刑事フォイル 第10話 あらすじとネタバレ感想
主演 マイケル・キッチン(Michael Kitchen)50隻の軍艦 後編 あらすじ(ネタバレ)
1940年9月 ドイツ軍の度重なる空襲に苦しむイギリスは、いまだ参戦を表明しないアメリカの支援を望んでいた。そこへアメリカの特使としてハワード・ペイジがやって来る。ペイジはオックスフォード留学中に世話になっていた友人の食事会に招かれヘイスティングズを訪れる。その日の夜、ある事件が起きる。被害者とペイジが同じ大学に通っていたことが判明し、フォイルはオックスフォードへと向かう。
オックスフォード大学、フィリップスは息子アンドリューの先生でした。「現代の愛国心は誤った感情だ」とアンドリューが言っていたことをフィリップスは思い出しました。フォイルはリチャード・ハンターについて尋ねました。「ヨークシャーの労働者階級の子供でハロゲイト出身。あのころは労働者階級の大学生は少なかった。ハンターアンドページ、そういえばよかったのに。意外な組み合わせの組み合わせのあの二人、ちょっとした事件を起こしてしまってね。四人乗りのオースチンセブン、別の学生から借りた車でしたが分解して部品をぜんぶバラバラにしてしまった。当時はまだ自動車が珍しかった時代でね。二人はちゃんど戻してが持ち主はカンカンだ、大騒ぎになりました。」フィリップスは二人は友人ではなくペイジがオックスフォードにいたのは短期間だったと言いました。
フォイルはハワード・ペイジをたずねました。ペイジはビショップにフォイルはうんざりした(できれば追い返してほしい)と言いました。ハワード・ペイジは愛想よく階段を下りてきて明日帰国するとたばこにライターで火をつけました。ペイジはいきなり現れたリチャードは赤の他人に等しいとフォイルに言いました。
サムは眠れずに運転中にあくびをしていました。フォイルは疲れた?居眠りはついてからにしてくれと「もう友達の家に居られなくて昨日の夜は眠れなかった」とサムに言いました。フォイルとサムはケンの家に行きました。ケンはなぜ父リチャードがケンを心配していたか答えませんでした。「あなたに話したら、父さんみたいに頭に弾をぶち込まれる。質問があるならヘンリーに聞いてください」とケンは自分が次に殺されるのではないかとおびえました。
サムはミルナーに謝りました。ミルナーは妻にサムの状況を説明して理解を得られたと言いました。サムは何とか次の下宿を見つけることができたとミルナーに言いました。職場に着いたフォイルは誰かが入った形跡があると秘書のリバースを呼びました。リバースが置いたメモがなくなっていました。フォイルは新聞社に行きました。新聞社の主筆の男はコリン・モートンはいいやつだとフォイルに言いました。
フォイルはコリン・モートンが無理やり連れ去られたことに気が付きました。車から引きずられた跡がありました。
フォイルは自宅でエリザベスと会いました。エリザベスはアーサーは仕事でロンドンに行っていると言いました。エリザベスは「あなたと二人きりになりたくて・・・元気なの?クリストファー、あなたは幸せなの?私はつらい。結婚して20年になったの。一週間前が結婚記念日だった。アーサーはいい人よ。優しくしてくれる。だけど愛したことはない、一度も、あなたを愛したように。ずっと考えていた。奥様が亡くなったなら私、私もう一度、あなたと・・・」と言いました。フォイルはあのころとは違う、こんなことしちゃいけないと言いました。「プロポーズしてくれたじゃない。」エリザベスは父の反対で政略結婚をしたのでありました。「結婚が、すべてを変えた。私には君との関係を変えることはない。すまないけど。」フォイルは丁重に断りました。「私はずっと後悔しながら生きてきた。」エリザベスは結婚後もフォイルを愛してつらい思いをしてきた気持ちをフォイルに告白して去りました。
