薯童謠(ソドンヨ)64話
あらすじ
百済宮殿。
チャン(武王、扶余彰)は重心たちに表に出るように命じました。
「陛下、私モンナスは使命を遂行し戻ってまいりました。」
モンナス博士はチャンに言いました。
ソンファ公主は豪華な腰からチョギとボミョンに手伝われて降り立ちました。
ソンファ公主は茜色の豪華な衣を着ていました。
ウヨン公主は輿から降りる高貴なソンファ公主を見て驚きました。ウヨン公主も海棠色のかわいい絹を着ていました。
「なぜチン大人が?」
サドゥガンたち貴族も、モジンも戸惑いました。
「陛下のお考えを新羅の王にお伝えすると、真平王が返事をくださいました。」
モンナス博士とソンファ公主は並びました。
「陛下。新羅の使臣として参りました。新羅の公主ソンファです。」
ソンファ公主はチャンに言いました。
貴族たちは驚きました。
「まず、新羅兵が国境を越えた問題ですが、新羅王には戦争の意思など少しもありません。ほんとうに遺憾とのことでございます。今後はそのようなことがないように百済衛士部との連絡機関を常設しようというご提案にも賛成します。そして百済の聖明王の件は謹んで新羅は哀悼の意を表し相応のつぐないをなさるとおっしゃいました。」
ウヨン公主は眉間に皺を寄せました。
「わかりました。新羅王のお気持ちを受け入れよう。」
チャンはソンファ公主に言いました。
「また、新羅の王様は陛下のソンファ公主への求婚も喜んで承諾するとおっしゃいました。」
モンナス博士はチャンに言いました。
ウヨンたちは口を開けて驚きました。
チャンとソンファ公主は嬉しそうに微笑みました。
百済の便殿。
「私とソンファ公主は想いあっている。昔、プヨソンの陰謀で大虐殺があった。私はモンナス博士とともに新羅へ逃げ、新羅宮へ出入りするうちにソンファ公主と出会った。ソンファ公主は百済人の私を逃がして救ったせいで公主の身分を廃され百済に渡ってこられたのだ。私が四男と知った後も命がけで私を救った。困難にぶつかるたびに私を助けてくれた。プヨソンや百済や貴族が私を見放した時でも彼女は常に味方だった。同盟が必要なくても当然結婚する。」
チャンは貴族たちに言いました。
チャンはソンファ公主と仲良く寝殿に入りました。その様子をウヨン公主は妬ましく見つめていました。部屋に入ったチャンとソンファ公主は見つめあうと、抱き合いました。
「こんなにやつれて。」
チャンが言うと、ソンファ公主は笑いました。
二人はまた抱き合いました。
「結婚式が待ち遠しくてなりません。」
チャンはソンファ公主を抱きしめながら言いました。
ウヨン公主は放心しウスとぶつかりました。
メクトスたちはそんなウヨン公主の様子を噂しました。
「言っただろ?」
ポムノは父に言いました。
「ウヨン公主様の様子だと事実なのかな。」
「本当だってば!」
ポムノは職位を授かり紺色の衣に黒の烏帽子をかぶっていました。
「新羅の公主様ですって?」
ウンジンはポムノに聞き返しました。
「そうさ。僕が知ったときは気絶しそうになったよ。」
「とても信じられないー。」
「まったくだ。それが事実なら公主の身分を捨てたということか。仲良くしておいて正解だったな。」
メクトスは言いました。
メクトスは言いました。
「なにのんきなことを。」
「何を騒いでいる。」
ワング将軍はメクトスたちのところに来ました。
「チン大人が公主様だとお聞きし驚きまして。本当なんですか?」
メクトスはワング将軍に言いました。
ソンファ公主が部屋から出てきました。
「驚きましたか。」
「確かに驚きましたがどうりで気品のあるかただと思いました。」
メクトスはソンファ公主に言いました。
