朱蒙(チュモン)63話
あらすじ
夜の桂婁。
桂婁に潜入したプブンノは帯素(テソ)王子に人質に取られた家族を思いました。朱蒙(チュモン)は床に就き眠りました。プブンノは剣を抜きチュモンの寝所に侵入しました。サヨンとソソノはチュモンの寝所に入ったのを見てプブンノは剣を収めました。
「ヘンイン国へ穀物の買い付けに言ったわが商団が現地で拘束され行首が殺されました。」
召西奴(ソソノ)はチュモンに言いました。
サヨンは漢と扶余の連合軍がヘンイン国に圧力をかけたと言いました。漢と扶余が卒本への交易を封鎖しているということでした。
翌日。卒本(チョルボン)の会議が開かれました。チュモンはソンヤン君長たちを集めました。マルガル族も貿易を断ってきたと君長のひとりが言いました。チュモンはこの事態を必ず解決すると言いました。ソンヤンはソサン国も交易封鎖令を受け入れたとチュモンに言い別の選択(離反)も考えねばならんと不満を漏らしました。
扶余の王宮。
プドゥクプルは封鎖令に従った国と部族の長を金蛙(クムワ)王の前に集めました。クムワ王は従わないマウ族に圧力をかけ従わなければ殺せとフクチ大将軍に命じました。クムワ王とヤンジョンは周辺国を従わなければ滅ぼすと脅迫しました。
桂婁。
プブンノは帯素(テソ)王子の手下から脅迫されていました。
チュモンは門番の兵士の子の名前を憶えており、兵士を労わりました。その様子をプブンノは見つめていました。プブンノは門番から兵士の子供たちの名をチュモンが付け、食べ物を分け与えてくれたのでチュモンのためなら命は惜しくないという話を聞きました。
帯素(テソ)王子はナロに桂婁への塩の供給を遮断するように命じました。
ナロは塩の確保のため夜道を行くサヨンの隊列を襲いました。サヨンは命からがら逃げました。ぺマン(元盗賊の頭)は殺されて亡くなりました。チュモンとソソノは南方から穀物を確保する方法を考えると言いました。
烏伊(オイ)は訓練でひと際強いプブンノが怪しいと思っていました。
「あいつは確か沃沮(オクチョ)から来たと言っていた。だがあれはどう見ても扶余の剣術だ。沃沮(オクチョ)にいた兵士がなぜ扶余の剣術を使うんだ?」
「なあおいちょっと考えすぎじゃないのか。ここは一息つこう。」
陝父(ヒョッポ)と摩離(マリ)は何も気づきませんでした。
夜の桂婁。
プブンノは再びチュモンの寝所に侵入しました。オイは門番にプブンノの場所を尋ねましたがいませんでした。オイは急ぎチュモンの寝所に走りました。プブンノはチュモンの寝室に入り眠っているチュモンを殺そうとしました。チュモンはプブンノの腕を取り、プブンノは逃げました。チュモンは逃げるプブンノを追いかけまプブンノの腹を蹴りました。
「大将!」
烏伊(オイ)が叫ぶとチュモンはプブンノの首に剣を突き付けました。プブンノは拘束されました。
召西奴(ソソノ)たちが集まってきました。
「お前。どこから来た。お前が扶余から来たのはわかっている。お前が使う剣術。あれは扶余の兵士が使うものだ。言えプブンノ。誰がお前を送り込んだ。」
烏伊(オイ)はプブンノの腹を蹴り剣で脅しました。
「正直に言うんだ。誰に命令された。」
チュモンはプブンノに言いました。
「大将を殺せと命じられたのは扶余のテソ王子です。テソ王子は大将が流民を無条件に受け入れていることを利用し私をこうしてチョルボンへ潜り込ませたのです。私は扶余で護衛兵をしておりました。どうぞご成敗を。ただ命が果てる前にこれだけは言わせてください。私は大将の首を取る気で野営地に潜入しタムル軍に紛れ込みました。そのとき大将とタムル軍の偽りなき絆に心を揺さぶられました。こうしてテソ王子の命を受けた今も私は大将に敬意を受けずにいられません。もし大将に先に会っていたら私の人生は違っていたでしょう。見苦しく命乞いをする気はもうとうありません。母と妹と弟の身の安全を盾に取られやむなく暗殺を決意しました。大将にお仕えできた束の間の日々、私は幸せでした。生まれ変わったら必ず大将を主君と仰ぎます。殺してください。」
