刑事フォイル(シーズン1)第24話 不発弾(後編)
刑事フォイル24話 あらすじ A WAR OF NERVES プロローグ
1941年6月。
長らく続いたドイツ軍の爆撃に耐え、イギリスでは空襲の数は減ってきていた。しかし落とされた爆弾には不発弾が含まれておりその度に爆弾処理班が対処していた。物資が不足して資材の横流しが多発してフォイルは捜査対象の男が働いていたタルボット造船所に来ていた。そこへ爆弾が落とされる。爆発は免れ工兵隊が不発弾の処理にやって来るが不発弾の横には謎の大金が隠されていた。
刑事フォイル24話あらすじ
造船所の社長マーク・タルボットはドイツに工場を狙われたが資材の紛失は大した問題じゃないとフォイル警視正に口を滑らせました。フォイルは資材の紛失に関してはまた後で話を聞くと言いミルナー巡査長からキンブルの捜索で駅や道路を検問している報告を受け造船所を去りました。
「キンブルの同僚の名簿が必要だ。」
造船所にはヘルマンと爆弾処理班に名付けられた一トン爆弾の不発弾がありました。ハモンド大尉は造船所の社長にキル・ターキーで信管を外すので離れるように言いました。
キンブルは家に隠れていました。造船所の労働者ジョアンが部屋に帰ってきてキンブルはロンドンに逃げようとジョアンに言いました。駅は見張られているしバスも車も検問があるのでダメだとジョアンは言いました。キンブルはドットおばさんならかくまってくれると言いました。ジョアンは自首をすすめましたがキンブルは刑事を撃ったと言いました。ジョアンは刑事の安否が問題だと知り合いに尋ねるとキンブルに言いました。
ヘルマンは無事信管が抜かれ軍のトラックで運ばれました。
リバース警察官の家。
フォイル警視正の専属運転手のサムはリバースとグウェンと食事を食べていました。
グウェンはサムに結婚式をお願いと言いました。サムはドレスに衣装切符が十一枚いるというのでガーゼで作るしかないと言いました。グウェンはやっとバターが手に入ったと言いました。
「招待二十人にバター二百グラムか。」
リードはぼやきました。
キングズヘッドのパブ。
ハモンドとアーネストとジャックは造船所から大金を盗みました。ジャックは今からでも遅くはないとお金を返すように言いましたが二人は反対しました。
路地。
何者かが車に乗り込もうとするアーネストを殴りました。その様子を女性が目撃していました。
造船所。
ローズ警視監は造船所のタルボット社長と会いました。マーク・タルボットはフォイルの資材紛失の捜査は迷惑で不穏な動きを見せている者がいると言いました。組合員代表のデレク・ウッドレートという男がいて事業委員会を作りたくて委員長になると言い出して困っていると言いました。デレク・ウッドゲートは近頃階級闘争だのプロレタリアートだの何者かによって入れ知恵されたに違いないとマークは言いました。
ジェニーは男二人がパブから出てきた兵隊の頭を殴って車に押し込んだとフォイルにまるでハリウッドのギャング映画のようだったと話していました。フォイルは動揺している女性に感謝して帰らせました。
ミルナーがパブに行くとパブのバーテンダーのおやじは爆弾処理班の三人組の景気がよくなったようだと言いました。
造船所。
グウェンは溶接をしていて目に火花が入ってしまいました。ジョアンは「複合溶接は嫌い。こんなに苦労しても週3ポンドよ」と話しました。ジョアンは刑事が撃たれたらしいと言いましたがグウェンは知らないと答えました。
フォイルとミルナーはハモンド大尉と会いました。ハモンドは土木技師で戦争は嫌いで非戦闘部隊にいた経歴と信念を曲げずにできる仕事はこれしかないから志願したと言いました。アーニーは運が悪くここにまわされて夕べから行方がわからないとハモンドは言いました。アーニーの両親はカンブリアでアーニーは爆発で耳が聞こえなくなったということでした。
