七日の王妃5話
目次
あらすじ
忘れられない人
日中の船上。イ・ヨク(晋城大君)は「二度と会うまい」と、かつて自分を殺そうとした賊を浅瀬に放り込みました。イ・ヨク(晋城大君)は漢陽(ハニャン)の港に着きました。二人の友人はヨクを出迎えました。ソノは大君の護衛武士になって王子の身を守っていました。
東籍田(トンジョクチョン)。
村はかつて燕山君に焼き尽くされ野原になっていました。そして村へと至る道に関所が設けられ警備が強化されていました。イ・ヨク(晋城大君)は王命で引き返すよう武官に言われて失笑しました。
「そんなことするはずありません。アイゴ(しまった)この足が悪いんだ。道を誤った。」
イ・ヨク(晋城大君)は引き返しました。
「王の土地だって?兄上の物だと?私が兄上の世を壊します。兄上の王座も、私が貰います。」
朝鮮から戻って来たイ・ヨク(晋城大君)は心に誓いました。
1504年(燕山10年)。
王の女、チャン・ノクス(張緑水)は内官が持っている献上品を調べると「黒い麻布と角閃石(かくせんせき)と白扇」が無いと燕山君に言いました。
「余は本日までに準備するように言ったぞ。」
燕山君はだるそうに言いました。
「申し訳ございません殿下。梅雨のため献上品を積んだ船が漢陽(ハニャン)に到着していません。」
都承旨(トスンジ)に昇格したイム・サホンは言いました。
「季節を考えろと言ったはずだが。」
王は言いました。
すると、大臣の一人が民が農繁期で春窮しているので、と釈明をはじめました。
燕山君は意を唱えた大臣に龍衣を着せると「そなたが王になれ」と言いました。
「殿下。お考え直しくださいませ。」
大臣は土下座して謝りました。
燕山君は靴下を脱ぐと五衛都總府(オウィドチョンブ)副総監(プチョングァン)であるパク・ウォンジョンに与えました。パク・ウォンジョンは恭しく靴下を受け取り頭に頂いた後、土下座しました。燕山君はチャン・ノクスから髪飾りを抜くと、来月娘が結婚する大臣に与えました。
「殿下。マンガカウ(厚恩の極みで)・・・。」
老臣が言いかけると・・・
「マンガ・・・マンガ・・・お前らも忠誠を見せろ。」
燕山君はそう言って部屋から出て行きました。
大臣の一人は左議政シン・スグンにどうすれば王の怒りの病を鎮められるのだと嫌味を言いました。
ある村。
娘たちは優雅にコムンゴを演奏する風流人、燕山君(ヨンサングン)に見とれていました。
回想シーン。
廃妃ユン氏が寝所から連れ出される場面。
ユン氏は幼い燕山君の袖から出ている糸を口で切りました。
「この国の王となられるお方です。身なりくらいはきちんとしないと。」
美しい廃妃ユン氏は幼い燕山君にそう言うと、王宮から連れ出されました。
回想シーン。
「殿下のお母上は病死ではありません。毒殺されたのです。」
ユン氏お付きの女官だったと思われる女性が武官姿でお忍びの燕山君に鳴いて言いました。
シン・チェギョンもまた噂を聞いて、友人と高貴なイケメンの若君(燕山君)を見に行きました。女人たちは押し合いながら若君を眺めようとしていました。
「いいえ。人違いよ。・・・・・・殿下!」
チェギョンは女人(にょにん)から逃げて来た燕山君)に言いました。燕山君は一瞬振り返ると、チェギョンの手を繋いで女性たちから逃げました。
街。
「チョ・・・チョナ(殿下)。」
チェギョンは燕山君から首に小刀を突きつけられていました。
「どうして私を知っている。」
燕山君は言いました。
「私です。チェギョンです殿下。」
チェギョンは言うと、振り返りました。
燕山君は驚きました。
酒場。
「どうしてですか?漢陽(ハニャン)に来るたびに市場で会うなんて不思議です。」
チェギョンは大きな器を両手に持ち汁を飲み干すと燕山君に言いました。
燕山君は昔もチェギョンは豪快に汁を飲み干したことを思い出し思わず笑みを浮かべました。
「外出する度にお前が漢陽(ハニャン)に来るだけであろう。その顔(そばかす)はどうした。」
燕山君も匙で粥をかき混ぜました。
「醜いと噂になれば婚礼しなくて済むと思って。」
チェギョンは言いました。
「努力せずとも十分醜い。」
燕山君は言いました。
「わかりました。兄者がかわいがってくださるお礼に今日は私がお仕えします。」
チェギョンは言いました。
「私が何をすると?」
「知ってると思います?賭けますか?」
「わかった。だが私を兄者(ヒョンニィ)とは呼ぶな。」
イ・ヨク(晋城大君)は久しぶりに都に戻りました。大君はチェギョンの姿を求めていました。
チェギョンは燕山君と市場で魚の干物を買いました。
イ・ヨク(晋城大君)は露店でサンショウウオの水差しを見つけました。
