王と妃 第138話 呪いの藁人形
あらすじ
仁粋大妃は内官と女官に命じて宮中に埋められている呪いの藁人形を探させました。
「心配しないで。そなたの懐妊を妬む者を必ず見つけてあげるわ。到底許せぬ。殿下の子を呪うなんて。」
仁粋大妃(インステビ)はユン淑儀に言いました。
「媽媽。お騒がせしてしまってもうしあげません。」
「なぜそなたが謝るの?」
「私が不徳故殿下に合わせる顔がございません。日々精進して謙虚に振る舞っていれば王子や私が妬まれることはなかったはず。」
「実に謙虚なこと。」
内官は地面から藁人形を掘り出しました。
チョン貴人はオム貴人と大妃殿に行くとイム尚宮が大妃様は激高なさっておられますと言いました。チョン貴人たちは何も知らないふりをして「きっとユン淑儀を妬む者に違いありませんわ」と仁粋大妃の機嫌をとりました。
「わが子や(アガ)。部屋に戻りなさい。昼夜を問わず警護させます。安心しなさい。」
仁粋大妃はユン淑儀に言いました。
「以後ご心配をかけぬよういたします。お母様(オモニ)。」
ユン淑儀はわが子やという言葉におかあさまと答えチョン貴人とオム貴人は殺気立ちました。すぐにオム貴人は無礼であろうと言うと、ユン淑儀は貧しい両班の生まれでどんな仕事もしてきたので大妃様の温かいお言葉に無作法にもついおかあさまと言ってしまったと釈明しました。仁粋大妃はユン淑儀の苦労を労いました。内官はユン淑儀の部屋の下から藁人形が見つかったと仁粋大妃に報告しました。
「媽媽。実に恐ろしいことでございます。」
内官は震えながら報告しました。
王の側室たちの部屋が捜索されました。ユン・ピルサンの娘ユン氏は無関係なので余裕しゃくしゃくでした。イム尚宮は女官たちを捕まえました。
成宗は内官のキム・チョソンに様子を尋ねました。キム・チョソンは捜査は難航を極めるでしょうと成宗に言いました。
仁粋大妃は「主上を呪うも同然です」と王大妃に言いました。
無実の女官たちが命を落としました。逆上した仁粋大妃の容赦ない拷問によりたくさんの者が命を落としました。
翌日。
イム尚宮は拷問で死んだ女官は住人を超えたと言い貴人の女官も調べてよいかと尋ねました。仁粋大妃は貴人の女官は調べなくてよいと言い大王大妃の部屋に行きました。
仁粋大妃は大王大妃(貞熹王后ユン氏)にこのような事が起きたのは自分が至らぬせいだと謝罪しました。
「前代未聞の出来事だわ。お茶でも飲みましょう。」
「こんなことになったのは中殿の座が空いているからです。女命婦(ネミョンブ)を束ねるのは中殿の役割です。」
「そなたがいるではないの。」
「媽媽。淑儀ユン氏を中殿にしてはどうかと思います。ユン淑儀は懐妊していることですし・・・。」
「そうしなさい。」
仁粋大妃は成宗に会いに行きましたが成宗はユン淑儀を慰めに行っていました。
成宗はユン淑儀と仲睦まじく過ごしていました。
「娘でも構わぬ。」
「娘を産めば冷遇されるわ。」
「娘でも息子でも私は構わぬ。どれどれ。元気に育っているかな。」
ユン淑儀は大妃の寵愛を受けている女人の仕業ではないかと言うと成宗はよほど悔しいのだなと言いました。
仁粋大妃は成宗の部屋で待っていました。
「母は私だけが生きがいだった。母上の言葉には決して逆らうな。そうすれば私たちは幸せに生きられる。」
成宗はユン淑儀を抱きました。
成宗が自分の部屋に戻ると仁粋大妃に声をかけました。
「もうお昼なのに朝の挨拶ですか!」
仁粋大妃は怒りました。
「母上(オマママ)。」
「ユン淑儀がおびえていたので・・・。」
「恐ろしいのは私のほうです。危うく孫を失うところだったのです。」
「私の考えが足りなかったのです。何かお話しがあるのでは?」
「また今度にします。」
仁粋大妃は内官に八つ当たりしてから帰りました。
「早くもあの溺愛ぶりなのに中殿にしたらどうなることやら。私はユン淑儀を中殿にしようと思ってたけど考え直すことにしたわ。」
仁粋大妃は月山大君夫人に言いました。
ユン淑儀はボロを着て成宗の気を引こうとしました。
これを知った仁粋大妃はこざかしいわねと笑いました。
ユン・ピルサンは仁粋大妃の干渉を阻んでこそ国のためになると政丞チョン・チャンソンとキム・ジルに言いました。
チョン・チャンソンは夜更けにハン・ミョンフェの家を尋ねました。ハン・ミョンフェは離れで酒を飲んで舟をこいでいました。机の上には一面豪華な食事が並べられていました。ヒャンイはチョン・チャンソンに酒を酌みました。
「三日三晩食事をとらずにお酒を飲んでおられたので酔いつぶれてしまいました。すぐに起こしますので待っていてください。大監。大監。」
ハン・ミョンフェはうなだれたまま起きませんでした。チョン・チャンソンは「昔のよしみで尋ねたと言っておいてくれ」と帰りました。
「帰ったのか?」
ハン・ミョンフェは寝たふりをしていました。
「大泥棒め。私を巻き込んで王座を狙うつもりだな!」
ユン淑儀以外の王の側室たちは朝の挨拶に大妃殿の前庭に集まりました。オム貴人とチョン貴人はユン・ピルサンの娘のユン淑儀に中殿候補となりおめでとうございますと笑いました。それを聞いたユン淑儀は腹を立てました。
ヒョン・ソッキュは成宗に直接中殿を選ぶよう上奏しました。
成宗は妃選びは母に任せると言いました。
ハン・ミョンフェは妃選びに口を出さなくてよかったと笑いました。
ユン淑儀の母は娘を王妃にしてもらおうとイム家の門前に座り込んでいました。
ユン淑儀の母シン氏とイム・サホンの縁はこうして始まりました。
感想
また風向きが変わってきましたね。朝鮮は権力がひとつの所にとどまることはないようです。ある意味血気盛んな人たちですね。恐れることなく権力に挑戦するその勇気はたいしたものです。ユン淑儀も豪胆な女性ですね。