刑事フォイル（シーズン1）第19話 癒えない傷（前編）あらすじネタバレ感想

刑事フォイル（シーズン1）第19話 癒えない傷（前編）

ENEMY FIRE プロローグ

1941年2月。

貴族の邸宅。

メイドのロウカッスル夫人は紅茶を主人に差し出しました。

「サー・マイケル。お茶はいかが？」
長年勤め年を感じさせるロウカッスル夫人はサー・マイケルに言いました。

「ありがとう。」

老齢のサー・マイケル・ウォーターフォードは言いました。

「産み立ての新鮮な卵もありますよ。召し上がります？」

「いや。卵はいい。ありがとう。」

「何も心配なさらないで。わたくしがこれからもお仕えしますから。」

「ああそうだな。これからも頼りにしている。」

「あてにしてください。」

「そろそろ出る時間だ。彼らが来る頃だろう。車の準備を。」

「玄関につけてあります。」

「すぐに行くと言ってくれ。」

「お伝えします。」

軍の車両と赤十字マークのトラックが何台も城に入りました。

「よーし。ついに到着。ディグビー館だ。どう思う？」

空軍医師のジェイミソンは言いました。トラックが石の豪華な鉢植えを倒して壊してしまいました。

「いや～大きいですね。」

空軍医師のレンは言いました。

「完璧だ。澄んだ空気。部屋数も多い。水道も使える。この戦時下に要望通りの物件があるとはついているな。」

ジェイミソンはご機嫌でした。

「ええ。でもいつまで使えるか。」

「何弱気なことを言ってるんだ。弱気なことは許さん。あ～浴槽その他はボイラー室の脇にある通路へ。婦長！看護婦諸君。案内しよう。ここは最高の病院になる。この階を看護婦宿舎にしよう。」

「ジェイミソンさん。この屋敷は不潔ですよ。ホコリが十年分溜まっています。担架が通らないので壁を壊していただかないと。」

看護婦長はジェイミソンに言いました。
「英国空軍 接収命令」
サー・マイケル・ウォーターフォードの屋敷の玄関に紙が貼られました。
「この階は看護婦宿舎にしよう。病棟はこの下だ。」
ジェイミソンは屋敷を見てまわりました。
「ジェイみそん先生この屋敷はひど過ぎません？だって不潔ですよ。ホコリが十年分くらい溜まってますし壁を壊していただかないと担架が通りません。手術室はどうします？ゼロから準備しないと。」
看護婦長ペトリーがジェイミソン言いました。
「仰せの通りに。婦長。患者の受け入れまで一週間しかない。そう心配するな。」
庭で車のクラクションが鳴りました。
「おっと。飛行機野郎共の到着だ。」

「ちょうど搬入中か？住民ともめなかったか？」
スマイズ空軍大佐はレンに言いました。
「先生が時間を無駄にしたくないからと。ええ。もう誰もいませんでした。」
レンは大佐に答えました。
「大佐。おはようございます。道中はいかがでしたか？」
ジェイミソンは愛想よく大佐を出迎えました。
「順調だった。どうもありがとう。忙しそうだな。」
「おかげさまで。中をご案内します。」
「混沌の中にも秩序ありって感じだな。」
「とんでもない。とっ散らかってるだけです。」

ジェイミソンはスマイズ空軍大佐をディグビー館の中に案内しました。ジェイミソンは病室にする予定の部屋を案内しました。

サー・マイケルとロウカッスル夫人は別邸に移りました。別邸のは民間の家と同じような大きさの家でした。ロウカッスル夫人は「ここに住むわけにはいかない」と館に戻り掃除婦として働くと言いました。
「お願いして館に館の掃除係に雇ってもらいました。ここに住むわけにはいきませんから。昼食時にはまいりますしご用があればいつでも。」
「ありがと。」
サー・マイケルは鞄の中から拳銃を取り出しました。
その様子をロウカッスル夫人は部屋の廊下から見ていました。

