王と妃 131話 成宗の親政
あらすじ
王宮中に「大王大妃が摂政をやめ殿下が親政をせよ」との張り紙が貼られていました。
キム・スオンは仁粋大妃の仕業ではないかと貞熹王后ユン氏に言いました。
便殿。
大王大妃は皆に立たなくてよいと命じました。
「私を非難する張り紙が宮殿の内外に貼られましたが反論するつもりはありません。私は無学ですが大臣たちに求められ殿下にかわり政治を行ってきました。ですがもう潮時です。主上も十九歳です。もう何の問題もなく親政できる年頃です。私は退きますので了承ください。匿名の糾弾とは情けない。意見があるなら堂々と言えばよいものを自分の名前も明かさずに人を批判するのですか。闇に隠れて匕首(あいくち)を突き付けるような卑劣な行為です。万事公明正大に行ってください。ここにおられる皆さんは人格者でしょう。匿名だなんて恥ずべき事です。」
「なりません媽媽。」
ハン・ミョンフェは大王大妃を引き留めるため成宗の御前にひれ伏しました。
「我々の朝鮮では世宗大王が他界された文宗が早世し魯山君が即位しました。それから国が乱れたため世祖大王が粛清なさったのです。しかもそのあともソン・サンムンの謀反やナム・イの乱が起きました。ですが殿下の即位後は天下が平和でした。大王大妃様が殿下を正しい道にお導きになったからです。大王大妃媽媽。どうかこのまま摂政をお続けください。」
「上党君は私を褒めてくれるのですね。それなら私より張り紙をした者に言ってやってください。誰のおかげで泰平の世になったかと。」
「媽媽。どうして大王大妃様は王妃の座が空いている間お役目を放り出されるのですか。もし今摂政をおやめになれば大勢の者をお見捨てになるも同然です。」
ハン・ミョンフェは消え入るような声で訴えました。別の重臣キム・グックァンは暴君の犬が名君に吠えているようなものだと言いました。
「殿下。少しも心残りはありません。殿下が成長なさって私は涙がでるほど喜んでいるのです。聖君におなりなさい。」
大王大妃は便殿から出ていきました。キム・スオンも引き留めましたが大王大妃は体面にこだわってはいけないと名刹を探すよう命じました。
部屋に帰った大王大妃は「木になるはずでは?なぜ木になって風を遮ってくれぬのですかあなた・・・」と世祖を思いました。
成宗はハン・ミョンフェにどうしたらよいか尋ねましたが返事がありませんでした。領議政のチョン・チャンソンは「大王大妃様のご決心は固いようですから・・・」と言いかけるとユン・ピルサンは成宗に席藁待罪をして大王大妃に許しを請うべきだと言いました。
「張り紙をきっかけに退位させるのは無礼です。」
「誰の仕業にせよ礼儀に背いています。」
ホン・ユンも言いました。
シム・フェは犯人を処罰するのが先だと言いました。
孝寧大君は何も言いませんでした。
ハン・チヒョンは一気に片をつけるため殿下に席藁待罪をさせようと仁粋大妃に言いました。
仁粋大妃は思案をめぐらしました。
孝寧大君は意見を求められると席藁待罪をしてから大王大妃の意思に従う(親政をする)のが道理だと言いました。
成宗が席藁待罪をするために庭を歩いていると臣下たちが席藁待罪をするくらいなら先に私を殺してください殿下と地面にひれ伏しました。するとハン・チヒョンが泣きながら「大妃媽媽が席藁待罪をなさっています」と地面に泣き崩れました。
仁粋大妃は大王大妃の部屋の前で白服を着て席藁待罪をしていました。
大王大妃は仁粋大妃が席藁待罪をする理由がないので下がらせるように尚宮に言いました。
仁粋大妃は息子の教育を間違ったと言い下がりませんでした。
「今すぐ下がらぬなら私が宮殿から出ていきます。」
貞熹王后ユン氏は言いました。
成宗が現れました。仁粋大妃はきつく成宗に帰るように言いました。
