朱蒙(チュモン)58話
あらすじ
チュモンとオイは始祖山の洞窟の最奥のタムル弓を見に来ました。チュモンはかつて折ったタムル弓がもとに戻っていることに気が付きました。するとどこからともなく白髪の老婆(巫女)が現れタムル弓は扶余のものではなくチュモンのものだと言いました。
「そのタムル弓の主は扶余ではなくタムル軍とその大将チュモン様でございます。」
巫女がチュモンに告げると扶余の宮殿に雷が鳴りました。
金蛙(クムワ)王は昨日の夜から雷が鳴り体がほてるように熱く朝まで一睡もでずにいたら顔に大きなあざができていました。
「はるか昔からこの始祖山の巫女たちが神器の主が来るのを待っていました。私は主に会えという天命を果たせました。そのタムル弓の主はあなたですよチュモン大将。」
巫女はチュモンに言いました。
「金蛙(クムワ)王の後に王になるのが私の運命ですか?」
「弓の内側をご覧になってくださいな。タムル弓は扶余の神器ではないのですよ。」
チュモンが弓を見ると文字が書かれていました。
「世に利する朝鮮大王の物」
「タムル弓は扶余の国ではなくかつての古朝鮮の王を象徴する神器なのです。タムル弓は大王のもとで皆がこころをひとつにして天下をおさめ世の人々をすべて幸せにしたいという古朝鮮の悲願が込められた神器です。古朝鮮が滅ぼされて多くの部族や国に分裂する運命をたどったとき、それまで神器を守ってきた神官は扶余が必ず古朝鮮の後継者となって失われた土地を取り戻し古朝鮮の栄光を取り戻してくれるものと期待したのです。だからこそ神器のタムル弓を扶余に渡したのです。しかし扶余は初心を忘れ漢と結んで流民を苦しめ自らの身の安全のみに汲々とした。天は扶余に機会を与えたのに扶余はその期待を裏切ったのですよ。タムル弓は古朝鮮の大王たちが流した血と汗がしみ込んでいるというのに裏切者の扶余がその主を名乗るなどとんでもないことです。ようやくまことの主のもとにタムル弓が行けるようになったのです。チュモン大将こそがタムル弓の主なのです。ばらばらになった古朝鮮の民をひとつにしてください。」
(都合よすぎw)
クムワ王は医官長になぜ顔に大きなあざができたのか尋ねましたが医者も理由はわかりませんでした。
「おそらくこれは病などではなく災いの兆候ではないだろうか。扶余に降りかかるはずの災いがまず私を襲ったのだ。」
チュモンはオイにタムル弓を背負わせ山を後にしました。
「オイ。今日洞窟で見聞きしたことはお前と私だけの秘密にしておくのだ。決して誰にも話してはならないぞ。」
(なぜオイがその役目を負ったのか!?オイは三人組の中で一番人気ということか。)
ソソノとサヨンはタムル軍の返事がないことを懸念していました。サヨンは桂婁とタムル軍が手を組む前に誰が王になるか話し合っていないと言いました。サヨンは新たな国を建てるときは必ずソソノが王にならなければならないと言いました。ヨンタバルはソンヤンにヤンジョンが援軍を送った知らせをソソノに教えました。
本渓山にチュモンとオイは戻ってきました。マリはサヨンが援軍を求めてきたことをチュモンに報告しました。ヒョッポは桂婁を助けるべきだというと、チェサはそんな義理はないと言いました。マリ側とチェサ側は対立しました。チュモンはタムル弓の入った箱を巫女に祭壇に祭ってくださいと言いました。ピョリハが目を閉じて念じるとそれはタムル弓であることがわかりました。
クムワ王は帯素(テソ)を復権させました。テソは自分のことよりも扶余の未来に力を捧げると重臣たちの前で誓いました。王妃は「実の子が一番だとおわかりになったのでしょう」と安心しヤン・ソルランに王子を生むように命じました。ヤンソルランはイエソヤが王子をあやしている様子を見つけました。ヤンソルランは「妊娠する薬」を部下が持って来たらそれを振り払い「人に知られぬよう医者を連れてこい」と命令しました。
