浪漫ドクター キム・サブ最終回 全てのはじまり
目次
あらすじ
チャン室長は郵便物を受け取りました。カン・ドンジュ先生宛ての国際郵便やナム・ドイル先生宛ての最高裁判所からの書簡がありました。チャン室長は手術を終えた二人に封筒を渡しました。チャン室長はソジョンとオ看護師にこのことを話しました。
オ看護師はソジョンにナム先生と自分のことについて打ち明けました。
ナム先生は七年前、十歳の子が手術後の脂肪塞栓症で亡くなり訴えられていました。一審では負けて、二審では勝利し、最高裁までもつれ込んでいました。このせいでナム先生はコサン病院を辞めてフリーとなりヨ院長に誘われてトルダム病院に来たのでした。オ看護師はキム・サブに誘われて来ました。チャン室長は自ら進んでキム・サブに着いて来ました。オ室長は「あなたがキム・サブがトルダム病院に来て初めて手術した患者よ」とソジョンに言いました。
回想シーン。
キム・サブは道で倒れていたユン・ソジョンをERに運んでベッドに寝かせ「手術をさせてほしい」と連絡しました。
カン・ドンジュは手紙を読んで深刻そうな表情を浮かべました。その様子をヨナが隠れて見ていました。
トルダム病院にキム・サブを訪ねて来た女性がいました。キム・サブは久しぶりと微笑む、意思が強そうな、ふっくらと柔らかい体つきをした大人の風格ある女性を見て驚きました。女性はキム・サブの執務室に招かれると「まだ持ってるのね」とカセットテープの再生ボタンを押しました。
「曲って不思議ね。あなたとの昔に戻れる気がする。」
「いつ戻ったんだ?」
「さあ。4年前だったかしら。老けたでしょ。」
「前と変わらない。かっこいいよ。」
「嘘でも嬉しいわ。年を取った証拠ね。コーヒーを淹れるの?」
「趣味だよ。」
「趣味?嫌がってたくせに。映画を観たり、食べ歩いたり、カフェでおしゃべりすることも嫌いだったもの。なのにドリップコーヒーを?デートの時は嫌そうにしてたもの。」
「そんなことない。」
「そんな表情を見たのは初めて。」
「ふっ・・・何しに来たんだ。わざわざ俺に会いに来たわけじゃないだろ。」
キム・サブが言うと、女性は友達の一人に褐色細胞腫で悪性高血圧の中国の同胞がいるので手術をしてほしいと話し始めました。キム・サブは難しい手術じゃないからと断ろうとしましたが、女性はその人がHIV患者だと言いました。
カン・ドンジュは考え込んでいました。カップラーメンを食べていたソジョンはヨナとパク看護師から手紙を受け取ってからだと聞きました。そこにオム看護師が来てキム・サブに女性が訪ねて来たと言うと、皆はびっくりしました。カン・ドンジュたちはキム・サブの部屋を覗き込みました。女性が微笑むと、皆は解散しました。
キム・サブは院長室にヨ院長とチャン室長とオ看護師、カン・ドンジュとト・インボムを集めHIV患者の手術についてシールドを装備して腹腔鏡を使って手術すると言いました。ト・インボムは手術後は2日は手術室を使えないと嫌がりチャン室長も乗り気ではありませんでした。
カン・ドンジュを待ちながら勉強していたソジョンは、カン・ドンジュの机の上の本に挟まれていた封筒を見て、頭を悩ませました。
朝になりました。
女性は患者を連れて来ました。職員は患者を見ると、不安そうに囁きました。ソン課長は「イ・ヨンジョだ」と女性を指さし一般外科の同期で国境なき医師団に所属しているキム・サブの恋人だと皆に言い振らしました。
キム・サブは女性患者の血圧を測ると降圧剤を使っても220-160でした。キム・サブは女性に話しかけ手術の必要性を説明しました。キム・サブはオ先生に手術の準備をするように命じました。
キム・サブはカン・ドンジュとト・インボムに手術を依頼しました。カン・ドンジュは名乗り出るとキム・サブの手首の傷を心配しました。キム・サブは手袋を二重にして患者が触れた物をすべて処分するように言いました。ト・インボムはカン・ドンジュに感染するかもしれないと言いました。カン・ドンジュはそこまで運が悪く無いと言いました。
