オクニョ40話のあらすじと感想
あらすじ
ハン尚宮(サングン)とミン尚宮(サングン)とカン・ソノの三人は明宗がオクニョを側室に迎えようとしていることを知り慌てます。国王の明宗はオクニョのことが心配で心を痛めていました。チェヒはカン・ソノにオクニョが襲われて重症を負い意識不明であることを伝えました。
王の執務室。
明宗はオクニョを見舞うため外出の支度をするようにハン・ジェソに命じました。ハン・ジェソはオクニョが刺客に襲われた今、国王が外に出るのは危険で大妃の王への監視も厳しくなっているので考え直すよう諫言しました。ハン・ジェソは平市署(ピョンシソ)注簿(チュブ)ユン・テウォンがオクニョを看病していると言いました。
ユン・ウォニョンの家。
チョン・ナンジョンはチョン・マッケからオクニョに御医(王室の医者)が派遣され意識不明であることを知ると、オクニョに何としてでも死んでもらわねばならないとチョン・マッケとミン・ドンジュに言いました。
大妃の部屋。
ユン・ウォニョンが王への抗議で断食中の文定大妃(ムンジョンテビ)を見舞いに来ました。ユン・ウォニョンは姉の文定大妃(ムンジョンテビ)に明国の使臣が義州を越えて漢陽(ハニャン)へ向かっていると報告しました。明の使臣は女真族(ヨジンジョク)討伐のため朝鮮軍が国境を越えたことで、殺された女真族(ヨジンジョク)の中に明国の役人がいたことに激怒していました。明の使臣団は朝鮮の謝罪も受け付けぬほど怒っており交易も中断したのでした。文定大妃(ムンジョンテビ)はイ・ジョンミョンが国と明との関係を悪くしたとユン・ウォニョンに言うと、大妃の意を忖度したユン・ウォニョンはイ・ジョンミョンだけでなく大尹(テユン)を徹底的に排除すると言いました。
王宮の一角。
ソン・ジホンは部下のキュヨンとチェジョンから兵曹判書のイ・ジョンミョンの地位が危うくなっていると報告を受けました。ソン・ジホンは国王に謁見しようと二人に言いました。
王の執務室。
ソン・ジホンとキュヨンとチェジョンは明の使臣団が朝鮮に無理な要求を突きつけると予測し小尹(ソユン)がイ・ジョンミョンの罷免と大尹(テユン)の排除を企んでいると明宗に報告しました。ソン・ジホンは今からでも明国の使臣に会わなければならないと王に言いました。明宗は明国との外交はユン・ウォニョンが長年使臣団との関係を築いてきたのでユン・ウォニョンの言葉なら明の使臣団は信じるだろうと言いました。ソン・ジホンは王様がイ・ジョンミョンを後押ししてくれるなら我々でも十分使臣団を説得できると言いました。
ハニャンの街。
貿易商人のチャ・デミョンは落ち着かない様子で屋台で待っていました。そこにゴロツキのマ・チャンドが現れました。チャ・デミョンはオクニョの意識が戻らないとチャンドから聞いて動揺していました。そこにトンチャンが子分を率いて現れました。トンチャンはチャ・デミョンに大行首(テヘンス)が会いたがっているとマ・チャンドも一緒に連れて行きました。
その様子を見ていたオクニョの部下ヨンベは隠れるかどうかチョンスに相談しました。チョンスは最後までオクニョへの義理を貫こうと言いました。チョンスは兄貴のヨンベに商団を守るように頼みました。
ミン・ドンジュの商団。
チャ・デミョンとマ・チャンドと子分はチョン・ナンジョンに土下座して謝りました。
チョン・ナンジョンはチャ・デミョンたちを痛めつけるように命じるとチャ・デミョンたちはすっかり怯えてしまいました。チョン・ナンジョンは今回は見過ごすかわりに命令を聞くように脅しました。
街の外れ。
チェヒはカン・ソノにオクニョに深手を負わせたのはカン・ヨンチョンだったと報告しました。
カン・ソノはカン・ヨンチョンの首に短刀を突きつけました。ヨンチョンはひとけのない家に逃げ込むとカン・ソノに向けて刀を振り回しました。カン・ソノはヨンチョンを蹴り倒し首に短い刀を突きつけると誰にオクニョを殺すよう命じられたのか聞き出しました。
「誰にオクニョを殺せと指示された?」
「旦那が元探体人(チェタミン)ならわかっているはずです。命令に従うだけです。誰の命令か言いません。殺してください。」
「そちは分かっておろう。私の拷問を耐え抜いた者はおらぬことは事実だ。どのみち吐くことになるのだ。苦痛を受けた後に白状するか、それとも今ここで言うか。もう一度聞く。誰だ。」
