「大王世宗(テワンセジョン)」(全86話) 第80話 平和か破壊か あらすじとネタバレ感想
80話 平和か破壊か あらすじ
「今後は明の兄弟国ではないということだ。」
皇帝はチョ・マルセンやシン・スクチュ、ソン・サンムンたちに言いました。
「皇帝が、朝鮮に簡儀台があることに気が付いた?その上ヘ・スが朝鮮に渡ったというのか?」
チョ・マルセンは呟きました。
碧瀾渡(ピョンナンド)にヘ・スが来ました。キム・ジョンソはヘ・スを迎えました。
「突然のご訪問で朝鮮は戸惑っています。」
「皇帝の困惑はそれ以上だ。」
「簡儀台に関するいかなる防備もできぬよう封じ込めるつもりだな。」
チョ・マルセンは言いました。
「そのようです。」
カン・フィは言いました。
「朝鮮には?」
「急いで知らせを送ったそうです。」
「では知らせとヘ・スのどちらが先に到着するかそれが問題だな。」
「北京からの急ぎの知らせは?」
世宗は世子に言いました。
「ファンが失脚した。その過程で皇帝が朝鮮に簡儀台があることに気が付いたようだ。」
「では勅使が前触れもなく碧瀾渡を訪れたのは・・・・・・。」
ファン・ヒはヘ・スの目的に気が付きました。
「至急景福宮を視察したい。拒否すれば朝鮮と明の国交は今日で終わりだぞ。」
ヘ・スはキム・ジョンソに言いました。
「鋳字所と書雲観は?」
世子は部下に訊きました。
「すべてを閉鎖し警備を強化しました。」
「勅使を足止めする方法を探せ。集賢殿には知らせたか?」
「もちろんでございます殿下。」
ファン・ヒは答えました。
集賢殿
「なんの真似ですか?学士を放置して何をしている!」
チェ・マルリは書物を集めて箱に詰め込んでいるチョン・インジに怒鳴りました。
イ・スンジは集賢殿に駆け込んできました。
「事実ですか?!記録を破棄するより査察を拒否して戦いましょう。」
「大人げないことを言うな。」
「簡儀台は?どうなるのです!」
「簡儀台を、解体せよ。」
世宗はイ・チョンとチェ・ヘサンとヨンシルに命じました。
「この台はどうするのですか?この大きさでは台までは隠せません。諦めるのですか?殿下。」
「万一に備え新兵器秘密都監を閉鎖せよ。機密文書も安全な場所に隠すのだ。」
「できません!朝鮮暦をあきらめることになります!」
イ・スンジは粘りました。
「明との国交が断絶し孤立するよりはまだいい。悪あがきせずに副提学(プジェハク)様に従え。」
チェ・マルリはイ・スンジを説得しました。
「私は反対です。たとえ一人でも戦います。査察を拒否し簡儀台を守ります。」
若い学士たちが部屋に入ってきました。
「我々も戦います。査察を拒否しましょう。」
「恩にきるぞ。」
イ・スンジが言うとチェ・マルリは叱りました。
「若手は仕方ないが、お前は王宮に仕えて長い。現実を見ろ。朝鮮が孤立してもよいのか?」
「これが私の任務です。朝鮮は明の属国ではありません。」
「誇り高き精神だけは評価しよう。」
「その褒め言葉は簡儀台を守り抜き、朝鮮暦を完成させてからいただきます。」
「どうします?今回も寛大な父親のように好き勝手にさせるのか?」
チェ・マルリはチョン・インジに言いました。
「大監。彼らを隔離してください。事態が落ち着くまで邪魔をせぬよう監視もお願いします。」
チョン・インジは兵曹判書のイ・ガクに頼みました。
イ・スンジと若手の学士たちは牢屋に連れていかれました。
その騒ぎを世子たちは見つけました。
「なぜ明に屈してばかりなのですか。」
「査察を拒否し明と戦うべきです殿下!」
「状況を考えろ!今は非常事態だ。」
ヨンシルは学士を一喝しました。
「こんなに簡単にあきらめるならなぜ明まで行き天文儀器に命を懸けたのですか?悔しくないのですか?」
学士の一人がヨンシルに言いました。
「悔しくて、腹が立って!勅使らを殴り倒したい気持ちだ。」
「ではなぜです?」
「今諦めなければすべてを失うぞ。・・・情けない奴め。」
「世子様、ひとつだけお答えください。」
学士のハ・ウィジは叫びました。
「世子様が考える君主とは、実利だけを優先し明に跪く卑屈な王ですか?それともまたは祖国の誇りのために命をかける勇敢な王ですか?」
「時間がない。少なくとも今は争っている時間がない。これがそなたたちに言える唯一の答えだ。」
世子(のちの文宗)は学士らを置いて集賢殿を後にしました。。
彰義門(チャンウィムン)
「道を開けろ」
ヘ・スは関所の番兵に言いました。
「ならぬ。」
「なんだと?」
「検問を受けぬ者は誰も通すなとの命令だ。」
「突破しろ!」
ヘ・スの手下は剣を抜きました。
「なんの真似です?」
