朱蒙(チュモン)43話
あらすじ
扶余の帯素(テソ)王子は卒本(チョルボン)の君長たちを朱蒙(チュモン)王子の結婚に招待しました。テソ王子は扶余の権力を誇示したいのでした。
ソソノはヨンタバルの妹とその息子に長安に行くように命じました。
優台(ウテ)はチュモンの結婚を召西奴(ソソノ)に話しました。
「ソソノ。チュモン王子が婚礼をあげるそうです。テソ王子がその婚礼に各国や部族の長を招待しました。」
ウテは自分が出席するとソソノに言いましたが、ソソノは妊娠を口実に逃げたくないと言いました。
「まだかすかに残っている縁も断ち切れるでしょう。だから行きます。」
扶余の王宮。
柳花(ユファ)姫はチュモンとイエソヤを呼び、ソヤを不幸にしてはいけないと言いました。
「誠心誠意、王子様とお母さまにお仕えします。」
イエソヤはユファ姫に約束しました。
チュモンは婚礼をきっかけにしてますますテソ王子が自分を信じるだろうと金蛙(クムワ)王に言いました。
「どれほどテソに信頼されても志を成し遂げるまで一瞬たりとも気を緩めるでないぞ。」
クムワ王はソヤを連れてチョンム山に行くように言いました。
「私は解慕漱(ヘモス)の遺言に従って墓を作らなかった。今は跡形もないだろうがヘモスの心と魂は残っているはずだ。」
チュモンは父を想い涙を流しました。
テソ王子のもとにソンヤン、ウテとソソノが挨拶に行きました。
チュモンとイエソヤは諸国の長が見守る中、婚礼を上げました。
ウテはソソノを気遣いました。
ソソノは空を見つめ、悲しげでした。
婚礼が終わり、チュモンはチョンム山に行くと部下に言いました。すると部下は「この首をはねてください。テソ王子様は玄菟(ヒョント)からナロ様とひそかに引き返し私を脅迫なさったのです。墓を教えろと。テソ王子様はヘモス将軍様の首を差し出し見返りに漢との交易で塩を手に入れたそうです。」と言いました。
チュモンは馬を駆りヘモスの墓所に行きました。そこには何もありませんでした。チュモンは岩をなぞり父の無念な最期に涙を流しました。
「父上・・・・・・。」
テソはヤンジョンとヤンソルランと酒を飲み談笑していました。
ヤンジョンは真番と臨屯の太守は空席で皇室から責任を問われ苦しい立場にあると言いました。
ヤンジョンは扶余に住み着いた真番と臨屯の流民を漢へ奴隷として連れて来いと命じました。
「何も失わず得だけを得たいなど身勝手すぎる。私としては命がかかった状況だ。」
テソ王子はチュモンを呼びました。
「よく来た。ゆうべはいい夢は見たか?」
「婚礼で疲れたのかゆうべは夢も見ずに眠りました。」
「そうかチュモン。ヤンジョンが扶余に住み着いた流民を奴隷として漢に送るというのだ。どうか助けてくれないか。流民たちを探し出して漢に引き渡す任務をお前に頼みたい。」
「愚か者めが。結局は漢にすべてを差し出すのか。」
クムワ王はテソ王子の愚行に怒りました。そしてチュモンにつらい役目を与えたことを知り苦悩しました。
ユファ姫はチュモンを呼びました。
「流民を送る仕事を引き受けたというのは本当ですか。」
「引き受けました。兄上の命令ですから。」
「本当にやる気なの。」
「母上。たとえ私が断っても別の者がやるでしょう。いずれ流民は漢に送られます。何とかしますので私を信じて待っていてください。」
マリとヒョッポとオイもチュモンがひどいことをするのではないかとチュモンに懸念を表しました。
「流民を引き渡すならもうお仕えすることはできません。」
「それなら、私のもとを去れ。」
「王子様!」
マリとヒョッポとオイは町で飲み食いして憂さ晴らしをしていました。モパルモとムソンも集まってきました。マリは王子様はテソ王子の手先になってしまった。これ以上あの人には仕えられません。と愚痴をこぼしました。
マリとヒョッポとオイはチュモンに会い「王子様のもとを去ります」と言いました。チュモンは三人に「世話になったな。元気で暮らせ」と言い行ってしまいました。
「ひどいよ。こんなのひどすぎるよ。所詮、俺たちなんてその程度か。」
ヒョッポは泣きました。
「めそめそするんじゃない。これでいいんだよ。せいせいしたぜ!」
オイはチュモンを憎みました。
「これより、真番臨屯を抜け出した流民を探し出す。善良な民が被害を被らないために急いでやるぞ。」
チュモンは部下に命じました。
「一人残らず探し出すのだ!」
ナロが命じると流民たちは殴られたり蹴られたりして暴力を振るわれました。チュモンはナロと暴力を振るう兵士たちを憎みました。
テソ王子はチュモンとナロを呼び状況を報告させました。チュモンは二百人くらい捕まえたと言いました。チュモンが全部で五百人くらい集まりそうだというとテソは満足しました。
「たいへんだろうがもう少し頑張ってくれ。すべて終われば必ず報いよう。」
テソ王子はチュモンに引き続き流民を集めるように命じました。
