医心伝心(名不虚伝, 명불허전)10話
目次
あらすじ
朝鮮時代。許任(ホ・イム)は両班の服に着替えてチェ・ヨンギョンを連れて恵民署(ヘーミンソ)の自分の下宿に行きました。ホ・イムは10分で戻るとヨンギョンを部屋に隠すとマッケを捜しに行きました。すると手伝いの男が「国王が薬剤をすべて持って倭軍から逃げてしまった」と話していました。女性が診療を求めに来ましたが医員(イウォン)は帰れと冷たい態度を取りました。その医員はいざとなれば職務を放棄して妻子を連れて逃げると同僚に話していました。ヨンギョンはホ・イムの部屋で「奇径八脈」という本や鍼筒を手に取りました。そこにマッケが現れました。ホ・イムはユ・ジノ(現代のユ・ジェハと同一人物)が自分とヨンギョンを捜していることを知りました。マッケはヨンギョンがホ・イムの大事な鍼を手に持ってるのを見て誰だとヨンギョンに尋ねました。マッケはヨンギョンがホ・イムの連れであることを思い出しました。そこにホ・イムが戻って来てマッケは喜びました。そこにユ・ジノが兵士を連れて現れヨンギョンを人質に取りました。ユ・ジノはホ・イムを義禁府に連行し、ヨンギョンを自宅に連れて行くよう命じました。ホ・イムは表情でマッケにヨンギョンを助けるよう命じました。
兵判宅の奴婢は柿を盗んで来た兄(※知性が低い)を叱っていました。二人は連行されるホ・イムを見つけ、トゥチルはホ・イムを追いかけました。
許任(ホ・イム)は投獄されました。隣の牢にはホ・ジュン(許浚)が堂々と座っていて「どうした。また逃げたのか。お前は逃亡することしか考えとらんのか。」と許任(ホ・イム)を叱りました。
トゥチルはホ・イムが義禁府に連れて行かれたので私刑にできないことを悔しがりました。そこに子分が現れすぐにご主人様の屋敷に戻るよう言いました。
ホ・イムはホ・ジュン(許浚)になぜ牢屋にいるのか尋ねました。ホ・ジュンは未熟者に国王の治療を受けさせた報いを受けていると答えました。ホ・イムはあの時は具合がよくなかったと言うと「あの鍼筒のせいか?」とホ・ジュン(許浚)は笑いました。ホ・ジュンは「命で償うがよい。己が嫌にならないか?両班の言いなりになり鍼治療を行い誇りに思えたか?蓄えた宝で気持ちは晴れたか?ならば出自を問わぬ世の中(現代)はどうであった。あちらの世では欲しい物が得られそうだったか?」とホ・イムに言いました。ホ・イムはホ・ジュンにも集めた財産を私腹を肥やしていると勘違いされていることに腹を立てました。「令監(よんがむ)が、どうしてそれを・・・。」ホ・イムはドキリとしました。「おぬしの心が医員(イウォン)としての人生を困難なものにしていることがわからぬのか?」ホ・ジュンは言いました。そこにユ・チャンソン(ユ・ジノの叔父)が現れ国王の随行医師となるようホ・ジュン(許浚)を釈放しました。ホ・ジュンは「鍼さえ打てば医員(イウォン)になれると思っているのか?自身の鍼の価値も知らぬ情けないやつめ。」ホ・ジュンはホ・イムにそう言うと牢から出て行きました。
ユ・ジノの家。
「ホ・イム様があんなに心配するなんて何者かしら?」マッケは塀越しに家を見張っていました。ユ・ジノは「先日の無礼を謝りたくてここへお連れした」と紳士な態度でヨンギョンに輿で送ると言いました。ヨンギョンはユ・ジノが自分に鼻の下を伸ばしていることに気が付き「少し休みます」と座りました。ユ・ジノは嬉しそうな表情でヨンギョンの近くに座りました。ヨンギョンはなぜホ・イムが捕まったのか尋ねました。ユ・ジノは鍼術の腕前におごっていたアイツが王様の御前で手が震えて鍼を打てずに逃げたと笑いました。「そなたに渡したい物がある」ユ・ジノは包みを開けるとヨンギョンの靴(シルバーのラメが付いたスニーカー)を大事そうに開けました。「そなたにまた会えると思い大事にとっておきました。ところで、それはどうやって作られているのですか?漢陽(ハニャン)の革職人でもわからぬのに。」ユ・ジノは言いました。ヨンギョンは「合成皮革」と答えましたがユ・ジノには理解できませんでした。ヨンギョンは靴でユ・ジノを殴ると走って逃げだしました。
「お嬢様。お嬢様。」