「アーニーはゆうべ二人組の男にさらわれた。」
「人違いじゃないかな。浜辺に散歩に行ったんですよ。戻ってきますよ。」
グウェンはヘイスティングズ警察署にいる父のリードに会いました。
フォイルとサムとミルナーはグウェンと出会いました。グウェンはジョアン・メーソンという親しくない女性が撃たれた刑事がいて様子はどうだと探りを入れられたとフォイルとミルナーとサムに言いました。グウェンはキンブルらしき男を見たと言いました。
サムが運転する車の中。
「本名はウィリアム・メーソン。加重窃盗に暴行で重労働三か月、少年院にも二回。犯罪とは縁の切れない人生ですね。」
ミルナーはフォイルに言いました。
「君は車で待ってろ。」
フォイルは言うとミルナーとともにメーソン宅を訪ねました。ウィリアムメーソンは家の中で隠れていました。ジョアンが対応しているとウィリアムは逃げました。ウィリアム・メーソンは警官を押し倒して逃走しましたが路地でミルナーと取っ組み合いになり捕まりました。
ヘイスティングズ警察署。
「君は私の直接命令を完全に無視してるな。」
「調べることがないからです。」
ローズ警視監はフォイルを待っていました。ローズは資材紛失は取るに足らない、組合のストライキのほうが重要な問題だとフォイルに強調しましたがフォイルはストライキがあっても大事にはならないと見込んでいました。
「共産主義者はナチと同様に我々の敵だ。ほかの捜査を中断してカーターのホテルを捜索しろ。」
ローズはフォイルに腹を立てていました。
造船所。
ミルナーは造船所の不発弾のあった倉庫を調べていました。現場には針金とペンチと妙な物体が残されていました。
ホテル。
フォイルはレイモンド・カーターに「部屋になぜタルボット造船所の写真があるのだ」と尋ねました。
「カーターさん。このような写真を所持している場合は通常は逮捕します。」
「だからそんな写真を置いたのか?俺を逮捕するのか?」
「しません。」
造船所。
デレクは労働者に委員会の設置の必要性について演説をしていました。労働者たちはデレク・ウッドゲートの味方をしました。
フォイルはデレクに造船所の写真をレイモンド・カーターに渡したか尋ねました。デレクはそんなことはしていないと言いました。デレクは200人の従業員の7割の143人が組合に入ったと言いました。
「ということは従業員の約半数?」
「計算が得意ではないようですねフォイルさん。七割です。」
またデレクはイアン・キンブルとうい名は知らないがウィリアム・メーソンとマイク・ケリー、デス・パーカーは知っていると答えました。
「フォイルさん。あなたも働いて金をもらう。我々もです。タルボット兄弟もだ。二人は戦争を利用して私服を肥やしている。長時間働かせたり女性を男性の半分の賃金で働かせたり手あたり次第に仕事を受けたり。愛国心からか?とんでもない。金儲けのためです。それを忘れないでください。」
「もちろん。」
公園。
グウェンはジャックと会いました。ジャックは挙式を延期したいと言いました。
「事情が変わったんだ。いいほうに。もし計画通りにいけば君と一生楽に暮らせる。ハモンド大尉が言ったんだ。アーニーがいなくなった。なあ。式を延期すること考えてくれ。俺は君と一緒になりたい。だけど今はまだ無理なんだ。」
「ジャック。なにがあったの?」
「心配ない。愛してる。きっとうまくいくから。」
ジャックはグウェンを抱き寄せました。
兵士が軍のトラックの幌を開けると死んだアーニーがつりさげられていました。兵士はハモンド大尉を呼びました。
ヘイスティングズ警察署。
