王と妃 第151話 引き裂かれた母子
あらすじ
夜の宮殿。
王妃ユン氏は仁粋大妃の画策で王子(燕山君)を引き離されついに堪忍袋の緒が切れました。王妃ユン氏は侍女のサモルに水刺間のカン尚宮にチョン貴人と第二王子に毒薬を使うよう命じました。王妃ユン氏の母は泣いてやめるように乞いました。王妃ユン氏はチョン貴人とオム貴人に中傷されたせいでこうなったのだからと泣いて母に言いました。
「チョン貴人は息子を王にしようとしているのです!王子がひきつけを起こしたのはあの女どもが王子を呪っているからですー。」
王妃ユン氏は突然首を押さえて苦しみ意識を失いました。
チョン貴人とオム貴人は呪いの矢を的に射り巫女が鈴を鳴らして王妃を呪っていました。
インス大妃はイム尚宮から王妃が悪態をつきながら気絶したち報告しました。イム尚宮は呪いではないかと言おうとしましたが仁粋大妃は言葉を遮りました。
「それ以上言わなくてよい。気分が悪くなるだけよ。」
女官のサモルは王妃の母府夫人(ププイン)を門まで送りました。
意識を取り戻した王妃はサモルに声が大きすぎたと言いました。
「お母さまはどうだった?動揺してたであろう。私の怒声は殿下の寝所まで届いたかも。子どものように純朴だから聞こえなかったふりをしておられるはず。どうしましょう。」
「ご安心ください。殿下には一言も聞こえなかったと思います。」
「殿下が東温突(トオンドル)におられないということ?だれかおらぬか。大殿内官は何しているのだ!殿下をどこへお連れしたのだ!」
王妃は成宗の寝所に現れたソン内官の頬を叩きました。
「老いぼれめ!私に説教するつもりか!殿下のおられる寝所はどこなの?」
王妃ユン氏はホン内官の頬を叩きました。
成宗はユン・ピルサンの姻戚のユン淑儀のところで酒を飲んでいました。
「今日のそなたは真夜中に満開になる月見草のように芳しい香りがする。」
成宗はユン淑儀の手をとりました。
「酔われたのですね。」
「酔ったのではない。そなたに酔ったのだ。」
成宗はユン淑儀を抱き寄せました。
「私は子を思い涙を流しているのに殿下は側室の部屋へ・・・。」
部屋の外からユン王妃の恨み声が聞こえてきました。
「殿下。私を殺してください。」
ホン内官は泣きました。
成宗は怒りで立ち上がりました。
「何が哀れだ。栄華を得たではないか!」
王妃ユン氏は寝所の前ではしたなく泣き崩れました。
インス大妃は王妃ユン氏の乱心の報告を受けました。
「さっさと下がれ。さっさと下がらぬか!」
仁粋大妃は怒るとイム尚宮を置いて殯宮に行きました。
「天罰ですか。私はそれほど大きな罪をおかしましたか。お義父様の罪を償おうとしたのです。お義父様が政敵を殺すことを心の中で喜んでいました。でも当然でしょう?お義父様が王にならなければあなたも王になることはできなかったのです。血で穢れた王位を清めなければ。睿宗もあなたと同じようにお義父様の罪を償えませんでしたが息子はこう思ってました。なのに天罰を受けるなんて。息子の妻が卑しくても我慢しようと思いましたがあれは人間ではなく悪鬼です。功徳を積むどころかまた業をおわせる悪鬼を息子の妻に遣わしました。魯山君の生まれ変わりか癸酉靖難で死んだ者の化身かあるいは世祖大王の涙が人間になったのですか。王妃は王子の母です。王子の母を殺したら王子は王になれなくなります。」
仁粋大妃は夫の懿敬世子の位牌に向かって語りかけました。
ある日。
イム・サフンとユ・ジャグァンは町中で会いました。ユ・ジャグァンは王妃の乱心に乱心者の自分が役に立つ、嵐を起こしたいなら私を王妃様に紹介してくれとイム・サフンに頼みました。
「時代は中殿媽媽に味方しておらんぞ。仁粋大妃に風が吹いている。仁粋大妃の起こす嵐は昨日の嵐どころではない。そうだろう?」
イム・サフンが出仕するとカン・ヒメンと出会いました。カン・ヒメンは王子(燕山君)がとたんに元気になられたと言いました。イム・サフンはそれでは王子の病気が王妃のせいにされかねないので気を付けるようにと安易に口外しないように忠告しました。