「チョン・ナンジョン様です。チョン・ナンジョン様がオクニョを殺せと命じました。」
ユン・ウォニョンの家。
チョングムは庭を箒で掃いていました。
「無理は禁物ね。大事にしなきゃ。」
チョングムはお腹に触れました。そこにスングムが現れチョングムに因縁を付けはじめました。スングムは勝ち誇ったように箒をスングムに渡すとスングムはチョングムの頬を叩きました。チョングムはスングムの頬を叩き返すとスングムはチョングムの頬を叩こうとしました。そこにユン・ウォニョンが家に帰って来て何を騒いでいるのかと咎めました。スングムはチョングムがおかしな真似をしたので叱っていると言いました。チョングムは「私、できました」とユン・ウォニョンに言うと、ユン・ウォニョンはチョングムの手を引いて裏庭に行きました。
「でかしたぞ!あっはっはっはっは。」
「酸っぱいものが欲しい♪」
スングムはチョン・ナンジョンの部屋に駆け込むとユン・ウォニョンがチョンナンジョンの手を繋いだと泣きながら報告しました。
チョン・ナンジョンが庭に行ってみるとユン・ウォニョンはチョングムを伴い上機嫌で現れました。チョングムのは両班が着る青色の高価な服に着替えていました。
「チョングムは私の子を授かったのだ。わっはっはっは!」
ユン・ウォニョンは嬉しそうにチョン・ナンジョンに言いました。
「こいつめ!」
ユン・ウォニョンが言うとチョン・ナンジョンの表情が鬼のように変わりました。
「皆もよく聞け。もうチョングムは使用人ではない。ゆえに今後はしっかりお仕えするのだ。」
ユン・ウォニョンは使用人に言いました。
「はい。大監さま。」
どこからか現れたのか使用人たちが勢ぞろいしてこうべを垂れました。
ユン・ウォニョンは怒っているチョン・ナンジョンを連れて部屋に行きました。
チョングムは大きな態度でスングムたちに挨拶しました。
ユン・ウォニョンの部屋。
ユン・ウォニョンは今回だけは大目に見てくれとチョン・ナンジョンに優しく言いました。激高したチョン・ナンジョンはチョングムを絶対に認めないと言いました。
「お前はチョングムに指一本でも触れたら許さぬ!」
「大監。あんまりです!」
「また手荒なことをするならお前を追い出してやる!」
「大監!よくもこのような仕打ちを。」
「忘れるな。私は本気だからな!」
ユン・ウォニョンは怒りながら部屋から出て行きました。チョン・ナンジョンもすっかり頭に血が上ってしまいました。
チ・チョンドクの家。
テウォンはオクニョを看病していました。チ・チョンドクは膳を持って部屋に入るとユン・ウォニョンに休んでせめて食事だけでもしてほしいと言いました。
オクニョが目覚めました。
「ナウリ・・・おじさん・・・。」
「俺だ。分かるか。聞こえるか。」
ユン・テウォンはオクニョを励ましました。
「ナウリ・・・おじさん・・・私・・・私・・・。」
「そうだ。そうだ。生きている。生きている。」
チ・チョンドクは喜びました。
明宗はハン・ジェソからオクニョが目覚めたと聞いて喜びました。
チ・チョンドクの家。
チ・チョンドクはオクニョに薬を飲ませ、テウォンが寝ずに看病していたことを伝えました。
チョヒはテウォンを呼び止めると、オクニョを襲った犯人がチョン・ナンジョンだと教えました。
テウォンはユン・ウォニョンの家に行きました。
「あ。お兄様。」
ユン・シネはテウォンを見かけました。
ユン・ウォニョンの部屋。
テウォンは平市署(ピョンシソ)を辞めて外知部(ウェジブ)を育成すると父に打ち明けました。
「もし平市署(ピョンシソ)を辞めたら親子の縁を切る。」
「構いません。」
「本気か?オクニョという女のためか?女ごときのために親子の縁を切るのか?」
「今後は親子として会うつもりはありません。失礼します。」
テウォンは部屋を去りました。
「テウォナ!テウォナ!」
ユン・ウォニョンは机をひっくり返して怒りました。
テウォンは庭でチョン・ナンジョンとすれ違いました。
「お前がここに何用だ。」
「・・・・・・。」
「目つきは変わっておらぬな。お前が昔私に石を投げつけた時と変わってない。」
「・・・・・・。あんたがオクニョを殺そうとしたことはわかっている。オクニョにあんたが刺客を送ったことはわかっている。」
「ふ・・・出まかせを申すな。」
