王と妃 第142話 王子誕生
あらすじ
王妃ユン氏はあいさつに現れず部屋でオム貴人と飲食を楽しんでいたチョン貴人の頬を叩きました。
「この私を睨み付けるとは!」
王妃ユン氏はチョン貴人を叩こうとしました。
「おやめください中殿媽媽(チュンジョンママ)。チョン貴人は懐妊しています。恐れ多くも中殿媽媽に嘘を申しましょうか。」
オム貴人はチョン貴人をかがいました。チョン貴人は泣き崩れました。
「叩いたことは謝るわ。なぜ懐妊したことを黙っていたの。女命婦(ネミョンブ)の主はこの私よ。」
王妃ユン氏は怒りました。
王妃ユン氏は怒りました。
「うわーんわんわんわん。」
チョン貴人は悔しくて泣きました。
チョン貴人は悔しくて泣きました。
「側室を叩く王妃など前代未聞だわ。大妃様に言いつけてやる。」
チョン貴人は怒りながら泣きました。オム貴人は大妃に言ったところで叱られるだけだと言うとチョン貴人は泣き崩れました。
「悔しいわ。腹立たしくてならないわ。あーんあんあんあん・・・。」
「どうしましょう。私は叩いてしまったわ。大妃様に知られればお叱りを受けるわ。」
王妃ユン氏は言いました。女官は大妃に告げ口などする者がおりましょうかと言いました。
チョン貴人はもう少し早く懐妊していれば自分が中殿になれたのにとオム貴人に言いました。
王妃ユン氏は側近の女官のサモルに母を呼んでくるよう命じました。サモルが宮殿の庭を歩いていると女官たちが噂をしていました。サモルは女官たちを叱りました。
仁粋大妃は臨月なのに体が軽そうだから王子かもしれないと喜びました。仁粋大妃の部屋に来たチョ女官はイム尚宮に王妃ユン氏がチョン貴人を叩いたことを告げ口しました。
成宗は王妃を部屋に呼び出産の予定日を尋ねました。王妃ユン氏は今月だと言いました。
「何があろうとお見捨てになりませんよね?たとえ私が大罪をおかしてもですか?約束ですよ。」
成宗は笑って王妃に約束しました。王妃は貧しい家に生まれたので木綿を紡いで売り生計を立てていたと言いました。
「苦労してきたのだな。」
「媽媽。私のような貧しい寡婦の娘ごときが一国の王の妻になったと軽蔑する者が少なくありません。」
「貧しかったのはそなたのせいではなかろう。」
「殿下。いつか私を王妃の座を下ろそうとする輩が出るやもしれませぬ。そのときは私を守ってくださいね。」
「そんなことあるわけないだろう。中殿は心配性だな。」
「大妃媽媽はチョン貴人を王妃にするつもりだったのです。懐妊したから王妃に選ばれたのです。懐妊していなければ私を中殿にしなかったはずです。」
「私を信じなさい。そなたは最愛の中殿だ。わかった。約束しよう。何があろうとそなたを見捨てぬ。安心なさい。」
成宗は王妃の手を取りました。
「感謝しますわ殿下。」
王妃ユン氏は顔を横に向けて涙しました。府夫人が王妃に呼ばれて王の部屋に通されました。ユン氏の母は地面に顔をつけてあいさつをしました。成宗は府夫人に王妃を安心させてやるよう頼みました。
仁粋大妃はオム貴人からチョン貴人が懐妊した報告を受けました。
「女命婦(ネミョンブ)に関することだもの当然よ。」
仁粋大妃はオム貴人と目を合わせずに本を読みながら無関心であるかのように話しました。
「つわりが終わったら訪ねてくるように言っておいて。」
オム貴人は何か言いたげに退室しました。するとイム尚宮が王妃ユン氏がチョン貴人を叩いたことを報告しました。
「みっともないことを。それで?それで叩いたわけね。」
「ご存じでしたか。」
「もう結構よ。」
王妃の部屋。
王妃ユン氏は母の府夫人(ププイン)にチョン貴人を叩いたことを話しました。
「殿下は約束してくださったわ。何があっても私を見捨てぬと。」
府夫人は成宗は女命婦(ネミョンブ)には干渉できぬと娘を案じ謝るよう助言しました。
「媽媽に今回のことをご報告し謝るのです。」
「絶対に嫌だ。謝るくらいなら死んだほうがましだ。」
仁粋大妃の部屋。
「嫁選びを間違えたようね。今更選びなおすわけもいかないし。」
仁粋大妃は月山大君夫人に言いました。
「嫉妬はつきものですわ。」
大王大妃の部屋。
