「大王世宗(テワンセジョン)」(全86話) 第83話 思いがけない再会 あらすじとネタバレ感想
83話 思いがけない再会 あらすじ
「国を救うための会議をはじめます。」
チョン・チャンソンは号令をかけると妓楼の扉が次々と開きました。
「集賢殿の副提学のチェ・マルリだ。」
学士と思われる両班たちは揃って礼をしました。
「オー、コー、トン」
世宗はオという母音のつく単語を発音していました。
「トンも中声音がオでございます。」
ソン・サンムンは世宗に言いました。
「王様が文字創製を?野蛮な民のすることです。」
「その通りだ。」
チェ・マルリは答えました。
「阻止する方法はあるのですか?」
「文字創製を阻止する第一歩としてそなたたち地方の学者や有力者とともにぜひ力を合わせたい。まずは確実な証拠が必要だ。そのためにすでに王様に見張りをつけた。」
若い数人の学士は世宗を物陰から見張っていました。
ソン・サンムンとシン・スクチュは優雅にオのつく単語を発していました。
「何をしているのだ?」
「韻を踏んでいるように見える。」
「ただの遊びだぞ。」
「王様を見張れといわれたがどこが危険なんだ?」
若者たちには理解できませんでした。
「初声、終声の作業はいつになるか・・・。」
「気分を変えてウにしますか?」
ソン・サンムンは世宗に言いました。
世宗は侍従たちを見るとぼやけて見えませんでした。
世宗は柱にぶつかりました。
「殿下、お怪我はありませんか?」
「父上、すぐに医者を・・・・。」
「目の前に星が三つほどでたぞ。お前たち。王様の失敗を笑うと不敬罪に問われるぞ。」
世宗は寺の小僧を笑いました。
「不敬の罪というならこいつら全員百叩きにすればいい。私たちのヨンシルのように。国中の敵を全員個として見せるがいい。」
チェ・ヘサンは酔っ払い世宗に突っかかりました。
「私なら、津寛寺に火薬を突っ込む。最高の忠臣を見捨てた王に国を治める資格はない。」
世宗を見張る若者のひとりが言いました。
「全員殺せってば。」
カン・フィはチェ・ヘサンのもとに駆け寄りました。
「王様、今日わたしといっしょに死にましょう。有能な奴を見つけてまた見捨てるくらいなら・・・・・。お前たち、放せ!」
チェ・ヘサンは兵士に追い出されました。
「少しずつ長くなります。」
「それで最悪の場合どうなる?答えよ。」
世祖は御医に訊きました。
「死んで私の罪を償えるなら喜んで死にます。」
「治すのだ。手立てを見つけよ。」
「私には何もできません。」
「殿下のご協力で進行を遅らせるくらいは・・・・読書をおやめください。消渇による失明は防げません。」
「手足を切るか。それで視力を失わずに済むなら手足を斬りたい。」
「殿下・・・・・。」
「仕事が残っている。この目が見えてこそできる仕事だ。完成させなければ、さもなくば余は死んでも死に切れぬ。」
「私が差し上げる処方は絶対安静だけです。それでも完璧な処方とは言えません殿下。」
世宗が部屋を飛び出すとオム・ジャチが涙を流していました。
「殿下、お待ちください。殿下。津寛寺に行く。支度せよ。早く案内せよ。」
「できません。」
オム・ジャチは世宗の脚を握りました。
「不届きものめ。」
「私を殺してから行ってください。」
「研究を急ぐ。一刻の時も惜しんで文字を作り上げるのだ。」
「それでも、せめて今夜一晩だけでも・・・・・・。」
オム・ジャチは泣きつきました。
「尚膳。誰にも言ってはならんぞ。決して言うな。理由は、わかっているだろう。」
昭憲王后はその様子を見て目を潤ませていました。
「頻繁に、お越しいただいておりますね。」
ファン・ヒはヘ・スに言いました。
「集賢殿と翰林院との日程を細かく調整するためだ。」
「考えてくれましたか?難しい決断になると思います。」
チェ・マルリは酔っぱらっているチェ・ヘサンに言いました。
「お察しします。チャン・ヨンシルは息子も同然でしたから。彼が最後まで見せた王様への忠誠心を思えば怒って当然です。」
チェ・マルリは箱を差し出しました。
「ネイノーン!それはなんの真似だ。私を金で釣ろうというのか?ヨンシルのためなら乗ろう。あいつは忠臣だった。なのに王様は見殺しにした。その怒りで話に乗るかもしれん。だが金では動かされないぞ。」
