「王と妃」 第94話 世祖倒れる とあらすじネタバレ感想
94話 世祖倒れる あらすじネタバレ感想
王族や高官たちは皆、朝服でそれに立ち会いました。王は司僕寺の役所の傍に幕を張り、王妃とともに儀式を見物しました。また、礼曹判書カン・ヒメンに命じてイ・ブの家に酒を届けさせ王族や高官に酒をふるまいました。そして月山君夫人パク氏を祥原郡夫人(サンウォンクンブイン)に封じました。月山君の婚儀は没落した王族らしからぬ華やかなものだった。
粋嬪ハン氏の家では女命婦の夫人たちが集まり月山君の結婚を褒めたたえていました。乽山君(チャサングン)の結婚の話題になると、ハン・ミョンフェの妻の表情が曇りました。
世祖は長男の懿敬世子を思い出して涙しました。世祖は懿敬世子の弟海陽大君に月山君と乽山君の面倒を見るように頼みました。
月山君が結婚したことを粋嬪ハン氏は懿敬世子霊前で報告しました。
「お父様は懿敬世子のことを思い出されると魯山君のことを思い出すでしょう。民たちは天罰だといいます。甥の王位を奪ったお義父さまへの天罰を懿敬世子様が身代わりで受けたのだとお義父様はその借りをお返しになるべきです。見ていてください。月山君か乽山君を王位につかせ、お義父様には必ず借りを返させます。」
王妃は世祖は本当は亀城君(キソングン)のような若い人材を置き功臣を遠ざけたいのに無理をして徳のない韓明澮を領議政に就けたことを心配していました。
「韓明澮は自分の栄華のためならどんなことでもすぐ人間です。」
王妃の説得もむなしく世祖は逆に腹を立てました。
韓明澮の忠誠心は世祖から粋嬪ハン氏に移っていました。
「大妃の座は私のものです。」
ハン氏は従兄に言いました。
孝寧大君は夜に世祖の見舞いに行きました。世祖は一人寂しく部屋で座り懿敬世子を思っていました。孝寧大君は懿敬世子のことを忘れるように言いました。世祖はヤン・ジョンの処刑はやりすぎた、チョン・インジですら自分に暴言を吐いたのに処罰していないといいました。
「百回死んでも償えぬ罪を犯しました。兄弟や甥を殺し、誰も手出しできぬ王朝にするために人を殺してきましたが今のあり様はどうですか。体は病に冒され王室は騒動が絶えません。その上命を捧げてくれた功臣すら信じられなくなりました。仏さまの力を借り許しを請いましたが体と心の病は深まるばかりではありませんか。」
「何もかも過ぎたことです。先のことをお考えください。殿下が過去に行われたことは過ちもあったでしょう。悔いも多いです。でも殿下はすべきことをされました。今のように王室の環境が整ったのは何もかもが殿下の功績です。あと何年生きるにせよ、善政を施してください。一日しか生きられぬとしても立派な政治をなさるべきです。」
「どうすれば罪を償えますか。千分の一でも一万分の一でも罪を償えれば思い残すことはありません。」
世祖は自分がかつて殺そうとした孝寧大君に語りました。
部屋に誰もいなくなると、世祖は首を押さえて苦しみ出しました。
王妃は孝寧大君に功臣の横暴について話しました。孝寧大君はわかっていると王妃に言いました。王妃は韓明澮を「殿下に汚点を残させた張本人」と言い領議政に昇格させないように孝寧大君に頼みました。孝寧大君は王妃の頼みを引き受けました。
チョン内官は世祖の急変に気が付き騒がずに亀城君を呼ぶように命じました。
ホン内官は王妃に世祖の危篤を知らせました。
宮殿の門が閉じられました。
尚宮は内官を通じて粋嬪ハン氏に連絡をしました。
横になった世祖は懿敬世子を見たと王妃に言いました。
世祖が気絶した知らせは粋嬪ハン氏のもとに届きました。
ハン氏は亀城君だけを世祖が呼んだことについて考え、悪知恵を働かせました。
世祖は亀城君に背負われ大殿に運ばれました。
ハン・ミョンフェは宮殿の門を開けに行くとヒャンイに言いました。
世祖は人払いをして傍に亀城君を侍らせました。
王妃は世祖は心の病なので祈祷を行うように僧侶の官僚に頼みました。
世祖は亀城君(イ・ジュン)のまわりに信じられる人間はいるかと尋ねました。
亀城君はシン・ミョンが信じられるといいました。ユ・ジャグァンは庶子だが韓明澮に劣らぬ知略家であると亀城君は言いました。亀城君は以前世祖に進言した功臣を遠ざける策はユ・ジャグァンが考えたのだ、態勢さえ掴めればハン・ミョンフェとクォン・ラムのように味方は少なくてもよいといいました。
ハン・ミョンフェはキム・ジルとホン・ユンソンを呼び兵曹判書が誰かを聞きました。キム・グックァンは命令さえあれば火の中に飛び込む男だとジルはいいました。ハン・ミョンフェはヤン・ジョンの次に世祖は我々を殺す気だったとホン・ユンソンに言いました。キム・ジルは亀城君を蹴落とそう、我々は呉越同舟だといいました。ユンソンはシン・スクチュを呼ぼうといいましたが、ミョンフェは彼は別の道を歩んでいると笑いました。
高霊君シン・スクチュは息子の都承旨シン・ミョンから世祖の様子について報告を受けていました。シン・ミョンはハン・ミョンフェを警戒していましたがシン・スクチュは楽観的でした。シン・ミョンは父に上党君(サンダングン、ハン・ミョンフェ)を遠ざけるように言いました。
世祖は亀城君の手を握っていました。そこにシン・ミョンが来て世祖を心配しました。世祖はうめき声だけ上げ顧命を話せる状態ではありませんでした。
亀城君にシン・ミョンは国の安泰が我々の手にかかっているといいました。
領議政のク・チグァンは世祖が姿を見せないので何があったかとシン・ミョンに訊きました。シン・ミョンは口外するなと約束したうえで事実を話しましたがク・チグァンは秘密にしておけぬといいました。ハン・ミョンフェはク・チグァンの執務室に行きました。ク・チグァンはとぼけて笑いました。
粋嬪ハン氏は世祖がこのまま死んでは困ると従兄に言いました。
世祖と功臣は対立しているようですが・・・その後の歴史は努力もむなしく功臣に牛耳られ韓明澮の天下となるのです。ならば世祖の悪行はいったい何だったのかというと、王室に世祖の血筋を入れるということ以外は意味のないことだったのかもしれません。仁粋大妃は功臣を利用して息子を玉座に就けますが、その息子は功臣を遠ざけます。いったいなにをやってるのかとむなしい歴史ですね。