朱蒙(チュモン)54話
あらすじ
金蛙(クムワ)王は宮殿を掌握して復権しました。朱蒙(チュモン)は宮殿に入りクムワ王と再会しました。クムワ王はいとおしそうにチュモンを見つめました。
牢屋にいるテソ王子のところに女官が食事を持ってきました。女官は見張りの兵士に玉を持たせてテソ王子と話をしました。
「今宮殿にチュモンが来ています。王様が使いを送って呼び寄せたのです。」
「チュモンだと?いやーーっ!」
「殿下。気をお静めください。」
「おい。誰かおらぬか。王様に会いに行く。ここを開けろ。開けろと言っているのだ。早くしないか。この無礼者め。私がずっと閉じ込められていると思っているのか。今すぐ開けなければ首をはねるぞ。いやーー!」
「いえ。できません。」
兵士は恐れながらも断りました。
クムワ王は部屋でチュモンと酒を飲みました。
クムワ王は鉄鉱石の産地である中山(チュンサン)を手に入れたことを褒め漢の数万の遼東軍が来るのではないかと心配しました。
「なあチュモン。理想と現実は違う。タムル軍を解散し扶余国へ戻ってきてはどうだ。」
プドゥクプルは大将軍フクチを呼びチュモンがクムワ王の提案を拒めばチュモンを殺すように言いました。
「大使者。ほんとうに王の命令ですか?」
「今はタムル軍は漢の敵。それを放置していれば扶余は漢と対立するでしょう。大将軍は扶余と王に仕える家臣。決断を下していただきたい。」
チュモンはタムル軍を見捨てることはできないとクムワ王に言いました。しかしクムワ王は「お前にすべて与えてやるつもりでいる」とチュモンを説得しました。チュモンは「テソ王子より恐ろしいのはクムワ王です」というヨミウルの言葉を思い出していました。フクチ大将軍はチュモンを悩まし気に見つめていました。
ヨミウルが祈っていると鼎の炎が揺らぎました。
「何やら不吉な予感がしてならぬ。」
「チュモン大将より心配なのはヨミウル様です。邪気がヨミウル様を覆っています。」
ピョリハは言いました。
クムワ王は部屋でプドゥクプルと話しをしていました。
「チュモン王子様はお言葉通りにすると?」
「命がけで従っていたタムル軍との別れは容易ではない。果たしてチュモンが従ってくれるかどうか。」
「扶余の歴史は王様が作っているのです。チュモンの背後にいるヨミウルを放ってはおけません。私にお任せを。」
柳花(ユファ)はチュモンに暗い顔をしているといいました。
「実は王様にタムル軍を解散し扶余へ戻れと言われました。王様のお考えはわかりますが思いがけないことで戸惑っています。」
「チュモン。どんな決断を下そうと母はお前を信じます。けれどこれだけは覚えておきなさい。お前が私とソヤを残し扶余を離れたのは決してお前だけのためではなかったはず。お前とタムル軍は一心同体なのです。」
夜。刺客がタムル軍の砦を襲いました。ヨミウルは一人部屋で瞑想をしていました。刺客はヨミウルに剣を突き付けました。
扶余の護衛総督府ではチェサ、ムゴル、ムッコとマリとヒョッポとオイが親衛隊長に歓待されて皆はご機嫌でした。
フクチ大将軍は部下を呼びことによるとチュモンを殺さねばならぬと言いました。
召西奴(ソソノ)はクムワ王との謁見を希望し、まずプドゥクプルと会いました。ソソノは宮殿でチュモンとイエソヤが仲むつまじく歩いている様子を見て衝撃を受けました。ヨンタバルはクムワ王とチュモン大将が協力すれば大きなことを成し遂げられるなによりだと娘に言いました。
ソソノと優台(ウテ)とヨンタバルはプドゥクプルと会いました。
ソソノはプドゥクプルに以前のような関係を築きたいと言いました。
プドゥクプルは王に伺いを立てるまでは宮殿の外で待つように言いました。
「どうも納得がいかぬ。プドゥクプルが立ちふさがるとは。どうやらプドゥクプルが今やこの扶余の宮中を牛耳っているようだな。」
ヨンタバルはソソノに言いました。
チュモンはタムル軍を見捨てることはできないと柳花(ユファ)姫に言いました。
「私はもう二度と扶余へは戻りません。」
「私もお前と同じ考えです。」
「でも王様がどうお受け止めなさるかそれが心配です。」
イエソヤが言いました。
「仕方ない。思いのたけを精一杯伝えればきっと王様もわかってくださるでしょう。」