フォイルとミルナーたちはヘンリー・ジェイミソンの工場を捜索しました。「盗まれたものには共通点がある。それは濡れてもいいことだ。」と水槽の中の袋をミルナーが確かめると盗まれた物を発見しました。逃げようとしたヘンリーたちを警官が捕まえました。
フォイル「あーすっきりした。」
フォイルはヘンリーを殴りました。サムは笑いました。
フォイル「自分の仕事に疑問はあるが、お前のような奴は許せない。今はとても苦しいときだ。世界が泥沼に沈み込むようなときに、ヒトラーだけでは足りないかのように、お前のような奴が人の不幸で私腹を肥やし、弱りに弱っている人を傷つけさらに苦しめる。お前のような奴がいるから泥沼が発生するんだ。それを私が一人でも減らせたら少しでもなぐさめになる。」
(杉下右京節ならぬフォイル節)
ミルナーは略奪により死刑になる可能性があるとヘンリーに言いました。ヘンリーは「みんな、ほかの(義勇隊の)やつらも同じことをしている。嘘だろ。」と言いました。
ミルナーはフォイルにロムニー岬の風と潮の流れについて報告しました。ボートで一人で浜に向かうのは困難だった、目的地よりも西にたどり着くだろうと言いました。フォイルは亡命者がボートから何かを目撃したかもしれないとミルナーに言いました。
フォイルは敵国人かもしれないハンス・マイヤーは殺人を目撃しているかもしれないと10分間だけ時間がほしいと軍に頼みました。ハンス・マイヤーは自分は殺されるのはわかっているとフォイルに言いました。フォイルはハンス・マイヤーに助けてくれ、ボートから何を見たかと言いました。
フォイル「あなたはUボートでやってきたドイツ人でオランダ人ではありません。つまり敵対関係にあるわけですからあなたには私を喜んで助ける義理などまったくない。しかし私はあなたが見たと思っていますがそれは戦争とは関係のないこと、つまり、殺人の現場です。」
ハンス・マイヤー「お互い、助け合いそうだ。私と会った最後のひとりとなるあなたに家族に伝言を託したい。ふっ・・・今の私が何を言い残すと思いますか?決まっているでしょう。さようなら。さいごまでみんなを思っていたって。母は80歳で終戦まで生きていないかもしれない。探し当てるのは大変でしょう。でもやってみるって約束してください。アルフェルドというハノーバーの南にある町です。母の旧姓はハートマン。探す手がかりになるでしょう。それじゃ、私が見聞きしたことをお答えします。私は岸に向けて必死にボートを漕いでいた。潮の流れが速く西へ流された。これは予想外のことだった。それから5分して銃声が響いた。一発だった。ガラスの割れる音が聞こえました。最初はてっきり自分が狙われたんだと思ったけれど、そうではなかった。男の声がした。距離がかなりあったけどその夜は静かで声が伝わってきた。撃たれて痛がっているかの声だった。その男は泣いていた。暗くてよく見えなかったけど浜辺には男が二人いた。ひとりは跪いていた。それから二発目の銃声が響いた。立っていた男が跪いていた男を撃ったんです、そして走り去った。私は再びボートを漕ぎ始めました。ボートが流されてしまっていたので。二発の銃声の間隔は一分もなかったです。お話しできることはこれだけです。伝言を必ず家族に伝えてください。アウフ ヴィーダーゼン」
フォイル「ありがとう」
サムは警察の牢屋で寝泊まりしていました。リバース「ばれたら私は銃殺ものだ。とにかくフォイル警視正には言わないでくれ。カンカンになるだろうから。早く部屋を見つけろよ。」
フォイルは医者のレイマンドの家に行きました。フォイルはレイマンドにドイツのスパイの勇敢なハンス・マイヤーの話をし、伝言の内容まで話しました。「このことは私しか知りませんのでご安心ください。」レイマンドの妻イブの旧姓はハートマンでした。フォイルが伝言を伝えて去った後、レイマンドはイブに、ハンス・マイヤーを手引きしたのはイブお前だと知っていたと言いました。
イブ「ハンスじゃなかった。知らない声だった。ハンスが上陸するから合図を送ってくれって。私迷ったんだけどハンスに無事に着いてほしい一心で・・・」
