「王と妃」 第75話 謀反の兆し とあらすじネタバレ感想
75話 謀反の兆し あらすじ
「ユン夫人の状態は?」
「深刻な状態でございます。」
「内医たちは病気ひとつ満足に治せんのか!」
世祖はハン・ミョンフェに怒鳴りました。
ユン夫人とは、大提学(テジェハク)シン・スクチュの妻のことである。シン・スクチュが明に奏聞使として赴いた時、彼女は病にかかり危篤に陥っていました。
「スクチュは明に行っている。夫人が亡くなりでもしたら彼に顔向けができなくなる。御医を送りユン夫人を治療せよ。」
世祖はミョンフェに命令しました。
シン・スクチュとハン・ミョンフェは姻戚です。シンの長男ジュの妻はハン・ミョンフェの娘でした。息子の結婚後、三年以内に家に不吉なことが起これば嫁のせいにするのが当時の習わしだった。
ハン・ミョンフェはシン夫人の危篤は我が娘のせいだとジュに言いました。
世祖は酒を飲んでいました。
「私のせいなのだ。恵嬪の呪いが私ではなくユン夫人に向けられたのだ。」
「滅相もないです殿下。」
チョン内官は否定しました。
「恵嬪の遺体はどうしたのだ!?」
世祖は酒を煽りました。恵嬪を思い出すたびに酒を飲みました。
「酒を持ってこい。早く持ってこぬか。」
「チューナー・・・・・・。」
チョン内官はうろたえました。
クォン・ジャシン(戸曹参判)は端宗の叔父でした。クォン・ジャシンは初めて端宗夫妻に挨拶に来ました。
「首陽大君とその一派は上王様の外戚に宮殿への出入りを禁じられました。ですから今までご挨拶に伺えなかったのです。」
「伯母上はいかがお過ごしでしょうか。」
「恐れながら顕徳王后のお墓が荒れ果て夏の大雨で盛り土が崩れました。ですが管理する者がおらず家内が墓守をしております。殿下、文宗は在位期間が短く偉業も残しておらぬので墓に石碑を立てる必要はないと首陽大君が言ったそうです。無礼にもほどがあります。死んであの世に行ってもこの怒りは収まりません。」
「私が悪いのです。親不孝をしました。父上の碑石を立てることもできずおばあさまが殺された時も何もできませんでした。」
「お力になれない私を許してください殿下。」
クォン・ジャシンは震えて嘆きました。
王大妃は嘆いても仕方ないとジャシンに言いました。
「大妃様、民はおろか朝廷にも首陽大君を認めぬものは少なくありません。今は表立って動きを見せておりませんが近いうちに力をあわせるでしょう。どうかご命令ください。上王様のために命を賭して戦います。殿下。」
「先ほど言った通り恥辱を受け続けるつもりはありません。」
大妃はジャシンに言いました。
「殿下、殿下もそのようにお考えなのですか?」
「・・・・・。」
「首陽大君はまるで高い山のようだ。」
端宗は力なく言いました。
「上られるのです。再び上るのです。」
王妃は端宗を励ましました。
「殿下はご決心を固められたようです。力を集めるべきです。府院君大監、我々には大義があります。皆大義のためなら死をも恐れぬはずです。」
クオンン・ジャシンはソン・ヒョンスに会っていました。
「わかりました。上王様の無念を晴らしましょう。」
ソン・ヒョンスは意を固めました。
その様子を首陽大君の手下が見ていました。
ソン・ヒョンスは弱気ながらも勇気を絞りました。
シン・スクチュの夫人がなくなりました。
"ソン・サンムンら死六臣が殺されるや(シン・スクチュ夫人は)自決した"この「松窩(ソンワ)雑記(朝鮮中期にイ・ギが書いた雑録)」の記述と「朝鮮王朝実録の記録とは異なる。「松窩(ソンワ)雑記」の記録は死六臣を称える逸話として載せられたのだろう。
シン・スクチュはソン・ラムらとともに朝鮮に帰国しました。世祖はシン・スクチュを兵曹判書に、クォン・ラムを吏曹判書に任命しました。世祖はシン・スクチュにスクチュの夫人を亡くしたことを謝りました。スクチュは殿下に責任はありませんと謝りました。
ハン・ミョンフェはクォン・ラムを家に呼びました。
「殿下の態度に何か感じなかったか?スクチュとそなたを冷たくあしらわなかったか?殿下は牛から馬に乗り換えるおつもりだ。ソン・サンムンが左副承旨になった。パク・ペンニョンはいきなり兵曹参判だ。それだけではない。ソン・スンは知中枢院事(チチュンチュウォンサ)になり、クォン・ジャシンは戸曹参判に留任した。」
「何か怪しい動きでもあるのか?」
「一つはソン・サンムンを中心とする動き、二つ目はソン・ヒョンスら外戚を中心とする動き。殿下はご存知なら彼らを重用なさらなかっただろう。近頃は彼らの活動が活発になっている。それもそのはず殿下が明の誥命を受ければ上王を復位させる名分がなくなるということだ。」
