっは。」
翌朝、賓庁。
「どうすれば上王様の志を継げるか考えた。それには功臣の助力が欠かせぬだろう。思うに私は功臣達の支えにより大業を成し遂げられた。先ごろ国が悲運に見舞われ崩壊の危機に瀕したが幸い天の助けを得て謀反を鎮め、平和な世を取り戻せた。上王様はその小さな功を称え私を領議政に任命して国政をお任せになった。しかし強い権力を得るとそれをねたむ輩が出るもの。奸臣の残党が報復の計略を巡らし国が再び危険に晒された。だが桂陽君イ・ジュンや鈴川尉(ヨンチョンウィ)ユン・サロ、シン・スクチュ、クォン・ラム、ハン・ミョンフェ、及び議政府と六曹の者たちのお陰で罪人たちは法の前に屈服した。功臣たちが私に示した忠心の真に感謝している。従って議政府は功臣に恩典を施し感謝の意を表せ。」
重臣たちはありがたきお言葉でございますと合唱しました。
「私は、ハ・ウィジの不忠を罰しようとした。だが彼は元来実直な人柄と聞く。よって寛大な心で彼を放免いたす。ハを罰したからと苦言を呈することをためらうな。君主の過ちに目をつぶることは君主を欺くも同然のことだ。ただし私が六曹直啓制を実施するのは君主として当然の権利だ。その件は二度と持ち出すな。」
世祖即位に貢献した功臣達は佐翼功臣の称号を与えられました。続いて大々的な人事異動が行われました。ただし、ホン・ユンソンは功臣に含まれませんでした。
ホン・ユンソンはハン・ミョンフェになぜ功臣録に自分の名前がないのだと不満を言いました。ミョンフェは今回の功臣録で喜んでいるのは集賢殿の学士だけだとユンソンを慰めました。
チョ・ドゥンニム(首陽大君の使用人の奴婢)は功臣にされ両班の端くれとなり世祖の前で涙を流してひれ伏し頭を上げませんでした。何か頼みはあるかというと、父は奴婢で・・・と泣きました。世祖は都承旨を呼び、父を平民とするように命じました。チョ・ドゥンニムは泣いて感謝しました。
「イム殿~!願いがかないました!父を平民にしていただきました。」
チョ・ドゥンニムは世祖の執事だったイムと抱き合いました。
「奴婢は功臣録に入れられぬ。両班の名を汚すことになる。」
王妃ユン氏は慈悲を示しすぎだと世子妃に言いました。部屋に帰った世子妃ハン氏はそなたたちのほうがよほど純粋だわとチョ・ドゥンニムに言いました。チョとイムは世子妃の恩徳にたいへん恐縮しました。
「私は殿下のためなら水火も辞さぬ覚悟でおります。嬪宮ママのためなら地獄にでも行く覚悟です。」
チョは世子妃に忠誠どころか命までも捧げると誓いました。
世祖はホン・ユンソンを呼び出し端宗に手紙を書いた恵嬪が許せないと言いました。
「殿下、私はどういたしましょうか。」
「卑しい者が母親面をするとは・・・」
「殿下の命令を聞いたのか?魂が抜けたようだな。」
クォン・ラムの問いにも放心しているホン・ユンソンは栄耀栄華の機会に気を引き締めました。
内官は端宗の部屋を盗み見ていました。そして恵嬪からの手紙の内容を盗み聞きしていました。端宗は内官が盗み聞きしていることを知っていました。ソン・スンは手紙を燃やすべきだと端宗に言いました。端宗はおばあさまの手紙を燃やすことはできませんと言いました。大妃も上王様の懐にまで手は出さないだろうと言いました。
「私のために泣いてくれる人が何人いるだろうか。」
上王の側室たちも悲しみました。
「まだ動悸が止まらぬ。私は余計なことをしたようだ。」
家に帰ったソン・スンはすぐにも手折られてしまいそうな端宗と娘と自分たちの境遇を心配していました。
世祖は殺意のある目をして酒を何杯も飲みほしていました。
「約束してくれ。どんなことがあろうとそなたは息子を守ると。」
「兄上、私を疑っておられるのですか。兄上が私を信じぬから兄上との約束を破ったのです。」
世祖は文昭殿の霊廟の扉を乱暴に開けると、文宗の位牌の前に行きました。
また首陽節が全開ですね。粛清する人は大体死んじゃったから、次なる標的探しです。政治よりも、粛清、そして粛清。民のためよりも政敵殺しが最優先です。謀反をしたのは首陽大君なのに、本当の王様を守ろうとする人を次々と謀反の濡れ衣を着せて殺しています。ここまでやっちゃったら、この罪はどんなにお仕事で騙そうとしても未来永劫消えるものではないですね。