マッケはヨンギョンを呼び止めると一緒に逃げました。ヨンギョンとマッケは王宮に行こうとするとホ・ジュンの部下が現れヨンギョンをホ・ジュンのもとに連れて行きました。
「ようこそチェ・ヨンギョン先生。あちらの世では医員(イウォン)を先生(ソンセン)と呼ぶのでは?」ホ・ジュンはヨンギョンが落としていった鞄を返し鞄の中の飴を食べ獄中の慰めとしたと言いました。「私たちの縁についてはまたいずれ話すとしよう。また会える気がするのだ。なんとしてでもホ・イムの奴(チング)を救わねばな。チング。久々にその言葉を使った。あちらでは友という意味だそうだな。」ホ・ジュンは言いました。
回想シーン。
ホ・ジュン(許浚)が許任(ホ・イム)を正九品の参奉(チャンボン)として恵民署に所属するよう王命を伝える場面。
許任(ホ・イム)はその時のことを思い出しました。
「まだ世の中のことを信じていなかったころだ。」
ホ・イムは万年参奉(チャンボン)で恵民署にいながら内医院(ネイウォン)への所属を希望して待っていました。ホ・イムは知り合いの官僚から出身の身分が低いので御医(オイ)になれぬと知らされた時のことを思い出しました。
「心に傷をもってる奴だ。この世では誰もそれを癒せぬ。しかしあの者は名医ゆえ必要とされている。心の傷を癒すのは難しいかもしれぬがチェ・ヨンギョン先生なら可能かもしれぬ。そなたらは運命を共にしているのだ。おぬしらが出会ったのは縁があってのことだろう。どうかあの者の友になってほしい。私たちは再会した時に話の続きをしよう。」
ホ・ジュンはヨンギョンに言いました。
夜になりました。
許任(ホ・イム)は鍼筒を手に取ると、それが自分の物では無いことを思い出しました。
「お前だったのか。」
ホ・イムは鍼に話しかけました。
武官が現れ明日の朝、倭軍に攻撃された忠清(チュンチョン)に移送されるとホ・イムに言いました。トゥチルが現れ兵曹判書の権威を借りてホ・イムを連れ出しました。
トゥチルは「ついて来い」とホ・イムを人のいない路地に誘い出しました。ホ・ジュン(許浚)の部下はいつでもホ・イムを助ける用意をして構えていると・・・。
「助けてください医員(イウォン)様。」
突然トゥチルがホ・イムに土下座しました。
ヨンギョンはホ・ジュン(許浚)の家から出て来ました。マッケはずっと待っていました。ヨンギョンは会った人がホ・ジュンであることを初めて知りました。ヨンギョンはホ・イムを一緒に捜しに行きました。
トゥチルが案内した家には血まみれの男(彼の実兄)が布団に寝かされていました。
ヨンギョンは歩きすぎて休憩することにしました。
「普段輿に乗ってばかりだからですよ。」
マッケは脚を叩いてマッサージしているヨンギョンに言いました。
「そうね。速い輿(車)ばかりだったから。」
ヨンギョンは言いました。
「ところでホ医員(イウォン)とはどんな関係ですか?」
「気になってたんだけど、どうして男の身なりを?」
「男ですよ。・・・。よくわかりましたね。」
マッケはホ・イムだけが自分が女性であることを知っていると言いました。マッケはヨンギョンのバッグを持ってあげました。ヨンギョンはマッケの手を掴み一緒に駆けだしました。
トゥチルは兄が干し柿を盗んだことを若奥様に見つかり痛めつけられたので命を救ってほしいとホ・イムに頼みました。
「私が治療すれば、お前の兄は死ぬ。お前もまた、罰を受ける。」
ホ・イムは言いました。
「兄さんが死んだら本当にお前を殺す。母さんは鍼を打っても助からなかったとしても、無念を晴らすため、私が貴様を殺してやる。こうなったのは、俺が(知性に障害のある)兄さんの傍を離れたからだ。母さんみたいに見殺しにできない。人扱いされないまま兄さんを死なせるものか。母さんは救えなかったが、兄さん(ヒョン)だけは助けたい!お願いです。ホ医員(イウォン)様。どうか頼みます。兄を助けてください!」
トゥチルは泣いて手をこすり合わせてホ・イムに頼みました。
ヨンギョンとマッケは兵判の家に行きました。マッケは奴婢の治療は治療してはいけないのだと心配になりました。ヨンギョンはマッケにどうしてか尋ねました。
ホ・イムはヨンギョンに医者だからどんな患者でも救うのだと言われたことを思い出していました。ホ・イムはトゥチルの兄を診察して鍼を打ち気力を高め、腹の膿を抜くことで回復力を高める方針を決めました。ホ・イムはトゥチルに薬剤を持ってくるように言うと、兄に鍼を打ちました。