ハン・ミョンフェは謀反の動きを察知していました。
「間違えば我々は皆、殺される。」
譲寧大君と孝寧大君は世祖に誥命のお祝いをしていました。譲寧大君は上王を排するように訴えました。
「君主が二人いる状況を見過ごせぬ。」
「譲寧大君は過激なところが玉にきずだ。」
世祖はハン・ファクを呼び誥命謝恩使として明に行ってもらいたいと頼みました。
「私に何かあれば世子が王位につける保証はない。明の意向を知りたい。明は世子を跡継ぎとして認めてくれぬかもな。四ツ木が認められぬ場合不本意ではあるが・・・・・・。」
「それでは、殿下は昌徳宮の上王様を・・・・・・。」
「だから頼んでいるのだ。私も悩みに悩んだ。どうすればよいものかを。ふっはっはっはっは。」
「上王様とサンムンの話は長いな。顕陵(ヒョンヌン)に行くだけの話しなのに。はっはっはっは。」
ソン・サンムンは端宗に面会していました。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
端宗もソン・サンムンも長い間沈黙していました。
ハン・ファクは世子と娘の世子妃に会っていました。世子はせき込みました。
「申し訳ありませんがこれで失礼します。」
世子は具合が悪くなり部屋を出ました。
「お具合が悪いのですか。世子殿下には末永くお元気でいてもらわねば。」
「気弱だから病にかかるのです。それでも義父よりは長生きしますわ。」
「世子妃さま。この父は困難な責務を任されました。」
ハン・ファクはため息をつきました。
「お話しください。」
「上王殿下を・・・・・・。・・・・・・。」
「廃位するとおっしゃったのですね。うっ・・・ふふふふ。」
ソン・サンムンは涙を流しました。
「左副承旨殿。上王様のつらいご胸中は一晩では語りつくせぬほどです。ですが口に出せぬのです。どうかお察しください。」
「上王様のお気持ちは察してあまりあります大妃様。私もまた胸中を吐露できぬのでもどかしくて涙が出ます。」
「ありがとう。それで十分です。礼を言うわ。」
「私を信じてくださいマーマー。」
端宗は言葉を発しませんでした。
「ソン・サンムンは私の考えをわかってくれただろうか。むしろ明確に伝えればよかった。」
端宗は大妃に言いました。
端宗は大妃に言いました。
「殿下はソン・サンムンに血の涙を見せられたではありませんか。」
「そうだ。十分に伝わったはずだ。」
端宗は自分の気持ちがサンムンに伝わったと信じました。
明の使臣が朝鮮の慕華館に来ました。首陽大君は明の誥命を受け正式に国王となりました。ハン・ミョンフェは昌徳宮で宴を開くことに不満でした。
「疑い深いのはよくないぞ。」
クォン・ラムはミョンフェの疑い深さを笑いました。ハン・ミョンフェは部下にソン・サンムンらの家を見張るように指示しました。
宴では二人の別雲剣(ピョルウンゴム)に雲剣(ウンゴム)を持たせるのが慣例でした。別雲剣はユ・ウンブとソン・スンに任せられました。
「まさに天の助けですね。」
ユ・ウンブはソン・スンに言いました。
「逆賊どもの首が我々のもとへ転がり込んで来ましたな。」
ハン・ミョンフェは悪い予感がする、ソン・サンムンらはか必ず謀反を起こすと世子妃嬪宮ハン氏に報告しました。ハン・ミョンフェは宴を欠席して世子と世子妃に昌徳宮に行かないように言いました。
イ・ゲとハ・ウィジがソン・サンムンの家に入ったことをハン・ミョンフェの手下は確認しました。ソン・サンムンの家に六人がそろいました。
「首陽も命運が尽きた。父上は別雲剣に任命されたのだ。」
ソン・サンムンは仲間に言いました。
世祖は重臣4人を酒でもてなし殺気のある目で空を見つめました。
感想
首陽大君の演技からはソン・サンムンとソン・スンを罠にはめるために重要な地位に就かせたとしか思えませんね。このドラマを制作した人はそのように解釈しているのでしょうね。でもそんなことをしなくても左遷するだけでも十分だったのではないのかと私は思うのですが、朝鮮の風習では高い地位にある人の処遇に対し、王の体面を保つためには左遷するわけにはいかず殺すしかなかったのでしょうか。貴族の人の考えはなかなか理解できませんが、世祖は「泳がせておいて殺す」という計画だったということですね。だったらそういったハン・ミョンフェの知っている情報は世祖の耳にも入っていないとできないことですよね。世祖とハン・ミョンフェたちは自分が謀反をしたときは謀反とは言わずに、サンムンたちのことは謀反だとほんとうに好き放題していてそこには正しいことはなにひとつないように見えますね。