医心伝心(いしんでんしん, 名不虚伝, 명불허전)1話
目次
あらすじ
朝鮮時代。農夫が川で鎌の刃を研いでいました。一人の白い服を着た男は川の水で小刻みに太い鍼(はり)を動かしていました。
「よし!」
農夫は鎌を研ぎ終えると妙な動きをしている男を振り返りました。
「よし。天気もいいし、よく研げる。あ~。ようやく太鍼が研げたぞ。そうそうそう、お前(太鍼)の気持ちはよくわかる。アイゴ~。赤を落としたら見違えたな。はっは。今日もよろしく頼むぞ。」
男は研ぎ上げた鍼を太陽にかざしして仕上がりを確かめました。石の上に敷かれた白い布の上には大小の鍼が並べられていました。
「鍼だけじゃなく医員の身の回りも整えなきゃ。」
男装の若い女はしゃがみ込むと男に言いました。
「驚いただろ。」
男は女性に水をかけました。
「アイゴ。参奉(チャンボン)様。昨夜も診療ですか?」
「あ~。私を参奉(チャンボン)と呼ぶなと言っただろ。お前は太鍼を打たねばわからぬのか!」
男はそう言うと女に鍼を刺そうとする振りをして脅かしました。
「参奉(チャンボン)。参奉(チャンボン)ナウリ。早く来てくださいよ~。」
女は川から上がって逃げました。
「おいマッケ。オレを参奉(チャンボン)と呼ぶな!」
男は悔しがりました。
「さあ、さあ、始めましょう!」
男装の女、マッケは皆に声を掛けました。
「は~い!」
人々は一斉に返事をしました。
「お入りください!」
マッケは門を解放して貧しい人々を招き入れました。
「どうかお助け下さい。」
貧しい人々は医員(イウォン)の前に集まりました。
「ようこそおいでくださいました。恵民署医官、許任(ホ・イム)。皆さんの治療に最善を尽くすつもりです。」
先ほど鍼を研いでいた男、鍼医のホ・イムは人々に挨拶をしました。ホ・イム(許任)は浅黄色の絹の服に白衣と白帽で身なりを整え、礼儀正しく言いました。
「あんなにお若いのに。」
幼い娘を背負った男はホ・イムを見てつぶやきました。
「どこからお越しで?」
マッケは男に尋ねました。
「は、はい。私め(イノミ)は知異山(チリサン)の麓から来ました。」
男は答えました。
「遠くからいらっしゃったんですね。聞いてください。医術に年齢は関係ありません。実力あるのみです!われらのホ医院(イウォン)は~脈診しただけで~五臓六腑の気と血のめぐりがまるで見えてるようにわかり~。」
マッケは男たちに説明を始めました。
「心臓と腎臓の調和が悪く一日でも遅れたら大変な事になっていた。」
ホ・イムは診察をしながら呟きました。
「悪いところを当てるのは基本です。病人の身体を診ただけで鍼を打つツボが刻銘に浮かんできます。気海、中封、京骨、懸鐘、そこにピタリと鍼を打つ!打って止めて、回して、抜いて!その手業は精細でお見事!まるで鶴が優雅に羽を広げて餌をついばむようで・・・ホ医員(イウォン)の手にかかれば長い病もすぐ治る。死にかけた病人も起き上がる。」
マッケは説明しました。
「なのに、末端の参奉(チャンボン)なんですか?」
男は不思議に思いました。
「何だって?」
マッケ男につっかかりました。
「いや、悪い意味じゃなくて、腕の良いホ医院(イウォン)様が王宮に呼ばれず十年間も参奉(チャンボン)なのが不思議でして・・・。」
男は言いました。
「う~。それは・・・。」
マッケが言葉を考えていると・・・。」
「ありがとうございますホ医員(イウォン)様!生き返ったぞ~!」
診察所の部屋から大きな声がして患者の男と付き添いの男が表に出て来て抱き合いました。人々はその様子を見て歓声を上げました。
「さあ。ホ医院(イウォン)に診せてくださいね。」
マッケは少女を背負った男に言いました。
「ヨニや。安心していいぞ。」
貧しい男は娘を励ましました。
診察室の中。
「太鍼よ。よくやった。」
ホ・イムは太い鍼に向かって言いました。
現代。
胸部外科チェ・ヨンギョンはオペの開始を宣言して患者の胸部を開きました。ヨンギョンは素早く正確な動作で心臓の手術を行いました。
夜のクラブ。
チェ・ヨンギョンはクラブで派手に踊っていたところ、キム・ミンジェから連絡を受けて病院に向かいました。二人の男がヨンギョンに付きまといました。ヨンギョンは男の胸をなぞると股間に指を立てて付き上げました。ヨンギョンは当直のカン・マンスの様子を尋ね、胸部X線写真の撮影を指示して車に乗り込みました。
打ちっぱなしゴルフ場。
遊んでいた男(ファン教授)はチェ・ヨンギョンから連絡を受けました。
病院。