「副使殿に差し上げるのではありません。ヨンシルの母親が生きています。心の傷は治せなくても生活だけでも助けたいのです。」
「明国は新兵器で、逆に朝鮮を狙ってくるかもしれん。」
「新しい王が君主になれば明が狙うのは蒙古だけです。」
「今上を引きずり下ろす気か。」
「王様は国の自主を叫んで暦や新兵器だけでなく文字まで作る気でいます。そんな朝鮮を明は許さない。」
「そなたと私は己の妄想のために忠臣を犠牲にした王を許せない。」
「今上はつまりわれらの敵です。今上の敵は明国。敵の敵は味方です。副使大監。」
「チェ・ヘサンが決心したか。ではいつ新兵器の技術を?」
ヘ・スはチョン・チャンソンに言いました。
「大人。」
「つけられたか。見るな。」
プンゲが二人を見張っていました。ヘ・スが追いかけるとプンゲはいませんでした。
「明国がチェ・ヘサンに接触するだと?そうだろな。ヘ・スが動いているとなればただの学術交流ではあるまい。人相描きを作れるか?」
チョ・マルセンはカン・フィとともにプンゲに訊きました。
「背中をむけていたので・・・・・。」
「チェ・ヘサンを野放しにしてはいけません。」
ファン・ヒは世宗に報告しました。
ヘ・スの呼びかけに遅れてプンゲが来ました。
「どこに行っていた?朝鮮に知人でもいるのか?」
「風にあたっていただけです。うまく新兵器技術を盗めるといいが。」
「今夜チェ・ヘサンと?」
「なぜその名前を?私は名前を言った覚えはない。」
「王に反感を持つ者です。奴が接触相手だというくらい推測できます。」
「お前は賢い。」
「お共いたします。」
「必要ない。チェの始末をすでに命じた。」
チェ・ヘサンは秘密資料を懐に入れ出かけました。東廠はヘサンの後をつけていました。
チェ・ヘサンはカン・フィに誘拐され世宗の前に連れていかれました。
「見失っただと?」
ヘ・スは動揺しました。
チェ・マルリが家を出るとチョ・マルセンが待っていました。
「重大な失敗でもしたような顔だな。一杯おごれ。」
「なんのことですか?」
「昇進したのだろう?祝いの酒をごちそうにならねばな。」
「そうです。おごらせてください。」
チェ・ヘサンは縛られました。
「明に新兵器の情報を渡そうとしたのか?」
世宗はヘサンに問いました。
「あれこれいわずに斬ってください。」
「その程度で済むと思うのか?」
チェ・ヘサンはどこかに連れていかれました。
「はっはっはっは。そなたがこのような妓楼を知っているとは。まさに隔世の感というべきかな。」
「お注ぎします。」
チェ・マルリはチョ・マルセンに酒を注ぎました。
「都の有力者だけでなく地方の豪族とも会っているようだな。さぞや上納の品もたまっておろう。」
「いけませんか?」
「私のやり方は嫌いだったのでは?」
「根本的に違います。私利私欲で動いているのではありません。この国を苦しみから救う善意の資金です。」
「目的のためなら手段を選ばぬというのか。猶更昔の私を思い起こされる。」
「私をこうしたのはほかの誰でもありません。今上です。文字創製のことはご存知ですね。」
「何を言っているのだ。」
「今上のすることをもう批判もしないのか。」
「少なくとも今上は国を滅ぼそうとはしてないからな。」
「もう大監と話しをすることはなさそうです。」
「あまり、行きすぎぬようにな。私はそなたを買っている。だがその行動が目に余るようではこの私がそなたを倒すことになる。肝に銘じておくがよい。」
チェ・ヘサンはカン・フィに洞窟の部屋に連れていかれました。
部屋にはたくさんの製図が置かれていました。部屋の奥からあらわれたのは杖をついたチャン・ヨンシルでした。
「お前は・・・・・・。」
チャン・ヨンシルはヘサンに礼をしました。
「これは、どういうことだ。」
「夢ではありません。大監」
ヨンシルの世話をしていたイ・スンジは言いました。
「チャン・ヨンシルなのか?」
「心配を、おかけしました。」
ヨンシルはヘサンに謝りました。
「一体、何があった。」
「殿下が・・・・・。」