柳花(ユファ)は言いました。
ヨンポ王子はクムワ王に会いました。
「父上。お祝い申し上げます。必ずこの日が来ると信じておりました。私が父上の復権を心から望んでいたことだけはわかってください。」
「ヨンポよ。私と家臣は力を合わせなければならない。本気で協力する気があるならお前を重用する。」
「父上。このヨンポ誠心誠意尽くします。」
チュモンはクムワ王の部屋に行きました。そこにはプドゥクプルもいました。
「どうだ。心は決まったか。さあ言ってみよ。」
「すみません。私はタムル軍と流民を見捨てられません。今も砦では各地から集まった者が私を待っています。己の保身のために裏切ることはできない。」
「王子様。王子様がタムル軍を解散しなければ王様が窮地に陥ります。安定を望むなら漢との問題は避け友好を維持せねばなりません。これまで王様から受けられた御恩に報いるためにもタムル軍を解散し戻ってきてください。そうなれば王様がすべてを譲ってくださるでしょう。」
「流民とタムル軍。皆が集まったのは私のためではなく漢に対する昔年の恨みを晴らし自分たちの国を築くためなのです。王様。我々は戦い続けます。そしていつの日かきっとこの地から玄菟(ヒョント)郡と楽浪郡を追い出し流民たちの国を建ててみせます。」
プドゥクプルはフクチ大将軍を呼びチュモンを消すように命令しました。
「大将軍。決行の時が来た。」
ヨンタバルたちはクムワ王との謁見は難しいと話会いました。そこにソンヤンが現れました。
「テソが失脚したからといってピリュとの関係が弱まったと思うならそれは勘違いだ。扶余の握っているプドゥクプルは私の頼もしい味方なのだ。この者たちをピリュに連れていけ。」
ソンヤンはソソノたちを捕まえました。
「王様の臣下として過去の情にとらわれず命令が下り次第決行せよ。」
フクチ大将軍は兵士を集め命令しました。チュモンに忠誠心のある兵士(ソンジュ)のひとりがチュモンに危険を知らせました。チュモンは六人を連れて逃げましたが「母上と妻に会えないかもしれない」と思いました。チュモンと六人は兵士たちと交戦になりました。チュモンたちは戦いましたが弓兵に囲まれてしまいました。
「剣を捨ててください。」
フクチ大将軍はチュモンに言いました。チュモンたちは剣を捨てました。
「捕えよ。」
親衛隊のソンジュはクムワ王にプドゥクプルとフクチ大将軍がチュモンを殺そうとしていると報告しました。プドゥクプルは今はまたとない機会だとクムワ王に言いました。
柳花(ユファ)姫はイェソヤに本渓山に逃げたほうがよいのでは?と言うとイェソヤはお母さまを置いていくことはできないと言いました。二人のもとにチュモンが捕まった知らせが届きました。
クムワ王はチュモンを説得すると柳花(ユファ)姫に言いましたが柳花(ユファ)姫は説得には応じないだろうと言いました。クムワ王はチュモンが譲歩しなければチュモンとタムル軍を扶余の敵とみなすほかないと言いました。
クムワ王はチュモンに言う通りにすればすべてを渡すと言いました。
「王様は変わられました。たとえ王位を譲ると言われても私はお断りいたします。もし譲り受けるとしたらそれは王様がずっと胸に抱いてこられた漢に挑む勇ましい闘志のみ。タムル軍は王様にとってもかつてともに戦った同士のはず。どうか見捨てないでください。私は漢を倒そうとしているのです。それがなぜ反逆なのですか。解慕漱(ヘモス)将軍が聞いたら嘆き悲しむでしょう。」
チュモンはクムワ王に言いました。
「全員投獄せよ。連れて行け。」
「御覧の通りです。今亡き者にせねば後々後悔なさいますぞ。」
プドゥクプルはクムワ王に言いました。
チュモンたちは牢屋に入れられました。
「ああ。なんてこった。」
感想
建国は男のロマンですねぇ。夢。だからこそ面白い。たとえどんなに人を殺そうとも。自分たちに都合のよい国を建てるということはほんとに麻薬のように魅力的なのでしょうね、男性にとっては。わかる気がします。だから韓国でも人気があったんでしょうね。まあ。でもそれは幹部連中だけですからその他大勢は、最前列に並ばされて戦争で使い捨てにんされるか、こき使われるか虐げられるかですねw