チェ・ヨンギョンは遊んでいる教授(キュス)に交通事故の25歳の患者が来た旨の連絡をして、当直のカン・マンスが無断で外出しているため治療を行うと言いました。
教授はカン・マンスに腹を立てました。
手術室。
チェ・ヨンギョンは手伝いの医者に挨拶をすると手術をはじめました。同僚は手術が好きなヨンギョンがファン教授を怒らせたことを心配していました。ヨンギョンは手術中に患者が心室細動を起こしたことを見抜いてすぐに電気ショックを行い心臓を手袋をした手で揉み始めました。そこにファン教授が戻ってきてヨンギョンに上状況を尋ねました。ヨンギョンは正確に報告をすると、ファン教授は悔しそうに部屋を出て行きました。
チェ・ヨンギョンは患者の両親に状況を伝えました。
廊下。
「は~イエス。」
ヨンギョンは手術の成功を朝鮮踊りをして喜びました。
朝鮮式古民家。
チェ・ヨンギョンは家に帰るとポンマンという柴犬に似た在来種に挨拶をしました。
「今日も人を助けて明日も助ける。よくやった。よくやったと褒めてよ。」
ヨンギョンは犬を撫でました。
回想シーン。
中学生のヨンギョンは祖父が母の鍼治療をせずに病院に連れて行ってと泣いて懇願しました。祖父はヨンギョンをしかり飛ばして部屋から出て行きました。
朝鮮時代の恵民署。
医院(イウォン)に民を搾取し横暴で有名な兵曹判書(ピョンジョパンソ)が現れました。ホ・イムは診療中で時間が無いので帰ってもらうように言いました。
「貴様が私に卑しい者どもの後ろに並べというのか!」
兵判はホ・イムの襟首を掴んで揺さぶりました。
「存じています。民に寄り添うお方だと。」
ホ・イムが言うと兵判は掴んでいた手を放しました。
「貴様は卑しい賤民の出自は隠せぬようだな。今日のことを悔やむ日が来るぞ。帰るぞ。」
怒った兵判はホ・イムを脅して帰りました。
ホ・イムは「鐘が鳴った」ので診察をやめました。ホ・イムは外を歩く気力のない人々に順番を譲ってほしいと礼を言い明日来るように言いました。少女を背負った父は遠くから来たのにと文句を言いましたがホ・イムは彼を無視しました。
夜の兵曹判書の家。
ホ・イムは両班の服に正装して兵曹判書の前にひれ伏していました。ホ・イムは貧しい民と同じ場所で高貴なお方を診療できないと釈明しました。
「往診にお伺いするのが医院(イウォン)の道理です。恵民署によい薬剤がなく薬剤庁(ヤッチェチョン)に寄って持って参りました。これを朝夕にお飲みください。」
ホ・イムが言うと、兵判は嬉しそうに笑いました。
奴婢のトゥチムはホ・イムに声をかけて男として惚れたと尊敬の念を表すと、寝込んでいる祖母を診てくれないか頼みました。ホ・イムは「夜くらい好きにさせてくれ」と帰ろうとしました。トゥチムはホ・イムを捕まえると母を助けるように脅しました。ホ・イムはトゥチムの急所を突いて戦いました。ホ・イムは加勢に現れた兄貴分を倒して逃げ得ました。
「あんなクズとは知らずにホ・イムの野郎。母さんが死んだらただじゃおかネェからな!」
トゥチムは悔しがりました。
妓楼。
ホ・イムは妓女(キニョ、妓生の女)の膝に寝転んで疲れた心身を癒していました。そこに内医院(ネイウォン)の三人の医官が現れホ・イムは彼らに手を振りました。医官らはホ・イムを見下しました。ホ・イムは庭に降りて来て三人組の末端のユ奉事(ボンサ)に適当にあいさつしました。
夜道。
ホ・イムはある家に入ると仕掛けの縄を引きました。すると天井から銀貨や宝飾品が乗った台が降りて来ました。
「そなたは暴言を吐いて悪行を重ね、私は技量を生かして財を蓄える。公明正大な世の中だ。共存共栄しよう。はっはっは。はっはっはっは。」
ホ・イムは受け取った財をコレクションに加えました。
恵民署。
ホ・イムが恵民署に戻ると昼間の少女が一人で階段に座っていました。ホ・イムは少女を無視して部屋に帰ると布団に寝転びました。
「こうやって世の中は過ぎていくものだ。寝付けない。」
といいながらホ・イムはすぐにいびきをかき始めました。
現代。
ファン教授はチェ・ヨンギョンらを連れて回診を行いました。ファン教授(キュス)はヨンギョンに患者の説明を求めました。ヨンギョンはすらすらと患者の状態を説明しました。ファン教授は気難しい娘の患者にヨンギョンを当てがいました。
ファン教授は子分とともに部屋で話し合っていました。
「オ・ハラ(患者の少女)」のご指名だ。
ファン教授は子分の医者が理事長のVIPの娘に嫌われ不満げにしているのでチェ・ヨンギョンの足を引っ張ろうと言いました。
