王と妃 104話 イ・シエの乱の鎮圧
あらすじ
ハン・ミョンフェは粋嬪ハン氏に隠居するといいました。
「粋嬪様は誤解なさったな。アイゴ。これほど腰が痛むとは私も長くはないな。私には粋嬪様の願いを叶える術はない。殿下の警告まで受けたからもう死んだようなものだ。粋嬪様が大妃になれるわけがない。」
粋嬪ハン氏は明かりを消して自宅に閉じこもっていました。部屋の外では桂陽君婦人や従兄のハン・チヒョンらが待機していました。しびれを切らした桂陽君婦人は妹の部屋に行きました。
「自決だなんて。どうすれば生き残れるか考えていました。今日の屈辱をどう晴らそうか。世子の嬪宮冊封をどうすれば阻止できるか。どうすれば息子を王位につけられるか。どうすればいつかは王になれるだろうかと。私の数奇な運命に一人で泣きたかったのです。生きねば。私の力で上党君(サンダングン、ハン・ミョンフェ)を何とかせねば。上党君がいなくても何とかせねば。ただ一人私を突き放せぬ方がいます。お義父様でです。」
世祖はハン・ミョンフェが放免後に粋嬪ハン氏が訪問してきたことに怒りました。しかしすぐにハン氏を追い返したという知らせを受けて怒りをいったん腹に鎮めました。
「どうしようか。それほど軽率だったとは。ジャグァン。私は決して粋嬪を見捨てられぬ。考えてみろ。そなたに従い私はハン・ミョンフェとシン・スクチュに書面を渡して謹慎させた。私の命令に背き彼らが政治に参加したら永遠に官職につけぬようするためだ。」
「殿下、思い通りになったのでは?」
「ハン・ミョンフェを罰することもできるがそうなると粋嬪を罰さなければならないことになる。私を励まし元気づけれくれた粋嬪がいなければ再起できなかった。いっそこうしたはどうか。世子に王位を継がせ月山君か乽山君を世孫にするのだ。それがいい。どうして思いつかなかったのだ。」
「今の世子様は昭訓様との間に息子がおられます。」
「それがどうしたというのだ!昭訓は側室だ。そうしよう。ジャグァン。口外してはならぬぞ。」
「もちろんでございます。」
亀城君はイ・シエの乱を鎮圧しました。
「上党君の潔白が明らかになるでしょう。」
ホン・ユンソンは世祖に言いました。世祖は口実ができるのでたいそう喜びました。
イ・シエは咸吉道は差別されているから乱を起こしたのだといいました。
イ・シエはハン・ミョンフェとシン・スクチュを陥れたことを死んでもらったほうがよかったのだと白状しました。イ・シエ兄弟は処刑されました。
朝鮮王朝の源は北方にありましたが咸吉道を含む同地域は差別を受けていました。この乱以降北方出身の人間は王朝の中心から排除されました。
亀城君イ・ジュンは28歳の若さで都統使に任命されイ・シエの乱を鎮圧し都城に凱旋しました。
ユ・ジャグァンはハン・ミョンフェの家を訪問しました。ハン・ミョンフェは自分を陥れたジャグァンだから合わねばと妾のヒャンイに言いました。
「朗報を伝えに来ました。イ・シエは計略だったと自白しました。上党君の身の潔白は証明されました。今までのご無礼はお許しを。今日亀城君がナム・イらと凱旋しました。民の歓迎ぶりは大したものでした。ですがナム・イ将軍は渋い顔をしていました。亀城君ばかりが殿下に寵愛され将軍は面白くないでしょう。」
「ナムはクォン・ラムの娘婿だ。ナムは太宗のひ孫ゆえ亀城君に劣らぬだろう。ナムが亀城君をねたむ理由がない。」
ユ・ジャグァンは屋敷を出ました。
「大監は偵察に来たのですか?」
ヒャンイはハン・ミョンフェに言いました。ハン・ミョンフェはユ・ジャグァンの言葉を思い出していました。
「上党君大監。私が心の中で大監を尊敬してやまぬのは大監が敬徳宮の宮直から領議政になられたからです。私は卑しい身分ですが大監の経歴を考えると私も機会さえあれば領議政になれるのでは?」
「殿下はまるめこめたが私はそうはならんぞ。」
「大監。大監と私は本質的に同類ではありませんか?宮直が領議政になれるのなら庶子でもなれるでしょう。下賤な者同士仲良くやりましょう。」
「とんでもないやつだ。」
宮中で世子は重臣と亀城君とナム・イらを呼び宴を開いていました。
王妃は昭訓ハン氏に必ず世祖は嬪宮に冊封してくれるわといいました。
「亀城君は武芸だけでなく諸芸に通じているらしい。」
世祖は亀城君の舞を見て大喜びしました。臨灜大君は恥ずかしいのでもう踊りをやめさせてくださいと世祖に言いました。
「亀城君を領議政にしたら譲位するつもりだ。」
「殿下。私の子には大任すぎます。」
臨灜大君は謙遜しました。ナム・イはやけ酒をあおりました。
「亀城君さえいなければ・・・譲位を阻みましょう。」
粋嬪ハン氏は従兄のハン・チヒョンに言いました。
ナム・イは剣を抜いて舞を舞いました。ナム・イは太宗の四女とナム・フィとの孫で17歳で科挙に合格したナム・イはクォン・ラムの四女と結婚し申し分のない身分で亀城君の競争相手でもあり傑出した人物でした。
粋嬪ハン氏は髪下ろして仮病を使い重病と偽りました。世祖は粋嬪が意識を失ったときいて慌てました。
「どうしたらよいものか。」
粋嬪ハン氏は桂陽君夫人の家に行きました。世祖はきっと重い病に違いないといいました。世祖はますます焦りました。
「媽媽、どうお伝えしますか?」
イム尚宮は王妃の命令で様子を見に来ました。
「重病だとお伝えを。」
粋嬪ハン氏は床にあおむけで寝ながらはっきりとした口調で言いました。
感想
もうばからしくて感想というほどの感想はありません。こんなばからしいことがあったと歴史書に記されているようですね。どうかしてますね。