「俺はあんたを許さない。必ずオクニョを殺そうとした罪を償わせる。」
「オクニョに刺客を送ったのは誰か知らぬがよくぞやってくれた。私と大監の邪魔ばかりするあの者が死ねば天に感謝せねば。」
「いい加減にしろ!」
「この私に声を荒げるとは。旦那様のために、お前を見逃してきたがついに本性を表すとは有り難い。私の狙いはオクニョだけではない。お前とて無事では済まぬゆえ覚悟しろ。」
「あんたの悪行は決して許さぬ。今手を出さないのはどうすればあんたが一番苦しむか探っているところだ。待っていろ。」
ユン・ウォニョンは去りました。
二人が話しているところを見たシネは「お兄様」と何があったのと母に尋ねました。チョン・ナンジョンはシネがテウォンを兄と呼ぶことを許しませんでした。
イ・ジョンミョンの家。
カン・ソノは封筒を開けてイ・ミョンホンが危篤なので亡くなる前にオクニョに会いたがっているという知らせを受け取りミン尚宮(サングン)に教えました。
チ・チョンドクの家。
カン・ソノはオクニョを見舞いました。オクニョは布団から起き上がるとカン・ソノに謝りました。カン・ソノはオクニョに母のカビと縁のある従事官(チョンサガン)に会ったと教えました。
「その方は今危篤だ。世を去る前にお前に会って話がしたいそうだ。」
カン・ソノが言うとオクニョはイ・ミョンホンに会いに行きたいと言いました。
夜、オクニョは輿に乗りカン・ソノとチェヒの護衛のもとイ・ミョンホンの家に行きました。オクニョは痛む体をチェヒに支えられながらイ・ミョンホンの家に入りました。イ・ミョンホンは布団から起き上がりました。オクニョはイ・ミョンホンにおじぎをしました。
「お座りください。」
イ・ミョンホンはオクニョに言いました。
「オクニョと言います。」
「翁主媽媽(オンジュマーマー)。」
イ・ミョンホンはオクニョを見て喜びの表情を浮かべました。
「媽媽のお母上。カビ様は中宗(チュンジョン)大王の承恩(スンウン、ご寵愛)を受けました。」
カン・ソノも態度を改めオクニョに向き直して正座しました。
「あっ・・・・!」
オクニョは驚きました。
明宗の執務室。
明宗はハン尚宮(サングン)にオクニョを迎える準備をしたか尋ねました。ハン尚宮(サングン)は今は時期ではないので他の方法でオクニョを守ったほうがよいと言うと、明宗は怒りました。
「何を言う。あの子は私のせいで死にかけた。どうして放っておけようか!」
イ・ミョンホンはオクニョと二人きりで部屋で話しました。カン・ソノは庭に出てチェヒとともに待ちました。
「ナウリ・・・。私の母はどんな人だったのか教えてください。話していただけますか?」
「私がカビ様とはじめてお会いした時、私は内禁衛(ネグミ)の武官でした。武科の試験に合格しそのまま大殿に配属されて、すべてが新しく珍しく思えました。」
回想シーン。
東宮殿(トングンジョン)の内人(ナイン)カビが新任のイ・ミョンホンに王様と一緒にいる友人の内人(ナイン)の姿が見えないと尋ねました。イ・ミョンホンは友なら王様のお供で中宮(王妃)の寝殿にいるのだろうと言いました。カビが去るとイ・ミョンホンの上司が現れ何事かと尋ねました。上司は王様の居所を名も知らぬ者に教えてならぬと先ほどの女官を連れてくるように命じました。
イ・ミョンホンはカビを捜してもカビは見つからず、イ・ミョンホンは大殿の機密を漏らしたことで内禁衛(ネグミ)の従事官に拷問を受けました。
イ・ミョンホンはその後もカビが心配で捜しました。ある日、カビがハン内人(ナイン)とともにイ・ミョンホンを訪ねてきました。ハン内人(ナイン)はイ・ミョンホンに女官を探し回って変な噂が立ったら命が危ないと説教して去ろうとしました。イ・ミョンホンはカビに名前を尋ねました。
「あなたのせいで死にかけました。教えてください。そうしないと気が済みません。」
「私は、カビと言います。」
カビは答えました。気が強いハン内人(ナイン)はイ・ミョンホンにも名乗るように言いました。
「私はイ・ミョンホンと言います。」
イ・ミョンホンはこの日を境にカビに心を寄せはじめました。カビもまたイ・ミョンホンのことが気になりはじめました。
「そうやって、私たちは互いにひそかに恋しく思う日々を重ねていきました。」