キム・ジョンソは馬から降りてヘ・スに言いました。
「朝鮮語で話してやっても奴らには通じぬようだ。騒ぎを起こしたくなければそなたが説得するのだ。」
キム・ジョンソは顔をそむけまいた。
「世子さまのおなーりー。」
世子がヘ・スの前に現れました。世子は無礼を謝りました。
「道は開けられぬ。先ほど四大門内で窃盗が起きた。盗賊が明の副を着ていたとの報告が相次いている。そなたは信じる。だが念には念を入れなければ。随行者の中に怪しい者がいないか簡単に調べさせてください。」
「断れば?」
「大国の品位に傷がつくだけだ。そなたがこれほど東奔西走する理由は明の民の暮らしを守るためではないのか?民を思う気持ちは同じだ。この朝鮮の民を守ることに力を尽くした小さな国の世子の気持ちも理解してくれ。民を思う心は大国である明が朝鮮に伝えた美しい伝統だと思っている。」
「検問を許可しましょう。ただしこの代価はきっちり支払っていただきます。」
「津寛寺(チングァンサ)へ行け。」
世宗は資料を寺に預けさせました。
「査察の過程で文字創製の秘密がばれれば簡儀台より大きな問題になる。」
世祖は首陽大君に言いました。しかし紙が一枚落ちていました。
「研究室は王宮内にあるはずだ。愚か者でない限り査察前に隠ぺいしようとするでしょう。」
チェ・マルリはチョン・インジに言いました。
「そなたもしつこいな。この非常事態に・・・・・・。」
「これを機に証拠をつかみ、王様の文字創製の計画を暴露できれば私は明に感謝するでしょう。査察は私も残念に思います。しかし文字創製により朝鮮が文明国から転落するよりはいい。事が起こる前にただすこと。それが私なりの忠誠だ。」
チェ・ヘサンは大砲を荷車に隠して運びました。キム・ムンはそのことをチェ・マルリに報告しました。チョン・インジは二人のやり取りを黙って聞いていました。
オム・ジャチは昭憲王后と側室たちを輿に乗せました。妃たちの輿の中には文字創製の文書が置かれていました。
「出せ。」
3つの豪華な輿と2つの輿が寺に出発しました。
出発した妃が3人なのに5台の輿が出発したことをチェ・マルリは知りました。
チョン・インジは気が付きましたが「思い過ごしだろう。王妃さまたちは王宮の騒がしさを逃れたのだ。王室からの貢ぎ物ならば輿に乗せてもおかしくはない。」と言いました。
チョン・インジはチェ・マルリらに見られたら集賢殿にまずい資料が残っていないか見てくるように命じました。
「とりあえず勅使のお手並みを拝見しよう。」
チェ・マルリはキム・ムンとチョン・チャンソンに言いました。
彰義門。
「結果的に世子様が彰義門で出迎えることになりましたね。」
ファン・ヒはヘ・スを迎えました。
「非常に熱烈な歓迎をしていただいた。」
「これは幸先が良いですな。」
「挨拶は不要だ。王宮の門を開けよ。」
「しきたりでございます。まずは式典にご出席ください。」
「いい加減にせよ領相(ヨンサン、領議政)大監。」
そこに王妃たちの輿が出てきました。
「王妃様のお寺参りでございます。どうぞお気になさらずに。」
「二通りに理解でキス。朝鮮の王后は国の実情に疎いか・・・もしくは王宮においては危険な資料が輿の中に入っているかだ。」
世子は表情を変えました。
「想像力が豊かですね。」
「想像か事実か確認してこそ任務を遂行できす。」
「輿を下ろせ。」
「できませぬ。」
オム・ジャチは断りました。
ヘ・スは輿の中を調べました。
「王后様の輿の中を調べさせていただきます。」
「王后様に対して無礼ではないか。」
世子は怒りました。
「輿を下ろせ。」
昭憲王后は命じ優雅に出てきました。
「ひとつお尋ねします。これは明のやり方ですか?礼儀をわきまえぬのが大国の手法ですか?」
「不届きな国を相手にするときは。」
「不届きな?その言葉すぐに後悔なさるでしょう。」
ヘ・スの手下は輿の中を調べましたが輿の中には何もありませんでした。
キム・ジョンソ、チェ・ヘサン、チョン・インジ、チェ・マルリたちもその様子を見守っていました。
「何もないだと?」
「ふっ・・・・今度は不届きな国の王后が無礼な国の勅使から謝罪を受ける番ですわ。」
昭憲王后はヘ・スに言いました。
「人が乗っていない二つの輿には何が?」
ヘ・スは無人の輿を調べました。パク尚宮とオム・ジャチは輿の鍵を開けました。中には黄金の仏像と大きな壺がそれぞれ入っていました。
「ご無礼をお許しください媽媽。」
「許しましょう。ひとつ忠告しておきます。他人の家を訪ねる時は当然守るべき礼儀があります。ましてや国とあらばどうでしょう。査察にしても公式訪問にしてももう少し慎重になるべきす。」
