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太陽を抱く月2話-前編 あらすじ-韓国ドラマ-ハン・ガイン主演

太陽を抱く月 2話あらすじとネタバレ感想 ふたつの月

2話あらすじ 前編

世子の寝所の庭。

世子イ・フォンが庭に出て夜空を眺めていると、赤色の傘が宙に浮かんでいました。
「もっ・・・もののけだーっ。」
内官(ネグァン)たちは傘を指さし怯えました。傘はゆっくりと舞い降ち世子は口を半分開き奇怪な様を見ていました。世子は傘を拾いました。
「あ・・・妖しき品を片付けよ。早く!」
内官のヒョンソンは部下の内官に命じました。
「邸下(チョハ)・・・。」
ヒョンソンは妖しき傘を持つ世子を心配しました。
「まさか・・・。また会えるのであろうか。」

両班のホ家の屋敷。
十三になる少女ホ・ヨヌは庭に佇んでいると、塀の方から物音がしました。
「まさか・・・刺客を送り込んだりしないよね。」
ヨヌが塀の上を見ると「解憂石(ヘウソク)」と文字が書かれた石と文(ふみ)が置かれていました。
眠れぬほどの悩みか?この石に話すがよい。人の悩みの身代わりになってくれる。悩みを持ち去り策をもたらすゆえ安心して眠れる。旅の土産だ。
 「あの方(陽明君)ね。おやめくださいと申し上げたのに。」

「はっ!」
ホ・ヨムキム・ジェウンが庭で木刀を握りしめ剣術の稽古をしていました。物陰から奴婢の少女ソルが二人の美男子が戦う成り行きを危ぶみながらも憧れの眼差しで見ていました。キム・ジェウンはホ・ヨムの剣を叩き落とすと振り返りソルを一瞥しました。ジェウンに見られたソルは逃げて行きました。
「やはり私には剣術の才がないようだ。修行をしても変わらぬ。」
文科の主席ホ・ヨムは武科を主席合格したキム・ジェウンに言いました。
「若様。お怪我はありませぬか。」
「その言い方はやめよ。何度言えば分かるのだ。そなたは頑固な男だ。陽明君は遅いな。約束の時間はとうに過ぎた。陽明君がおられるとにぎやかだがそなたと二人だけだと妙に寂しい気がする。」
ホ・ヨムの背後に陽明君が塀を乗り越え降り立ちジェウンに黙っているように口に人差し指を立てました。
「そなたがそれほど恋しがっていたら早く戻ってきたものを。」
ホ・ヨムは驚き声がする方を向きました。
「陽明君!」
「はっはっは。愛しのホ・ヨムよ。」
陽明君は喜々として両手を広げホ・ヨムに抱き着きました。
「主席合格おめでとう。」
「陽明君。」
ホ・ヨムは背中を叩く陽明君に困ったように言いました。
「キム・ジェウン!」
陽明君はキム・ジェウンに抱き着こうと飛び上がりましたがジェウンはひらりと身をかわしました。
「チッ・・・かわいげのない男だ。そなたには半分だけ祝いを言う。」
「・・・・・・。」
キム・ジェウンは(身分が違いすぎるため)沈黙していました。
「よい旅でしたか?」
ホ・ヨムは話題を変えました。
「実に楽しかった。ふっはっは。さあ。さあ。愛する友たちのために珍しい豆腐を買ってきた。酒宴でも開こうではないか。うん?行くぞ。」
陽明君は間に立つとホ・ヨムとキム・ジェウンの腰に手を回しました。

王宮の便殿会議。
「新たに推挙する侍講官(シガンガン)の名簿でございます。」
重臣のひとりが成祖(ソンジョ)に文書を渡しました。
「三人に絞ったのだな。」
成祖は言いました。
「はい。私を含め侍講院の主だった者たちとで審査を行い推薦が多い者を候補者としました。」

世子の部屋。
世子イ・フォンは二人の女官に手伝わせ濃紫の朝服に着替えました。
「新たに職に就く侍講官の件を探って参りました。」
内官のヒョンソンが部屋に入ってきて言いました。
「それで、誰が選ばれたのだ。」
「誰かまでは分かりませぬが最後まで選考に残った者の名簿を苦労して手に入れて参りました。」
ヒョンソンは袖の中から丸めた紙を取り出し広げました。
「名簿によりますと・・・ユン・ソンチョル、ユン・デホ、キム・ギジュ・・・。」
「ユン・ソンチョル、ユン・デホ、キム・ギジュ、そして次にパク・チホン、ユン・ピロン、チョン・ミン。最後にユン・シワン、チェ・ビョンフン。チェ・チス。」
「ご存知でしたか?」
「得意げに申すな。おばあさまが手を打ったな。いや。実際に動いたのはユン・デヒョンだ。ほかに分かったことは?」
「本日の夕講より新任の講師が担当すると。誰が来るのかはまだ・・・。」
「どうせ権力を狙う老いた獣であろう。それでは今回も皆を退かせるおつもりですか?」
「この私にそのような権限はない。」
「ならば?」
「私にできることは一つ。拒否権の行使だ。」
「チチチ・・・邸下(チョハ)ぁ。」
「よし。新米の講師がどこまで持つか試してやろう。」
「邸下ぁ。」

