朱蒙(チュモン)78話あらすじ
あらすじ
卒本の宮殿。
朱蒙(チュモン)はユリ(瑠璃)王子と再会しました。
「大王様が私の父親なんですか?」
「私がお前の・・・お前の父だ。」
「ではなぜ母と私をお捨てになったんです?私はずっと母と二人でどん底の暮らしを続けてきました。私たちが大王様の前途を邪魔するだろうとそう考えて捨てたのですか!幼いころを思い出すと息苦しくなりどこにも落ち着くことができずにわけのわからぬまま逃げ続ける不安と漠然とした死の恐怖がいまだに私を苦しめるのです。」
「ああ・・・すまない私は・・・私はお前と妻にあがなえぬほどの罪を犯した。」
「なぜ大王様は私たちを捨てたんですか!」
「王子様・・・大王様は決してイエソヤ様と王子様を捨てたのではありません。十五年前。漢との戦乱のさなか、お二人は犠牲となり亡くなったと知らされていたのです。大王様。ご無礼をお許しください。」
陝父(ヒョッポ)は朱蒙(チュモン)の箱を取り出し幼いユリ王子の靴を取り出して続けました。
「何だと思いますか?十五年前、王子様とイエソヤ様が行方不明になったとき、卒本へと通じる道をくまなく探して見つけた履物です。大王様はこの小さな履物をお二人だと思い今日まで忍んでこられました。大王様のおからだには戦場で負った数々の傷がありますが、でもお心にはお二人を守れなかったという自責の念がより深い傷となって刻まれています。大王様はずっとその傷にさいなまれて生きてこられたのです。」
「私は・・・それでも絶対大王様を許すことができません。どんなにつらい境遇でも母上が大王様を決して訪ねなかったのは、自分がもう用のない人間だと分かっていたからです!」
ユリ王子は涙を流し母の無念を思いました。
「ユリ・・・お前の母は・・・どこにいる?」
チュモン王は涙を流して尋ねました。
「おっしゃってください。イエソヤ様はいまどちらに?」
陝父(ヒョッポ)は言いました。
夜になりました。
烏伊(オイ)大将軍とムッコ左将軍は陝父(ヒョッポ)に呼ばれました。
「どうしてお前がここにいるのだ。」
オイはユリ王子に怒鳴りました。
「落ち着いて聞け。こちらがユリ王子様だ。」
ヒョッポは言いました。
「え?」
「私はイエソヤを捜しにすぐ扶余へ向かう。準備しろ。」
チュモンは三人に言いました。三人は危険だと反対しましたがチュモンはイエソヤを残して宮殿で安穏としていられぬと言い部下たちを率いて夜中に扶余に出発しました。
陝父(ヒョッポ)は召西奴(ソソノ)にこのことを伝えました。ソソノ王妃は衝撃を受けました。
扶余の国。
帯素(テソ)王は母に呼ばれました。皇太后はヨンポ王子から連絡があり遼東省に捕らわれているので救ってほしいと願いました。
帯素(テソ)王は側近を集め討議しました。プドゥクプルはファン太守と会談すると言いました。テソ王はフクチにプドゥクプルの護衛を命じました。テソ王子はサンチョン(ユリ王子)の姿が見えないので連れてまいれとナロに命じました。
イエソヤと友人は一緒に扶余から逃亡していました。イエソヤは血を吐いて気を失ってしまいました。
チュモンとユリたちが扶余に潜入するとイエソヤは逃げたようだと報告を受けました。ユリは家に行って落ち合う場所を記した物を探してくると言いました。チュモンは心配で一緒について行くと言いましたがユリは二人の友人を連れてイエソヤの家に戻りました。ユリは甕の中から木簡を見つけましたがナロが現れました。
「貴様。無断で勤めを怠るとは。一体どういう気だ。勝手に宮殿を出た罪は後で問うとする。来い!」
「母が病気なのでいけません。」
「恐れ多くも王様に逆らう気か。連れていけ!」
ナロは三人を拘束すると、オイとムゴルが助けに来ました。チュモンとユリも戦い逃げました。
ナロはテソ王にこのことを直ちに報告しました。
「いったい奴らは何者なんだ!」
テソ王は怒りました。
(いつも怒る役が似合っています)
ユリ王子はチュモンを連れて落ち合う場所に行きました。するとイエソヤが倒れて友人の介抱を受けていました。
「母さん!」
「ユリ・・・。」
「母さん・・・。」
イエソヤはチュモンと再会しました。
「ソヤ。」
チュモンはイエソヤに声をかけました。イエソヤは涙を流しました。
「大王様。」
チュモンはイエソヤの頬に手を差し伸べました。
「ソヤ・・・。」
「大王様・・・。」
イエソヤは意識を失いました。
「母さん!」
「ソヤ。おい、ソヤ。ソヤー。」
チュモンはイエソヤを抱いて泣きました。
高句麗の城。
召西奴(ソソノ)王妃をヨンタバルとサヨンが訪ねて来ました。ヨンタバルはようやく大王様が心の荷を降ろせて喜ばしいと言いました。サヨンは跡目争いが起きると言いかけましたがソソノは言葉を遮りました。
「イエソヤ様とユリ王子様のことでもめ事を起こす者がいたらこのわたくしが許しません。」
ソソノ王妃はヨンタバルにサヨンのような考えをめぐらす者がおらぬか目を光らせるよう頼みました。
