王と妃 第148話 権力争いの行方
あらすじ
ハン・ミョンフェは仁粋大妃に謁見していました。ハン・ミョンフェは仁粋大妃が王妃の勝手ぶりに手を焼いているのだろうと言い当てました。
「耐えるのです。大妃が王妃に難癖つけては面目が立ちません。」
「誤解です。王妃との関係は良好です。」
「媽媽。この世で一番高い山に登った者はこの世から最も遠くなるのです。山に登るときは一生懸命でもいざ山頂につくと下り方がわからなくなってしまうのです。私も降りる方法など考えもしませんでした。」
「降り方など考えないのがふつうです。昔、杞の国に天地が崩れると恐れた人がいました。その逸話からつまらない憂い事を杞憂と呼ぶのです。上党君がそんなにも小心者だったとは。人生とは弓を離れた矢のものです。いくら後悔しようが戻ってきません。私は後ろは振り返らない人間です。(悪賢い年寄りだこと。)」
ハン・ミョンフェは仁粋大妃に対する弾劾を阻止するとハン・チヒョンに約束しました。
イム・サホンは王妃の部屋にいました。王妃は韓明澮に何の力があるのかとイム・サホンに言いました。イム・サホンは「溺れる者は藁をもつかむ」と仁粋大妃の悪口を言いました。
「最後に笑うのは王妃様です。はっはっはっは。王妃様は殿下のお心を掴んでおいでです。」
「私はイム承旨を信じてるわ。」
夜。
「枯れ木に花が咲くと思いますか?」
イム・サホンは訪ねてきたユ・ジャグァンと話し合っていました。イム・サホンは勝ったつもりでいました。
ハン・ミョンフェは自宅にヒョン・ソッキュを呼びました。ハン・ミョンフェは大妃を弾劾すると多くの血が流れるとソッキュを叱りました。
ヒョン・ソッキュの仲間の士大夫たちは集まり仁粋大妃弾劾の書ができたので提出する時期について話し合いました。
「世祖大王の功臣や勲旧派を皆殺しにするつもりか。そなたたちは不可能なことを企んでいるのだ。」
ハン・ミョンフェはヒョン・ソッキュを説得していました。
「我々は殿下のご意思に従うまでです。」
「改革とは古いものを手直しすることだ。捨てることではない。捨てることを革命というのだ。」
「大妃は退くべきだ。」
「大妃が退いても中殿の威勢が増すだけだ。改革の妨げになったら今度は中殿を弾劾するのか。権力とは空から降ってくるものではない。誰かの手を離れたらまた別の誰かの手に渡るのが権力というのだ。改革を求める士大夫も勲旧派も今は大妃を攻撃している。だが大妃が退けばより大きな権力争いに発展する。現実を受け入れよ。権力の中心は大妃だ。それを覆そうとすると国が亡びるぞ。私は生涯を通じ権力を操ってきたからわかるのだ。権力の中心が傾くと血を流す者が出る。泣きを見るのはそなたたちだ。」
ヒョン・ソッキュが帰るとヒャンイは韓明澮に酒を注ぎました。
ヒョン・ソッキュは上疏を出さぬと仲間の士大夫に言いました。
「左手が痛むと右手も痛むことになる。それが権力だ。断念しよう。」
ヒョン・ソッキュは言いました。
ヒョン・ソッキュ主導による仁粋大妃弾劾の企ては不発に終わりました。ハン・ミョンフェは政界に復帰しました。
月山大君夫人は韓明澮夫人を訪ね財物を与えました。
ユン・サフンもハン・ミョンフェと会い大王大妃も安心なさったと言いました。ハン・ミョンフェは感謝すべきは都承旨だといいました。
成宗は仁粋大妃弾劾の上疏を阻止した都承旨のヒョン・ソッキュに感謝しました。
イム・サホンは王妃に釈明しました。
仁粋大妃は韓明澮のおかげだとハン・チヒョンに笑いました。仁粋大妃は母を罰する成宗が苦しみ自ら気を引き締めてほしかったと強気に出ました。
成宗は仁粋大妃に会いに来て申訳なさそうにしました。仁粋大妃は成宗にたいへん優しく振舞いました。成宗と仁粋大妃は和解しました。
大王大妃と王大妃とユン・サフンとキム・スオンたちは仁粋大妃は変わったと話し合いました。
夜になり王妃は成宗にまだ自分と王子を狙う者がいるので安心できないと言いました。
チョン貴人とオム貴人は弓を射り王妃を呪いました。貴人が呪いの紙に弓を放つたびに王妃の心臓が痛みました。
「辞令。右承旨イム・サホン。礼曹判書ホ・ジョン。節度使(チョルトサ)チョン・ナンジョン。左賛成ユン・ピルサン。」
王妃と大妃の仲が表面的に修復された後大々的な人事が行われました。王が結局誰の味方なのかこの人事からは読み取ることができませんでした。
ノ・サシンは人事について理解できぬとハン・ミョンフェに言いました。
「われらが殿下は巧妙な人事をなさったのだ。仁粋大妃譲りで知略家だ。母親と妻どちらも捨てられないお方なのだ。」
親蚕礼(チンジャムネ)の準備が進められていました。
重臣たちは親蚕礼(チンジャムネ)を盛大にするよう成宗に言いました。
成宗は国を挙げて盛大にやろうと笑いました。
礼曹判書は菊衣(クキ)を召されよといいました。
チョン・チャンソンら老いた重臣たちは王妃の勢いは大妃をしのぐ勢いだなと雑談しました。
王妃の部屋。
「媽媽。以前お渡しした呪術の本とそ・・その(毒薬)を母に返してください。」
府夫人は王妃に毒物を返すよう言いました。王妃はチョン貴人に使うといいました。
チョン貴人は産気づきましたが難産でした。
夜になりました。
「信頼できる内官にチョン貴人を守らせなさい。」
仁粋大妃はイム尚宮に命じました。
チョン貴人は大声をあげて苦しんでいました。
王妃は大妃の命令で見張りに来た内官を下がらせました。
チョン貴人から王子が生まれました。
王妃は慌てました。
仁粋大妃は愉快だと笑い王子を水に引き返した王妃を「憎らしい女」と言いました。
王妃が成宗の部屋に行くと成宗は王子の誕生を喜んでいました。
大王大妃たちも王子の誕生を喜びました。
「お祝い申し上げます中殿媽媽。」
側室たちは王妃に頭を下げました。
重臣たちも王妃に頭を下げました。
「私の転嫁ですお母さん。あっはっはっは。大勢の官僚たちや高官の夫人が私に頭を下げ祝いの言葉を述べるのです。私の天下です大妃媽媽。あなたの時代は終わりです。もう私に屈するべきですわ。あっはっはっは。」
王妃は喜びました。仁粋大妃はたいへん悔しがりました。
感想
これだから韓国の時代劇は面白いです。ばかみたいなことに本気になって人を殺めてしまうまで至ってしまうというとんでもないことが実際にあったそうで富と権力を持っている人間という生き物はたいへん残虐な生き物ですね。礼儀や品位といいつつ本心ではそのような敬いの精神など皆無で醜いのが権力者の本質です。でも隠しているよりは本音をぶつけてくれたほうがわかりやすいですね。