ミルナーは現場にドイツ軍の爆薬が残っていて様子がおかしいとフォイルに言いました。リードはフォイルをアーニーの遺体のある場所に連れて行きました。アーニーは拷問の末に殺されていました。ハモンドは心当たりがないとフォイルに嘘をつきました。ヘルマンはドイツ軍がわざとすぐに爆発しないようにしているのだと言いました。フォイルはヘルマンに爆薬を抜いただろうと問い詰めましたが不発弾は海岸で処理したと言い逃れました。
ハモンド大尉はジャックにもう後戻りできないと言いました。
リード家。
グウェンはジャックの様子がおかしいと落ち込んでいました。サムはグウェンにアーニー(アーネスト)が殺されたというと、グウェンはジャックは(殺されることを)おびえているのだとサムに言いました。リードは娘に心配しないようにフォイルなら必ず殺人犯を捕まえると言いました。
造船所。
ハモンド大尉は「あれを返すがアーニーみたいになるのは御免だ」とマーク・タルボットに250ポンドを要求しました。
「口止め料だよ。あれだけあるんだからいいだろう。金は俺がかばんに入れて持っていく。」
ヘイスティングズ警察署。
ローズは進展があったかフォイルに尋ねました。フォイルはカーターは事件とは無関係だったと言いました。フォイルはローズにルシンダ・シェリダンの実名はルシンダ・ローズだろうと私的な理由で自分の部下を使うことに苦情を言いました。ローズはレイモンド・カーターの捜査をフォイルに命じたのは造船所がストライキで製造中止になれば戦時体制に大きな問題が生じるからだと言いました。そして娘を共産党指導者と結婚させたくないのだとローズは言いました。
「娘は私に口を聞いてくれない。名前を変えたのは拒絶されたのだ。君には息子がいたね。もし反逆者と結婚すると言われたら?」
軍の基地。
ジャックはハモンドに行ってはダメだと言いました。ハモンドは心配するな、もし何かあれば「俺に命令されたと言え」と言いました。
「やっぱり間違いでした。盗むべきじゃなかった。」
「でもあの時は千載一遇のチャンスだと思った。私には家族も妻もいないからいい。でもアーニーやお前は違う。」
ハモンド大尉は待ち合わせの場所にトランクを持って自動車で向かいました。
ヘイスティングズ警察署。
ミルナーは造船所の従業員名簿にあるジョン・リチャーズとティム・コックスを誰も知らない理由は子供のころに死んでいるからだとフォイルに言いました。フォイルはハモンド大尉に会いに行きました。
軍の基地。
フォイルはジャックにハモンド大尉の居場所の情報を隠せば逮捕しなければならいと言いました。ミルナーはジャック・アーチャーを逮捕しました。
ヘイスティングズ警察署。
「金はどこだ。」
フォイルはジャックに言いました。
「なんの金です?」
「君たちが造船所から盗んだ金だ。いいか。あの金の持ち主は取り返そうとするだろう。アーニーが殺されたのは金のありかを教えるのは拒んだからだ。次は君とハモンド大尉が狙われるだろう。我々に協力してやつらを逮捕してもらったほうがいいと思わないか?ハモンド大尉はどこだ?タルボット兄弟に会いに行ったのか?」
造船所。
サムはグウェンにジャックに白状させるのを手伝ってもらうように造船所に行きました。
「お願い。」
「わかった。説得してみる。でもあなたの顔は二度と見たくない。友達だと思ってたのに!」
グウェンはサムに腹を立てながらも警察署に行きました。
ヘイスティングズ警察署。
グウェンはジャックと面会しジャックに話すよう説得しました。
「話します。不発弾は立ち入り禁止の場所に落ちましたがそこにあったんです。金だ。ものすごい大金でした。一生遊んで暮らせるぐらいの。簡単でした。爆弾を開けて爆薬を取り出して中に札束を詰めて運び出しました。」
ハモンド大尉は待ち合わせの場所にひとりで行きました。フォイルたちもその場所に向かいました。
