刑事フォイル23話 不発弾(前編)
刑事フォイル23話 あらすじ A WAR OF NERVES プロローグ
1941年6月。
ヘイスティングズのパブ。
爆弾処理隊のジャックは酔いつぶれていました。造船所のデスク働いている友人のデレクはもうやめようと言いました。バーテンダーの親父テッドもやめておけとジャックに言いました。
「もう。離せよ。」
ジャックは酔ってガラスを割りました。
友人たちと飲みに来ていたサムはジャックのほうを見ました。
「触るな。女子供じゃないし俺は夜道なんか怖くない。あんたに怖いって気持ちがわかるか?楽な仕事でいいよな。組合の労働者代表。誰かに頭をぶち抜かれたらわかるかもな。」
ジャックは銃をデレクに向けました。
「その銃どこで手に入れた。やめろ。銃を下ろせ。」
「チクタク言いながら死が近づいてくる気持ち。10・・・9・・・8・・・・7・・・。」
「ちょっと待って。銃を置いて話しましょ。面倒になりたくないでしょ。とにかく銃を渡して。」
サムはジャックから銃を受け取りました。
「俺はただわからせたくて・・・。」
「あなたの気持ちよくわかった。」
ジャックは警官に連れていかれました。友人のデレク・ウットゲートも一緒に警察署に行きました。
「だってあのひと。ただのハッタリだもの。きっと弾は入ってない・・・(銃声)・・・。ああ。びっくり。」
サムが拳銃の引き金を引くと壁のランプが壊れました。
あらすじ本編
警視監のローズはフォイルに会いに来ました。フォイル警視正は沿岸部で盗難が多発していて戦争の行方が左右されかねないとローズにおとり捜査のための会社設立に三か月もかかったと言いました。ローズは人民会議というロンドンに拠点を置く左翼の団体の指導者のひとりレイモンド・カーターがヘイスティングズのリージェンシーホテルに予約したので誰と会うのか行動を監視するように命じました。盗難の捜査に忙しいフォイルは渋々ローズの命令に従いました。
おとり会社。
ミルナー巡査部長のところにキンブルと名乗る怪しい男が資材を売りに来ました。
「足りない資材はないか?でもあるところにはあるぞ。」
ミルナーはキンブルに防空壕の設立を請け負っていて必要な資材のリストを見せました。キンブルは前金で15ポンド、引き渡しに15ポンドを要求して待ち合わせの場所に来るように言いました。
「俺の名前はキンブルだ。イアン・キンブル。今夜引き渡す。あんたひとりでトラックで来い。仕事が終わった後夜8時。古い変圧器のある工場だ。ブラックウッドレーンにある。」
「尾行しろ。」
ミルナーは部下にキンブルの後をつけさせました。
ヘイスティングズ警察署。
受付のリードは娘のグウェンの婚約者のジャック・アーチャーの証言をしてほしいと頼みました。
「学校が一緒でずっと付き合ってるんだ。でもほんとは悪いやつじゃないんだ。法廷の治安判事の前で証言してほしい。」
サムはリードの頼みを引き受けました。
公園。
ジャックはハモンド大尉と不発弾の処理をしていました。
「クラブツリー放電器だ。信管部分も見えている。」
ジャックは地面の中でハモンドに言いました。
「ああ今日はついてるな。女優とデートするよりついている。後は俺に任せて外に出ろ。」
ハモンドはジャックに言いました。ジャックが地中から梯子に上り公園の外に出ると、アーニーにお茶を頼みました。
「子供のいる場所に爆弾を落とすとは。ドイツ野郎のやりそうなことだ。わざとにきまってる。どれくらいかかるんだ?」
治安維持部隊のパーキンスはジャックに尋ねました。軍の兵士たちも爆弾処理の行方を見守っていました。ハモンドは慎重に信管のねじをまわしました。ハモンドは緊張で汗をかいていました。
リージェンシーホテル。
フォイルはホテルのフロントの女性にレイモンド・カーターが到着したか確認していました。レイモンド・カーターは妻と一緒にホテルのフロントでフォイルと会うと、妻の提案で翌日の一時に昼食を一緒にどうかと言いました。フォイルはカーターの招きに応じました。
公園。
ハモンドは信管を取り出し皆に歓迎されました。
「外れたぞ。」
「お見事です。」
「それが信管?」
「よし撤収だ。」
町の住民のブレンダ・ウィルソンは「感謝のしるしにこれで一杯やってね。」と集めたお金をハモンドに小銭を渡しました。ハモンドは「全額基金に寄付する、受領証を。ああ。めんどくさい。」と言い格好をつけました。
リード家のある通り。
ジャック・アーチャーは婚約者のグウィンを玄関まで送りながら話し合っていました。仕事から自転車で帰ってきたリードは晩飯はどうだとジャックに尋ねましたがジャックは断りました。グウィンは仕事を休んで明日の法廷に行くと言いました。リードが家の中に入るとジャックはグウィンに口づけをしました。
「銃をむけるなんて。」
「だってお守りだから弾は入ってないと思ってた。」
「ジャック。あなたってほんとうにバカね。」
工場。
ミルナーはキンブルとの待ち合わせの場所に来ました。キンブルは金を要求しましたがミルナーは持ってないと言いました。
「金はどこだ?」
「悪いけど金は持ってきてない。警察の者だ。あんたを逮捕する。」
「貴様だましたな。来るな。」
「撃ったら死刑だぞ。」