「一番危険なのが細胞腫を取り除く時だ・・・。」
キム・サブはカン・ドンジュとナム・ドイルに話しました。ナム先生は何としてでも失敗しないようにすると言いました。
チャン室長は珍しくソン課長と手を組み手術を辞めるようキム・サブに訴えました。イ・ヨンジョは聞くに堪えかねて昔の彼氏に頼むしかなかったと言いました。
「HIVという病気は恐ろしいけど、もっと恐ろしいのは偏見です。問題に備えるのは当然ですが、起きてもいないことを恐れやるべきことをやらない。それでいいのですか?あなたたちは警戒しすぎるのをやめて冷静に考えてみてください。お願いします。」
イ・ヨンジョは頭を下げて言いました。
ナム先生とカン・ドンジュは手術室に行きました。
キム・サブは物言うイ・ヨンジョに口をすぼめました。
その時、ERに電話がかかり、銃創患者が来るという連絡が入りました。
カン・ドンジュはナム先生とオ看護師らと手術をはじめようとしていました。キム・サブは手術室に電話すると二十か所以上に銃弾を受けたという患者がいるのでカン・ドンジュに手術するように命じました。カン・ドンジュは経験が無いと断ろうとすると、イ・ヨンジョは紛争地域で何度も患者を診た経験があると言いました。キム・サブはHIV患者の手術をすることに決め、カン・ドンジュとイ・ヨンジョに銃創患者の手術を任せました。
キム・サブが手術室に入るとト・インボムがいました。ト・インボムは一度だけ腹腔鏡の手術がありキム・サブには手首の動きに支障があるので自分がやると言いました。
カン・ドンジュはイ・ヨンジョと腹部からの弾丸の除去手術をはじめました。
ト・インボムも細胞腫を取り除く手術をはじめました(キム・サブは顔を保護せずメガネだけですが・・・)。
ソジョンはチャン室長にキム・サブが恋人のイ・ドンジュとどうやって出会って別れたのか聞き出そうとしていました。チャン室長はプライベートなことなので断りました。そこにソン課長が現れキム・サブはイ・ヨンジョといつも喧嘩していたと言いました。チャン室長は「似たようなカップルを見たことがある」と言うと、ソジョンは咳き込んでごまかしました。ソン課長はイ・ヨンジョはクリーブランドに行き国境なき医師団に入って関係は終わったと言いました。
「離れたら別れちゃうんですね。」
ソジョンは落胆しました。
キム・サブはカン・ドンジュに電話して状況を聞きいました。イ・ヨンジョはカン・ドンジュに弾丸を取って見せ、手術のやり方を教えていました。
「オーケー。きれいだ。よくやった。最後まで気を抜くなよ。」
キム・サブはト・インボムに言うと手術室から出て行きました。
キム・サブはカン・ドンジュの手術を見に行きました。イ・ヨンジョは緊急時に医者の専門分野は関係なく金属探知機で銃弾を捜すこともあると言いました。そして、ヨンジョは紛争地帯の人は毎日「どうしたら死なないかだけ考えている」と言いました。カン・ドンジュは素早く正確な動きで縫合を行いました。
「サブ(師匠)のおかげね。」
イ・ヨンジョはクールに言いました。
手術が終わりました。
キム・サブは自分の執務室でイ・ヨンジョにコーヒーを淹れました。
「さあ。召し上がれ。」
キム・サブはイ・ヨンジョの表情を見つめました。ヨンジョはコーヒーを口に入れるとおいしいと言いました。キム・サブが安堵した瞬間、ヨンジョは同僚は皆死んだと話し始めました。
「涙は出なかったわ。ただ腹が立った。なぜ私にばかり悪いことが起きるのか考えたわ。人に会うのも怖くなった。こんなはずじゃなかったのに。私は・・・道に迷ったのね。」
イ・ヨンジョは涙を浮かべて言いました。
「本当に迷っているなら、あの患者を連れてここに来なかっただろ。」
キム・サブはヨンジョを慰めようとしました。
「習慣よ。今までしてきたことをやっただけ。だから見捨てられなかった。それに、会いたかった。先輩は、どう?大丈夫?」
