医心伝心(名不虚伝, 명불허전)最終回20話
目次
あらすじ
朝鮮時代。「許(ホ)医員(イウォン)様~!撃たれました。」治療院に次々と負傷者が運ばれてきました。
「私がおらぬ間に、国中が死と苦痛から逃れられぬ地となった。救える者より、救えぬ者が増えて行った。私は宿命のように、毎日人々の苦痛と死に向き合っていた。果てなき苦難の前で私は無力だった。そして生き延びようと待っている者がいるゆえ、私は歩みを、止められぬ。病者を救えず涙も流れぬ日はこう思う。そなたの世の手術なら、多くの命を救えただろうな。(ホ・イムのナレーション。)」
現代。
チェ・ヨンギョンは急患の手術を行いましたが患者は亡くなってしまいました。ヨンギョンは手術室で死亡宣告を行いました。
「医術が発展した世の中でも、人の力では救えない生命がある。時に医学では説明できないことも起きる。でもそれは、奇跡ではない。あなたの言う通り、生死は天の定めだから。その生死の現場でこの地の医者も、患者の命を救うために日夜最善を尽くしている。(ヨンギョンのナレーション。)
ヨンギョンは患者の指が動いて感動して「ありがとうございます」と患者にお礼を言いました。ヨンギョンは苦痛に暴れる患者に鎮静剤の投与を指示しました。
許任(ホ・イム)は凍える手足を温めました。
「それでそちらの世では、あなたが人を救えず泣いているのではないかと気がかりだ。」
ホ・イムは与えられたおにぎりを食べました。
ヨンギョンは廊下でホ・イムを想いました。
「あなたは今日も大勢の命と向き合ったのでしょうか。」
「そなたは・・・息災だろうか。(ホ・イムの声)」
「あなたは・・・無事かしら。(ヨンギョンの声)」
夜、ホ・イムは身なりを整え街を歩いていました。許任(ホ・イム)は兵曹判書の家に行きました。マッケが言うには兵判は避難先で治療を受けられずあと数日の命でした。
「ホ・イムめ。結局お前を殺せぬまま死ぬとは無念でならぬ。」
「病気と聞き治療に来ました。」
「おのれ。」
「脈診させてください。」
「お前の魂胆を知らぬと思うか。その胸の恨みを晴らしに来たのだろう。どうした。私が死にゆく姿を見ていい気味か。」
「治療なさらぬなら帰ります。」
「帰ってどうする。頼む。命だけは助けてくれ・・・。」
兵判は息も絶え絶えに行きました。
回想シーン。
「お助けください。どうか命だけはお助け下さい大監(テガム)ー!」
ホ・イムは兵判に土下座する場面。
ホ・イムは兵判を診察すると積聚(せきらく、胃がん)でもう手遅れだと思いました。
「(今できるのは痛みを和らげることだけだ。)ご安心ください。あなた様は医員(イウォン)にとって救うべき人です。」
ホ・イムは兵判に鍼を打ちました。
「奴婢サボルの家はどこだろうか。」
許任(ホ・イム)は兵判の屋敷を出ました。
シンヘ病院。
小児心臓センターがオープンしました。シン理事長は診療教授になったチェ・ヨンギョンを褒めました。ファン教授は欠かせない人だとヨンギョンに言いました。オ・ハラのお母さんがヨンギョンに感銘を受けてオ・ハラの名義で多額の寄付をしたことにシン理事長はヨンギョンに恩義を受けたと思っていました。ヨンギョンは治療を受けられない子が出ないようにと言いました。
「自分だけが医者と思うなよ。一時は遊んでて人間らしかったのに。」
同期の医者はヨンギョンに言いました。
ユ・ジェハは親分が息子と暮らし、息子が結婚するので招待状を貰ったとヨンギョンに封筒を渡しました。ヨンギョンは忙しいのに二週間に一回は無料診療に出ているユ・ジェハを褒めました。ジェハは最初はホ・イムの頼みではじめたけど今は自分の意思で行っていると答えました。
朝鮮の恵民署。
許任(ホ・イム)はメスのような道具「鈹鍼(ピチン, ひしん)」を手に取ると、患者の膿を切開しました。
「参奉(チャンボン)様。参奉(チャンボン)参奉参奉(チャンボン)ナウリ~!」
マッケはホ・イムを呼びました。
許任(ホ・イム)が「その名で呼ぶな」と言いつつ表に出ると、朝鮮の町人の格好をした沙也可(サヤカ=韓国語でサヤガ, 日本の武士)が待っていました。
「そなたは沙也可・・・。」
ホ・イムは驚きました。
「覚えていてくださったとは。ですが、その名はお忘れください。私はキム・チュンソン(金忠善)です。」
沙也可は言いました。
「私のことは覚えていますか?あの時お礼を言い忘れました。助けていただきありがとうございます。」