「主上は将来親政をなさるやんごとなきお方です。処罰などしてはなりません。君主の面目がまるつぶれになります。帰りなさい。大王大妃媽媽。主上の落ち度は私の罪です。どうか罰してください。殿下の成長ぶりをどうしてお認めにならないのですかー。」
大王大妃はキム・スオンを呼び命令を欠かせました。
「すべての国務は一人の人間が統べるのが原則である。王の母親が政治に関することもあるがそれは一時的な方便にすぎぬ。主上が若くして王位にお就きになられたため私は自分に徳が足りず困難なのは承知しながら辞退できずに摂政を行った。」
キム・スオンは命令を書き取りながら涙を流しました。
ハン・ミョンフェは下僕に支えられ帰宅しそのまま寝込んでしまいました。ヒャンイは家門の没落を心配しました。
便殿。
成宗は自分は王位に就いたとき心細かったが大王大妃の親政によりなんとかやってこられたと言い重臣たちに自分を補佐するよう命じました。
成宗は仁粋大妃により王になり慈聖大王大妃(チャソンテワンテビ)ユン氏の摂政で名ばかりの王として七年君臨したのでありました。その末に五百年の朝鮮王朝史上五本の指に入る名君となりました。
夜。
成宗は重臣たちを招き宴を開きました。内官と女官が慌ただしそうに膳を運び入れました。
大王大妃の部屋でも王妃と側室たちが集まり食事会が行われていました。
チョン・チャンソンやハン・チヒョンらは音色に合わせて踊りました。
ハン・チヒョンはユ・ジャグァンを呼び大殿の成宗の部屋にいる仁粋大妃のところに連れていきました。
仁粋大妃は成宗の座布団をいとおしそうになでながらユ・ジャグァンにまだハン・ミョンフェのもとにいるのかと尋ね従三品がふさわしいと言いました。
「媽媽はなにをくださるのですか。」
「殿下を王にしてくれたら政丞や判書にでもするわ。」
仁粋大妃は大王大妃や院相を抑えることを要求しました。ユ・ジャグァンは二度と生き返らぬようハン・ミョンフェを地中深くに葬ると誓いました。
ハン・チヒョンは薬剤を携え中風で寝込んでいるハン・ミョンフェの見舞いに行きました。ヒャンイはハン・チヒョンが大司憲という不正を探る役職に就くとミョンフェの妻に教えました。ハン・チヒョンは仁粋大妃が御医に処方させた薬を持ってきましたがハン・ミョンフェは薬は効かぬから持ち帰ってくれと言いました。ハン・チヒョンは薬を置いて帰りました。
(「国泰民安」とハン・ミョンフェ宅の門に書が貼られていました。)
ハン・ミョンフェは大妃が賜死するよう与えた毒薬だとヒャンイに言いました。ハン・ミョンフェは薬剤を庭に投げ捨てました。
大王大妃の部屋。
貞熹王后ユン氏と仁粋大妃と安順王大妃ハン氏は成宗の妃について話し合っていました。大王大妃はユン・ホの娘貴人がよいといい、安順王大妃ハン氏はチョン貴人がよいといいました。仁粋大妃はチョン貴人を推しました。
イム尚宮は大王大妃の部屋に聞き耳を立てていた女官三人を呼びつけ鞭でふくらはぎをたたきました。
ユン淑儀は女官から報告を受け成宗の来訪がないことを懸念していました。女官は懐妊したふりをすればどうかというと淑儀ユン氏は急に吐き気をもよおしました。ユン淑儀は兄に祈祷をするよう女官に伝えさせました。
成宗は仁粋大妃の決定に従うと言いました。
「チョン貴人にします。お嫌ですか?」
「いいえ。」
「おばあさまはユン・ホの娘にこだわっていますが・・・殿下がひいきされているユン氏のことではありません。チョン貴人にします。」
「ご安心ください。母上を喜ばせるためなら何でもします。」
「そうですとも。それでこそ私の息子です。」
「不届き者め。」
仁粋大妃は成宗のそばに控えている尚膳キム・チョソンに言いました。
(貧しいほうの)ユン淑儀の母と兄は巫女を呼んで王子が生まれるように祈祷を行っていました。
キム・チョソンは成宗に「一生の伴侶は天が決めてくださるそうです」と言いました。