レイマンドは妻を殴りました。
レイマンド「お前は売国奴だ。フォイルを呼び戻したいくらいだ。お前は二度と私に話しかけないでくれ。私が部屋に入ったらお前は出ていけ。食事は自分で作り、一人で食べろ。お前とは一切かかわりたくない。さあ、出ていけ。」
イブ「アラン・・・・(鳴き声)」
フォイルは小屋を探していたら銃弾が柱に刺さっていました。
フォイル「疲れた顔だ。ちゃんと寝たのか?」
サム「いえあまり、ベッドが硬くて。」
サムは死体が持っていた鍵の「シンクロメッシュ・ギアボックス」という部品を言い当てました。
サムの髪は乱れていました。
フォイルはハワード・ペイジの車を止めました。ハワード・ペイジは殺人の疑いはあり、ビショップにも共犯の疑いがあるとフォイルは言いました。
フォイル「20年前、リチャード・ハンターはベアリングとギアホイールを組み合わせ、現在シンクロメッシュ・ギアボックスと言われている画期的な技術を発明しました。あなたはそれを盗んで2年後にアメリカで特許を取って大儲けをした。リチャード・ハンターはイギリスの有名企業が奨学金を出すほど優秀だったのに発明を盗まれ酒におぼれ破滅していった。つまり二度殺されたのです。」
ハワード・ペイジ「本当のところ、あっちが私を殺そうとした。」
フォイル「でしょうね。だからリチャードは銃を持って屋敷に行った。海の向こうにいる大金持ち、そう思ってあきらめていたリチャードは新聞であなたがヘイスティングズに来ていることを知って行動を起こそうと決意したのです。自殺する気はなかった。あなたから金を引き出せなかったらリチャードは殺すつもりでいた。いきなり現れたリチャードを見たあなたは驚いたでしょう。でもすぐに追い返したというのは嘘です。あなたは会う約束をした。私は屋敷から出てきた彼を見ました。脅迫されましたね?」
リチャード「わかっているだろ、金をよこせ。お前は私の発明を盗んだ。」
ハワード・ペイジ「おいリチャード、それは言いがかりだ。君の助けを得て私が完成したのだ。」
リチャード「違う違う違う、デタラメを言うな。私がいなければお前はクズだ。」
ハワード・ペイジ「ハッ失礼。でもクズなのはそっちのほうだろう。」
リチャード「だがでも、息子にはまだ未来がある。金があれば学校に行かせてやれる。チャンスをつかめる。借りを返せ。」
ハワード・ペイジ「お前に借りなんかない。」
リチャード「私のアイデアを、お前は盗んだ!支援者を見つけると言いながら手紙には返事もくれなかった。まるで俺なんかいないみたいに!」
フォイル「彼は銃を向けた。でも彼には打てないとあなたは分かっていた。」
リチャード「ペイジ、このままで済むと思うな。世間にぶちまけてやる。もっと前にぶちまけておけばよかった。お前が俺にしたことを世界中に。」
ハワード・ペイジは銃を取るとためらわずにリチャードを撃ち殺しました。
ハワード・ペイジ「証拠は何もない。」
フォイル「目撃者は二人います。ひとりは海の上から、もうひとりはコリン・モートン。コリン・モートンは空襲を避けるため、夜は郊外に出て車の中で寝ています。彼はあなたを見たって証言するでしょう。コリンを誘拐したのは君だね。」
ジョン・ビショップ「逮捕はしました。」
フォイル「君は軍の情報部か?」
ハワード・ペイジ「そんなことはどうでもいい。君の推理はどうだっていいよフォイルさん。私を逮捕はできん。」
ジョン・ビショップ「残念ながらその通りです。私はあなたより地位が上です。あちらでお話を。」