チェギョンは「お兄様の顔みたい」と大きな梨を買いました。
「どうしたのだ?」
「お兄様のお顔に金でも埋まってるみたい。」
怪しい家。
男は扉を叩き、コメを交換してほしいと言いました。
扉を開けたペク・ソッキ(チンソン大君の友人)は職業と名前を言うように言いました。男は両班の家の作男だと言いうと、ペク・ソッキは男を中に入れました。男は謎の部屋に入るとチョ・グァンノはどこの家の者かと尋ね「都のひそやかな私生活」という本を準備しました。男はユン・ジルサン家の使用人だと答えました。男は本を受け取りとても喜び、もっと作男(私奴婢)を集めてくると言いました。ユン・ミョンヘ(パク・ウォンジョンの姪)が二人の前に現れました。ミョンへは階段を降り帽子を脱ぐと、置いてあったナクチョン(楽天)というY字型の道具を手に取りました。ソノはいきなりミョンヘに頬を叩かれました。
「お兄様が死にかけたので借りを返させてもらうわ。命で償って。」
ミョンヘはきつい口調でソノに言いました。
「ご命令。わかりました。」
ソノは大人しく従いました。
「さあ。私の自己紹介が終わったけど、お兄様は?」
ミョンヘは言いました。
酒場。
チェギョンは燕山君を個室に呼びました。二人は仲良く雑談していました。
隣の個室には晋城大君(チンソンテグン、のちの中宗)が酒を飲んでいました。
イ・ヨク(晋城大君)は未婚の令嬢が「お兄様。持ってきたわよ」と燕山君を親しそうに呼んで食事を運ぶ姿を見て驚きました。
燕山君は二つの膳に酒を注ぎました。膳の前には「ユン氏」の位牌がありました。燕山君はチェギョンと位牌に向かい拝礼しました。
「殿下のお母さまなら私のお母さまも同然でしょ?」
チェギョンは言いました。そしてチェギョンは隣にあるイ・ヨク(晋城大君)の位牌に酒を注ぎ一人で拝礼しました。
「ヨクが死んだのはお前のせいではない。自分を責めるくらいなら恨め。なぜ先に逝ったのだと。」
燕山君は言いました。
「恨んでおいでですか?会いたいのでしょう?殿下はお母さまに会いたいそうです。」
チェギョンは位牌に言いました。
「ヨクは、チェギョンに会いたいと。」
燕山君は言いました。チェギョンは泣きました。
「は~。よかった。恥ずかしくて言えないから。家族はいいでしょ?」
チェギョンは涙を拭って言いました。
「私の家族は、火の玉(霊)だけだ。飲み込みも吐きもせず余を苦しめる。隠れて祭祀(チェサ)を行うとは情けない。」
「聖君(ソングン)になられてはどうですか?聖君を大臣は、いつか文武百官の前でお母さまの位牌を取り戻し祭祀を行えるはずです。亡くなられた大君媽媽も殿下を誇りに思うでしょう。覚えていますか?大君様がお兄様のために買った水差しです。サンショウウオは小川の龍で南を司っているそうです。そういえばサンショウウオが暴れて三南地方で大雨が・・・ふふふ・・・笑ってないでお兄様のお力を見せてください。聖君になるなら天を制圧しないと。」
チェギョンが言うと、燕山君の頬が緩みました。
壁の裏で、イ・ヨク(晋城大君)はため息をつきました。
暗くなり、チェギョンが酒場の個室を出ると、そこにイ・ヨク(晋城大君)がいました。
「大君媽媽。人違いです。幽霊じゃなくて人だわ。もしや!」
チェギョンは大君の腕をつかみました。
「違う!」
大君は思わず言ってしまいました。
「まだ言ってないのに。食事を食べませんか?祭祀の供え物は分け合って食べるのです。」
チェギョンは大君を引き止めました。
チェギョンは縁台に膳を用意し、大君に「大切な方の命日です」と食事をすすめました。
「幽霊でもいいから会いに来てほしい。気配でも感じさせて。」
チェギョンは言いました。
「死者に無礼だぞ。その者も死にたくて死んだわけじゃない。」
イ・ヨク(李懌)は怒ったように箸を置くと帰ろうとしました。
「何を言うんですか?酷いですね。何も知らないくせに。」
チェギョンは言い返しました。
「死んだ者の痛みや苦しみ、そいつの気持ちがどうしてわかろうか?」
イ・ヨク(李懌)は声を荒げました。
「どうしたのだ。夫人(妻)よ。」
燕山君が個室から出て来ました。
「・・・・・・。せいぜい夫に尽くすんだな。」
イ・ヨク(李懌)は緊張した表情で帰りました。
「誰とでも親しくするんだな。」
部屋に戻った燕山君はチェギョンに言いました。
「夫人(プイン)と呼ばれたらお嫁に行けません。」
チェギョンは不貞腐れた様子で言いました。
「嫁に行きたくないんだろ?」
「行けないのとはちがいます。」
チェギョンは言いました。
