王と妃 119話 睿宗崩御
あらすじ
睿宗は腐った足を母の大妃ユン氏と粋嬪ハン氏に見せて私はもう長くはないと言いました。
「私は全身が腐りかけているのです。」
睿宗は泣きました。粋嬪ハン氏は人間はしぶといものでキム・ジョンソも安平大君もやられてもすぐには死ななかったので殿下も長生きしてくださいと言いました。大妃は粋嬪に不快感を示しましたが苦しむ睿宗を見て「主上!」と声を出し泣きました。
粋嬪ハン氏は睿宗の嫡男は正統なので誰も即位を阻む者はいないと王妃に言いました。
王妃は斉安大君(チェアンテグン)を世子にするように睿宗に言いました。
粋嬪は斉安大君の摂政をすれば自分も手伝うと大妃に言いました。大妃は月山君はどうだというと粋嬪は資質はないと言いました。ならば乽山君はどうだというとしばらく沈黙して正統ではないから非難されるだろうと大妃に言いました。
粋嬪はハン・チヒョンに「乽山君を王にしてはどうかとおっしゃった」と笑いました。
「媽媽。お祝い申し上げます。願いが叶いましたね。」
ハン・チヒョンは粋嬪に拝礼しました。
「まだ油断はできません。」
「粋嬪の気持ちはわかっています。粋嬪は乽山君を王にしたいと企んでいます。そんな粋嬪が憎らしく思う一方で哀れにも思います。あなたが生きていたらどうなさいましたか。粋嬪の願いを叶えてあげますか?王子を王にしますか?乽山君が王になれば王子に未来はありません。粋嬪のことですから斉安大君を生かしておかぬはず。だからこそ悩ましいのです。」
大妃は世祖の位牌に向かって語りかけました。
ハン・チヒョンはハン・ミョンフェの家を訪ねお祝い申し上げます「府院君(プウォングン)」と言いました。
「気を引き締めなさい。よくよく用心するに越したことはない。」
ハン・ミョンフェは慎重になるよう浮かれているハン・チヒョンに言いました。
ハン・チヒョンが出仕するとチョン・チャンソンはいつにも増してハン・ミョンフェをおだてました。
「亀城君のことですがナム・イの謀反で疑われましたが王族という理由で見逃されました。」
「ええ。そうです。見過ごせません。」
「チョン大監。殿下が重病だという噂はお聞きでしょう。誰を世継ぎにしたらよいかと思われますか。」
「そ・・・それは・・・。」
「まだ世子が決まっておりません。今上が亡くなりでもしたら王位をめぐって争いが起きると思いませんか?」
「実は私もそれを案じておりました。」
「亀城君が問題です。亀城君は世宗大王の嫡子臨灜大君の子ゆえ王になっても問題はありません。」
「世祖の子孫がいるのにもってのほかです。」
「亀城君はそうは思わぬでしょう。だからナム・イたちと徒党を組もうとしたのでは?亀城君が事を起こすのではないかと心配です。」
ユ・ジャグァンは亀城君の家にいました。
「私は世間と縁を切った。もう帰りなさい。」
亀城君はユ・ジャグァンを追いかええそうとしていました。
「粋嬪が宮殿の内外を掌握しかねません。」
ユ・ジャグァンはしつこく亀城君に取り入りました。
「真っ先に粋嬪に協力したのはそなたではないか。」
「亀城君大監。世祖大王は若い人材を登用して老いた功臣と勲旧派を遠ざけようとなさいました。世子様を守り王室が子々孫々栄えるよう願ってのことです。その願いはもうすつつい得ようとしています。嘆かわしいことです。」
「月山君か乽山君が王になっても構わぬだろう。世祖の子孫だからな。」
亀城君は無関心を装いました。
亀城君は無関心を装いました。
「女に政治をさせるのですか?月山君か乽山君が王になれば粋嬪が王になるようなものです。大監。大監と私は世祖大王の寵愛を受けた臣下です。王子が王になるよう助けるべきでは?」
「そなたは宮殿を追い出されたが私はそれだけでは済まぬ。」
「私は亀城君大監には王の資質があると思います。若干二十八歳の若さで領議政になられました。功臣を圧倒していた気概はどこにいったのですか?大監も世宗大王の子孫ではないか。」
「そなたは人をたぶらかすのがうまいな。舌先三寸でナム・イを殺し今度は私の番か。」
「腰を低くしていても粋嬪は大監を殺すはずです。死を恐れていては何も成し遂げられません。」
「帰りなさい。」
「それでもお前は世祖大王の寵臣といえるのか。」
ユ・ジャグァンは亀城君の屋敷に向かって毒づきました。
「放っておけと言っただろう。腰を低くしろ。どんな侮辱を受けようとも傍系の子孫が生き残るにはそれしかない。自然の摂理だ。権力の行方もまた自然の摂理によって決まるものだ。」
亀城君は父の言葉を思い出しました。