「ああ。そうだな。はぁ。映画も、食べ歩くことも、好きな女性とこうやってコーヒーを飲むことも、嫌がっていた俺が・・・ここまで大丈夫だったからな。はっはっはっは。」
「そう?そう・・・。」
「肩を貸そうか?」
「お願い。」
ヨンジョが言うと、キム・サブはソファに腰掛けました。ヨンジョはキム・サブに寄りかかりました。
「どうして、別れたのかしら・・・。」
ヨンジョは呟くと目を閉じました。
ユン・ソジョンは更衣室で私服に着替えると口紅を塗るとため息をつきました。
「元気を出すのよ。ユン・ソジョン。あなたにはできるわ。涼しく見送るのよ。」
ソジョンは勇気を出しました。
カン・ドンジュはソジョンを待っていました。ソジョンは「デイトしましょう」とカン・ドンジュの手を引っ張りました。ソジョンは部屋から出てきたキム・サブを引っ張るとカン・ドンジュと写真を撮りました。ソジョンは次に職員たちとカン・ドンジュの集合写真を撮りました。
ソジョンはカン・ドンジュを手術室に連れて行きスマホで写真を撮りました。
「なんでこんなことするんですか?」
「これがデートよ。」
ソジョンは言いました。そして、正直に「あなたを送り出そうと思って。それに一度もデートしたことなかったし」と言いました。
「キム・サブと同じよ。思いあってるけどお互いを尊重したいの。大丈夫だから。」
「本当に読んだのか?」
「送り主は海外の病院だった。」
ソジョンが言うと、カン・ドンジュは手紙を開けました。
「さあ。よく見て。下のところだ。ソーリーって書いてあるだろ?」
カン・ドンジュは言いました。
「ソーリー?もしかして、断られたの?マジで?」
ソジョンは喜びました。
「恥ずかしいから言わないでおこうと思ってたのに、送り出そうとしてたのか?」
カン・ドンジュは興奮して言いました。
「じゃあ、行かないのね。落ちたからいけないわ。」
「合格しても一人じゃ行かない。先輩と一緒に行くか、諦めるしかない。」
「お互い進む道が違えば別れることもあるわ。」
「人生は短いんだ。好きなのにどうして別れるんだよ。」
「それがお互いのためなら仕方ないでしょ?」
「古い考えだな。いつの時代のことだよ。」
「あなたみたいな考え方を束縛っていうの。」
「束縛?美しい拘束って歌もあるだろ?」
「古い歌を知ってるのね。」
「とにかく、そんなこと言わないで。」
「・・・愛してる・・・。」
「やめろって・・・今何て?」
「おおおお。今何て言ったの?」
「さあね。」
「よく聞こえなかったからもう一度。」
「ソーリー?」
「違うよその後・・・。」
「何も言ってないわ。ソーリー。ソーリー。」
ソジョンとカン・ドンジュはじゃれ合いました。
急患が運ばれてきました。
ト・インボムとヨナ、パク看護師たちは急いで患者に向き合いました。
病院の外。
イ・ヨンジョは納得したように病院を去りました。
ある日のトルダム病院。
ソジョンはオ看護師にキム・サブとの出会いを尋ねました。オ看護師は警察署で会ったと言いました。2002年冬、お尻を触られたと男を訴えているオ看護師は警察署の仲で暴れていました。キム・サブはカツアゲされている高校生を守るために警察署で怒鳴っていました。警察署の牢に入っている男が意識を失いました。キム・サブは自分は医者だと言い現場をしきり始めました。オ看護師は手ぬぐいを差し出し、近くにいる男のベルトを借りました。オ看護師は「5分以内に私の病院があります」と言いました。
「あなたの名前は?」
「オ・ミョンシムです。あなたは?」
「キム・サブです。」
キム・サブはオ・看護師と握手をしました。
感想
浪漫ドクター キム・サブ最終回の感想です。BSで全21と、2019年のお正月を挟んで1回で終わりました。メディカルドラマなので、結構キツい場面もありました。しかしキム・サブはそのたびに若い医師を励まして、難しい局面に立ち向かっていきました。キム・サブに最終回で彼女がいたことがわかりました。その彼女イ・ヨンジョは国境なき医師団として戦争のある地域で活動している戦う女ドクターです。イ・ヨンジョの話から、紛争地域での医療は過酷なものであることがわかりました。