キンブルはミルナーに向かって発砲しました。ミルナーは左腕に弾を受けて倒れました。ギンブルは逃げました。
造船所。
サムに送ってもらったフォイルはタルボット社長と会いました。マーク・タルボットは弟のピーターをフォイルに紹介し前のオーナーハナフォードから37年にここの造船所を購入したと言いました。フォイルはキンブルはいないか尋ねましたがマーク・タルボットはイアン・キンブルという名前は知らないが賃金台帳を調べたらあったと言いましたが資材はなくなっていないと言いました。
「資材の在庫管理は厳重です。もし何かなくなれば我々が必ず気づきます。」
法廷。
ハモンドとサムが証言をしました。ハモンドは「アーチャー伍長は模範的な隊員です」と今まで28発の不発弾を処理してそのうち1つは負傷者が出て緊張度の高い仕事をこなしていて酒を飲んで酩酊しても仕方がないと言いました。サムもジャック・アーチャーは危害を加える気がなかった、弾を撃ったのは自分だと言いました。ロバーツはサムの証言を嘘だと言い立ち上がりました。
「アーチャー伍長は英雄です。もし刑務所に送るなら私を送ってください。あの銃を撃ったのは私なんです。」
女性判事はアーチャー伍長は通常であれば実刑のところを精神的重圧を感じていたことにより注意としますと言いました。
「今回は注意を与えるのみにとどめます。部隊への復帰を認めます。」
グウィンはジャックにキスをしてとても喜びました。サムはグウィンに結婚おめでとうと言い「お茶とサンドウィッチはどう?」とリード家に誘いました。
リード家へと続く道。
グウィンは造船所で溶接工をしているとサムに言いました。
「前の仕事よりお給料はいいけどお給料は男よりも低いの。ケーキ屋さんで技術を身に着けたの。」
ホテル。
ピーターはカーターに造船所に講演に来てほしいと頼みました。
リード家の庭。
サムとグウィンは紅茶とサンドウィッチを食べていました。グウィンは砂糖禁止令でウェディングケーキに砂糖はかけられないし、紙吹雪もパンチで穴をあけたごみを使うとサムに言いました。グウィンは戦争が終わるまで待てない、早く結婚したいと涙ぐみました。
「ケーキなんかいらないでしょ。お互いさえいれば。」
サムはグウィンを慰めました。グウィンは花嫁付き添いをサムに頼みました。
「結婚式は好きだもの。親は牧師だし。だけど困ったな。花嫁付き添い。ドレスをどうしよう。」
ホテルのレストラン。
レイモンド・カーターとルシンダ・シェルダンはフォイルと昼食を一緒に食べていました。
「ルシンダ・シェルダンってもしかして画家の?妻が水彩画をやっていたので。」
レイモンド・カーターはいくつかの会談に参加するために来たとフォイルに言いました。レイモンド・カーターは雑誌が発禁になりBBCも反戦主義者や共産主義者は出演させてもらえないとフォイルに不満をぶちまけました。
「いまここで起きているのは階級闘争だ。貧しい人間はアフリカに生かされていい大学を出た将校は前線には行かない。」
レイモンド・カーターは熱くなるとフォイルは自分がいないほうが楽しい昼食を過ごせるでしょうと立ち去りました。ルシンダはフォイルの後を追いかけてレイモンドは失礼なことを言ったがほんとうはいい人なんですと釈明しました。フォイルは(面倒なので)できるだけ早くロンドンに帰ってほしいと夫人に言いました。
(フォイルは劇中で表現の自由を認めています。)
ヘイスティングズ警察署。
ミルナー巡査部長はフォイルにイアン・キンブルは実在したが四年前に亡くなっていたと男がキンブルの偽名を使っていると報告しました。
造船所。
フォイルはタルボットに男が偽名を語っていたので同僚の話を聞きたいと言いました。タルボットはキンブルをよく知っている同僚はいないと言いました。するとサイレンが鳴りフォイルとミルナーとサムと造船所のみんなは防空壕に避難しました。ミルナーはサムを先に行かせて自分もサムの後に続きました。爆弾の爆発する音がしてガラスが割れる音がしました。
造船所に不発弾が見つかり爆弾処理部隊が来ました。ハモンドとジャックとアーネストはガラクタの中に刺さっている不発弾を見つけました。
「ヘルマン(爆弾の名前)だ。」
ジャックとハモンドが信管の状態を確かめているとアーネストは大金が置かれていることに気が付きました。ジャックはアーネストのいる場所にいくと驚きました。
「札束だ。大尉!」
「爆弾はこっちだぞ。」
「いくらあるかな。」
「千ポンド、一万かな。」
「五万はあるだろ。」
ハモンドも釣られて札束を見ました。
感想
今回はまだ前半で殺人は起きていませんが事件自体は起きていました。でもややこしそうな感じですね。共産主義という万人が経済的に平等になることを目指す団体(と私は勝手に解釈しています)の指導者がヘイスティングズに現れ貧しい労働者からの支持を取り付けようとしているといった感じです。リードの娘のグウィンはこんなご時世だからこそ早く結婚してせめて愛する人の子供だけでも・・・と涙ぐみかわいそう。結婚を前にしたジャックに大金という強烈な悪の誘惑が。果たしてジャックたちはまともでいられるのでしょうか(笑)今回はミルナーファンは彼を撃った犯人をとても憎んでそうですね。