チョン・チャンソンは大妃の部屋に行き亀城君はナム・イとともに謀反を企んだと言いました。粋嬪はチョン・チャンソンに続きを話させました。チョン・チャンソンは亀城君が謀反を企んだ罪を逃してはいけないと言いました。
「亀城君は問題です。粋嬪様に逆らう者は亀城君しかおりません。はははははは。大監は大仕事をなさった。」
ハン・チヒョンは肝を冷やして大妃殿から出てきたチョン・チャンソンに話しかけ笑いました。
睿宗はその話を聞いて怒りました。
「義姉上を慕っていた。母上よりもあたたかな情を感じていた。私の息子までは殺したりせぬだろう・・・。殺しはせぬだろう?はあっ!」
「殿下!殿下!誰かおらぬか。」
チョン内官は苦しむ世子を横にしました。
チョン内官は人を呼びましたがパク内官とホン内官は知らぬ顔をしました。
「行くな。内官たちはわざと私を無視しているのだ。今頃世継ぎの件が述べられておるだろう。王子じゃないだろう。私を助けてくれる者は誰も・・・おらぬ・・・。」
「殿下。息をなさってください。」
「チョン内官・・・。」
遅れてホン内官が部屋に入ってきました。
「貴様!何をしていた!」
チョン内官は怒りました。
「御医を呼びますか?」
王妃は粋嬪に御医を常に睿宗の傍に置いてくれと泣きつきました。粋嬪はこんなときに泣きわめいては体面が保てませんと王妃に冷たく言い放ちました。
睿宗の意識は戻りませんでした。
「殿下のご様子はいかがでしたか?」
ホン内官は意地悪くチョン内官に言いました。
「私から天に三度も王の臨終を伝えなければならないとは。私は前世でどれほどの罪を犯したのだ。なんという運命なのだ。」
チョン内官は月を見上げました。
パク内官はハン・チヒョンに睿宗の危篤を伝えました。
大妃は二人の息子を亡くすことになり悲しみました。王妃と王子は睿宗の危篤に立ち会いました。
「殿下が危篤というのに人がいないとは!なんてことなの!」
王妃は従者に言いました。
ハン・ミョンフェは乽山君を宮殿に連れていくようにハン・チヒョンに言いました。ハン・ミョンフェは睿宗が亡くなったその日に王になる即位式を行ったほうがよいと言いました。ハン・チヒョンはこのことを粋嬪ハン氏に言いました。
ハン・ミョンフェは功臣らを参内させました。
「夫人。私は母上の恨みを晴らすため参内する。義父上にも世話になった。王になったら夫人に恩返しをしたい。」
乽山君は妻に言い輿に乗りました。
「お祝い申し上げます殿下。」
ハン・チヒョンたちは乽山君に平伏しました。月山君も仕方なく乽山君に平伏しました。
「大妃媽媽は乽山君を王にするつもりだ。そのつもりで準備せよ。」
ハン・ミョンフェは重臣たちに言いました。
ユ・ジャグァンは孝寧大君の家に行き粋嬪ハン氏を阻んでくれと頼みました。
「そなたは重臣たちが斉安大君(チェアンテグン)を王にしようと言っていたら反対していただろう。」
「殿下がお気の毒ではないのですか。幼子と王妃を残して旅立てません。」
大妃と粋嬪は仏に祈っていました。イム尚宮は粋嬪に乽山君の参内を報告しました。
朝になりました。ホン・ユンソンは朝酒を飲むと言い部屋を出ました。すると睿宗が崩御したという知らせが入りました。
「殿下ー。亡くなるとは青天の霹靂です。殿下ー。」
ホン・ユンソンは地面に平伏しました。
睿宗が世を去りました。シン・スクチュが王の死を確かめました。それが辰の刻でした。一晩中昏睡状態だった睿宗は遺言を残しませんでした。睿宗の忘れ形見は五才の幼い王子だけでした。
重臣と従者たちは寝所の前に集まり泣きました。
シン・スクチュが大妃の部屋行くとハン・ミョンフェが部屋で頼み込んでいました。ハン・ミョンフェは王位を就く方が喪主になるべきだと言いました。
「乽山君は先王様の甥で大妃媽媽の孫にあたります。」
「息子は王子がなるのが当然です。」
粋嬪ハン氏は大妃の部屋の外で話を聞いていました。
感想
睿宗はほんとに病人の演技が上手でした。それしか感想がありません。睿宗は謀略とかそういうことに関しては何の考えも持っていなかったような感じで描かれていましたね。それに対し大妃は粋嬪の狙いに気づきながらもどうすればいいかわからず悩んでいました。大妃には味方がいませんから王子を守ることができません。ユ・ジャグァンは亀城君と孝寧大君に取り入り起死回生か何かを企んでいるようですが・・・ユ・ジャグァンも劣勢であることに気が付かないのでしょうか?気づいてないはずがないと思うのですが、彼はナム・イを殺してしまったことで自ら劣勢になってしまいましたね。