イ・ヨンジョという人物について
私はイ・ヨンジョの話を聞いていると、現場はすごく怖い、毎日が死の恐怖との戦いなんだろうと想像しました。怖い気持ちは脳のエネルギーをすごく消耗するし、その状態で頭と体を働かせて患者を治療するのはとても過酷な仕事であることがわかります。考えただけでも精神的につらいですね・・・。イ・ヨンジョを演じているのはキム・ヘスという女優さんです。キム・ヘスは1970年生まれで2018年の時点では48歳です。その歳まで独身でいること自体が精神的に厳しいと思います。イ・ヨンジョは架空の人物ですが、しかしドラマでは精神的に強いというよりは、毎日不安や怖い気持ちと向き合って来て、ただそうやって必死で心を乱さないように努めているだけで、気が緩めば崩れてしまいそうな自分を何とか自身で迷いながらも支えているという、それを他人は強い女性と言うのかもしれませんが・・・ただただ恐怖と向き合ってここまで来たという、苦しい思いをしながら生きて来た女性であることがわかります。キム・サブはそんなヨンジョの心細い気持ちを理解して、しばし休むための肩を貸してあげました。その一瞬の安らぎが二人を支え合っている永遠の絆でもあると私は理解しました。何とも心打たれる場面なんですが、それが二人が決めた生き方です。
オ・ミョンシムもまたキム・サブのことを慕っているようですが・・・。そういえばチャン室長は誰に振られたんでしょうね。
カン・ドンジュとユン・ソジョン
ソジョンは身体から心までも傷ついた経験から、何の交通事故かわかりませんが、罪悪感に苛まれていました。それ以外にも日常的に医師としての覚悟に揺らぎが見られ、キム・サブに少し何か言われると大きく動揺してしまいます。ユン・ソジョンはまさに自信のない女性です。でもその自信のなさが日夜勉強やリハビリに励む動機となっていて、キム・サブに「大丈夫」と励ましながら「大丈夫」という自分を信じる心を育てていきました。やはり深く傷つくと、これでいいのかな?と何かにつけて自信をなくし、落ち込んでしまうのは人間の自動的な反応ですから、そこから立ち直るには勇気と、大丈夫だと思えるまでよい経験を蓄積していく根気のいる繰り返し作業が必要となってきます。カン・ドンジュはそんなユン・ソジョンを可愛いと思って好きなのです。ソジョンも後輩が自分の事を好きであることに、はじめは自分に自信がないので動揺していました。しかし何度もカン・ドンジュが男としてソジョンを大事にする姿を見せたので、二人はハッピーエンドになりましたね。
人はいったん傷つくと、ビビッてしまうことを覚えてしまうのです。特に女性は「弱さ」を自覚させられながら育っていきますし、男性と異なる脳の働きがあるので子を守るという仕組みがあるので男性よりも警戒心が強いのです。それが今の世の中では「心が弱い」というレッテルを貼られることになってしまい、女性が見下されて、女性が世の中に出て行くことを阻んでいる原因にもなっています。しかしもういい加減に、それは女性という人類や世界の仕組みでそうなっているのであって、男性よりも慎重なだけで心が弱いということではないことに気が付きたいものです。空を飛んでいる鳥が臆病に見えるでしょうか?小動物が臆病に見えるでしょうか?だとすれば、それは思い込みであるといえましょう。危険から身を隠す必要がある存在は、大抵そんなもの(いつでも逃げる準備をしている)なのです。この世であまりビビらずに生きられるのは金持ちだけです。
ひとつずつ、大丈夫だと思えることを重ねてまた元気になれるのです。
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