「今度は閉じ込めるのか?穴倉に獣のように閉じ込めて働かせるのか。やーっ!こんなもの、感情はないのか。なぜなんだ。どうしてそこまでバカになれるのだ。お前を死ぬほどの目に遭わせたのだぞ。なんでまた仕えようとするのだ。お前も人だろ。心があるなら殿下に対して・・・・・。」
「父さん・・・・・・。」
ヨンシルはヘサンの肩に手を置きました。
「今上のためでなく父さんのためです。父として慕ってきたあなたと、開発したものが多すぎて。いえ。もっとたくさん作りたくて。だから。この手を・・・・・・。諦められませんでした。」
「・・・・・・俺を父だと?本当に俺を父と思っているならなぜ今まで黙っていた。誰より先に俺のところに来るべきだろう。」
「回復してから、行くつもりでした。今の私の姿を見て、心を痛めるかと思うと、見せたくなかった。」
「何を言ってるんだ。こんな体になってまで、まだ人のことを考えているのか?偉そうに何様のつもりだ。」
「それでも、手は無事でよかったでしょう?ここです。父さんの席ですよ?」
ヨンシルとヘサンは泣きました。
チェ・ヘエサンはチェ・マルリに金を返しました。
「どういうことですか。」
「ヨンシルの母親も喜ばないような気がしてな。」
「心変わりですか。」
「目が覚めたと言おう。」
「今こそ今上を・・・・・。」
「別の方法を探せ。」
「大監!」
「私はこれまで火薬と武器の中で生きてきた。だがな、火薬も武器も大嫌いだ。なぜだと思う。ひとを殺すためのものだからだ。敵に向けるのも嫌なのに朝鮮に向けられる可能性がある以上渡すことはできん。」
「軍器監に出ているそうですね。」
「そうだ。」
「武器が嫌いだと言いながら行動が伴っていないと思いませんか?」
「これからもどんどん強力な武器を開発するぞ。」
「大監。」
「その存在だけで朝鮮を狙うヤツはいなくなる。だがすべての武器が無駄になってほしい。そうするのはそなただ。その知識と外交力で明を説得してみろ。朝鮮も今上も明の敵ではなく友だと説得してくれ。そうすればいずれ新兵器は不要になる。」
チェ・ヘサンは去りました。チェ・マルリは腹を立てました。
「チェ・ヘサンを監視せよ。心変わりの理由がわかればまた懐柔できる。お前に任せよう。優秀なお前ならできるはずだ。だが失敗すれば、覚悟せよ。」
ヘ・スはプンゲに命じました。プンゲは頭を下げました。
「お前たちには別の監視を命じる。」
ヘ・スはプンゲを怪しんでいました。
世宗はまた新しい壁にぶつかっていました。
「文字を特性ごとに分類するにはどうすればいいのだ?」
世宗は焦っていました。世宗は目の前の大きな文字が書かれた紙すらぼやけて見えなくなっていました。
ハ・ウィジとパク・ペンニョンは世宗の秘密を探っていました。
世宗の目は拡大鏡を使っても見えませんでした。
「尚膳、上護軍のところへ行く。案内せよ。」
オム・ジャチは世宗の手を引いてチャン・ヨンシルに案内しました。
「あそこが王様の秘密研究所なのか?」
ハ・ウィジは気が付きました。
世宗はうまく歩けませんでした。そこにチェ・ヘサンとチャン・ヨンシルが仲良く現れました。世宗は小さな丘から転げ落ちてしまいました。
「殿下・・・・・。」
世宗は拡大鏡をヨンシルに渡しました。
「もっとよく見える瑠璃をくれ。明るく見える瑠璃を。視力を失っても文字がはっきり見える瑠璃を。そんな瑠璃を作ってくれ。」
「殿下。どういうことですか?何があったんですか?」
「殿下は、失明の危機にあられるのだ。」
「文字を完成させるには、光を失うことはできぬ。いや、弱った目でも見える瑠璃を作ってくれ。」
世宗は涙を流しました。ヨンシルもオム・ジャチも涙を流しました。
感想
目が見えないってつらい。休憩は大事ですね。無理してはいけません。みなさんも焦っても、体だけはゆっくり休みましょうね。チェ・マルリは謀反を企むまでになってしまいましたね。マルリは自分の信念に命を賭けているのでしょうか。だとすればある意味マルリは勇気ある人ですね。あと3話です。私は以前に一度テワンセジョンを見ているのでうっすらと内容を思い出してきました。精神的に幼稚でしたので今回見たときのような理解はありませんでしたが、ある程度知恵がついてからもう一度時代劇を見ると理解が深まっているようです。