ジョン・ビショップ「逮捕させられず申し訳ありません。50隻の軍艦のため、旧式の軍艦のため装備も設備も最低ですし、使わないかもしれませんが。イギリスにはアメリカが必要です。無二の友好国ですし、アメリカが武器や食糧や弾薬を提供してくれない限り、イギリスはやっていけません。人間性はさておきペイジは我が国を指示してくれています。彼の活動のおかげでアメリカの世論は変わり、今回の協定実現への道が開けた。終戦までずっと物資の援助が得られるかもしれない。海軍の一部を他国に渡す、それは、アメリカ人の気持ちを高揚させることにもなるんです。法律を変えてまで実現させた今回の協定でアメリカははっきりと自分たちがどちらの味方なのかを世界に知らしめることになる。言うなればアメリカは民主主義の兵器庫となるのです。これからは。ペイジを逮捕すれば頓挫する。彼の活動は一瞬にして信頼を失います。スキャンダルの悪影響ははかりしれません。軍艦の話も消える。フォイルさん、あなたは以前にも情報活動を妨害なさった。今回は私のとった行動がやむを得なかったことをご理解いただきたい。」
フォイル「ペイジを守るために嘘をつき私のオフィスを荒らし、たまたまあの場所にいたコリン・モートンを逮捕したことをか?」
ジョン・ビショップ「モートンさんは今ホワイトホール(イギリスのロンドンにある政府の中枢)で事情聴取を・・・彼は殺人犯で死刑が相当だ。それは私だってよくわかっています。しかし今ハワード・ペイジがいなければこの戦争で勝てる見込みがなくなるのです。」
フォイル「私を逮捕します?リチャード・ハンターの息子さんと奥さんには何ていえばいいのです?」
ジョン・ビショップ「戦争で犠牲者になったと言ってください。」
フォイル「それが嫌だと言ったら?」
ジョン・ビショップ「あなたは優秀で賢い方です。今回は我々の判断に一理ある。そう思ってくださるはずだ。」
フォイル「会ってくる。」
ジョン・ビショップ「なぜだ?」
フォイル「お別れを言いに。」
フォイルは軍の飛行機に搭乗しようとするペイジに言いました。
フォイル「ペイジさん。」
ハワード・ペイジ「フォイルさん。これで永久にさよならといきたいね。」
フォイル「いいえ、少しの間だけですよ。」
ハワード・ペイジ「負けを認めない人だ。これは戦争、そういうものだ。」
フォイル「おっしゃる通りです。これは戦争だ。しかし終わらない戦争はありません。しかしあなたはいつまでも泥棒で、嘘つきで、人殺しだ。私は忘れません。どこにいようと探しに行く。裁きを免れたわけじゃない。保留にされただけだ。また会いましょう。」
ハワード・ペイジを乗せた飛行機は灰色の空の中へと飛び立ちました。
フォイルは牢屋で本を読むサムを見つけました。フォイルはサムにあきれてうちに泊まってもいいと言いました。「頼むからこの事は誰にも言うなよ。絶対に眉を顰められるから。よし、おいで、行こう。」
サム「食事は私が何か作ります。得意なんです。鳥のワイン煮とか。」
感想
今回のフォイルはたったひとりで戦っていましたね。愛国心や正義を傘に着た犯罪者たちと戦うフォイル。自分は愛国者だと強調して犯罪や暴力を働くクズばかり出てきましたね。そしてエリザベスというかつてはとても美人だった夫人とのロマンスの思い出。フォイルはエリザベスという地位のある女性との身分の差のある恋愛に引き裂かれたロミオでした。エリザベスちゃんもかわいそうな女性ですね。結婚してからもフォイルが忘れられずにずっとフォイルのことを慕ってきたのですから、その苦しみはつらそうでしたね。フォイルのいる世の中もまた悪人だらけで、その中で心折れずにいられるのは警察官という職業への誇り、なのかもしれません。そしてフォイルがイギリスで高視聴率であったのは日本の「相棒」と同じ理由でクズどもを成敗するフォイルが好きなのでしょうね!そんな緊張感のある仕事と正反対のサムと触れ合いの時間は視聴者にとってもとても楽しみなものとなっているのでしょう。ミルナーもフォイルと妻に黙ってサムを泊めてあげて、フォイルもミルナーたちに内緒でサムを泊めてあげるところがほほえましい場面でしたね。そしてアンドリューが言ってた間違った愛国心とは、ドラマのテーマから考えると、すなわち愛国心を叫んでいたら盗みでも殺しでも逮捕に至らない暴力でもなんでも許されるという愛国心のことと解釈してよさそうですね。