あらすじ本編

教会。

フォイルは「ロザリンド・フォイル　1932年2月没」と書かれた墓の前にいました。

「亡くなったのは？」

サムはフォイルに墓の主について尋ねました。

「九年前の・・・今日だ。」

「ずいぶん前ですね。」

「そうか。そんな前でもない。もう少しいてもいいかな。」

「どんな方？差支えなければ教えてください。」

「もちろん差支えないよ。尊敬され愛されていた。きっと君も好きになってくれたと思う。」

「今でも恋しい？」

「ああ。行こう。時間がない。」

空軍基地。

アンドリューはスピットファイアを着陸させ「風防を開けようとすると開きませんでした。

「私が開けます。」

外から仲間の兵士が「風防を開けました。

「ドレイクはどこだ？ドレイクの野郎。」

怒ったアンドリューは整備兵のドレークの所に行きました。

「フォイルさん。無事にお帰りになってよかったです。」

「お前に言われたくないね。」

「何か問題でも？」

「風防が開かない。整備がこれじゃ困る。」

「慌てたからでしょう。」

「慌ててなんかいない。よくそんな口が聞けるな。ドイツ野郎よりお前のほうがよっぽどたちが悪い。」

「私はちゃんとやってます。不満があるならどうぞ中佐に。」

「言っていいのか？空中戦がどんなものかお前わかってないだろ。戦争はお前にも公園の散歩と同じなんだ。」

「もう相手にするな。行こう。一杯おごるよ。」

ウッズはアンドリューを慰めました。

「修理しておけ。」

「やり直しますよ。もう一度。」

ヘイスティングズ警察署。

防空監視員のピーター・プレストンは退出の署名をしてから警察署を出ました。

「異常はなし。静かな夜でした。途中で眠れたぐらい。」

「プレストンさん。それは言わないほうがいい。防空監視員が寝てると知られればドイツ野郎が出てきますよ。」

受付係のリバーズは言いました。

ピーター・プレストンは玄関でフォイルと会いしばらくここに詰めると挨拶しました。

医師のレンはリバーズに上の人に取り次いでもらいたいと言いました。するとミルナーが出てきて足の治療でお世話になったと言いました。フォイルとミルナーはレンからジェイミソン医師は天才だと素晴らしさを聞かされました。レンはディグビー館で書類が無くなったり牛乳に消毒薬が入ったりシーツが破かれたり数々の事故が起きていると相談しました。レンはディグビー館を追い出されて領地のコテージに住んでいるサー・マイケルが怪しいと言いました。フォイルは怪しいからといって名士を調べることはできないと言うとレンは腹を立てて帰りかけました。ミルナーは対応はするので誤解しないでほしい、通報すれば捜査に伺うと言いました。

ターナー中佐はアンドリューを呼び喧嘩の原因は何かと問いました。アンドリューはドレークの整備に不満があると言うとエースパイロットのお前が整備兵と口論すると士気に関わると叱りました。出撃は十五回だと言うアンドリューに今夜ウッズと飲みに行ったらそのまま月曜まで帰ってこなくてよいと休暇を命令しました。

