王と妃 第140話 仁粋大妃(インステビ)と廃妃ユン氏の対立
あらすじ
成宗は重臣たちに淑儀ユン氏を王妃を冊立するので王命文を用意し王妃を迎える準備をせよと命じました。
淑儀ユン氏の王妃冊立式が行われました。ユン氏は青い冠と青い衣を纏い儀式を行いました。
「天が万物を創造するには地の支えが不可欠である。国王が国を治めるには妃の支えが必要である。その道理に従い余はここに王妃を冊立する。余が思うにユン氏は温和で心優しく加えて品行方正である。聡明さは斉国の王妃に勝るほどであり人徳の高さは周国の王妃に匹敵する。」
ユン・ギギョンの娘が王妃に冊立されました。恭恵王后 韓氏 が逝去して三年、王妃の座がやっと決まりました。女命婦(ネミョンブ)と外命婦を統率し宮殿の女主人として王を補佐する者なのです。しかし仁粋大妃の下での厳しい結婚生活が中殿ユン氏を待っていました。貧しい士大夫の名家に生まれ苦難を乗り越えて中殿になったユン氏もまた仁粋大妃に劣らぬほど気の強い女性でした。のちに中殿から庶民に降格され最後に処刑される中殿ユン氏の運命はこのとき決まっていたのでしょう。
(ナレーション)
中殿ユン氏の亡き父ユン・ギギョンは領議政(ヨンイジョン)に追尊されました。妻のシン氏は「アイゴーアイゴー。なんてありがたい。なんてことでしょう。」と泣きました。シン氏は府夫人となりました。
ヒャンイは韓明澮の妻ミン氏に中殿ユン氏の歓心を買うように助言しました。ミン氏はヒャンイの言葉に従いました。
外命婦(ウェミョンブ)は女命婦(ネミョンブ)より先に中殿に挨拶しました。チョン貴人は憤慨しましたがユン・ピルサンのはとこのユン淑儀は王族の年長者と外命婦(ウェミョンブ)の挨拶が先だとチョン貴人に言いました。
中殿ユン氏は毎日三人の大妃様にご挨拶するだけで日が暮れるのでこの点を改革すると外命婦(ウェミョンブ)の婦人たちに言いました。月山君夫人は王室は厳格であるべきだといいました。王妃ユン氏は宮殿の門を外命婦(ウェミョンブ)に開放し耳を塞がれがちな宮中に風通しのよい関係を築きたいのでいつでも訪ねて来なさいと言いました。
王大妃ハン氏は仁粋大妃がユン淑儀を快く思っていないと大王大妃に言いました。
仁粋大妃はイム尚宮からユン氏が冊立当日に宮殿の裏山で泣いていたと告げ口をしました。仁粋大妃は生意気なと怒りました。
「私は中殿だからと威張る気はありません。いつでもいらしてください。」
ユン氏はハン・ミョンフェの妻やウェミョンブの夫人たちに言いました。
ヒャンイは仁粋大妃に謁見し様子を探りました。
「嫉妬は最も慎むべき所業です。私が中殿でいる間は嫉妬は許しません。そして不要な噂を流し宮中に波風を立てる者も許しません。私は宮中を厳しく律します。女命婦(ネミョンブ)の中心は中殿です。この中殿である私が側室や尚宮や内人たちを統率し殿下にお仕えしていくのです。わかりましたか。その規律を乱してはなりません。」
王妃ユン氏は挨拶に来たチョン貴人に向かって言いました。
夜になりました。
左賛成のノ・サシンはハン・ミョンフェに「王妃様は気がお強く侮れないお方であのお方なら大妃様と・・・。」と言うと「いざとなれば体裁も気になさらないお方だ。」と韓明澮は仁粋大妃を警戒していました。ハン・ミョンフェは成宗は母親思いの殿下なので絶対に仁粋大妃には逆らえないとノ・サシンに言いました。
成宗の部屋。
「どうだ。満足か?」
成宗は優しく王妃ユン氏に言いました。王妃ユン氏は母の占いによると自分は長生きできないので王子が生まれたら必ず世子にしてくださいと約束を求めました。そして仁粋大妃は自分を嫌っていると成宗に言うと、成宗はそんなことはない、もともと厳しいお方なのだと母を擁護しました。成宗は母に逆らわなければ優しくしてもらえるといいました。
「殿下。私が苦境に立たされても殿下は私を守ってくれそうにありません。殿下に守っていただけなくても私は殿下を恨んだりしません。」
「なぜそう不吉なことばかりをいう。母上はそなたを冷遇などせぬ。」
仁粋大妃の部屋の前。チョン貴人とオム貴人は挨拶に来ていませんでした。王妃ユン氏は後で見舞いに行くと言いました。王妃ユン氏は仁粋大妃に挨拶しましたが仁粋大妃は横を向き「体を大事にしなさい」と冷たく言いました。王妃ユン氏は仁粋大妃の前でうまく振る舞いました。仁粋大妃は宮殿の裏山で泣いたことをあきれるわと冷たく言いました。
部屋に帰った王妃ユン氏は仁粋大妃に怒りました。
仁粋大妃も王妃ユン氏をとんでもない女を中殿にしたと憎みました。
仁粋大妃と王妃ユン氏の不仲はすぐに噂となりました。王妃の座を狙っている高貴な身分のユン淑儀はユン・ピルサンにおとなしくしているように言いました。
大王大妃は孝寧大君と吏曹判書のホン・ウンを呼び仁粋大妃について相談しました。孝寧大君は放っておけばよいと言いました。ホン・ウンは放っておくとたいへんなことになるのではないかといいました。
「その家族においても嫁と姑の不和が家族の問題を起こすのです。」
ホン・ウンは孝寧大君に楽観的ではないかといいました。
仁粋大妃はキム・グックァンやチョン・チャンソン、キム・ジルら側近を招いて成宗の王子たちが王を子々孫々続けられるよう力添えを頼みました。無頓着なキム・グックァンは王子様がお生まれになれば大妃様もおばあさまになられ安心して老後を過ごせますなと言いました。ハン・チヒョンは咳払いをしました。仁粋大妃は休んでる暇はないというとキム・グックァンの顔に緊張が走りました。
「私に力をお貸しください。そのためにお越しいただいたのですから。私の義父である世祖大王が生前おっしゃっていました。木は休みたくとも風が休ませてくれないのだ。人は風の強いときは木陰で身を守るが風がやむとその木を伐り薪にしてしまうのだ。だがそれでも私は風を防ぐ木でありたいと。私は義父様を見習ってそのようにするつもりです。」
チョン・チャンソンとキム・グックァンとキム・ジルの表情が凍り付きました。ハン・チヒョンは満足そうに笑いました。
感想
確かに廃妃ユン氏には強力な親戚という後ろ盾がいないので朝廷も絡む女命婦(ネミョンブ)の暮らしは厳しいものだったでしょうね。ユン氏の後釜を狙うユン淑儀もチャングムの誓いのクミン役の女性が演じていてドロドロどころか命をかけた戦いを予感させますね。キム・グックァンは幸せ者なのかどうかわかりませんが、鈍い役柄です。こんなに鈍いのに世祖の癸酉靖難を生き残れたのですから運がよいというか、先祖の高貴な身分がキム・グックァンの身の安全を助けていたのかもしれませんね。