朱蒙(チュモン)21話
あらすじ
オイは朱蒙(チュモン)王子が炒鋼法(チョガンホウ)の手がかりを掴んだと帯素(テソ)王子とヨンポ王子に嘘の情報を伝えました。チュモンはオイによくやったと褒めました。マリは下心があったけど一生お仕えするとチュモンに誓いました。チュモンはプヨンに兄弟たちと住める住まいを用意したと言いました。プヨンはチュモンにお傍でお仕えさせてくださいと言いました。
オイはプヨンを連れて住まいに案内しました。その後をトチの手下がつけていきました。
召西奴(ソソノ)はヨンタバルにテソ王子の求婚は断ると言いました。叔母はひと悶着ありそうとソソノに言いました。ソソノは「自分の人生は自分で決める」と叔母に言いました。
金蛙(クムワ)王は三人の王子と王妃と柳花(ユファ)姫を呼びました。クムワ王は王子たちに武芸対決の話を持ちかけました。
ユファ姫はチュモンと一緒に部屋に帰り、「チュモン王子に昔のチュモンではないことを知らしめる機会を与えてくださったのです」とチュモンに言いました。チュモンは解慕漱(ヘモス)から学んだ武芸を示すと返事をしました。
テソ王子とヨンポ王子は側近の親衛隊長と木刀で剣の稽古をしていました。テソ王子はナロをすぐ倒してしまいました。テソ王子はヨンポとナロに同時にかかってくるように言いました。その様子をプドゥクプルは見ていました。テソはヨンポを倒し、ナロの急所の手前で木刀を止めました。
チュモンは解慕漱(ヘモス)の言葉を思い出していました。
「達人は体全体で剣を感じ取る。前の敵と戦っているときもまるで後ろに目があるように察知する。剣、槍、弓、どんな武器でも自分の手足とせねばならん。剣に気を込めてみろ。」
チュモンはヨンタバル商団の庭でひとりで稽古をしていました。マリとヒョッポとオイは稽古の相手になりましょうと言いました。オイとチュモンは木刀で稽古をはじめました。その様子をソソノと優台(ウテ)は見ていました。
モパルモ親方は誰もいなくなった鉄器工場で「鍛冶頭モパルモの魂が宿った剣」を作りました。モパルモは剣をチュモン王子に献上しました。
「王子様、来る対決でのご健闘をお祈り申し上げます。」
チュモンはモパルモに礼を言いました。
ウテはソソノにテソ王子からの手紙を渡しました。テソは武芸対決にソソノとヨンタバルを招待しました。ソソノたちが城に行くと、テソが嬉しそうに出迎えました。
「勝利をお祈りしています。」
ヨンタバルはテソ王子に愛想をつきました。
ヨンポ王子はチュモン王子に「大けがをせぬようにせいぜいがんばれ」と笑いました。チュモンは「兄上の、胸をお借りします」と言いました。
チュモンは自ら目隠しをして弓を引きました。チュモンの心には的が描かれていました。チュモンは次々と弓を的の中央に当てました。クムワ王たちは驚きました。
「ヘモス・・・・・・。」
クムワは死んだ友のことを思い出しました。プドゥクプルは「あれは扶余の心臓を射抜いているのだ」と思いました。
チュモンとヨンポは素手で戦いました。チュモンはヨンポの攻撃をことごとくかわしました。腹を立てたヨンポはチュモンをかかってくるように言うと、チュモンは「参ります」と言いすぐにヨンポを倒してしまいました。
「情けない。あれほど修練を怠るなと言ったのに。あんな無様な負け方をするとは。」
テソは負けたヨンポを叱りました。
「驚いたわ。修練に励む姿は見てきたけどこれほどとは思わなかった。」
ソソノはチュモンを褒めました。
「師匠にはまだまだ遠く及びません。」
チュモンは謙遜しました。
「解慕漱将軍のことかしら。もし今日勝ったらその方も喜ぶでしょうね。」
チュモンはテソと真剣で勝負をしました。チュモンとテソは激しく戦いました。互いの衣が切れました。
「そこまで!これ以上やっても決着はつかぬ。よくやった。」
まだ決着はついていないと悔しがるテソにクムワは対決を止めさせました。
ユファ姫はチュモンを褒めました。ユファはチュモンにマウリョンと王妃が結託していると政情を知らせました。
夜になり、テソ王子はソソノを訪ねてきました。
「仕事中に邪魔をしただろうか。」
テソは謙虚な姿勢を見せました。
「酌をしてくれないか。そなたに大きなことを言っておきながら面目次第もない。私は敗れた。負けたのだ。何もする気になれぬ。私のこのやりきれなさを癒せるのはそなただけだ。どうだろう。心を決めてくれたか。」
「王子様。私は王子様のお気持ちには答えられません。すでに心の決めた方がおりますので。」
「誰だ?誰なのだ?もしや、チュモンでは?」
「・・・・・・。」
「チュモンなのだな?あのチュモンを・・・・・・ほかの誰でもなくお前の心を奪ったのがチュモンとは。ふっはっはっはっは。私は認めんぞ。到底認めることはできぬ。お前を奪われてなるものか。決して奴には奪わせんぞ。ソソノ、お前は私の女だ。」
テソ王子はチュモンを憎みました。
テソ王子は酒を浴び、机の物をひっくり返し父のところに行きました。
「夜遅くどうした?座れ。」
クムワは剣を磨いていました。
「父上、お話ししたいことがあります。扶余の神器たるタムル弓が折れました。チュモン王子が折ったことをご存知ですか?」
テソはチュモンが弓を折ったことを言いました。
「だがなぜ今になってそれを言いに来た?」
クムワはテソを下がらせました。
プドゥクプルは動揺を見せなかったクムワの様子をテソから聞いて、切り札だったのにまだ時が早かったと言いました。
テソ王子は玄菟(ヒョント)城のヤンジョンに鉄器の製法を教えるように手紙を送りました。
王妃はヨミウルを合法的に失脚させる方法がなくて悔しがりました。ヨンポ王子は「父上が確かに任せるとおっしゃったのですね?これは天がくれた機会だ。」とよからぬことを思いつきました。
ヤンジョン太守は鉄器の秘法を教える代わりにご息女と縁談をしたいとテソ王子に伝言をしました。
ヨンポはトチを訪ね腕の立つ者たちを集めさせました。ヨンポは手下たちに命令を下しました。ヨンポはトチにプヨンを連れてくるように言いました。ヨンポはプヨンのところに行くと言いました。
「チュモンとかかわりのあるやつは誰であれ全員叩き斬ってやりたい。」
プヨンはヨンポに連れ去られました。
感想
毎日が戦いの日々。王子という極楽な身分であっても弱肉強食で安心できる時もありません。テソとヨンポも本質的には殺し合いをしなければいけない敵同士ですから、まさに生きるだけで精いっぱいのようですね。大した法もなく自由に人殺しができる時代ですから、自分に正直に生きるだけでよいので、中世近世の時代劇よりも登場人物は皆が正直者ですね!