「いいか。ウッズはお前のことを尊敬している。ほかの若い者もそうだ。みんなを失望させるな。自暴自棄になるなよ。」

ヘイスティングズ警察署。

「お出かけか？見違えたよ。」

髪を下ろし革のコートを着込んでおしゃれをしたサムにフォイルは声を掛けました。

「お送りしなくていいですか？」

「ああ。もちろんだ。行っておいで。」

サムはパブに出かけました。

夜。

整備兵のドレークは扉をノックすると中から金髪の美しい夫人が出てきました。

「君に呼ばれたから助けに来たよ。」

「入って。」

ドレークは騎士風の言葉を使い、メアリー夫人の家の中に入りました。

歩道で彼を見つめる一人の男がいました。

ドレークは電球が切れヒューズが飛んだのが原因だとメアリーに言いました。メアリーは家に帰らない夫は何もできなくてダメだと言いました。

「開けてください。」

防空監視員のピーター・プレストンはドアを叩きました。

ドレークとメアリー夫人は口づけをしました。

メアリーは裏口からドレークを逃がしました。ピーター・プレストンはさっきまでいた男は誰かと問いメアリーから住民の情報を聞き出しました。

パブ。

ウッズは飛行機工場で働いているアンと戦争が終われば結婚する予定でした。

「不機嫌な時のあなたは嫌い。」

サムはアンドリューに言いました。アンドリューはサムに謝り家に帰りました。

「なんだかすごく酔った。水で薄めたビールなのにすごく酔った。」

フォイル家。

アンドリューが家に帰るとフォイルはワイシャツにベスト、ネクタイを締めたままスコッチを片手に読書をしていました。

「今の僕はみんなをがっかりさせてしまった。何もかもどうでもいい。じゃあ寝る。」

「それ口紅か。ほっぺたに。」

「ええ。飲んでて。」

「似合う色だ。」

翌日のディグビー館。

ジェイミソンは皮膚移植した患者の経過を見ていました。

「治ってきてますよ。八割方。素晴らし。」

すると停電が起き手術ができなくなりました。

「誰かが主電源を切ったんだ。」

レンはジェイミソンに言いました。レンはスマイズ大佐の来訪をジェイミソンに報告しました。

スマイズ大佐が病室を見回っていると「ブリッジズ大尉、君は気を付けの姿勢をとったほうがいいんじゃないか」と厳しく規律を指導していました。

離れのコテージ。

ドレークは金をサー・マイケルに無心していました。

ディグビー館。

「君の手法はあまりにも型破りだ。病室にアルコール飲料を置いておくのはダメだ。服装も乱れている。」

スマイズ大佐は病院の規律が乱れているとジェイミソンに言いました。ジェイミソンは患者服は囚人服みたいで指を動かせないことを想定していないとスマイズ大佐に口ごたえしました。ジェイミソンの言っていることは合理的でしたがスマイズ大佐は上に報告するぞと言って館を出ました。するとスマイズ大佐の車のボンネットに屋上から石造が落ちてきました。

空軍基地。

スマイズ大佐はアンドリューを呼びフランスまで行きUボートの偵察を低速飛行で行ってきてほしいと言いました。アンドリューが危険だ撃墜されやすくなると言うとスマイズ大佐はウッズにアンドリューのスピットファイア行かせることにしました。

ディグビー館。

「獅子と一角獣か。」

フォイルとミルナーは事件の捜査に来ていました。

「ここの紋章です。十三世紀からの・・・。言ったでしょ。」

レンはミルナーに言いました。フォイルはジェイミソンに尋ねました。ジェイミソンは事故続きでうんざりしていると言いました。

離れのコテージ。

ミルナーはサー・マイケルに質問に行きました。

1917年のベルギーのネシム高地で足を悪くしたので館まで行けないとサー・マイケルはミルナーに言いました。ミルナーはローカッスル夫人に事件当時館にいたか尋ねました。

「私は二階の廊下を掃除していたので何も目にしておりません。大きな音がしたので驚いて窓の外を見たらスマイズ大佐がおられてその後レン先生が階段を降りてきた足音が聞こえました。確信はありませんがどこからか走って来られたようでした。」

ディグビー館の庭。

「君、かわいい子だね。たばこはないか？悪いけど火つけてくれる？傷は治ったけど指が動かないんだ。明日余興があるから見に来なよ。誰かが大佐の命を狙ったのか？まあ・・・俺だったら外さないよ。たばこありがとう。」

ブリッジズ大尉はサムからたばこを貰いました。

日暮れ前の空軍基地。

「本当に感謝している。君が推薦してくれなかったら中佐は僕に任せてくれなかっただろう。万が一何かあったらアンに伝えてくれ。ずっと君を思ってたって。君が友達でよかった。ありがとう。」

ウッズはアンドリューに言うとスピットファイアに乗り空に飛び立ちました。

夜。

レンが帰宅するところを防空監視員のプレストンが呼び止め話があると言いました。

ドレークの家。

「これは何だ。」

ドレークは粗末な夕食に不満を漏らしました。

「コンビーフとキャベツ。うちにはそれしかなかったの。」

妻は言いました。

「こんなの食えるか。料理番組でも見て参考にしろ。」

「あなたのくれたお金じゃ何も買えない。父のお金も使い果たしたくせに。サー・マイケルとのこと気づいてないなんて思わないで。」

「教えてやらないとだめだな。」

「やめて。お願い。」

ドレークは腰からベルトを外すと妻をむち打ちました。

レンの家。

レンは妻のメアリーにゴードン・ドレークを家に入れたのか尋ねました。

「君はわかってない。僕が何を感じているか。」

レンはメアリーに口づけをしました。

「やめてよ。もう私には冷めてるくせに。」

フォイルの家。

「そこに置いたらチェックメイトだぞ。」

フォイルはアンドリューに言いました。

「父さん強い。」

「何があった。」

「僕は今飛んでない。今日、選ばれなかった。重要な任務に。半年前なら絶対に譲りたくなかっただろう。ほんと言うと外れてほっとしている。やりたくなかった。どうだってよかった。」