世子の勉強部屋。
「邸下。講師が参りました。」
ヒョンソンが部屋の中にいる世子に告げるとホ・ヨヌが入ってきました。
「王命(オウミョン)で侍講官を仰せつかりましたホ・ヨム。初めて世子邸下にお目にかかります。」
青色の朝服を着たホ・ヨムは世子に拝礼しました。世子はホ・ヨムを見ようともせず卓上の書物をちらちらとめくっていました。
「あっ!」
世子がホ・ヨムを見上げると世子は口を大きく開けて立ち上がりました。美男子ホ・ヨムの背後から後光が射していました。

大妃の部屋。
「ホ・ヨム?ホ・ヨムだと?侍講院(シガンウォン)に我々の者を一人も据えられず乳飲み子同然の者に席を譲っただと?どれだけ大事な席かわからぬのか。あれほど慎重に選べとそちに申したのに。」
大妃ユン氏は机を叩きユン・デヒョンに声を荒げました。
「ホ・ヨムは・・・世子殿下のご気性に耐えられませぬ。すぐに辞職するかと。」
「ほほう。そちは悠長なことを申すでない。ホ・ヨムは主上の信頼が厚い弘文館(ホンムンガン)の大提学(テジェハク)の息子。主上の胸の内がわからぬか。こたびの任命は次の世で我が一族を排除する布石なのだ。主上はすでに次の政局を考えておられるのだ!」

夜のホ家の屋敷。
ホ・ヨヌは兄の部屋に入りました。
「もう一緒に書を読む時間か。どの書を読むことになっていたのだ?史記(サキ、しき)かー世説新語(せせつしんご)かー。」
ホ・ヨムは机を挟んで座る妹をあやすように言いました。
「兄上のお顔に心配事と書いてあります。」
「ふっ・・・わかるか?」
ホ・ヨムは自分の頬を手でなぞりました。
「宮殿で何かあったのですか?もしや世子邸下がお兄さまのお悩みの種なのでは?」
「いいや。そうではない。世子邸下から難題を出されたのだ。」
「教えてください。私もお兄さまをお助けします。」
「本当か?」
ホ・ヨヌは三度頷きました。
「世子邸下は私を誤解なさっている。そんな世子邸下のお心を開きたい。誤解だけでない。私を師と仰ぐにはわだかまりがあろう。」
「お兄さまは悪くありません。もしかしたら・・・(私のせいかも)。」
「よいのだ。私が心配をかけてしまった。気にせずともよい。いずれ理解してもらえるだろう。」
「お兄さま。」
「何だ?」
「お兄さまは世子邸下のお心をつかみたいのですね?」
「策があるのか?」

翌日の世子の講義の時間。
世子はホ・ヨムを見ようともせずに拳の上に顎を置き書物をめくっていました。
「本日はここまでにいたしましょう。」
ホ・ヨムは世子に言いました。
「恥知らずな男よ。そなたは何も教えず禄をはむ気か?不届き千万だ。」
「講義を受ける準備が出来ておりませぬ。」
「教える側の準備不足だ。」
「では講義をする代わりに私が謎かけをお出しいたします。」
「謎かけ?」
「そうでございます。うまく解ければ邸下のお望み通り侍講官の職を辞しまする。しかし邸下のお考えが外れましたら・・・。」
「何だ?」
「私に師匠への礼を尽くし教えを請うてくださいませ。」
「取引か・・・よかろう。申せ。」
世子はだるそうにヨムに言いました。
「ではお尋ねします。世を一瞬で明るくでき世を一瞬で暗くできるものは何でございましょうか。」
「ふっ・・・簡単すぎる。」
「難しいと思います。」
「考えるまでもない。」
「では次の講義でお答えいただけますね?」
「次が・・・そなたと会う最後の日だ。」

