太陽を抱く月1話あらすじとネタバレ感想 恋のさざなみ
1話あらすじ (後編)
成祖(ソンジョ)の放榜禮の式典。
「平伏四拝。」
官僚たちはひれ伏しました。朝廷の重臣の娘、少女ホ・ヨヌも一緒になって平伏していました。
イ・フォンの寝所。
「日焼けをしてはならぬ。」
薄紫の衣に身を包んだ世子イ・フォンは朱色の傘を開きました。
「文科主席合格者ホ・ヨム。武科主席合格者キム・ジェウン。二人とも前に出よ。次席キム・セミン。イム・ビョンウク。同じく前に出よ。」
ホ・ヨムとキム・ジェウンたちに酒と肴が下賜されました。
「お父様のお顔を見てみよ。ほれ。口の端が下がっておる。嬉しいことを必死で隠しておられるお顔だ。」
シン夫人はヨヌに言うと玉座の隣でヨムを見る夫のホ・ヨンジェを見上げました。シン夫人は娘を見るとヨヌはいませんでした。
ホ・ヨヌは黄色い蝶を追い宮中に迷い込んでいました。
イ・フォンは日傘をさしたまま塀に竹のはしごを掛けるとはしごを登りました。そして後ろを振り返ると若葉色のチマに鮮やかな赤色のチョゴリを纏った美しい美少女ホ・ヨヌに見とれてしまい梯子から落ちてヨヌとぶつかり倒れてしまいました。イ・フォンとホ・ヨヌは抱き合うように横に倒れました。
「ううううわあっ。・・・・・・。そなたはセンガクシではなさそうだな。どうやってここへ入った。」
「若様こそなぜ塀を越えようとなさったの?」
「おほう。問いかけてよいのは私だけだ。宮殿に忍び込むなど大逆罪なのだぞ。」
「私は、文科に主席で合格したお兄さまの放榜禮(パンバンネ、ほうぼうらい、科挙合格者が王に拝謁し褒美を賜る儀式)のために来たのです。」
「信じられぬ。」
「信じられなくても構いませんが宮殿の品を盗む盗人は見逃せません。今兵を呼んでまいります。」
ホ・ヨヌは行こうとしましたがイ・フォンはヨヌの腕をつかみました。
「宮殿の品を盗んだだと?すっ・・・少し道に迷っただけだ。私も兄が文科で主席で・・・いや、武科で主席で入った口で・・・。」
イ・フォンが黄色い絹の袋を拾うと中の菓子や豪華な物入れと文箱と筆がこぼれ出ました。
「こ・・・これはつまり兄上が王様より・・・。」
「宮殿に盗人が入りました。隠月(ウノル)閣に・・・・・・。」
イ・フォンはホ・ヨヌの口を塞ぎました。
「何者だ!」
兵士が集まってきました。
イ・フォンはホ・ヨヌの手を掴むと楼閣の裏に逃げました。
「お前のせいでひどい目に遭った。」
イ・フォンはホ・ヨヌに言いました。
「ぞんざいな物言いですね。」
「私のほうが年上だ。」
「決めつけないでください。おいくつですか?」
「お前の歳から二つ引いてみよ。」
「十一歳なのになぜ年上のふりをしたの?」
「お前の歳は十三歳か。予想通りだ。私が二つも上だ。どこへ行く。」
「ですから兵を・・・。」
「誤解だ。私は盗人ではなく兄上が武科に主席合格を・・・。」
「他人のせいにしたり嘘をついたり武科に主席で合格したのは私のおにいさまの親友で弟はいないのです。」
「おっ・・・弟はおらぬのか?あ。わかった。すべてを話そう。今更隠しても仕方がない。実は私は兄上に会うためだ。」
「今度はどの兄などと偽るのですか。」
「違う。本当の話だ。私の兄上は・・・側室の子ではあるが誰よりも心許せる人だ。文武両道で誰よりも優れているのに科挙を受けられぬ。国の柱となる人材なのに政治に関われぬのだ。父上を敬愛しているが父上からの愛は受けられぬ。人々から愛されるが人々の前には立てぬ。そして・・・兄上が虐げられる理由は私にある。父上の目を恐れてか兄上は久しく会いに来てくださらぬ。だから私のほうから訪ねようとしたのだ。信じてくれるか。」
「ご自分を責めないで。」
「何?」
「若様が嫡子なのも兄上様が側室の子なのも誰のせいでもありません。なぜご自分を責めるのですか?」
「先ほど他人のせいにするなと怒ったではないか。」
「君子天に恨みを持たず非難してはならぬ。」
「論語を学んだのか?」
「農民は畑のせいにはしない。楽士は楽器のせいにはしない。原因は周りにあるものではなく本人にあるのです。若様がお慕いになるほどのお優しいおにいさまなら若様を・・・責めたりはしません。だから若様もご自分のせいにしないでください。」
イ・フォンはホ・ヨヌの言葉に聴き入っていました。
「ふ・・・。」