沙也可の部下はお礼を言いました。
「よく来た。よく来てくれた。」
ホ・イムは二人に両手で握手しました。
「そなたが軍を率いて投降した倭人なのか?」
ホ・イムは沙也可に尋ねました。
「やはり、あなた様は多くの民を救った方ですか?」
沙也可は言いました。
「私たちは期せずして味方同士になったようだな。」
ホ・イムは言いました。
「私は自分が正しいと思う道を選んだだけです。あなた方に救われた命と人生です。あの女人(にょにん)はお元気ですか?」
沙也可は言いました。
「そのはずだといいが。」
「もう、おそばにおられないのですか?」
「もとの場所に戻っただけだ。」
「お二人の姿は美しかったです。」
「そう見えたか。」
「あの女人(にょにん)と再会したら伝えてください。ご自身が救った者がどんな人生を歩んだのか。」
「あの者は既に知っているはずだ。」
ホ・イムは地面にハートと矢の絵を描いてはヨンギョンを思い出しました。
「それは何ですか?初めて見たけどかわいい。」
ヨニはホ・イムに言いました。
「そう思うか?これはハートというのだ。これには二つの意味がある。一つは心臓。もう一つは愛情。お前に似た女人(にょにん)が教えてくれた。」
ホ・イムは言いました。ヨニはいつ医術を教えてくれるのかとホ・イムに言いました。ホ・イムはもう少し大きくなったらと答えました。
ヨニはホ・ジュン(許浚)を見ると抱き着きました。
「(私には抱き着かぬくせに。)」
ホ・イムは嫉妬しました。
ホ・ジュン(許浚)は殿下(王様)のことで話しがあるとホ・イムに言いました。
ホ・ジュン(許浚)はホ・イムに国王の耳鳴りの治療に推挙したと言いました。ホ・イムは国王宣祖(ソンジョ)を治療する覚悟を決めました。
そこに貧しい民が現れ「私の息子が牛に突かれました。助けてください」と血まみれの幼子を連れて現れました。ホ・イムはマッケに薬剤と道具を持ってくるよう指示しました。役人は「王様をお待たせする気か。主上殿下に逆らうとどうなるか怖くないのか?」と言いました。
「あの民も主上殿下の民で殿下が守らねばならない民です。今あの子を死なせれば殿下が民の怒りを買いますよ?」
ホ・イムは言いました。
ホ・イムは少年の傷を縫合しました。
ホ・イムは国王の宮殿に行きました。
「殿下をお待たせするとはけしからん奴め。戦乱の功に免じて過去の罪を大目に見てやったのに。何をしておる。殿下に早くお詫びせぬか。」
ユ・チャンソン(現代では親分の人)は言いました。
「それで、その子は助かったのか?」
宣祖(ソンジョ)は苦しそうにホ・イムに言いました。
「殿下のご温情のおかげで一命をとりとめました。」
ホ・イムは答えました。
「ならばよい。これ以上責めるな。私はお前の名声は聞いていたが御医(オイ)にも治せぬ病を治せるのか?今回も心配でならぬ。」
宣祖(ソンジョ)は言いました。
「私は鍼術の心得はございませんが、ホ医員(イウォン)の鍼灸術は匠ゆえ、他のどの医官にも真似できぬものでございます。ホ医官は大勢の者を救って来ましたゆえご安心くださいませ。」
ホ・ジュン(許浚)は言いました。
許任(ホ・イム)は宣祖(ソンジョ)に声を掛け、心を鎮めるツボに鍼治療を開始しました。しばらくして、宣祖(ソンジョ)は元気になりました。
「噂の通りだ。まさに名不虚伝(ミョンブルホジョン、名声通りの実力があること)だ。」
宣祖(ソンジョ)の表情が晴れました。
「医官ホ・イムは王命を受けろ。恵民署(ヘーミンソ)の医官ホ・イムは内医院(ネイウォン)へ異動し全力を尽くして国王や王世子のお体をお守りせよ。」
ホ・イムに従六品の王命が下されました。
許任(ホ・イム)はあまり嬉しそうではありませんでせいた。
「褒美は意味なく与えられるものではない。人生において何かを望んだ時、手に届く贈り物。それがよき褒美だ。」
ホ・ジュン(許浚)はホ・イムに言いました。
「そのうち令監(よんがむ)に追い付きます。」
ホ・イムは言いました。
「正三品の私に追い付くだと?後世では私のほうが評判がよい。皆私をイカす、サイコーだと言っておる。」
「古いですね。マジ、イケテル、クソヤバい。」
「クソ?」
「世代差があるようです。」
「はっはっはっは。」
二人は笑いました。
ホ・ジュン(許浚)は懐からキャンディーを取り出しました。
「今まで召し上がらずにとっておいたのですか?」
