「王と妃」 第86話 ハン・ミョンフェの改革 とあらすじネタバレ感想
あらすじと感想
今話からあらすじ解説は終了してネタバレ感想だけ書きたいと思います。あらすじを解説するのは結構たいへんだったので。大事な史実は抜き出しておこうと思います。
ハン・ミョンフェはしょっちゅう世祖(首陽大君)に会いに来る譲寧大君をうっとおしく思っているように見えます。
王室の団らんの場。長男の海陽大君はのちの世子を抱きました。懿敬世子(世祖の長男)は喀血する病気でつらそうです。すぐ下を向いてしまいます。これは病弱というより世宗への恐れの露われのようにも見て取れます。
譲寧大君はいうなれば過激派ですね。自ら問題を作って人殺し、それこそが仕事だと思っている。それが首陽大君と共通して栄耀栄華を享受する。時の権力者に味方して過激なことを言っておけば少なくとも悪者にはされないで済む。自分が生き残れるからこれは正しい道だと主張する。そこには知性も客観性もなく力があれば怖いものはないという価値観に従っているだけ。生き残るだけなら頭が悪くてもわかる最も簡単な方法ですが、これではまともな政治を考えることはできませんので時代は退行し原始的な弱さまでは克服できません。
一方、浄業院(チョンオボン)に送られたソン夫人は母と会うことができました。暮らしには不自由はしていなかったのでしょう。でもこの地獄の中で人より長生きして長寿をまっとうしたソン夫人の心を思うとかわいそうですね。
端宗のいる地方にはパク尚宮がついていました。尚宮の身分までも奴婢になったのでしょうか?ここはわかりません。「死ねば鳥の羽のように軽い魂だけになりどこでも望む場所に行けるのだ」とまだ子供の端宗は悲劇の主人公です。パク尚宮は祖母のように端宗に接します。「叔父上、私を殺してください。そうすれば私は苦しみから抜け出せます。」首陽大君は端宗の手を汚させて癸酉靖難で逆徒とされた叔父たちを殺す命令を下しました。そして首陽大君は自分の手を汚さずにチョン・インジに上王を流刑にする上奏をさせました。なんと汚い男なのでしょう。
ソン・ヒョンスは身分も奴婢になるかもしれない状況になり、李氏朝鮮でいる限りは二度と奴婢から身分が解放されませんから最悪です。どうしてこんなにひどいことができるのでしょうか。思考がまともではないですね。
「中殿、私を見ているか。私も笑っているぞ夫人。」
端宗は月夜を見て妻に語りかけます。ソン夫人もまた月夜を見て涙を流します。
「夫人。これからは夫人と呼ぶ。王妃や王大妃の地位に何の意味がある?叔父上に殺されなかったら誰も知らぬところで暮らそう。私は山菜を摘んで薪を集めそなたはご飯を炊く。」
パク尚宮は視聴者を代弁して涙を流します。
端宗の流刑地は寧越の静泠浦(チョンニョンポ)だった。静泠浦は川に囲まれた孤島のような処である。三方には川が流れ残りの一方は絶壁だった。端宗を見張る兵以外は誰も見られない天然の牢獄だった。外部の人間でさえも端宗の姿を見られなかった。端宗は折に触れて山に登りソウルの方角を眺めていた。そして石を一つずつ積み誰かを思い出している様子だったという。端宗が積んだ石は望郷塔(マンヒャンタブ)と呼ばれた。
ドラマで端宗が石を積む場面。
まさに可哀想ですw
今でも静泠浦には端宗遺址碑閣(タンジョンユジビガク)がある。観音松(クァヌムソン)、望郷塔、魯山台(ノサンデ)静泠浦禁標碑(チョンニョンボポクンピョビ)なども残っている。当時、詠まれた端宗の詩は次の通りである。
宮殿を去った恨み深き一羽の鳥 一自寃禽出帝宮
寄り添う影もなく孤独に青山を彷徨う。 孤身隻影碧山中
幾夜過ぎようとも眠りにつけず 假面夜夜眠無假
幾年過ぎようとも恨み尽きることはなし。 窮恨年年恨不窮
ホトトギスの鳴き声途絶えた暁の山頂に月光白々と輝く。 聲斷曉岑殘月白
春の谷 散る花だけが 血をまいた如く赤し。 血流春谷洛花紅
天の耳遠く 我が切なき哀願天に届かず。 天聲尙未聞哀訴
愁いに沈む我一人 耳済ますばかりなり。 何奈愁人耳獨聽
ますます可哀想!