現代の病室。
チェ・ヨンギョンは患者(反抗期の女の子)に挨拶しましたが女の子はチェ・ヨンギョンがクラブで踊っている動画を見てヨンギョンの挨拶を無視しました。お母さんは娘が反抗的な態度で困っているとヨンギョンに言いました。ヨンギョンは反抗期の娘の話し相手は自分ではないと精神科や心療内科を紹介するとお母さん(2話でお母さんではなくお手伝いさんであることがわかる)に言いました。
恵民署。
ホ・イムは少女が約束したのに来ないことを不思議に思っていました。すると、そこに赤い官服の只者ではない佇まいのホ・ジュン(許浚)が建物の中に立っていました。
ホ・ジュンは部屋にホ・イムを呼び、鍼灸術は片頭痛に効くかと尋ねました。ホ・イムは鍼は薬にまさり、すぐに効いて、ほとんどの頭痛は経穴の詰まりで生じると答えました。
恵民署の医官は試験を首席で通ったホ・イムを十年間恵民署に据え置いて昇進の機会を潰しているのはホ・ジュン令監(よんがむ)だと噂をしていました。ホ・ジュンはホ・イムを憎んでいると医官は噂しました。
ホ・ジュンは高官の往診をして蓄財しているホ・イムを嫌っていました。
薬剤庁。
ホ・ジュンがホ・イムを王様の片頭痛の治療を担当させたと聞いてユ・ジノは叔父のユ・チャンソンに出し抜かれたのではと焦りを見せました。
ホ・ジュン(許浚)はホ・イムに王様の治療に成功したら望む役職を与え参奉(チャンボン)以上の地位に昇進することも可能だが失敗すれば命は無いと言いました。
ホ・イムの部屋。
「また、あなた様には私に謝ってもらいます。さ~。この歴史的瞬間を誰と一緒に迎えようか。えっへっへ。私の鍼筒じゃない。間違えたのかな?」
ホ・イムは身なりを整えると意気込みました。すると部屋になぜか現代のメスが入った鍼筒が置かれていました。マッケが外から呼びかけてホ・イムは診察に向かおうとしました。
娘を背負った男が現れ、ホ・イムに診て欲しいと頼みました。少女は意識がありませんでした。ホ・イムは王様の診療に行こうとすると、少女はお父さんに「おうちに帰ろう」と言いました。父親は昨日はカネを稼ぐのに苦労したと小銭をちらつかせました。
回想シーン。
少女はホ・イムに自分を診療せずに死なせてほしいと頼んでいました。
「どのみち私は死ぬから。なら早く死にたい。そうすればお父さんは生きられる。」
ホ・イムは少女に何かをささやくと、王様の診療に向かいました。父親はどうすればいいと嘆きました。
王宮。
ホ・イムは朝鮮国王の部屋に入りました。ホ・イムは国王宣祖(ソンジョ)の姿を簾越しに見ると、鍼を打つイメージを思い浮かべました。ホ・イムはホ・ジュン(許浚)やユ・チャンソンが見守る中、鍼を筒から取り出し国王のツボに打とうとしましたが、不思議な力が働き鍼を持つ手が震えました。
王宮の廊下。
「あの鍼筒がホ・イムの手に渡った。そうなれば・・・。」
ホ・ジュン(許浚)は心の中で呟きながら歩いていました。
兵士が慌ただしく「罪人が逃げたぞ」とホ・イムを捜していました。
街。
ホ・イムはな逃亡していました。
橋。
「信じられぬ。私が、このホ・イムが、またとない機会を・・・!」
ホ・イムは震えた手を見つめて焦りました。
そこに兵士が橋の両側から現れホ・イムは追い詰められました。
矢が放たれホ・イムの旨に突き刺さりました。
ホ・イムは橋から転落して水の中に沈んでゆきました。
感想
医心伝心1話の感想です。キム・ナムギルが伝説の鍼医ホ・イム(許任)を演じています!役どころは拝金主義の凄腕の鍼医。診療時間内は善い医者を演じていますが、それ以外は自分の時間という区別をしっかり守ってます。そしてヒロインのチェ・ヨンギョンも優秀な外科医という組み合わせ。
ホ・イムが謎の鍼筒を手にして国王の片頭痛を治療しようとして手が震えて逃げ出した・・・そして現代にタイムスリップ!?
韓国ドラマではタイムスリップする時はいつも川に沈んでいるような・・・。
何となく軽いノリのこのドラマ、ホ・イムに付きまとう親娘の娘さんと、チェ・ヨンギョンに押し付けられた反抗期の少女は同一人物でしょうか。
1話の段階でホ・イムとチェ・ヨンギョンは共に敵が存在します。世の中優秀な人物には必ず敵あり!?
このドラマ、面白いのかな?
手術場面は見ないようにして見ています。
キム・ナムギル主演のドラマは久しぶりなので、続きが楽しみです。
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