「これでご納得いただけましたね。公式な式典にご出席なさいますか?」
ファン・ヒはヘ・スに言いました。
「資料はどうやって運んだ?」世子は首陽大君に聞きました。
「資料は輿の中にありました。輿の底を二重にしたのです。仏像と壺の入った輿に関心を集中させ底に座布団を敷き詰め注意をそらしました。今回もチャン・ヨンシルのお手柄です。」
チェ・ヘサンはヨンシルが機密を運び出した報告を世宗に行いました。
世宗はヘ・スの査察を受けました。
「木製簡儀だと?」
「やっと試作品が完成したところです。」
ファン・ヒはヘ・スに案内しました。
「どこに隠した?」
「隠すとは?まことに残念ですが殿下は簡儀台をあきらめるとおおせです。この試作品は破壊し燃やしてもかまいません。」
「本物の天文儀器はどこだ?」
「まだ信じていただけませんか。随行者に探させてはどうでしょうか。」
「すでに王宮の中にはないということか。朝鮮が明に忍ばせた間者は誰だ?」
明の宿屋。
タミの弟のプンゲは朝鮮の密偵で東廠に潜入していました。
「ファン・チャンに会う?無理です。」
「どうしても会いたい。」
ソン・サンムンはプンゲに言いました。
「このままでは帰れない。明の韻学の疑問点を解きたいのだ。」
シン・スクチュはプンゲに言いました。
「無理な理由はご存知でしょう。彼は朝鮮に天文儀器を渡した逆徒とされています。」
「知っている。王様の熱意を考えろ。」
カン・フィはプンゲに言いました。
「間者として危険は犯せません。」
「文字創製への王様の熱意はそれほど大きいのだ。」
「・・・方法を、探してみます。」
ファン・ヒはヘ・スと話していました。
「間者などおりません。」
「これだけは誉めてやろう。朝鮮の情報力と素早い対応は感嘆に値する。天文儀器の秘密を盗んだチャン・ヨンシル。あの盗人を召喚する確実な名目ができた。」
明。
「チャン・ヨンシルを明で審問にかけろだと?」
チョ・マルセンはワン・ジンに聞き返しました。
「朝鮮の王でないことを幸いに思うことだ。」
「私を信じて少し待ってください。責任をもって天文儀器を破壊し王様の計画を阻止します。私の明に対する厚い忠誠心はご存じのはずでしょう。」
「もちろん忠誠心は信じておる。朝鮮の国王に対する忠誠心のことだ。」
「最後の機会をください。」
「もう遅い。」
シン・スクチュとソン・サンムンの泊まっている部屋が荒らされていました。
「王様からの親書もない。」
書類がすべて盗まれました。
「韻書とはな。その上朝鮮の国王からファン・チャンに親書まで。」
ワン・ジンはマルセンにスクチュらから手に入れた書物を見せました。
「王様はファン・チャン様のような優れた学者との交流をお望みなのです。」
「ファン・チャンの話は違うようだが。入れ。」
ファン・チャンが連れてこられました。
「始めようか。」
「朝鮮の王は文字創製を考えていますか?しらを切っても無駄です。東廠は五年前、朝鮮が蒙古字韻を入手した日から、その動きを注視してきました。日本にサンド。天竺に二度。蒙古のオイラーと部に四度。シン・スクチュとソン・サンムンが訪れています。そしてこの私まで利用を。」
ファン・チャンは言いました。
「飛躍がすぎると思いませんか。」
「朝鮮の王からの親書には声母と韻母を中心として韻学に関する高度な質問が書いてある。他の者とは違い私にはわかります。朝鮮の国の夢、それは新たな文字の創造です。」
ファン・ヒは自分がチャン・ヨンシルをあきらめて明に引き渡すように世宗に言ったことを思い出していました。
「なぜ文字創製を望むのです?」
ワン・ジンは世宗に聞きました。
「根拠のない憶測を外交の場に持ち込むことはできません。」
「憶測かどうかはいずれわかります。皇帝は最近の朝鮮に非常にお怒りです。」
「皇帝と余の考えが違うとは遺憾だ。天下の主人は皇帝や余ではなくすべての民だ。早くきづいていただきたい。」
「それは明への宣戦布告ですか。」
「余が平和を望んでいることはすでに伝えた。我が国は天文儀器を放棄するつもりだ。簡儀台と天文儀器をそなたの目の前ですべて破壊しよう。」
「手遅れです王様。我が明はチャン・ヨンシルを明に召喚する。断れば軍事的な征伐も避けられません。これが最後の機会です。明朝間の平和か、朝鮮の破滅か、どちらを選ばれますか?」
感想
これはまたたいへんなことになりました。このようなことが実際にあったのでしょうか?日本では詳しい朝鮮の歴史を今の平易な言葉で知ることができないのでわかりません。あと少しでテワンセジョンも最終回です。この最後の難関とどうやって世宗は乗り越えるのでしょうか。