錦城大君(クムソンテグン)の流刑地が慶尚北道の順興(スヌン)に変わった。錦城大君は順興府事イ・ボフムを抱き込み配下としていた。これが端宗の死を早めるきっかけの一つとなった。
錦城大君は端宗の詩を受け取り読みました。
「甥を山中に軟禁するとは許しがたい蛮行ではないか。」
まったくその通りです。イ・ボフムは都の重臣が魯山君の賜死を望んでいるという情報を錦城大君に教えます。
「順興府の人数は何人だ?」
「670人です。足りませんか?」
「足りなくはない。周りの地域を占領して兵の数を増やせばいい。竹嶺(チュンニョン)と鳥嶺(チョリョン)を占拠し都との連絡を絶ち嶺南を占拠すれば兵の数は首陽に劣らぬ。」
勇ましい錦城大君ですね。なぜもっと早くにキム・ジョンソと手を組まなかったのか。
「それから全国に檄文を回し同志を集めれば首陽を劣勢に追い込むことができる。まずは寧越にいる殿下をお助けしよう。」
遅すぎでしょう。しかも錦城大君が頼るべき部下を完全に間違っています。策を弄して挙兵するならソン・サンムンやソン・スンを抱き込むべきだったでしょう。
この檄文をイ・ボフムから謀反の計画を聞いた奴婢が盗み都の世祖の目に入るのです。
奴婢はこの密告で身分が上がったのでしょうか!?
ソン・ヒョンスは百叩きになりました。百叩き、世宗大王(テワンセジョン)でも栄実にやっていましたが、テワンセジョンが言うには「肉が割け骨が砕ける」らしいですん。なんと残酷なのでしょうね!ソン・ヒョンスは奴婢になりました。
「ありがたいわ。ありがたくて胸がつまるほどよ。」
ソン夫人は内官に言いました。もちろん首陽大君にありがとうなんて思っていません。
世祖はソン・ヒョンスを処刑せず地方官庁に官奴として隷属させた。ソンには死ぬほうがましに思えるほどの屈辱だった。続いて辞令が下された。都承旨ハン・ミョンフェが吏曹判書に任命された。
ソン・ヒョンスと妻たちはどんな人生を送ったのでしょうね。
ハン・ミョンフェを領議政にするには各省庁の長を勤めさせないといきなりの昇格はできないのですね。世祖は少しずつハン・ミョンフェを引き立てていっています。
「なぜ吏曹判書に命じたかわかっているか?口では忠誠をいいながら腹の中では裏腹な輩が多くいる。私は死後を案じている。魯山君に同情する者は一人残らず見つけて朝廷から追い出せ。」
「公平に行います殿下。」
「私は公平にやれなどと言っていないぞ。」
「公平にいたします殿下。(建前は公平にします。)」
「そうだな。はっはっはっはっは。」
まだ殺すべき人がいるということでしょうか。
朝廷はまた騒がしくなった。大々的な粛清を予感させるものだった(ナレーション)。
チョン・インジの家に「これ以上は放っておけません」とイ・ゲジョンたちが集まります。カン・メギョン(右議政)、チェ・ハンたち6人は集まって話し合っています。
「嫌ならさればいい。私は辞職するつもりだ。」
チョン・インジは仲間たちに言いました。
ハン・ミョンフェの妾はミョンフェの正妻にもっと派手に着飾って堂々としてみては?と言います。この女はいったいどうしてミョンフェの妻を立てるのか?夫人たちの策士でもあります。ヒャンイが妻の座を奪うならミョンフェは彼女を側女にしなかったことはミョンフェの考えから容易に想像できます。ミョンフェだって領議政になるためにはスキャンダルは困りますからね。妻は賢くしとやかな女性としてドラマでは振る舞っています。
クォン・ラムはいうなれば偽善者で優等生です。口ではきれいごとを言い物事の道理や人の道をわかっていても、悪を選ぶ偽善者です。ラム自身は汚い仕事で手を汚すことはないのですが、それをミョンフェは知っているからミョンフェモ彼に手を汚させません。世祖を補佐する清廉潔白な忠臣を演じさせたいのです。世祖にはそういった罪をおかしていないように見える貴族が必要だったのです。
懿敬世子の咳はほんとうにリアルで苦しそう(笑)
仁粋大妃の従妹は彼女の側近でもありハン・ミョンフェとの正式な連絡役です。ヒャンイが裏の連絡役とするなら彼は表側の人間です。