「ひどいですよぉ。公主様と知ってたらあんなこと言うんじゃなかった。」
ウンジンは公主に言いました。
「陛下を譲れと私に言ったことですか?」
ソンファ公主は明るくウンジンに言いました。ウンジンは下を向いて苦々しい表情を浮かべました。
「恋とはそういうものです。あのときは緊張しました。」
「今までの無礼をお許しください。」
ワング将軍はソンファ公主に謝りました。
「いいえ。公主という身分を隠していてすみません。みなさまのお立場はよくわかっています。」
「非凡な方だという印象を持ちました。商団を作るときの気概も並外れておりました。」
ヨン・ギョンフ衛士佐平は言いました。
「そうですか。あなたの協力のおかげで今があるのです。ありがとう。」
「陛下と公主様のご縁はわが国始まって以来の最高の良縁ですな。」
メクトスはニヤニヤしながら言うと、皆は笑いました。
「まったくです。」
「そうだな。」
ウヨン公主の部屋。
ウヨン公主は放心していました。ソンファ公主が部屋に入ってきました。
「ごめんなさい。それしか思い浮かびません。いずれにしても身分は隠したでしょうがあの時は本当に身分を捨てました。ただの商人や農民としてでも陛下のそばにいたかった。きっとウヨン公主様も心から陛下を想っておいででしょう。陛下を守ってくれたことにも感謝しています。」
「本当に、恋のために公主の身分を捨てたのですか?百済から追い出された技術工のために?威徳王の四男だとは知らなかった?」
「そうです。むしろ自分の身分が邪魔なくらいでした。」
ソンファ公主は部屋を出ていきました。かわりに母のヘモヨンが入ってきました。
「本当にチン・ガギョンが新羅の公主なの?本当に婚姻同盟を進めるの?」
「・・・・・・。」
サテッキルは知らせを受け取り手紙をくしゃくしゃにしました。
「チョンミョン公主様がお呼びです。」
クソンはサテッキルを呼びました。
「新羅も百済も私を必要としているのだな。お前も私が理解できないだろ。一歩、足を踏み入れたらまたその次、その次、また次、いつしか私は闇の道を行くしかなかった。もう止まれない。歩み続ける。私だけが奈落の底に落ちてたまるか。」
サテッキルは立ち上がりチョンミョン公主のもとへ行きました。
チョンミョン公主の屋敷。
「百済からの連絡はあったか。」
チョンミョン公主(結婚して髪を上げている)はサテッキルを執務室に呼びました。
「百済もソンファ公主様の身分を知ったようです。同盟を恐れた貴族が粗さがしをしています。」
「粗さがし?」
「善花公主が百済で行動をしていたのは事実です。それを百済王と結びつけるとか。百済王を追い落とす材料ではないでしょうか。」
「そうだわ。あれがある。連絡兵を送りなさい。」
百済の宮殿。
「またお別れです。」
ソンファ公主はチャンに言いました。
「またすぐ会えます。」
「ええ。」
「溜息で幸せが逃げて結婚できなくなりますよ。」
「まさか。」
「そんな心配までよぎります。」
「心配いりません。」
「私が公主様をお迎えする日まで待っていてください。」
「ええ。溜息はつかず一生懸命待っています。」
「一生懸命待つ?」
「早く時が過ぎて結婚できるように。」
チャンがおじぎをすると、ソンファ公主もおじぎを返しました。
ソンファ公主は輿に乗り新羅へ帰りました。
どこかの宿。
「チョンミョン公主が本当にそう言ったのか?」
サドゥガンは大きな溜息をついてサテッキルに言いました。
「前回のような工作とは違い、今度のこれは事実です。非常によい口実だと思います。お考えください。」
百済の便殿。
「とことで陛下、妙な話を耳にしました。」
サドゥガンはチャンに言いました。
「どんな話だ。」