「それで罪悪感を感じるのか？」

「やっぱり感じるね。次はどうなるのだろう。僕はこれから・・・。」

「私としては二度と出撃してほしくないのが本音だ。でもそういうわけにはいくまい。この戦争が終わるまでは日々を生き延び最善を祈るしかない。少なくとも生き延びたい。」

空軍基地。

「出られない！開けてくれ！わーーー。うわーーー。」

ウッズは着陸するや否や飛行機から出火し炎にまかれていました。

「風防が開かない。もうすぐ爆発するぞ。早く開けろ。」

仲間の兵士がウッズを助けた後にアンドリューの飛行機は爆発しました。

ウッズは酷いやけどを負いました。

ヘイスティングズ警察署。

ミルナーはフォイルにドレークの素行の悪さを報告しました。

フォイルはサー・マイケルのコテージに行きドレークについて尋ねました。サー・マイケルはドレークの父のマーティンに塹壕から助けられたとフォイルに言いました。フォイルはドレークの家に行き妻から事情を聞きました。妻は顔にあざがありました。

アンドリューはディグビー館に行きグレビル・ウッズに会おうとしたら、やけどで目に包帯を巻かれて失明の恐れがあると看護婦長が言いました。

「実は僕の機体を貸したんです・・・だから一目会わせてください。」

アンドリューは婦長にウッズを見せてもらい大きな衝撃を受けました。

「ドレークに会う。君はアンを迎えに行け。事情を話して来てくれって言うんだ。」

アンドリューはサムに言うとバイクに乗って病院を後にしました。

フォイルは階段に絨毯があり音が静かになるのでうちにも絨毯を敷こうとミルナーに言いました。ジェイミソンは今夜の余興にサムと来るように招待しました。

サムはアンに恋人のウッズのことを言いました。

「嘘でしょ。失明って。グレビルはまだ十九なのに。あの整備兵でしょ？グレビルから聞いたもの。アンドリューも同じことで怒ったって。ドレークよ。あなたのせいでもない。アンドリューのせいでもない。会いたくない。今はまだ無理強いしないで。愛してるけど今は会いたいとは思わない。」

アンは傷物になったウッズを避けました。

夜、ディグビー館の余興。

病室ではフォイルを「迷刑事」と言い茶化す演劇が行われていました。患者たちは知っている人物を馬鹿にした演劇にとても喜びました。フォイルも楽しそうに演劇を見ていました。

「♪エッフェル塔のないパリ。四月の夕立のない春。手がかりなしのシャーロック・フォームズ。想像できる？できるとも。天皇なしの日本。だけど君のいない世界だけは想像できない♪」

「♪トラファルガー広場のないロンドン。フレッド・アステアのいないジンジャーロジャーズ。青色がない虹なんて正気じゃない。想像してみて。無理よね。♪

ドレークは道を歩いていました。

「おい誰だ。うっ。」

ドレークは何者かに殴られました。

ディグビー館。

「ごめんよ。」

レンは席を外して戻ってきました。

「泥だらけ。」

メアリーは言いました。

「♪いくら想像しても考えられない。君のいない世界は怖い。耐えられないからやめてくれ。絶対考えられない。君がいない世界なんて♪」

看護婦長とブリッジズ大尉は歌い終えました。

感想

アンドリューはドレークに殺されかかったようなものですからかなり落ち込んでいるようです。「刑事フォイル」に登場する食事はいつもゆでたような野菜と肉だけですね。まあ野菜と肉があるだけまだよいでしょう、戦争ですから。夜中なのにしっかり服を着込んでネクタイ締めたまま読書をしていたフォイルの心境はいかに・・・もしかしたらアンドリューを心配していつでも駆けつけられるようにそのような服装をしていたのでしょうか。ウッズが大けがをして傷物になったから将来のことを考えて避けるアン・・・。毎回思うのですがキャストがないので誰が出ているのか名前がわかりませんね。今回登場した俳優さんは有名そうじゃないですか。