「タルボット兄弟は二百人しかいないのに四百人雇ったことにして人件費を架空請求して水増していた。」
フォイルはサムに説明しました。
干し草が積まれた倉庫。
タルボット兄弟はハモンドを持っていました。
「中身は金か?」
「いや。汚い洗濯物だ。洗ってもらおうと思って。戦時中だからユーモアが必要だろ?俺は約束は守る。ずっとそうしてきた。でも考えは変えたよ。こっちの立場から考えてみろ。俺たち爆弾処理班は十分な訓練も支援も受けない。最初はヒッチハイクで現場に向かってたくらいだ。敵の爆弾の仕組みをどうやって学ぶと思う?仲間が死ぬのを見て実地で学ぶんだ。信じられない話を聞かせよう。電気式信管を発明したドイツ人のルーレマンは開戦前ロンドンにいた。航空ショーや飛行機工場に見学にも行った。おそらく偵察だったに違いない。なのにイギリスは貴賓としてもてなした。そんなもんだ。頼れるのは自分だけだ。金を見たとき千載一遇のチャンス。そう思った。どうせ短い人生だしな。」
「くだらない話はもう十分だ。」
「金を返せ。」
黒ずくめの二人の男が現れました。
「手下を呼んだのか。アーニーをやったのはどっちだ?来てくれたよかった。嘘つきめ。最初から私を殺す気でいたんだろう。」
ハモンド大尉は二人の男にそれぞれ一発ずつ撃たれました。
「金を数えろよ。」
ハモンドは口から血を流して言いました。
タルボットがトランクを開けると倉庫が吹き飛び炎上しました。
フォイルとミルナーとサムは燃えている倉庫を見つめていました。
ホテル。
フォイルはミルナーとサムにスコッチをおごりました。
「ごちそうさまです。」
「親切だろ?」
フォイルはサムに言うとモルトウイスキーをミルナーにも渡しました。
「そうだ。ひとつ教えてください。お金は燃えてないんですよね。」
「燃えてない。兵舎のハモンドの部屋にあった。」
ミルナーはサムに言いました。
「それでどうしたんですか?」
「もちろん(政府に)返した。君だったらどうした?」
「少し残しておいてグウェンの結婚式に使うかも。私招待を取り消されちゃって。」
ローズの娘のルシンダ・シェリダンと共産党指導者のレイモンド・カーターが現れました。ドイツがソ連に侵攻しチャーチルがソ連の味方をして終戦が見えてきたのでロンドンに戻るとカーターは言いました。
「終戦を願って乾杯。クリスマスまでに。」
サムは二人に言いました。
「ふ・・・。去年もそういっていた。」
ミルナーはサムに言いました。
「それじゃ。新年までに。」
感想
偽りの愛国心の裏側に見える本音は私利私欲を満たすためであり本質は殺人してでも金がほしかった。ハモンドはまじめに働いても仲間がこっぱみじんになりいつ自分もそうなるかわからないみじめな人生に終止符を打つために最後の賭けをしました。ジャックは何とかハモンドのおかげでグウィンと結婚できたようですね。でもグウィンはどうしてサムを嫌ってしまったのでしょう。ジャックはサムやリード、フォイルたちの保護があったからグウィンと結婚できたのにグウィンはサムに感謝するべき立場じゃないのかな?サムはジャックの証言もしてあげたのに。そしてローズ警視監は私的な目的のために立場を利用してフォイルを利用してしまうという罪を犯してしまいました。フォイルはこのことをローズに指摘しましたが、ローズは本質を認めようとはしませんであくまでお国のためだと嘘をつきました。フォイルやミルナーはローズやタルボットのように偽善の正義を振りかざして悪いことをしないところがこのドラマでは明確に区別されているようです。今回の刑事フォイルのあらすじはこき使う人間が贅沢に暮らすための常日頃から用いている巧妙な嘘と盗みとこき使われる人間の貧しさから逃れるための一度限りの下手な嘘と盗みを対比させていましたね。