チュモンは始祖山の巫女が古朝鮮が滅んだのは漢に乗せられて国が分裂したからであり、古朝鮮の神器は三つあり残りの二つを探せと言いました。
「もしも二つの神器が邪な者に渡ればこの世は血の海になるでしょう。解慕漱(ヘモス)将軍は天命を受けましたが大業を果たせませんでした。もしかしたらあなたも志半ばで倒れるかもしれません。これから先大将が歩む道は漆黒の中を歩む断崖のように険しいでしょう。ご自分で残る神器を探すのです。」
桂婁は劣勢に立たされていました。ケピルは逃げるか何とかしなければならないと言いました。ソソノはサヨンに腕の立つ兵を五十人選ぶように命じました。
玄莬のヤンジョンのところにソンヤンが来ました。ヤンジョンはソンヤンに本軍の指揮を任せました。ソンヤンは卒本を国にして漢の属国の王と認めてもらいたいとヤンジョンに願いました。ヤンジョンは約束しました。ヤンジョンはソンヤンを後で殺すつもりでした。
チュモンはマリとチェサを呼び古朝鮮はどんな国だったか尋ねました。マリは王倹城(ワンゴムソン)で滅んだことしか知らない、古文書ならわかるのではないかと言いました。
(元盗賊の摩離(マリ)はいつから物知りになったんだろうw)
チュモンとマリとチェサはチェサの知り合いで漢人のチョン・ギョンスル大人が経営する古本屋に行きました。チョン大人はチュモンたちを歓迎しました。チョン大人はほとんどが焼けて残りの十冊ほどは扶余の書庫にあるのではないかと言いました。チョン大人は商団を保護してくれるなら今持っている品を渡してよいと言いました。チュモンは大人に約束をしました。チョン大人は箱を持ってきて開けると皮の布に古朝鮮の領土を記した地図がありました。チュモンたちは朝鮮半島から遼東、そして上海の東岸まで占めた領土の大きさに驚きました。
テソはナロに「よく訓練された兵」と本渓山に送り込みチュモンの動きを調べて報告するように命じました。帯素(テソ)はプブンノに密偵を統率する役目を命じました。
柳花(ユファ)姫はユリにと出された薬を怪しみ銀のさじをつけるとさじの色が変わりました。
「これは・・・もしかして毒?」
イエソヤは言いました。
「これを届けた侍女は誰だ。ヤンソルランの仕業だ。」
柳花(ユファ)姫は気がつきました。
チュモンはマリとヒョッポとオイとチェサ、ムゴル、ムッコとモパルモとムソンに古朝鮮の地図を見せ「これが我々が取り戻すべき土地だ」と軍を率いて桂婁を助けに行くと言いました。
「今は誰が王になるか考える必要はない。これは領土を取り戻すための一歩だ。すぐに出陣の準備を。」
「はい。大将。」
サヨンはソソノの言う通りに精鋭の兵士を集めました。
「ソンヤンの兵に漢軍まで加わってはまともに戦えません。ソンヤンの陣営に入り込んで物資を灰にするのよ。」
「あまりにも無謀だ。」
「私は敵陣に侵入する方法を考えておきました。歓迎の宴会をもてなすはずです。この兵たちに酒を届けさせます。」
兵したちは沸流(ピリュ)の陣営に酒を運びました。ソソノは荷物の壺の中に忍び込みました。兵士が壺を開けそうになると「あのう。一口お味見なさいますか」とサヨンは別の壺から酒を汲んで兵士に飲ませました。
チュモンは本渓山から兵を率いて出発しました。その様子をプブンノと兵士は見つめていました。
感想
面白いですね。なぜチュモンの息子が扶余に人質になっているのかな?ドラマにロマンを感じても、まったく嫌な時代ですね。人々の命なんかティッシュペーパーみたいに扱われていた時代でしょう?いつ他の民族が攻めてきて皆殺しにされるかわからない世の中ですから大陸の人々が実利を優先し君主であろうとも裏切る性格になったのは当然のことなんだと思います。