朱蒙(チュモン)66話
あらすじ
朱蒙(チュモン)はチョルボンの宮殿で飲まず食わず眠らずで五日間天地の神に祈りました。
「この身と引き換えにチョルボンを、高句麗をお守りください。」
チュモンは倒れました。
扶余宮殿。
「今チョルボンでは疫病が猛威を振るい飢えた民の間には動揺が広まっているようです。民を安心させるためにチュモンが祈りをささげていますが疫病は全土に広がっています。薬剤も食糧ももうすぐ底をつくでしょう。」
プドゥクプルは金蛙王に言いました。
金蛙(クムワ)王はたずなを弱めずチョルボンへ圧力をかけ続け早く決着をつけなければならないと言いました。帯素(テソ)王子は自分が兵を率いると言いましたが、クムワ王は自ら兵を率いると言いました。ヨンポ王子はほくそ笑みました。
帯素(テソ)王子の部屋。
「くそー。マウリョン巫女。マウリョン巫女は私のチュモンは死んだとおっしゃいましたね。なのにチュモンの奴が生きていたとはどういうことですか。」
テソ王子はマウリョンを殺そうとしました。
テソ王子はマウリョンを殺そうとしました。
「王子様。私はチュモンが死んだとは一度も申し上げたことはありません。」
マウリョンは怯えながら言いました。
「何を言うかー!私はマウリョン巫女の神通力を信じてもうしたのにそなたは私を騙したのですね。」
「王子様。どうか命だけはお助けを。」
「テソ!なんの真似ですか。剣を下げなさい。テソ。事を大きくするのはやめなさい。どうか剣を下ろして。」
王妃はテソをなだめようとしました。
「くそー!」
「テソ。焦ることはありません。機会はまた来ます。その時に逃さなければよいのです。」
金蛙(クムワ)王とヤンジョン、テソ王子とヨンポ王子は国境に行きました。
クムワ王はテソ王子とヨンポ王子に兵を率いてチョルボンの村々を攻撃するように命じました。クムワ王はプドゥクプルに行きチュモンに降伏するように交渉に行かせました。
「今降伏しなければチョルボンとチュモンの末路は悲惨なものになる。私はチュモンのみじめな末路は望んでいない。降伏すればチョルボンもチュモンも助かる。大使者はチュモンの心を動かして丸く収めてくれ。」
チュモンは気力を使い果たし床に伏していました。チュモンの祈りのおかげで雨がやみました。
「兵士たちを片付け村人も皆殺しだ。」
テソ王子はナロに命じました。プブンノが気が付くと村は扶余軍に襲われていました。
「プブンノめーおのれー。」
ナロはプブンノを襲いました。プブンノは馬に乗りチュモンのもとへ逃げました。
チュモンが気が付くとソソノは戻らずチョルボンは滅びの危機にありました。チュモンは身を起こすとプブンノが戻ってきました。行首のヤンタクはチュモンに村が皆殺しにされたと報告しました。チュモンは村を見ると国境の警備を強化するよう命じて再び天地の神に祈りを捧げました。
「どうか、チョルボンをお守りください。」
プドゥクプルがチョルボンの宮殿に来ました。チュモンはプドゥクプルと会いました。チュモンは扶余には跪かないと言うとクムワ王はチュモンにチョルボンの統治権を与えると言っていました。チュモンは扶余を信じませんでした。
プドゥクプルは扶余に戻りチュモンに断られたことをクムワ王に報告しました。クムワ王はチョルボンを攻撃するように命じました。
テソ王子とヨンポ王子が見守る中でチョルボンの貫那(クァンナ)と椽那(ヨンナ)の民たちは虐殺されました。
チュモンはタムル弓にほんとうに自分が弓の主なのか尋ねました。
「対象がくじけたら揺れているチョルボンはまとめられません。どうか気持ちを強く持ってください。」
巫女のソリョンはピョリハとともにチュモンに言いました。チュモンは後ろ向きになっていました。
オイと陝父(ヒョッポ)と摩離(マリ)はテソの首を取ってくるとチュモンに言いました。
「お前たちを死地へ送ることはできない。」
「大将は生きる道を与えてくれました。大将の命令なら命を捨てても惜しくありません。チョルボンと大将のために喜んで命を捧げます。」
「漢に負けない国を作るため戦ってきた大将に降伏をすすめることはできません。」
「チョルボンが滅びたら俺は何も残せない。行かせてください。」
「その忠誠心は深く心に刻んでおこう。だが死にに行くことは許せない。今の言葉を聞いて少しでも弱気になった自分を恥じた。天が私を見捨てるはずはない。お前たちは大事な弟分だ。お前たちが死んだら大業を成し遂げる険しい道を誰と歩めというのだ。死ぬ覚悟があるなら敵を突破する方法が必ずあるだろう。私が直接国境を見に行ってみる。準備してくれ。」
チュモンとサヨンは再会しました。サヨンが言うにはソソノは連合軍のせいでチョルボンに入れないということでした。チェサはソソノが戻れば連合軍に勝つことができると喜びました。チュモンはソソノを帰還させるために戦いました。
「タムル軍、ばんざーい。」
チュモンが言うと皆も叫びました。
チュモンとサヨンたちはソソノの商団を出迎えました。
「穀物のほかに疫病を防ぐ薬剤を探すのに手間取ってしまいました。」
ソソノはチュモンに言いました。
「よくやってくれた。」
チュモンは涙ぐみました。
チョルボンの民たちに穀物と薬剤が配られました。このことはただちに扶余の知るところとなりました。
クムワ王は自分がチュモンに殺される夢を見ました。
クムワ王は挹婁との道が開けチョルボンが穀物の調達が容易になったと知りテソを叱りました。
ソンヤンらチョルボンの君長は再びチュモンに忠誠を誓いました。
感想
この物語で一番厳しい局面だったのかな?チョルボンは危なかったですね。ソソノのおかげで交易路を手に入れたチョルボンは再び勢いづいてきました。クムワ王はついに残虐な本性をあらわしテソとヨンポと一緒に民の皆殺しをしてしまいました。悪党極まれりといったところでしょうか。でもこうしたことが現に世界のどこかで起きていると思うと人間というものは二千年たとうがいっこうに前進していないのだなーと思います。