ある日、イ・ミョンホンを松の木の陰から見ていたカビは、イ・ミョンホンと目が合い逃げました。カビに気づいたイ・ミョンホンは追いかけましたが、カビは髪を結ぶ布を落としてしまいました。イ・ミョンホンは帯の間に手紙を挟んでカビに返しました。カビは恋文を読んで喜びました。ある日、カビから宮殿の外で会いたいとイ・ミョンホンに連絡がありました。
待ち合わせ場所。
カビはやつれた姿でイ・ミョンホンに会いました。
「どうしてそのようなお姿に?何があったのです。」
「ナウリ。私と逃げてください。」
カビはイ・ミョンホンの手を握りました。
カビはある夜、水刺間(スラッカン)で文定大妃(ムンジョンテビ、当時は王妃)がチェ尚宮(サングン)と世子を毒殺する話をして食事に毒を混ぜていたことを見てしまったのでした。逃げるカビをチェ尚宮(サングン)は追いかけました。カビは赤い帯を水刺間に落としてしまいました。文定大妃(ムンジョンテビ)は帯を拾いました。
カビはハン内人(ナイン)のいる部屋に血相を変えて逃げ込みました。
文定大妃(ムンジョンテビ)はチェ尚宮(サングン)にカビの帯を渡しました。チェ尚宮(サングン)はこの帯は東宮殿の内人(ナイン)の物だといいました。
ある夜。
東宮殿の内人(ナイン)が文定大妃(ムンジョンテビ)の前に呼び出され、ユン・ウォニョンが内人(ナイン)をひとりずつ拷問しました。
中宮殿に連れていかれた女官は誰一人帰って来ませんでした。
カビはすぐに自分の番が来ると恐れていました。
カビとの待ち合わせの場所。
「ナウリ。助けてください。朝鮮から逃げましょう。明国へ。だめならどこかへ逃げましょう。ナウリ。私を助けて。」
カビは蒼白になりながらイ・ミョンホンに懇願しました。
「しかし私は卑怯でした。女官との内通が発覚すれば私は処刑されてしまいます。私は内禁衛(ネグミ)の従事官に昇進したばかりでした。処刑という言葉に恐れをなして私は何を失うか考えました。そして、泣いているママニムを王宮に返してしまったのです。待っていて欲しい。手立てを考える。少しの辛抱だと。しかしその考えは間違っていました。その日のうちにあの方と逃げていればよかったのです。」
イ・ミョンホンはオクニョに打ち明けました。
イ・ミョンホンはカビの手を離しました。
ある夜。
カビは泣いていました。
「その夜、私に拒まれ王宮に戻ったカビ様は中宗(チュンジョン)大王様のお目に留まったのです。」
カビは化粧をさせられ衣服を調え中宗大王の前に連れていかれました。カビは中宗(チュンジョン)に拝礼しました。
中宗(チュンジョン)はカビに近くに寄るように命じました。
「名を何という。」
「カビと申します。」
「歳はいくつだ。」
「二十歳になります。」
「酒をついでくれぬか。」
中宗(チュンジョン)が命じるとカビは震える手で酒を注ぎました。
「お許しください殿下。」
「大丈夫だ。それで、先ほどはなぜ泣いていた。訳を申してみよ。」
「私は、深く後悔することがありまして。」
「航海?」
「ある方に無理なお願いをしてしまい、それを悔やんでいたのです。」
「実は余も泣きたい気分だ。余も後悔することがあるのだ。今日は、清庵(チョンアム)の日だ。誰かわかるか?」
「チョ・グァンジョ大監のことですか?」
「そうだ。功臣を救えなかった。それが悔やまれてな。」
「先大王様はカビ様を側室に迎えると約束されたのですが、翌日中宮殿付きの者がカビ様のところに現れたのです。」
イ・ミョンホンは言いました。
東宮殿の女官がまた中宮殿の女官に連れ去られました。
カビは怯えていました。ハン内人(ナイン)はカビを落ち着かせようとしていました。
イ・ミョンホンは迷っていました。
女官がまた一人、ユン・ウォニョンの拷問を受けました。
ユン・ウォニョンはカビを連れてくるようチェ尚宮(サングン)に命じました。
ある夜。
チェ尚宮(サングン)がカビの部屋に行くとカビは部屋にいませんでした。チェ尚宮(サングン)は部下にカビを捜すよう命じました。
イ・ミョンホンはカビの手を取り逃げました。
「そうやってカビ様を宮殿から逃がしました。カビ様はハン尚宮様だけにはすべてを話しておきたいとおっしゃってました。翌日、私は出仕した足でハン尚宮(サングン)様を尋ねました。しかしハン尚宮(サングン)様はユン・ウォニョン大監に連れ去られていました。」
