王と妃 第133話 インステビ(仁粋大妃)の台頭
あらすじ
夜の王宮。
成宗はじっと部屋で耐えていました。
インス大妃の部屋。
「媽媽。今回は譲歩するべきです。」
従兄のハン・チヒョンは言いました。
「ユ・ジャグァンは何をしているのです!参判の座をあげると約束したのに!ユ・ジャグァンをここへ連れてきなさい。上党君(サンダングン、ハン・ミョンフェ)を弾劾できるのはユ・ジャグァンだけです。」
仁粋大妃は激高しました。
「媽媽。もう少しご辛抱を。官僚たちの中で上党君を糾弾する声が高まってきております。」
「信用できません。裏では上党君の機嫌をうかがっているのです。もう待てません。ユ・ジャグァンを連れていなさい。」
「媽媽。ユ・ジャグァンは力不足です。関われ瀬ないほうが無難でしょう。」
「ではだれを上党君の排除に使えというのですか。弾劾は司憲府の仕事なので承旨も大司憲の人事には敏感に反応するのです。」
「承旨らの座り込みは上党君のためではありません。」
「上党君の計略です。上党君が裏で承政院の承旨らを操っているのです。大妃の干渉から殿下を守るためですからね。はっ。」
仁粋大妃は従兄で傀儡のハン・チヒョンを大司憲に据え自ら粛清を行うために策を弄していました。ソン内官は承政院の承旨が通してくれないのだと仁粋大妃に報告しました。
仁粋大妃は従兄で傀儡のハン・チヒョンを大司憲に据え自ら粛清を行うために策を弄していました。ソン内官は承政院の承旨が通してくれないのだと仁粋大妃に報告しました。
「無礼者め。私が主上に会いに行くわ。」
「信念を貫き通す学者出身の承旨です。媽媽さえ阻止される可能性があります。媽媽の体面はどうなります。」
ハン・チヒョンは仁粋大妃を引き止めました。
重臣たちは成宗の部屋の前で左副承旨の助言を受け入れた成宗の許可のもと座り込んでいました。
成宗の部屋。
「大妃媽媽(インステビ)が直接談判に現れたらどうするのですか。」
右副承旨のイム・サホンは言いました。
「仁粋大妃媽媽も我々の命までは奪わんでしょう。殿下。私のご無礼をお許しください。」
左副承旨のソン・ヒョッキュは言いました。
「殿下が大妃媽媽のもとへお出ましください。」
イム・サホンは床にひれ伏しました。
「左副承旨の言う通りだ。司憲府の人事に大妃が干渉するのは誤りだ。何の騒ぎだ。」
成宗は言いました。
「申し訳ありません。様子を見てまいります。」
ホン内官は尚膳キム・チョソンに命じました。
「ご心配には及びません。司憲府、司諫院、弘文館(ホンムンガン)の学者たちが殿下をお守りするために大殿に参ったのです。」
キム・チョソンは言いました。
成宗の寝所の前。
「さあ座りましょう。殿下に命を捧げる覚悟で。」
数十人の学者たちは地面に座りました。
ホン内官は成宗に学者が座り込んでいると報告しました。だれの指図だとイム・サホンがいうと「私が命じました」と左副承旨のソン・ヒョッキュが答えました。
「私が許可したことだ。」
成宗は退散させようというイム・サホンに言いました。
仁粋大妃の部屋。
「チョン・ナンジョンやチェ・スンジョンもいただと?だれの許可で宮殿に入ったのだ。」
ハン・チヒョンは(ドラマで)初めて攻撃性を見せました。
「恐れながら殿下の許可があったのだたと。」
イム三群は答えました。
「媽媽。まさか殿下がご許可なさるとは。」
大王大妃ユン氏の部屋。
「弘文館(ホンムンガン)の校理(キョリ)のほか司憲府と司諫院の若い官僚までもが仁粋大妃様を阻止しています。殿下も実に毅然とされており仁粋大妃様が・・・」
側近のキム・スオンが言うと、孝寧大君が遮りました。
「もうやめよ。耳を疑うような事態だ。」