「以前陛下がサビ城に進軍した時に新羅軍の手を借りたとか。」
「馬鹿な。そんなはずありません。」
ペクチャンヒョンは言いました。
「私もそうは思うが詳しい話を聞いたのだ。陛下。事実ですか?」
「・・・・・・事実ではない。」
貴族たちは集まりました。
「なんの話です?」
「上佐平が調べたようだ。」
「へ?そのことが事実なら。」
「事実ならすべての問題を解決できる。」
チャンの部屋。
「新羅の法師が来たことを言っているのです。」
ワング将軍は言いました。
「そんなことがあったのですか?」
モンナス博士は質問しました。
「ええ。新羅軍がソンファ公主を迎えに来たのです。大勢の兵が動きましたから気づかれて当然です。ですが新羅軍の力は借りていません。」
ヨン・ギョンフ衛士佐平は言いました。
「その通りだが、我々も心配したように新羅軍がいたこと自体が問題だ。」
「難癖をつけられる。」
チャンは言いました。
「弱みを握られました。公式の手続きを欠いたことを責められたら終わりです。」
ヨン・ギョンフ衛士佐平は言いました。
貴族はウヨン公主を呼びました。
「ここに署名し政事巌会議の首長として署名するのです。これで公主様の結婚も安心です。さあどうぞ。」
ウヨン公主は文書に署名し、貴族とともにチャンの便殿に行きました。
「陛下、我々政事巌会議で全員が議決した上疏です。正直にお答えください。」
チャンは文書を受け取りました。
「陛下は王位奪還のためサビ城に進軍する際に完山の役場に新羅軍が来たのですか?」
ウヨン公主はチャンに質問しました。
「そうだ。」
「便殿会議では否定なさいましたが新羅軍はいたが進軍には協力していないと?」
「そうです。」
「新羅に兵を要請していないと?」
「そうです。」
「ではなぜ新羅軍が来たのです?」
「新羅王がソンファ公主を救うためだ。」
「なら新羅王は公式の手続きをしましたか?」
「していない。」
「同意もなく兵を送った新羅に抗議なさいましたか?」
「しなかった。」
「そんな事態に陛下が抗議しなかったところをみると、両国王は親しかったのですか?」
「一体、ウヨン公主は何が聞きたいのか。」
「・・・・・・。」
「陛下、政事巌会議は陛下の行動を質疑する権利があります。」
ウヨン公主が打ち合わせた内容をすべて話し切り口を閉ざすと代わりにサドゥガンがチャンに言いました。
「上疏への答えをもとに政事巌会議で議論します。」
太学舎の部屋。モンナス博士とヨン・ギョンフとモジンは集まっていました。
「廃位だって?」
ヨン・ギョンフ衛士佐平は言いました。
「そこまで発展する事案です。」
モジンは言いました。
「問題は王室と貴族が結託したことだ。」
モンナス博士は言いました。
「ええその通りです。政事巌会議で貴族全員の賛成を得てヘモヨン様に報告し決定権をもつヘモヨン様が陛下を廃位にできます。」
モジンは説明しました。
「ほんとうにそこまでするでしょうか。」
ヨン・ギョンフ衛士佐平はモジンに言いました。
「新羅の真智王もそんな風に貴族に廃止され今の真平王になったのです。百済の7代王も若すぎるとそのように廃位されました。」
モジンはさらに説明を付け加えました。
「ほんとうにそのようには・・・」
「向こうは取引を要求してくるでしょう。」
モンナス博士は言いました。
王后ヘモヨンの部屋。
「陛下の問責を決議いたします。大后媽媽はご決断ください。」
「そのようになさい。満場一致にするのです。」
「お任せください。」
ウヨン公主は黙ってサドゥガンと母のやり取りを聞いていましたが心は貴族たちと異なる様子です。
チャンの部屋。
「政事巌会議の決議はいつ行われるのですか?」