「そういう身分制度は主上殿下が解決すべきことでは?逸材の前途を閉ざし兄弟の間を裂く制度なら、改めないと。この国の法は理解できぬものばかりです。両班だの下人だの身分を区別するもこともお父様は女が過ぎて学ぶことは法に背くことだと・・・はっ。」
ホ・ヨヌは法を犯したことを白状してしまい口に手を当てました。
「つまり、主上殿下の政治は誤りであると言いたいのか。」
「あ・・・いいえ。」
「ふん。今度は私が兵を呼ぶ番だな。」
イ・フォンは立ち上がりました。
「おやめください。」
ホ・ヨヌはイ・フォンの腕を両手で掴みました。
「では私はどうすればよいのだろうか。」
「その・・・今の話は聞かなかったことに・・・。」
「ふっ・・・ならば私が盗人ではないことはわかったな?」
「いいえ。」
「なぜだ。まだ疑うのか。」
「先ほどの袋の中身は何ですか?」
「これはすべて私の物だ。これでよいか?」
「高級そうなものばかり。なぜそんな品をお持ちなのですか?」
「甘い顔をしてやればつけあがりおって。私はこの国朝鮮の・・・・・・。だから私はこの国朝鮮の・・・内侍(ネシ、宦官)だ。」
イ・フォンは威張ると最後は小さくつぶやきました。
二人は宮殿の中心に戻りました。
「お話しください。内侍の俸禄であのような高級品は買えませぬ。」
ホ・ヨヌはイ・フォンと並んで階段を降りました。
「ヨヌや!」
シン夫人はホ・ヨヌを見つけると駆け寄りヨヌを抱きしめました。
「お母さま!」
「ああっ。ああよかった。」
イ・フォンは武漢に「口を聞くな。黙っておれ。一言も話してはならぬぞ。口を聞けばひどい目に遭うぞ」と命じました。
「どこに行ってたの?」
シン夫人はヨヌの頬に優しく触れました。
「若様。」
ホ・ヨヌはイ・フォンを呼びました。
「私は過ちを認めて罪を告白した。これでよいな。ああ盗品は隠月閣にあるのでご案内します。」
イ・フォンは武漢の背中を押して立ち去りました。
宮殿の門。ホ・ヨヌは輿に乗り家に帰るところでした。
「お待ちくださいお嬢様。渡すよう頼まれました。」
赤い服を着た女官が走って来ました。
「誰に?」
「隠月閣の若様と申せと。」
「あの内侍の若様ですか。それで何でしょうか。」
女官はホ・ヨヌに若葉色の絹の包みを渡しました。
「悔しいことに言いたいことが言えず考えると腹が立ったので書いたと伝えよと。賢ければ意味が分かるであろう。」
イ・フォンは女官に文を持たせました。
「ほかには何か?」
ホ・ヨヌは女官に尋ねました。
「夜道に気を付けよ。そう申せ。」
イ・フォンは女官に伝言を伝えていました。
「とのことです。」
「心配してくださるなら悪人ではありませんね。」
ホ・ヨヌは文を受け取りました。
「それで、宮殿の外の何がそなたを誘惑したのだ。何が不満で王宮の外に出たがるのだ!」
成祖(ソンジョ)は世子(イ・フォン)に説教をしていました。
「ただ・・・陽明兄上と学問を論じたかったのです。」
「お前が論じる相手は宮殿中におる。」
「恐れながら。侍講院(シガンウォン、世子の教育を担当する部署)のどの講義も感銘を受けませぬ。」
「何だと?」
「激しい論戦なしで学問の壁は破れませぬ。疑いを持たずしてどうして世を理解することができましょう。兄上と論じれば・・・それが可能なのです。」
「塀を越えようとした言い訳か!」
成祖(ソンジョ)は厳しくフォンに言いました。
「出来心で過ちを犯したと反省しております。」
「そちらは世子に何を教えていたのだ!そのほうらを解任し後任が決まるまでほかの者が世子の講義をいたせ。」
成祖は官僚たちに怒鳴りました。官僚たちは低くした頭をさらに床に近寄せました。
「世子は無駄にした時間を補うように。今後はすべての同行を禁ずる。」
夜。大妃の部屋。
「侍講院(シガンウォン)が騒がしいようだ。」
大妃ユン氏はユン・デヒョンに言いました。
「大々的に人事改変が行われるでしょう。」
「次こそ世子をよき師に会わせたいもので。心配なものだ。侍講官は大切なお役目。次期政局の王を決める職です。」
「すでに、手は打っております。」
「将来国王となられる世子のためにも次期政局のためにもわが一族の責任は大きい。特にそなたの責任は重大ですよ。」
都城の町。
「さあ。星宿庁(ソンスチョン)の国巫をしのぐ子供巫女の神力だい。漢の名医も商売あがったり。万病に効く神秘の石。限定五十個だ。さあさあ残りわずかだ。欲しい人は番号札を。」
男が言うと人々は群がりました。
「国巫様。あれでございます。子供を利用して荒稼ぎしています。食事を与えず死ねば別の子供を買い商売を続けています。色町に売る子も・・・。」