孝寧大君は怒りました。
大王大妃は黙って聞いていました。
仁粋大妃の部屋。
「私の息子がこの国の君主につき私の願いはかないました。ですから親政への干渉は考えもしません。官僚の勢いが増すほど私の君主の力が弱るのです。高麗の王も武官たちの剣に倒れていきました。威厳を失うことは平凡な民に劣ります。魯山君が倒れたのも威厳を失ったせいです。上党君を追放するのです。上党君がいる限り私の息子は王としての威厳を示すことができません。」
仁粋大妃は涙を流してハン・チヒョンに言いました。ハン・チヒョンは顔を横に向けました。
孝寧大君は座り込みをしている士大夫に言いました。
「何をしているのだ。さっさと退散せよ!さっさと立たぬか!」
(孝寧大君はこのドラマで初めて高い声で怒りました)
「恐れながら大君様。我々は殿下を守るために死を覚悟で来ました。」
チョン・ナンジョンは低い声で言いました。
「大王大妃様が退かれた今殿下の親政を実現すべきです。」
チェ・スも言いました。
「仁粋大妃様が政治に介入するのは・・・。」
ホ・ジョンは言いかけました。
「ホ・ジョンではないか。大司憲まで務めた者が若造たちと結託しこんな非礼を働くとは。なんと情けないことだ。無礼者め!ここをどこだと思っておる。主上のおわすところぞ。臣下として恥ずかしくないのか。」
「確かに我々の行動は孝寧大君の言う通り度が過ぎたのです。大君マニ。申し訳ありませんでした。さっさと帰るとしよう。」
陽川君(ヤンチョングン)ホ・ジョンは孝寧大君に叱られてしょんぼりしました。
「私は帰るつもりはない。」
チェ・スは意地を張ろうとしましたが気が小さい士大夫たちは皆帰ってしまいました。
孝寧大君は成宗に会い「母子の縁は切れません。賢明に対処なさるべきです。どうか仁粋大妃のもとへ」と言いました。成宗は「私が愚かでした」と反省の弁を述べました。
成宗は仁粋大妃(インステビ)の部屋に行き許しを乞いました。
「母上。」
「母の部屋に入るために戸を開けてくれと懇願する息子がいますか。座りなさい。」
仁粋大妃は顔を横に向けて言うと涙をぬぐい母子がいがみあってはなりませんと言いました。そして世祖は人情に振り回されたら粛清はできなかった、結婚してたくさんこどもをもうけてくださいと笑いました。
成宗は部屋を去りました。
「殿下は幼子ではないのですね。」
仁粋大妃(インステビ)はひとり笑いました。
宮殿の庭。成宗の六人の側室たちは大王大妃が王妃を選ぶというので集まっていました。
貴人オム氏は王妃になりそうなチョン貴人を祝いました。身分が高いユン・ホの娘のユン淑儀はつんとしました。そこに身分が低いほうのユン淑儀が現れつわりをもよおしました。チョン貴人は血相を変えました。
大王大妃の部屋。仁粋大妃(インステビ)と王大妃も部屋にいました。
側室たちが部屋に入り挨拶をしました。
大王大妃と王大妃はユン・ホの娘ユン淑儀は何度見ても気品があるわと気に入りました。
仁粋大妃(インステビ)は大妃たちがユン・ホを気に入っているので不満に思いました。
成宗の部屋。
月山大君は成宗に会い母上が側室たちの中から中殿を選ぶなどとんでもないと言いました。月山大君は母に冷遇されたというと成宗は謝りました。
「私のせいなのです。私は王の器ではありません。気ままな暮らしが性に会うのです。詩や書画を楽しみながら一生を終えられたらと。」
「感謝します兄上。」
「主上。母上と距離を置かねば聖君になれません。」
「わかっています兄上。徐々にそうします。」
成宗は静かに言いました。
(このドラマでの成宗は終始物静かです。)
大王大妃の部屋。
ユン淑儀は大妃たちの前で吐き気をもよおしました。チョン貴人は憎らしく思いました。