チャンは傍にいたワング将軍に尋ねました。
「明日です。」
「陛下、タルスが来ました。」
部屋の外から侍従がチャンに知らせました。
「通せ。どうした。」
三人の官僚が部屋の入ってきてチャンに頭を下げました。
「陛下。我々も国策案の先延ばしは悔しくてなりません。ですが現状では続行不可能です。今は貴族の反発を抑えねばなりません。」
「陛下。モンナス博士と衛士佐平が参りました。」
「通せ。」
二人が入ってきました。
「陛下、今は時期ではありません。陛下が孤立に近い状況では危険すぎます。」
ヨン・ギョンフ衛士佐平はチャンに言いました。
「博士の考えは?」
「陛下、我々はいつでも陛下の力になります。しかし今は・・・」
「ではいつならいいと?」
「陛下、今回はどうか引き下がってください。」
「廃位されると?」
「貴族が民を煽ると状況は一変するでしょう。陛下、このような問題に民は敏感です。陛下の力は民ではありませんか。すべての民に弁明するのは不可能です。民の信頼がなくては国策案も実現できません。我々は待ちます。いつでも陛下に従います。ですから今回は引き下がってください。」
モンナス博士はチャンに諫言しました。
夜。ウヨン公主の部屋。
「陛下の廃位を選ぶかあなたと結婚して改革をあきらめるか決めろと。それが私の結論です。」
ウヨン公主は母の言葉を思い出し悩んでいました。
チャンの部屋。
チャンもまた悩んでいました。
ウヨン公主は部屋を出るとチャンの部屋に行きました。
「・・・・・・。」
チャンは好きではないウヨン公主を無視しようとしました。
「陛下。答えはひとつです。」
「いいだろう。公主がこんな結婚をお望みならしてあげます。私の願いを砕き民の希望を奪い私の長年の恋を踏みにじりそれでも望むならやってやる。いいや、してみせる。必ずお前と結婚する。なるほどな。私とソンファ公主の関係を認めてくれたこと。貯水池事業の時に見せてくれた姿。それはすべて王妃の座のためだったのか。王妃にしてやる。ただしその結果どうなるかは覚悟しろ。貴族の圧迫による結婚の代償はすべてお前に払わせる。帰ってくれ。」
ウヨン公主は傷ついたような面持で部屋を出ていきました。
チャンはソンファ公主からもらった指輪を見つめました。
ウヨン公主は力なくチャンの寝所を後に足ました。
王后の部屋。職を失ったヘドジュと上佐平のサドゥガンが来ていました。
「今はウヨンが取引しています。待ちましょう。」
ヘモヨンはヘドジュたちに言いました。
「今度こそ陛下はお手上げでしょう。」
ヘドジュはヘモヨンに言いました。ウヨン公主が帰ってきました。
「どうでした。陛下は断念しましたか?」
ヘドジュはウヨン公主に尋ねました。
「結婚するって?早く答えなさい。断られたの?」
「いいえ。結婚するといわれました。」
「そう。引き下がったわけね。」
ヘモヨンは喜びました。
「はい。公主様はやりましたな。」
サドゥガンはウヨン公主をおだてました。
「はい。破たんになるかと心配しましたがこれで成功です。」
ヘドジュは満足そうに言いました。
「そうです。威徳王の時も最初が難しかった。」
「そのとおり。ヘモヨン様は急いで婚礼の準備をしてください。問責決議を満場一致にして陛下にさらなる圧迫をしよう。それか法王(プヨソン)と同じように前内部に圧力をかけるのだ。」
ウヨン公主は部屋を出ていきました。
翌日。王后の部屋。
「問責決議はいつなの?」
ヘモヨンは娘に尋ねました。
「三日後です。」
「そう。順調ね。」
「ヘモヨン様。陛下がお見えになりました。」
「私が呼んだの。」
ヘモヨンは娘に言いました。チャンが部屋に入ってきました。
「ようこそ。」