王大妃はとんでもないことだと貞熹王后ユン氏に話しました。
慈聖大王大妃(チャソンテワンテビ)ユン氏は嫁が選んだ王妃だもの。恥ずかしくて大事にできないわと王大妃に言いました。
月山大君の家。
「さすが母上がお選びになった中殿だ。はっはっはっは。はっはっはっは。」
月山大君は笑い転げました。
夜の宮廷。
「ああ・・・あ~っ。ああ。あ~っ。」
王妃ユンン氏は白い紐に掴まり息んでいました。
成宗の部屋。
「難産か。私が中殿のそばで力になってやらねば。苦しんでるだろう。」
成宗は王妃ユン氏の心配をしました。
「恐れながら殿下。男は出産に立ち会ってはならぬとのしきたりが・・・。」
内官は言いました。
仁粋大妃の部屋。
仁粋大妃は難産ほど出来が悪い子になり安産ほど出来の良い子になるわと王大妃に言いました。
王妃ユン氏の実家。
ユン氏の母と奴婢は一晩中お天道様に祈っていました。
仁粋大妃の部屋の前。
王妃ユン氏が難産と聞きユン淑儀たちは喜び笑いました。イム尚宮はチョン貴人だけ仁粋大妃の部屋に入るよう言いました。
王妃の部屋。
「死にそうです。つらすぎてこのまま死んでしまいそう。お母さん。」
「しっかりしてください媽媽。」
王妃の母は付き添いました。
仁粋大妃の部屋。
チョン貴人はつわりを我慢していると言うと、仁粋大妃は二度と王妃に嫉妬してはならぬ。成宗と王妃に仕えなさいと命じました。チョン貴人は不満を抱きました。
ユン淑儀の部屋。
親戚のユン・ピルサンは占いによるときっと女が生まれるに違いないそうだと言いました。ユン淑儀は余計なことをしないように言いました。
仁粋大妃の部屋。
ハン・チヒョンは仁粋大妃に王子なら世子にするのか尋ねました。
仁粋大妃は仕方ないでしょうと言いました。
王子が生まれました。
王妃ユン氏と母はたいへん喜びました。
ソン内官は仁粋大妃に出産の報告をしました。
「息子とはね。あっはっはっは。あっはっはっは。」
仁粋大妃は笑いました。
王妃の部屋。
成宗は王子を抱いてあやしました。
王子はユン(のちの燕山君)と名づけられました。
便殿。
「誠に慶賀のいたりです。祝賀の拝礼をお受け取りください。」
重臣は「大赦令」を出すよう上奏しました。
成宗は特赦を赦しました。
仁粋大妃は幸福そうな笑顔を見せました。
王妃の部屋の前に重臣たちが集まり拝礼しました。
「お喜びいたします媽媽。」
「願いがかなったわ。この子が王になれば私は大妃になれる。誰も私を見下さなくなるわ。」
韓明澮の家。
ノ・サシンはこれで仁粋大妃の世が終わるのではないかとハン・ミョンフェに言いました。ハン・ミョンフェはまた深い闇が訪れ中殿が大妃に頭を下げる日が来るだろうと言いました。
王妃ユン氏の実家の倉が貢物(賄賂)で満たされました。ヒャンイはハン・ミョンフェ夫人も王妃の実家に貢物を持っていくべきだと助言しました。
王の部屋。
「まるで主上を見ているようです。主上にそっくりです。娘よ。ご苦労だったわね。王子が生まれこれで王室は安泰です。」
仁粋大妃は王子をあやしてかわいがりました。
両班のク・チグァンの家。
「王子も生まれたことだし大妃の干渉を抑えていきましょう。」
仲間たちは集まりました。そこにはイム・サホンはいませんでした。
イム・サホンの家。
ユ・ジャグァンはイム・サホンの家を訪ね王妃は孤立無援で王妃の二人の兄は無能なので自分を中殿に推薦してくれないかと言いました。
「折を見て推薦いたす。」
「イム承旨。われらの手で新しい世を作ろう。」
仁粋大妃の部屋。
「王妃の実家は門前市をなすようだとか。それが世の常ですね。渡すものですか。宮中の実権は私のものよ。あっはっはっは。あっはっはっは。あっはっはっは。」
仁粋大妃は泣きそうな顔で高笑いしました。
感想
なんですか最後の仁粋大妃のご尊顔は!強気の仁粋大妃の顔が歪んで涙ぐんでいました。子離れできなくて泣いてるのでしょうか!?単に権力を失うことだけが理由の表情とは思えません。もしやこの先のあらすじを予見する演技ということでしょうか。儚き権勢に陰りが見え始めるということですよね・・・それを憂いているのかなぁ。