燕山君は器に残された食事を見て「私はそれを食べられぬのだ。ヨクも私を真似て食べなかった」と言いました。チェギョンは話を聞くと、部屋を飛び出し縁台にも同じ食べ物が残っていることを確かめました。
チェギョンはイ・ヨク(晋城大君)を捜しに駆け出しました。イ・ヨク(晋城大君)は塀の裏に隠れて爪を立てました。
ミョンヘは隠れているイ・ヨク(李懌)に声を掛けました。イ・ヨク(李懌)は何でもないと言って去りました。
「チェギョン。どうしたのだ。」
燕山君が追い付きました。
「いいえ。何でもありません。」
チェギョンは言いました。
その様子をミョンヘは見ていました。
隠れ家。
イ・ヨク(晋城大君)は友人とソノ、ミョンヘと合流しました。ミョンヘは「お兄様の身体は私のものよ」と言うと、大君の傷ついた指に布を巻きました。大君は「命の借りはあるが、主人ではない」と言いました。皆は酒で乾杯しました。
チェギョンの実家。
チェギョンが帰宅すると心配していたお母さんがチェギョンを叱りました。シン・スグンもチェギョンを心配していました。
チェギョンの部屋。
乳母は外出の際は自分も連れて行っていくようにチェギョンに言いました。
チェギョンは乳母に、幽霊を信じることにしたと言いました。乳母はすぐにお嫁に行かないと胸がしぼんでしまうと言いました。チェギョンは逃げ出しました。
チェギョンは軒先に座ると嫌いな餅を無理して食べていたヨクのことを思い出しました。
回想シーン。
大けがを負ったイ・ヨク(晋城大君)はみすぼらしい姿の老人から治療を受けていました。老人は拳に怒りを握りしめたまま生きていても苦しいだけなので逝くようにすすめましたが、ヨクは息も絶え絶えに王になるので生きたいと言いました。ミョンヘはヨクの看病をしていました。
回想シーン。
ヨクは苦しみながらリハビリをしていました。ミョンヘは楽天(ナクチョン)と書かれた杖を差し出しましたがヨクは立つことができませんでした。「歩けない。歩けないんだ」とヨクは大声で叫びました。
「だめだ。だめだ。死にたくない。死ぬもんか。生きさせてくれ。生きたいんだチェギョン!必ず戻るから。必ず戻るから。待っていてくれ。チェギョン。」
ヨクはミョンヘにしがみ付いて泣きました。
ミョンヘは大君の中にいる女性を知り泣きました。
回想シーン。
ミョンヘはソノにシン・チェギョンという名を聞くのは最後にしたいと言いました。ソノはミョンヘに恩があるが、は無理だと言いました。
「ミョンヘお嬢様の看病で助かったのではありません。お嬢様への気持ちが強かったのです。」
ソノは言いました。
ミョンヘはそれを否定し兄王への復讐心で大君は蘇ったのだと言いました。
妓楼。
間者の男はチャン・ノクスとイム・サンホに密会すると、何者かに積み荷が奪われたと報告しました。チャン・ノクスは十日以内に奪った者と品物を見つけないと命は無いと命じました。イム・サンホは王室の資金が不足しているので慶尚道(キョンサンド)と全羅道から財を取り上げるしかないとチャン・ノクス(張緑水)に言いました。
王の寝室。
チャン・ノクスは王の寝ている隣で「三南の洪水で献上船が沈没した」ので教示を出して欲しいと言いました。
チェギョンは米と情報を交換してくれる店があるという噂を聞いて、大君のアジトを訪れました。チンソン大君の声に気づいたチェギョンは興奮して泣き出します。チンソン大君はそんなチェギョンに口づけをするのでした・・・。
感想
七日の王妃5話の感想です。大きくなったシン・チェギョンとチンソン大君、燕山君(国王)の三人。燕山君は何とチェギョンと親しくしているではありませんか。イ・ヨク(晋城大君)は重傷を負ってパク・ウォンジョンの娘のユン・ミョンヘに命を助けられ、チェギョンに会いたい一心で苦しいリハビリに励んで来ました。
そんなチンソン大君は酒場で、あんなに会いたかったチェギョンが仇である燕山君と親しくしている様子を見て衝撃を受けました。チンソン大君は、燕山君が自分のことを弟として供養している様子を聴いていたはずで廃妃ユン氏のことも知っているはずなんですが・・・この段階では兄の心情に思いを馳せることなく感情の奴隷です。このときの燕山君は暴君ではなく、マトモに見えました。
ストーリーの整合性はともかく、大君の二人の親友は謎の貸本屋を営んでいましたね。港での様子を見ると、二人は大君と連絡を取り合っていたようです。ミョンヘも無理やり仲間に加わり、ソンはなんと武術の達人になったみたいです。
人は一方向に努力すれば、そこそこにはなれるものなんですね。
話しが面白くなってきました。
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