「ホ医員(イウォン)様は夜になると密かに奴婢を治療する優しい医員(イウォン)様でした。両班の頼みは断っても奴婢の話は聞き入れました。二年前、治療を受けられずに死にかけていた奴婢をホ医員(イウォン)様が何日もかけて救い命を救いました。でもご主人様はホ医員(イウォン)様が治療を拒んだ朝廷の大監(テガム)でした。」
マッケはヨンギョンに打ち明けました。ホ・イムは義禁府で杖刑となり、助けた奴婢は鞭で打たれて殺されたとマッケは言いました。その奴婢の娘(マッケ)は母の敵討ちに仕えていた大監(テガム)の家に行きましたがホ・イムに止められたのだとマッケは泣きました。
ホ・イムは治療を終えるとトゥチルに兄にスイカズラを食べさせるように言いました。トゥチルは母さんの恨みは忘れていないと「いつか・・・恩返しを・・・」と言いました。兄の意識が戻り、トゥチルの名を呼びました。トゥチルは「生きてくれてありがとう」と泣いて喜びました。そこに主人(兵判)が恐ろしい形相で現れました。
兵曹判書(※現代のシン院長と同一人物)はあらゆる暴言を吐いて許任(ホ・イム)を「お前は犬だ」と侮辱しタクセ(兄)を殴り殺すよう命じました。兄はむしろでぐるぐる巻きにされ奴婢に叩かれました。トゥチルは懇願するも、兄は棒で叩かれました。ホ・イムはなすすべもなく、ただ震えていました。ヨンギョンとマッケも塀の外からタクセが殺される様子を見て蒼白になりました。トゥチルもまた主人に逆らい兵判は殺せと命じました。ホ・イムはその場ですぐに謝罪し自分は犬です「取るに足らぬ者です。お手を汚すこともありません。どうか寛大な御心で命だけはお助けください大監(テガム)」と地面に頭を叩きつけて言いました。兵判はホ・イムを義禁府に投獄し、トゥチルは閉じ込めて水を飲ませず生きていたら許すことにして、遺体は河原に捨てるよう命じました。
感想
医心伝心10話の感想です。朝鮮が(というよりそれ以前の時代から)奴婢を家畜以下の存在であったことを今回は描いています。ホ・ジュン(許浚)はホ・イムが心に傷を抱えているというのは、その奴婢(マッケのお母さん)を治療して主人に患者が殺されたことを指しているのでしょう。医員(イウォン)が奴婢を診ることは、もしかしたら国法で禁じられていたのかもしれませんね。とにかく、奴隷は両班にとって、道具であり、徹底的に虐げて自尊心を奪い心を踏みにじることにより抵抗する力を奪おうという政策なのでしょう。日本もまた農民以下は江戸幕府に上疏(じょうそ、上奏)することすなわち死罪と決まっていましたのので、ある意味農奴であったともいえ、農奴のうっ憤を晴らすメンタルケアのためにさらに下の身分が設けられたのだと思います。ただ、日本の農民は農奴であっても朝鮮のような奴婢ではなく武士とも関係を持っていて有事には戦える人材も兼ねていましたので心理的には武士の一部であり刀狩りがあったとはいえ、結束力がありある程度の力を持っていました。朝鮮の奴婢とは違いますが、正式な身分システムに組み込まれなかった人々が日本にはいました。その人たちの中には職人もいて武士に必要な弓などを作っていたのでやはり朝鮮の奴婢とは違って職業ごとの集団であり、朝鮮の奴婢のように両班にボコボコにされるような存在ではなかったように思います。しかし韓国も日本もその名残りが「恐怖心の連鎖」となって続いていて、韓国、日本ともに高い自殺率となっているのは、差別や迫害への恐れの裏返しであるともいえましょう。アメリカや欧州では日本と韓国で身分制度が廃止された後も、奴隷(スレーヴ)が実在していましたし、現在でもアラブに奴隷がいますし、日本では外国人労働者や派遣や自給日給労働者という名の奴隷がいっぱいいますから、世の中の本質は変わってはいません。
奴隷は人類の歴史そのものです。一部の人が裕福になるためには奴隷が欠かせないのです。
今も昔も本質的には同じでそこから脱出するには経営者か役人、議員、高給取りになるしかないという違いがあるだけです。
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