女官は黒く透き通るベールで顔を覆い視察に来た国巫チャン・ノギョンに言いました。
「中に入ってこの目で確かめよう。」
国巫のチャン・ノギョンと女官は占い小屋に入りました。
「肩に邪悪な気を感じる。肩から肘にかけて神経痛がある。」
少女は客の女性に言いました。
「竜宮、竜宮、竜宮、竜宮・・・竜宮の仙女様は悪霊がついていると。しかもとてもやっかいな・・・」
男は衆生に適当に言いました。
「二つの太陽・・・」
チャン・ノギョンは占いを見に来た陽明君を見て心でつぶやきました。
「神秘の石二号をどうぞ。二十両です。」
男はありがたがって石を受け取りました。
「ところで、お前さんはどこが悪いんだい?」
順番を待っている男は陽明君に言いました。
「私は・・・猟をしていて足をひねってしまって。」
陽明君は少女の乾いた唇を見つめながら言いました。
石を売った男が陽明君に話しかけた男に合図をしました。
「さあ次のお方。」
陽明君は足を引きずり少女の前に腰かけました。
「山の獣の怨霊が足につきけがを・・・お、光が見える。とてもきれいな黄色。赤色かな。」
「光?どんな?」
陽明君は少女に尋ねました。
「おなかがすいた・・・。」
「竜宮、竜宮、竜宮。四号程度がよいとおっしゃいました。」
男は陽明君に石を買わせようとしました。
「やせ細り腹が出て腸からは奇妙な音がする。脾臓と胃が弱り体に水が足りぬせいだ。」
「何を言い出すんだ。」
男は陽明君に言いました。
「飢えて衰弱しておると申しておる。神秘の石二号でお前を殴ろうか?」
陽明君はそう言うと少女の胸元の衣を開けました。
「首筋のあざは何だ。手首にもある。体はあざだらけか?」
「いや。その。あざができやすい体質でして・・・。」
男は言い訳をしました。
「なんだか怪しいな。飢えている?どういうことだ?」
人々は疑いました。
「目を閉じて。」
陽明君は少女に言うと少女は目を閉じました。陽明君は懐から菓子を出すと少女に見せました。少女は菓子を奪うと食べました。
「おなかがすいたよぉ。うえーん。」
少女は泣きました。
「こいつらは詐欺師か!」
民衆は暴れました。
「役人に連絡を。」
陽明君はチャン・ノギョンに言いました。詐欺師の男は少女を抱いて逃げました。
「いやだ。ぶたれたくないよ。おじさん。」
「その娘を離しなさい。」
チャン・ノギョンは男に言いました。兵士が集まり男は少女を置いて逃げました。陽明君は詐欺師の男たちを素手で倒しました。
夜になりました。
イ・フォンが夜空を眺めホ・ヨヌとの出会いと思い出していると桜の花びらが降ってきました。
「私が世子と知ればさらに怒られるだろうな。いや。もう会うことはあるまい。」
世子が空を見ると日傘が宙に浮いていました。
両班のホ家の屋敷。
「画円書方。卯生酉死。描けば丸で文字で書けば四色か・・・うさぎは生き鶏は死ぬ?」
ホ・ヨヌは世子から貰った文を呼んでいました。
「お嬢様。まだお休みにならないのですか?」
「ソル。うさぎが生き鶏が死ぬとどうなる?」
「鶏が死ぬと朝がわかりません。お休みください。また大監に怒られます。」
陽明君がホ家の塀によじ登り屋敷の中を覗いているとヨヌが部屋から出てきて文を夜空に掲げていました。
「月光にかざせば文字が浮かぶのかと・・・。朝・・・卯の刻?卯の刻に生まれ酉の刻に死ぬ?絵に描くと丸、文字では四角・・・卯の刻に昇り酉の刻に沈む。日だ。太陽・・・!太陽・・・。はあ。」
ホ・ヨヌは輿を抜かしました。
「まさか・・・また会えるのだろうか。」
世子は宮中で出会った美しい少女ヨヌを思い出しました。
「世子殿下はご存知でしょうか。もう会えぬことがどれほど私を安心させているか。」
ヨヌは心に思いました。
「また会えてうれしいぞ。ホ・ヨヌ。」
陽明君はヨヌをホ家の塀の上に腰かけ眺めていました。
感想
久しぶりに「太陽を抱く月」を見ました!初めて見たときはあまり朝鮮王朝の仕組みを理解していなくて国巫って???と意味が分かりませんでしたが、今見てみると世子や大妃とその一族の気持ちがよくわかります。大妃ユン氏は自分の息子の王位を安泰にするために側室の息子であるウィソン君をユン・デヒョンと謀殺します。そして優しい陽明君は政権から遠ざかり父や弟に殺されないように風雅に日々を過ごしています。そのような危険な環境でのイ・フォンとホ・ヨヌの恋の行方はどうなるの!?イケメン男子も女性の視聴者を惹きつけます。