イム・サフンは次に都承旨のヒョン・ソッキュに挨拶をしました。ヒョン・ソッキュは殿下が経筵(キョンヨン。王に教書の講義をすること。)が弘文館(ホンムンガン)で開かれるから準備をせよとお命じになったから準備をしているのだと言いました。吏曹判書のホ・ジョンは頻繁に西温突(ソオンドル)に出入りするイム・サフンに世間体がよくないぞと忠告しました。
イム・サフンはヒョン・ソッキュにだれの味方なのだと問いました。
大妃もだめだがヒョン・ソッキュは王妃は軽はずみだと言いました。
「いかにも学者だな。」
イム・サフンは堅物のソン・ヒョッキュの後ろ姿につぶやきました。
側室たちは大妃殿の前に侍り雑談していました。
成宗と王妃は大王大妃殿にいました。王妃ユン氏は王子に会いたいと言いました。大王大妃ユン氏と王大妃は気持ちを理解しました。大王大妃は王妃に話があると成宗を先に帰らせました。成宗はユン淑儀と目くばせをしてから輿に乗り帰りました。
「殿下は照れておられたわ。」
ユン淑儀に好意的な側室のひとりが言いました。
大王大妃は王妃に「七法」は知っているわねと言いました。王妃は妻の七訓「夫がいなければ離婚・・・」をすらすらと述べました。
成宗が部屋に帰ると仁粋大妃がいました。
「周易を読んでいたのです。理解するほどの額はないのです。ただ眺めているだけです。女は無学と思われて当然です。周易を理解しても無意味です。学問を深めれば余計なことを考え始めます。秦の始皇帝は天下をとった後所を燃やしたのです。殿下。ひとつ頼みたいことがあって来ました。叶えてくれますか。昌徳宮の横の使ってない広い土地に離宮を建ててください。お願いします。」
「なぜですか母上。」
「暇を持て余しているのです。宮殿のことは中殿に任せているので年寄三人は宴でも開いて暇をつぶそうと思うのです。年寄三人が宮中で騒いでいたら臣下たちに難癖つけられます。主上。頼みます。」
「宴なら昌徳宮で開いてもかまいません。」
「ありがとう主上。お礼を言います。まことに主上は親孝行ですね。」
大王大妃と王大妃と仁粋大妃は宴を開きました。
宮殿に年長者が三人いました。慈聖大王大妃(チャソンテワンテビ)ユン氏と安順王大妃ハン氏と仁粋大妃ハン氏である。朝鮮王朝実録によると宮殿ではよく宴が開かれた。成宗が昌慶宮(チャンギョグン)を建てたのは三人に楽しい余生を送らせるためでありそれによって財政難に陥ったという。韓明澮やチョン・チャンソン、キム・ジルといった名だたる臣下も別邸で妓生を侍らせて楽しく過ごしていました。
「仁粋大妃も体面を捨てたのだ。」
チョン・チャンソンは喜び踊りました。
「さあさあ。行こう。我々も楽しまんとな。」
ハン・ミョンフェも庭に出て踊りました。
ヒャンイは韓明澮夫人に大妃を諫めに行くと言いました。
仁粋大妃は横になり月山大君夫人足をもんでもらいました。
王妃ユン氏は仁粋大妃が油断していると思いました。
王妃ユン氏の実家にはイム・サフンとユ・ジャグァンが待機していました。
大王大妃の部屋にキム・スオンなどの側近と孝寧大君が集まり大妃の散財ぶりを問題視し王室の問題なので孝寧大君に注意してもらおうと話し合っていました。
王妃ユン氏の部屋に母の府夫人が頼まれた物(ハングル文字で書かれた文書)を持ってきました。
「媽媽。どうかおやめください。」
「これでうまくいきます。」
感想
面白い、というより明快でわかりやすいです。ただ重臣の名前に字幕がないのでなかなか覚えられません。皆にたような顔なので個性のないお顔の人はだれが誰だかわかりません。余計な音楽もなくていいですね。イム・サフンの俳優さんは今度は悪役をしておられるのですね、あの俳優さんはいつもは主人公の正義の味方という役どころが多いようですが。怪しげな文書を書いたのはさしあたりユ・ジャグァンではないかと思います。ヒャンイは物語を円滑にすすめるための関係を取り持つ便利な役柄ですね。王妃も天然の悪ですが、仁粋大妃もなかなかの悪党です。