チャンはヘモヨンに礼をしました。ヘモヨンは椅子に腰かけたままチャンを迎え、ウヨン公主は立って一歩下がりチャンを迎えました。
「こういう催促は私の役目と思います。新羅の姫との結婚はなしは民には内密にしてください。それに、結婚すると言ったのなら求婚書をください。民に発表しなくてはなりません。早く命令してください。」
「無条件では渡せません。どうせ政略結婚です。求婚書と引き換えに貴族たちは何をしてくれますか。これは取引です。それが望みなのでは?決めたらお知らせください。」
「ええ。おっしゃるとおりです。そうしましょう。」
「ではご連絡をお待ちしております。」
チャンは部屋から出ていきました。
ウヨン公主は立場がありませんでした。
「陛下。」
ウヨン公主はチャンを追いかけました。
「交換条件がもう決まったのですか?」
「陛下、おやめください。」
「何を言うのですか?」
「腹立ちまぎれとはいえ陛下らしくありません。結婚に取引だなんて。」
「これがあなたの望みではありませんか。私は受け入れます。大后様もよくわかっておられる。どうせ政略結婚です。私も貴族も互いの要求を明らかにするほうが明快に処理できる。」
ウヨン公主はチャンの部屋まで追いかけてきました。
「ならば、ならば収采や結納なども取引にするのですか。」
「もちろんです。私の人生と引き換えの結婚だ。民に少しでも土地を与えたい。これが私の王としての役目です。王座を守るために結婚します。結婚に至るまでのあらゆる儀式で、あなたが王妃として私の寝所に来るたびに取引させてもらう。」
「・・・・・・。本当に、私の気持ちがわかりませんか。陛下を想う気持ちに偽りはないのにこんな侮辱を受けるなんて。あなたはそんなに偉いのですか。」
「今更どうしたというのです。損得で判断せよと言い、力の論理を説いたのはあなただ。そうやって私を力で打ち負かした。今更恋心など持ち出すな。最初からそんなものはない。」
チャンはウヨン公主を信じていませんでした。
「ええ。わかりました。生涯陛下と取引しながら暮らします。どんなに利用されても陛下を離しません。そうすれば陛下のお心はいただけなくてもソンファ公主ひ陛下を渡さなくて済みます。私は政事巌会議の問責案を持ってきます。陛下は求婚書をください。それが最初の取引です。」
ウヨン公主はまたチャンに傷つけられました。
夜。庭に佇むウヨン公主はひとり涙を流し声を上げて泣きました。
王の寝所。
チャンは求婚書を書こうとしていました。しかし筆を持っただけで書くことはできませんでした。
政事巌会議。
「結論は明白ですが手続きを行います。無記名で投票してください。」
ウヨン公主は貴族の前に投票箱を置き投票を促しました。
貴族たちは投票を終えました。
「一人でも反対すれば問責案は否決となります。」
ウヨン公主は箱を開けました。
「賛成、賛成、賛成、賛成、最後です。これが賛成なら問責案は可決します。賛成です。」
「はっはっはっは。」
「緊張して損しましたな。」
「報復を恐れていつも反対者がでましたから。」
「では新羅軍の件で陛下を問責します。問責の内容は大后様が決めてくださいます。いいですね。」
「はい。」
「はっはっはっは。」
チャンの部屋。
「満場一致で決議された問責案です。」
ウヨン公主はチャンに文書を渡しました。
「求婚書です。」
チャンは不愛想にウヨン公主に求婚書を渡しました。
ウヨン公主は部屋を出ていきました。
ワング将軍はチャンの部屋を盗み見ました。
チャンは文書を読んで戸惑いました。
「陛下の求婚書だ。私と王后様が行う式の準備をせよ。そしてこれから婚礼の準備に入る。太学舎を総動員して宝石や衣服はもちろん、料理も最高級のものにするのだ。この上なく華やかな式にせよ。わかったな。」