「向こうがどんな暮らしをしているのかもう知るすべもない。チョンスルさんは息災であろうか。」
現代の恵民署。
「チョンスル兄貴~。」
庶民姿のマ・ソンテが焼酎と肴を持って現れました。マ・ソンテは欲を捨てたので健康になったと言いました。
「私を雇ってください。」
「こんな小さな医院に二人も医者はいらん。」
「給料は半分でいい。」
妊娠したジェスクは夫のビョンギと一緒に二人を見ていました。
シンヘ病院。
チェ・ヨンギョンは手術を早く終えました。チョン看護師はヨンギョンに合図を送りました。ヨンギョンはホ・イムが見守っていないことを寂しく思いました。
朝鮮。
ホ・イムは切なそうに空を見上げると、ため息をつきました。
ヨンギョンはカップラーメンを作りました。
ホ・イムは自分に出された飯を前に、ヨンギョンを思い出しました。
「1、2、3、4、5、6・・・。」
二人は三分を数え、仲睦まじく過ごした日々を思い出しました。
朝鮮の夜。
許任(ホ・イム)はマッケに医科の受験勉強のための本を渡してよく勉強するように言いました。
「マッケや。いつまでも下働きしているつもりか?」
「ヨンギョン様がおられる世では女人(にょにん)でも医員(イウォン)になれるそうですね?」
「そうだ。」
「羨ましい。」
「邪心は捨てて少しでも学べ。(いつまで男装せねばならぬのか。マッケの奴め。)」
ホ・イムが呟くと貧しい男の子が食事を分けてくれました。
ホ・イムは少年にお礼を言いました。その時、本棚が倒れて来てマッケにぶつかりそうだったのでホ・イムはマッケを庇って書庫から落ちました。
ある日。
ヨンギョンはチョン看護師や後輩の医者と貧しい人々に二週間に一度の無料診療をしていました。そこに朝鮮の服を着た許任(ホ・イム)が歩道橋から降りて来ました。ヨンギョンはホ・イムに気が付きました。
(いい歌が流れる♪)
「痛そうね。どうしたんですか?」
ヨンギョンはホ・イムの打撲の診療を行い涙を流しました。
「ある人に会うために、自転車に乗っていたら・・・。会いたかった。遅くなって済まない。」
ホ・イムは言いました。
二人は見つめ合いました。
「人生において何かを切に望んだ時、手元に届く物。それがよき褒美だ。(ホ・ジュンの声)」
「すぐ帰るの?」
「そなたと暮らすために来た。もしかして、ナムチン(カレシ)がいるのか?」
「男友達(ナムサチング)は多いわ。」
「ナムサチングとナムチンはどう違うのだ?サの意味とは?」
「いつ帰るの?」
「いったであろう。そなたと暮らすためだ。」
「今更何なのよ。」
「だから戻って来た。」
「また捨てられるわ。」
「ここでは暮らせぬと思い込んでいたのだ。」
「もういいわ。」
「私はガムだ。そなたなしでは生きられぬ。」
最善を尽くす皆さんがまさに名不虚伝です。(制作者のメッセージ)
シンヘ韓方病院。
「ああ、死ぬかと思った。」
マッケがエレベーターから書物を抱えて出て来ました。
マッケはユ・ジェハの診療しているところに行きました。
「ホ参奉(チャンボン)ナウリは経絡に沿って打つのに。」
マッケはつぶやきました。
「ホ参奉(チャンボン)?許任(ホ・イム)?」
ユ・ジェハは笑いました。
感想
医心伝心最終回の感想です。何と、許任(ホ・イム)とマッケが現代にタイムスリップ。朝鮮は外的の戦乱を終えていったん泰平に。ハッピーエンドでよかったね!
マ・ソンテは無職となったのか、自由気ままな暮らしから健康についての気づきを得てチェ・チョンスルと仲直りしました。シン院長は理事長となり、ヨンギョンの善行為のおかげで莫大な寄付を貰って新たな治療センターを作るという功績を得られました。ユ・ジェハは結局はかわいい弟役として安心できる結末を迎えられました。ホームレスの親分も住まいを得ました。ヨンギョンは診療教授という、日本ではよくわからない地位に昇進。ヨンギョンもまた祖父に倣い貧しい人のために無料診療をはじめました。でもやっぱり愛しい人がいないと寂しいの!ということでホ・イムとヨンギョンは期せずと再会しました。そして兵曹判書のように、どんなに偉い人でも最期は苦痛の中死んでいくのだという世の無常が描かれていました。
今回見たドラマはタイムスリップの韓国ドラマの中で一番面白かったです。
いろんな矛盾はあっても面白かったからよし!
とてもいいドラマでした。
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