イ・ミョンホンはオクニョに言いました。
「はい。母と親しかったゆえに拷問を受けたと聞きました。」
オクニョはイ・ミョンホンに言いました。
「それゆえカビ様はハン尚宮(サングン)様に危害が及ばぬように何も話さぬほうがよいとお決めになられたのです。そのころ病だった私の父が亡くなりました。私は父の喪に服すると言い辞職しました。カビ様とともに都城(トソン)を離れました。いつ捕まるかわかりませんでした。カビ様と知り合って以来、はじめて穏やかな気持ちになりました。たとえ危険でもこれでよいと思いました。」
川。
カビとイ・ミョンホンは川を眺めていました。イ・ミョンホンは握り飯をカビに渡しました。カビは握り飯を半分に割り、イ・ミョンホンに半分渡しました。カビは吐き気をもよおしました。
「私は、愚かでした。」
「愚かとは?」
「その時、あの方のお腹には翁主様がいらっしゃったのです。」
「ええっ?」
「カビ様は宮中で先王様のご寵愛を・・・。」
川。
カビはイ・ミョンホンに中宗(チュンジョン)の寵愛の証を見せました。
「その日以来、私はカビ様への想いを胸にしまいました。そしてカビ様と翁主様をお守りすると心に決めたのです。しかし、国境を越えられず隠れるには無理がありました。どこに逃げようと大妃様とユン・ウォニョンの兵に見つかってしまうのです。カビ様と私が一緒にいると知れると私の家族もカビ様の家族も酷い目に遭いました。翁主様も大きくなられて追っ手から逃げるのは一層難しくなりました。」
竹藪の中。
「無理です。もう走れません。」
カビはおなかを抱えて座り込みました。
「ここは私み任せて都城(トソン)へ行ってください。」
イ・ミョンホンはカビに言いました。
「都城(トソン)へ?」
「人混みに紛れたほうが身を守れます。お腹の子がいつの日か無念を晴らしてくれます。」
イ・ミョンホンは刺客と戦いました。
イ・ミョンホンの家。
「追っ手を逃れ、私は明国へ行きました。二十年以上他国をさまよい病になりました。世を去る前に一目故郷を見たく、カビ様のご消息を聞きたかったのです。」
「お母さんは典獄署で私を産んで亡くなりました。」
「はい。カン・ソノ様から聞いてます。墓もないとか。翁主様もユン・ウォニョンとチョン・ナンジョンからひどい仕打ちを受けたそうですね。私は、結局、カビ様も翁主様も・・・お守り・・・できませんでした・・・・・・。申し訳ありません。申し訳ありません翁主様。」
イ・ミョンホンは泣きました。
「いいのです。謝らないでください。あなたのおかげで私は自分が何者かわかりました。」
「お許しください。お許しください。お許しください。」
イ・ミョンホンは何度もオクニョに謝りました。
感想
オクニョ40話の感想です。もうバレバレですが、オクニョの正体は王女様でした。しかも中宗(チュンジョン)の娘ですから、明宗とは・・・兄と妹、異母兄妹となるようです。仁宗(明宗の異母兄)の娘かな?という予測もあったのですが・・・そうじゃなかったようですね。カン・ソノが胡坐から正座に変わり「翁主様」と両手を突いてオクニョに接する場面もお決まりのパターンでしたね。
オクニョの正体がわかって驚く人はまずいないと思います(笑)
イ・ミョンホンとカビのエピソード、二人はお互い慕い合っていたけど、中宗(チュンジョン)が「チョ・グァンジョ」を寂しく思いながら晩酌する場面があるとは。本当に中宗(チュンジョン)はチョ・グァンジョを恋しく思っていたのでしょうか・・・・・・。それほどチョ・グァンジョが中宗(チュンジョン)にとって重要な人物だったみたいですね。
趙光祖(チョ・グァンジョ)は下級官吏の息子でしたが熱心な儒者で科挙を壮元(チャンウォン、首席)で合格したほどの人物です。清廉潔白な人物で大司憲にまで出世して中宗(チュンジョン)の信頼を得ました。この清さと実践重視の厳しさゆえに勲旧(フング)派に陥れられることになり、己卯士禍で士林(サリム)派の首領として38歳で賜死させられました。
オクニョですけど、一応架空の人物です。淑儀羅氏は出産時に逝去されたというそうなので、もしもオクニョのお母さんの苗字が「ナ」だったら、この人がカビになぞらえた人なのかなと思います。
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