チョン貴人の部屋。
「ずるがしこい女め。芝居をしおって。」
チョン貴人は友達のオム貴人に言いました。チョン貴人はユン淑儀の懐妊を信じませんでした。
仁粋大妃(インステビ)は月山君夫人パク氏とユン氏が懐妊だったらと話をしていました。
ヒャンイは月山君の妻パク氏を訪ね次回の参内の伴を申し出ました。パク氏は承諾しました。ヒャンイは月山大君の琴の音を聴きました。
「確かに王の器ではないわ。」
ヒャンイは月山大君を一目見るとつぶやきました。
ヒャンイは家に帰るとハン・ミョンフェの妻ミン氏に報告しました。ハン・チヒョンはハン・ミョンフェの部屋に来て仁粋大妃(インステビ)と和解を求めるように言いました。ハン・チヒョンはハン・ミョンフェにチョン・チャンソンとともに王室よりも財産があるだろうと金銭を要求しました。ハン・ミョンフェは怒りましたが支援を約束しました。
「その次は死んだふりでもしろと?」
「できないというのですか。命が惜しいなら死んだふりをするべきです。仁粋大妃(インステビ)様の使いではありません。ただそばで大妃様を見ていて私もいたたまれる気持ちになりこうして上党君を訪ねているのです。この機会をどうか逃しませんように上党君大監。私はこれで失礼いたします。」
ハン・チヒョンはハン・ミョンフェを脅迫しました。
「はっは。行くぞ。」
ハン・チヒョンは輿に乗っていきました。
「あれは和解の提案ではない。私に跪けと言ってるのだ。」
ハン・ミョンフェは妻とヒャンイに言いました。
ハン・チヒョンは仁粋大妃に会いハン・ミョンフェを追い詰めすぎるなと言いました。仁粋大妃は食べる分だけ残して「命が惜しければ(上党君の有り金)ぜんぶよこせ」と言いました。
その話を聞いてチョン・チャンソンは自宅でキム・ジルらに巻き込まれないか心配だと言いました。
「ユン・ゲギョムを大司憲に任命する」
仁粋大妃(インステビ)が言うとユン・サフン(大王大妃の弟)の息子ユン・ゲギョムが大司憲に任命されました。
仁粋大妃(インステビ)はおびえているユン・ゲギョムを呼びました。
「意味は分かりますか。朝廷をきれいいに掃除せねばなりません。地位が高くとも低くとも不正を犯した者を摘発するのです。」
ユ・ジャグァンは告発文をしたためました。
ユン・サフンは仁粋大妃の意図は大王大妃の周辺だけは守るということだと姉に説明しました。
仁粋大妃(インステビ)は名簿をユン・ゲギョムに渡すと笑いました。
「そこにすべて書かれています。」
感想
大王大妃が好き放題して朝鮮の伝統を破っていますw伝統を破り女性が政治に参加するのは結構なことですが、それが己の欲望の範疇終わったことで悪女の印象が強いです。今話では孝寧大君までも尋常ではない態度を見せて、ちょっと付け上がっていましたね。ハン・チヒョンの豹変ぶりは仁粋大妃の力の強さと比例していますから、劇中での権力の物差しとして表現しているのでしょう。孝寧大君は怖い世祖がいるときはおとなしくしてたくせに、女帝の世となり仁粋大妃に敬われると尊大な態度を見せ始めました。人間とはいい加減なもので孝寧大君は信念も何もなくただ力関係だけで世祖のご機嫌をとったり仁粋大妃に味方したりただの臆病者にしか見えません。それに比べ仁粋大妃(インステビ)や貞熹王后ユン氏は自分の意見をしっかり持っていて男にも勝る女性です。そんな女帝の下ではちょろちょろと悪だくみをする廃妃ユン氏やチョン貴人は大妃に比べるとまだまだ小物です。成宗はとても抑えた演技でかなり考えて母の抑圧を表現して演じられていましたね。成宗は後々はもっと派手にふしだらに演じてくれるのではないかと期待しています。