遼東。
ファン・ジャギョンは精鋭の選抜を行いました。
「戦が近い。お前たちの任務は高句麗に行き鉄器工場を破壊することだ。」
ファン・ジャギョンはプドゥクプルとフクチ大将軍と会談しました。プドゥクプルとフクチ大将軍はチュモンを殺そうとしたファン太守にも責任があると言いヨンポ王子を介抱し扶余に武器と穀物の支援を要求しました。
「大使者(テサジャ)。助けてくれ。」
ヨンポ王子はプドゥクプルを見て喜びました。プドゥクプルは全財産を扶余の王室に献上することを王子に要求しました。
高句麗(卒本)。
ソソノは川に沸流(ピリュ)王子と温祚王子を呼び出しました。
「沸流(ピリュ)。お前の名前の意味を知っているか。この沸流(ピリュ)川は高句麗の母体チョルボンの地を悠然と流れ民の渇きをいやしてくれる川です。この川のようにそんな人になってほしいとお前の名に込められている。温祚は暖かい心を持った人。そういう意味ですよ。誰が名付けたか二人とも知っていますか?」
「亡きお父様だとそう聞いていますが。」
「ええ。そう。」
「名前をつけてくださったのは亡きお父様。そして実の子のように育ててくださったのは大王様です。」
「実は大王様にはもうひとりご子息がいらっしゃいます。知っていたのですか?」
「扶余に人質として捕らわれ死んだと聞きました。」
「夫人とご子息は生きておいでです。大王様はお二人が亡くなったものと思い私を後添えとなさった。でもお二人は生きておりました。今夫人とご子息は宮殿におられる。」
「それでは。私たちはどうすれば。」
「決して動揺してはなりません。自分の名に込められた深い意味をかみしめつらい日々を送られてこられたお二人を温かく迎えて差し上げなさい。母のいうことがわかるか?」
チュモンはソソノを呼びました。
「そなたに・・・話がある。」
「イエソヤ様とユリ王子が宮殿においでなのは存じております。」
「もっと早く話すべきだったが余裕がなかった。イエソヤは今、苦労がたたって大病を患い生死の境にある。このまま死なせたら私はイエソヤに償う術がない。」
「大王様。ご心配いりません。イエソヤ様は必ず回復なさるでしょう。イエソヤ様がお元気でいられたら私はイエソヤ様を王妃としてお迎えします。そうすることが私の運命だと思うのです。もしもお二人をめぐってこの宮中に波風が立つとお思いならそれも心配なさらないでください。わが高句麗はひとつの心。ひとつの志で漢に立ち向かいます。」
「ソソノ・・・。」
ソソノはイエソヤを見舞いました。
「いくら考えても・・・なぜイエソヤ様とわたくしに天がこんなにも数奇な運命を与えたのか。答えがわかりませぬ。ですが天の意向がどうであれ、私は目の前の現実を受け入れたいと思います。」
ソソノはイエソヤの手を握りました。
「イエソヤ様が目覚めるのを大王様は心から待ち望んでいらっしゃいますよ。早く元気になってください。」
ソソノは涙を流しました。
(´;ω;`)
イエソヤは意識を取り戻しましたが回復の見込みはないと医官が言いました。チュモンは何としてもソヤを救わねばならんと言いました。
朱蒙(チュモン)はイエソヤの部屋に行きました。
「ソヤ。」
「大王様。またお荷物になってしまってお許しください。」
「何を言うのだ。早く元気になっておくれ。償いたいのだ。罪滅ぼしをする機会を私に与えてくれ。」
沸流(ピリュ)王子と温祚王子は二人で行く末を案じていました。
「お前には兄ができ私には弟ができる。ただそれだけのことだ。」
沸流(ピリュ)王子は温祚王子に言いました。陝父(ヒョッポ)はユリ王子を連れてきました。
「本当に不思議な縁だな。私のほうが年上ゆえ弟としてお前をいつくしむつもりだ。温祚。これからはお前もユリを兄と思うように。」
「温祚王子様。ユリ王子様を兄上とお呼びになってください。」
ヒョッポは温祚王子に言いました。
「兄上。」
ユリ王子はモパルモに会い工場で働かせてほしいと頼みました。
チュモンは宮殿にユリがなじめないのは自分への恨みが残っているからだと言いモパルモに面倒を見るよう命じました。ユリ王子は夜も鉄を鍛えて働きました。チュモンはその様子を遠くから見守っていました。モパルモは自分の寝所で眠るように言いましたがユリ王子は工場の粗末な宿舎のほうが落ち着くと言いましたが眠れませんでした。
遼東からの刺客が鉄器工場の兵を殺しました。モパルモとムソンはユリ王子の頑固なところが大王様にそっくりだというと兵士が襲われ鉄器工場の宿舎が火事になっていました。モパルモは慌ててチュモンに知らせてユリ王子が宿舎にいるのだと言いました。
感想
またまたたいへんなことになってしまいましたね。どうしてかソソノもイエソヤも可哀想ですね。チュモンが二人の女性を愛したばっかりにこんなにややこしくなってしまい争いの火種となってしまうとは。平和に過ごすなら一夫一妻しかありませんね!