プブンノは直接は命乞いをしませんでした。
チュモンはプブンノの縄をほどくように命じました。摩離(マリ)やチェサ、ムゴルは反対しましたが陝父(ヒョッポ)は縄をほどきました。
(いくつも韓ドラ時代劇を見た私はわかります。これが朝鮮風の命乞い^^)
「扶余へ帰るがいい。」
「このまま手ぶらで戻ったとてテソ王子に殺されます。同じ死ぬなら大将の手にかかって死にたい。殺してください。」
「扶余へ戻り私を殺したとテソ王子にそう報告しろ。私の首を差し出さねば信じないだろう。大丈夫。私に任せろ。テソ王子はほどなく納得する。母親ときょうだいを守るためにどんなに苦しんだかその気持ちは痛いほどわかる。私を殺したと伝え囚われの家族を救い出せ。」
「大将・・・。」
プブンノは泣きました。
プブンノは扶余に帰りテソ王子にチュモンを殺したと言いました。
「お前。証拠もなしにどうやって信じろというんだ。」
ナロは言いました。
「心臓に短刀を突き立て息が絶えるのを見ました。」
テソ王子は部屋に帰りました。ナロはプブンノを信じませんでした。
「ナロよ。桂婁に送り込んだ密偵に連絡し事の真偽を明らかにしろ。事実が明らかになるまでプブンノを徹底的に見張り親兄弟から目を離すな。」
テソ王子はプブンノの監視を命じました。
ヨンポ王子はファン・ジャンギョン大人に会い同盟を結ぼうと言いました。ファン大人は既にテソ王子が連合軍を築いたと言いましたが挽回の機会はあるとヨンポ王子に言いました。ファン大人は近いうちに玄菟(ヒョント)に行きヤンジョンの失政を問いただしに行くので太守になればヨンポ王子の後ろ盾になろうと言いました。ヨンポ王子は喜びました。
チュモンは凶暴なユウ婁(挹婁、ゆうろう)という部族(大陸の東海岸にいた部族)を懐柔して南方への航路を開きたいとソソノに言いました。チュモンたちは挹婁に出発しました。
テソ王子はチュモンがいないので異変があったという報告を受けました。テソ王子はチュモンがどうなったかマウリョン巫女に占ってもらいました。マウリョンは邪気がチュモンとチョルボン全土を覆っていると言いました。テソ王子はそれを聞いてチュモンが死んだと思い喜びました。王妃もそれを知り安心しました。
扶余の王妃は柳花(ユファ)夫人にチュモンは消えたので死んだと言いました。柳花(ユファ)は死んでいないと言いました。
テソ王子はクムワ王にチュモンを殺したのでチョルボンを攻撃すると言いました。金蛙(クムワ)王は卒本への侵攻をテソ王子に任せました。
チュモンは沃沮(オクチョ)に行く途中で漢と扶余の連合軍があらゆる道にいるので検問を強行突破するとオイたちに命じました。チュモンたちは闇夜に紛れて連合軍に奇襲をかけました。
感想
いったいチュモンのいる国がどこにあるのか?ということで調べてみました。チュモンたちのいる場所の西には玄莬、北西には扶余、東には沃沮(オクチョ)があり南には三韓などの国があるようです。まったく地図を見てみると部族だらけでややこしそうです!プブンノは果たして家族を守れたのでしょうか。当時の人々はそれまでの生活の仕方では野生動物や野生の植物がなくなって飢えて仕方ない状態になっていたでしょうから戦争せざるを得なかったのでしょうね。