大王大妃と王大妃はチョン貴人を王妃にすることに同意しました。チョン貴人は泣いて喜びました。
夜。
成宗は目をうるませ色付いていました。
キム・チョソンはユン淑儀の部屋に行くかと成宗に尋ねました。
「私の気持ちがわかるのか。」
「お出かけくださいまし。」
「私は幼子と変わりない。母上の前では何も言えぬ赤ん坊のようだ。」
ユン淑儀は吐き気をもよおしていました。
「気づかなかった。私は身ごもったのよ。サモル。私は懐妊したのよ。うっ・・・うっ・・・うっ・・・・。」
仁粋大妃は成宗の座布団をいとおしそうになでながらユ・ジャグァンにまだハン・ミョンフェのもとにいるのかと尋ね従三品がふさわしいと言いました。
「媽媽はなにをくださるのですか。」
「殿下を王にしてくれたら政丞や判書にでもするわ。」
仁粋大妃は大王大妃や院相を抑えることを要求しました。ユ・ジャグァンは二度と生き返らぬようハン・ミョンフェを地中深くに葬ると誓いました。
ハン・チヒョンは薬剤を携え中風で寝込んでいるハン・ミョンフェの見舞いに行きました。ヒャンイはハン・チヒョンが大司憲という不正を探る役職に就くとミョンフェの妻に教えました。ハン・チヒョンは仁粋大妃が御医に処方させた薬を持ってきましたがハン・ミョンフェは薬は効かぬから持ち帰ってくれと言いました。ハン・チヒョンは薬を置いて帰りました。
(「国泰民安」とハン・ミョンフェ宅の門に書が貼られていました。)
ハン・ミョンフェは大妃が賜死するよう与えた毒薬だとヒャンイに言いました。ハン・ミョンフェは薬剤を庭に投げ捨てました。
大王大妃の部屋。
貞熹王后ユン氏と仁粋大妃と安順王大妃ハン氏は成宗の妃について話し合っていました。大王大妃はユン・ホの娘貴人がよいといい、安順王大妃ハン氏はチョン貴人がよいといいました。仁粋大妃はチョン貴人を推しました。
イム尚宮は大王大妃の部屋に聞き耳を立てていた女官三人を呼びつけ鞭でふくらはぎをたたきました。
ユン淑儀は女官から報告を受け成宗の来訪がないことを懸念していました。女官は懐妊したふりをすればどうかというと淑儀ユン氏は急に吐き気をもよおしました。ユン淑儀は兄に祈祷をするよう女官に伝えさせました。
成宗は仁粋大妃の決定に従うと言いました。
「チョン貴人にします。お嫌ですか?」
「いいえ。」
「おばあさまはユン・ホの娘にこだわっていますが・・・殿下がひいきされているユン氏のことではありません。チョン貴人にします。」
「ご安心ください。母上を喜ばせるためなら何でもします。」
「そうですとも。それでこそ私の息子です。」
「不届き者め。」
仁粋大妃は成宗のそばに控えている尚膳キム・チョソンに言いました。
(貧しいほうの)ユン淑儀の母と兄は巫女を呼んで王子が生まれるように祈祷を行っていました。
キム・チョソンは成宗に「一生の伴侶は天が決めてくださるそうです」と言いました。
大王大妃と王大妃はチョン貴人を王妃にすることに同意しました。チョン貴人は泣いて喜びました。
夜。
成宗は目をうるませ色付いていました。
キム・チョソンはユン淑儀の部屋に行くかと成宗に尋ねました。
「私の気持ちがわかるのか。」
「お出かけくださいまし。」
「私は幼子と変わりない。母上の前では何も言えぬ赤ん坊のようだ。」
ユン淑儀は吐き気をもよおしていました。
「気づかなかった。私は身ごもったのよ。サモル。私は懐妊したのよ。うっ・・・うっ・・・うっ・・・・。」
感想
「王と私」ではこの辺りのことは細かくやっていたのですが「王と妃」では早いペースで進んでいます。ユン淑儀にあまり美しく若い女性を起用していないとなると、その後の燕山君の話に重きを置いているのかなぁとも思います。「王と私」を観た人なら尚膳のキム・チョソンであのひとだ!と思われたことでしょう。「王と私」ではキム・チョソンは非常に優れた徳の深い人物で王を諫めることができた尚膳として描かれていました。