ウヨン公主はモンナス博士に求婚書を渡しました。
モジンとコモ技術史は心配そうに見守っていました。
太学舎では結婚の準備がすすめられました。モジンとウンジンとウスはしぶしぶ衣をしたためていました。
王后の部屋。
「陛下が王位奪還の最中とはいえ、敵軍が国境を越えて来たと知りながら、相応の対処をしなかったのは陛下の過ちです。しかし幼馴染の問題で判断が鈍った点やすぐに追い返した点、それを考慮しウヨン公主が反対しました。問責案と求婚書の取引を許可します。もうウヨンを悲しませず婚礼に力を注ぐのです。いいですね。」
ヘモヨンはチャンを呼び言いつけました。
「・・・・・・。」
どこかの家。
「直接来られるとは思いませんでした。」
サテッキルはウヨン公主に言いました。
「裏で誰が動いているのか確かめに来た。新羅との密談も今後は私が主導したい。」
「陛下や貴族の上に立つためにぜひそうしてください。私の無念をウヨン公主がかわりに晴らしてください。」
「そうか。新羅側の人間は誰だ?」
「チョンミョン公主です。」
「では詳しい状況と密約の内容を教えなさい。」
「これを。」
サテッキルはウヨン公主に本を渡しました。
「そうかわかった。今後はここで私の命令を待ちなさい。すぐ命令を出す。」
「ええ。」
ウヨン公主は部屋を出ました。
「サテッキルを逃がさぬよう見張りを置け。婚礼の相談をする。貴族を便殿を呼べ。陛下には私が伝える。」
ウヨン公主は兵士に命じました。
便殿。
「婚礼は当人たちにもめでたいことだが国の大きな行事だ。準備を頼む。」
サドゥガンはモンナス博士に言いました。
「告期はどうしたのだ?おほう。まだ日取りを決めていないのか?」
ペクチャンヒョンはモンナス博士をせかしました。
「その必要はありません。」
ウヨン公主がペクチャンヒョンに言いました。チャンが便殿に入ってきました。貴族たちは立ち上がりチャンを迎えました。
「ウヨン公主様、決める必要はないと?急いで日取りを決めたほうが・・・・・・。」
サドゥガンは言いました。
「結婚しません。」
ウヨン公主が言うとモンナス博士と貴族は驚きました。
「ウヨン公主様。」
「私は陛下と結婚しません。」
「なんと・・・・・。」
「公主様、どういうことか詳しく言ってください。」
「言った通りです。結婚しません。陛下が関山以前の体制に戻すとおっしゃったことに従います。よって、ヘドジュ上佐平様とヘモヨン王后様のもつヘ氏の私兵千五百名を衛士部に渡し陛下の租税令にも従います。不法に所有していた土地も陛下にお返ししました。」
「きっ・・・急にどうしたというのですか?」
サドゥガンは身を乗り出しました。
「これを陛下と皆さまの前で発表するために便殿会議を招集したのです。ではそのつもりで。」
ウヨン公主は部屋を出ました。
感想
チャンの恋。ソンファ姫の恋。ウヨン姫の恋。それぞれの気持ちが説明されていましたね。サテッキルは何もかも失ってもどこまでもチャンの邪魔をして憎しみしか残っていません。この執着心はどうしたものでしょうか、病気ですね。心が病んでいるようです。ウヨン公主は貴族の傀儡でありながら、チャンへの恋を貫こうとしています。チャンに冷たくあしらわれても傷ついても翌日には平静さを取り戻してソンファ公主のように度胸のある姫ですね。ウヨン姫とのエピソードを引き立てるためにはチャンの冷たい態度は必要だったのでしょう。それとドラマを見ていて気付いたのですが、ソンファ姫じゃなくてソナ(善花)コンジュ(公主)ですね。ソンファと日本語で書かれていたので、最後までソンファでいきましたが、正しい名前はソナちゃんですね。