世子イ・フォンの部屋。
「お兄さま。お父さまに叱られて学業に専念することになったのですか?うわぁ。こんなにたくさんお読みになるのですか?」
妹のミナ(旼花)公主(コンジュ)が部屋に入ってきてイ・フォンの机の上に積まれた書物に感嘆しました。ヒョンソンは気配を消して壁の陰に立って。
「ミナと遊んでやる暇はない。騒がず下がりなさい。」
「世子邸下、どうなさったのですか?」
ミナが右を向くとヒョンソンが固まっていました。
「何をしておるのだ?」
ミナ公主はヒョンソンに言いました。
「私がこうしておりますのは世子邸下のご命令です。邸下は今、侍講院(シガンウォン)に出された課題を解いておられます。」
「課題?どんな課題だ?」
ミナ公主は嬉しそうにチャンソンに尋ねました。
「下がりなさいと言ったであろう。」
「ん?話しておくれ。どんな課題なのだ?」
ミナ公主はチャンソンの袖を掴み揺すりました。
「世子邸下は世を一瞬で明るく出来き世を一瞬で暗くできるものは何かと考えておられるのです。」
「まぶたではないか?見ておれ。目を閉じれば世の中はすべて闇になり目を開けばすべてが明るくなる。」
ミナ公主とチャンソンはにやりとして世子を見ました。
「チチチチ。愚かなことを申す出ない。浅はかすぎる。だから話したくないのだ。勉学の邪魔だ。下がれ。」
ミナ公主は不満そうに部屋を出て行きました。

世子の講義の時間。
「正解は、君主の政治です。“中庸”では中和の道理を極めれば、天地が滞りなく発展するとか。」
世子はホ・ヨムに言いました。
成祖(ソンジョ)はユン・デヒョンら重臣を引き連れて世子の講義室の前に来ました。
「チチチ主上殿下・・・。」
内官のチャンソンは慌てて成祖の来訪を世子に知らせようと成祖は静かにするように命じました。
「よって君主が聖と徳を備えあまねく万事を改め調和で満たせば天地万物すなわち民らの暮らしは明るくなる。その逆なら民らの暮らしは暗くなる。ゆえに正解は君主の政治だ。」
世子は言いました。
「恐れながら私の見解は少し異なります。」
ホ・ヨムは世子に言いました。
「何と・・・申したか?答えが、違うというのか?」
「そのとおり。」
「ならば答えは何と申すのだ。」
「答えは・・・・・・。まぶたでございます。」
チャンソンはずっこけました。
「今そなたはからかっておるのか。」
「くだらぬ答えでもからかっては邸下をおりませぬ。」
「な・・・何だと?」
「経典になき答えはすべて低俗でございますか?」
「ならば幼子の言葉遊びを正しい答えと申すのか。」
「幼子の目で見れば、世の万物が問題ともなり世の万物が答えとなるのです。学問をする上で注意するべき処のひとつは知っていると思い込む高慢さです。そしてもうひとつは一方のみで判断する偏見です。高慢さと偏見が世子邸下の壁となっていることを悟られるべきです。」
「申訳ございません殿下。」
部屋の外。ホ・ヨムの父ホ・ヨンジェは息子の無礼を成祖(ソンジョ)に謝りました。
「君主の政治も正しい答えです。しかし、まぶたを閉じたままでは民たちの暮らしは見えません。政治は治められません。まずは学びの姿勢から正してください。」
ホ・ヨムは世子に言いました。
「誰かおらぬか。」
世子は立ち上がり従者を呼びました。
「はい。殿下。」
ヒョンソンは世子の講義部屋に入りました。
「はい邸下。どうぞご命令ください。」
「茶と菓子の準備をせよ。」
「は?な・・・何故ですか。」
「講義の後、師匠と軽く雑談を交わし、子弟の情を深めたい。」
「え?ならば・・・邸下。」
「本日これより師匠と仰ぎ礼を尽くし教えを請う所存であるのでこれまでの無礼を忘れ礼をお受けください。」
世子はホ・ヨムに頭を下げました。ホ・ヨムも立ち上がり世子に礼をしました。
「ようやく世子がまともな師匠と出会えた。」
成祖(ソンジョ)は微笑すると講義室を後にしました。

ミナ公主の部屋。
「あはははははは。あのお兄さまが?あのおえら~い世子邸下が?一介の講師ごときに根を上げたのか?あははははは。あははははは。」
ミナ公主は無邪気に笑いました。
「公主さまお声が大きすぎます。どうか品位をお保ちください。」
女官は困りました。
「利口な講師であるな。その者の顔が見てみたい。褒美を与えようぞ。」
「まさか公主が世子邸下のところへ?」
「この私が答えを当てていたことも教えてやらねばな!」
ミナ公主は部屋を出て走りました。
「公主様!」
女官たちは戸惑いながらミナ公主の後を走りました。
ミナ公主が世子と講義室から出てきた美男子ホ・ヨムを見ると世界がひときわ輝きました。ホ・ヨムがミナ公主の方角を向くとミナ公主は松の木に顔を向けて手で顔を覆いました。
世子とホ・ヨムは談笑しながら行ってしまいました。
ミナ公主はホ・ヨムだけを見ていました。

(後編へ続く・・・)

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