ヒョッポは桂婁に行き、サヨンに扶余で起きていることを話しました。
ソソノはヨミウルにこのことを話しました。
ヨミウルはそろそろチュモン王子が扶余を離れる時が来たのだと言いました。
漢から逃げた流民はナロたちに続々と捕まり縄で縛られ連行されました。
タムル軍の元兵士マノも捕まりました。
「王子様、どうしてこんなことをなさるのです。今頃ヘモス将軍がどんなに嘆き悲しんでおられることか。」
マノが言うとナロはマノを殴りました。
チュモンは厳しい顔をして黙っていました。
王妃はテソ王子にチュモンの変わりようを心配だと言いました。
テソ王子はチュモンの誠意は疑いようがないと母に言いました。
クムワ王はチュモンを呼び計画を尋ねました。
「集めた流民を連れて、扶余を去ります。兄上は油断しています。今ならできるでしょう。どこへ行くかは決めていませんが、漢軍と互角に戦えるタムル軍を作ります。王様、力を貸してください。」
「わかった。」
チュモンは母にも一緒に旅立つ支度をしてくださいと言いました。ユファ姫はクムワ王を残してはいけないと言いました。
「母上、私が去って母上が残れば兄上は何をするかわかりません。お残りになれば私は扶余を去りにくくなります。」
マリとオイは賭博をしていました。オイと逆のことを言うマリ。
「イカサマしやがったなーこいつ!」
オイとマリはゴロツキを殴り始めました。そこにチュモンが現れゴロツキを追い払いました。
「話がある。」
「ふん。話すことなんかありませんよ。行こうぜ。」
「おい。マリ。力を貸してくれ。」
「ほんとに流民を連れて扶余を出ていくのですか?」
マリはチュモンに言いました。
「お前たちを傷つけてすまなかった。だがあんな任務をさせたくなかった。どうか俺の気持ちを察してくれ。」
「俺たちがバカでした。許してください。」
「ヒョッポはどうした?」
「あいつは桂婁に行っています。」
「あまり時間がない。使いを送ってあいつを呼び戻せ。」
チュモンはクムワ王に計画を教えました。
「流民を護送するといって行き先を変えます。王様、実はまだご相談していないことが。」
「ユファのことだろ?」
「はいそうです。母の口から別れを告げることはできないでしょう。このような願いをする不忠をお許しください。」
「私のことは気にせずに、連れていけ。」
クムワ王は部屋で酒を飲んでいると、ユファ姫がやってきました。
「お呼びでしょうか。」
「掛けなさい。」
「なあユファ。私とそなたが出会ってから数十年の時が流れた。その間そなたは幾度となくつらい思いをしてきた。父上と部族を皆殺しにされ、いとしいヘモスと再会できたのもつかの間、その亡骸を葬らねばならなかった。どんな気持ちかは察しがつく。長くつらい歳月に耐えてきたのだから、そろそろ何の苦労もなくのんびり暮らせたらよいのに。私はそなたに何一つしてやれないばかりか逆に足でまといになってしまった。生涯の友情を誓ったヘモスを守ることもできず、そなたとチュモンを守ることができなかった私をどうか許しておくれ。チュモンと一緒に、扶余から去りなさい。」
「王様・・・・・・。」
「そなたがここにいては、身が危ない。」
「いいえ王様を置いてなどいけません。ずっと一緒にいます。死ぬなら王様と一緒に死にます。」
「ユファ。そなたがついて行かねばチュモンは扶余を出ていかないだろう。」
「チュモンにはイエソヤがいますが王様はひとりになってしまいます。」
「ユファ・・・・・・。」
クムワ王はユファ姫の手を握り、涙を流しました。
ヒョッポはサヨンに別れを告げました。
「どうか気を付けて。」
「あ、はい。」
優台(ウテ)はサヨンに行首会議を招集するように言いました。
テソは馬二百頭、絹一千反、宝玉と虎の皮を桂婁に要求してきました。
ヨンタバルの妹の手下(ソンヤンの密偵)は品物を用意するように言いました。
「今回の件を契機にソソノを引きずりおろしてやる。そしてヨンチェヨンの息子を君長に据えてやる。」
ソンヤンは密偵に言いました。
チュモンはナロに流民探しは打ち切りにするように言いました。
ヤンソルランはチュモンの苦労を労いました。
「流民を守ろうとした方が流民を奴隷にするなんて、いったいどういう心境なの?」
「テソ殿下のご命令で、任務を果たしているだけです。」
ヤンソルランは部下にチュモンを監視させました。
チュモンは流民の護送をテソに申し出ました。
感想
ちょっと面白くなってきたのかな!?チュモンはいつになったら扶余を去るのかと楽しみにしていました。ソソノとチュモンは再び会いましたが、ソソノのほうがつらそうですね。チュモンはいったん決めると深くは傷ついていないみたいですね。ウテは当然のごとくソソノがどれほどチュモンに未練があるのか気になるはずです。そしてソルランは意地悪なので、意地悪することしか考えていないにっくき悪い子です。決まり文句ばかりの王道ドラマですが、次回もどうなるのか、続きが気になります。