王と妃 第164話 あらすじネタバレ感想 病床の成宗
「棺を送る輿まで与えろと?棺だけで十分です。王子の母でなければ棺など与えません。」
仁粋大妃は廃妃ユン氏の死後もユン氏を憎みつつも一筋の涙を流しました。
「あの生意気な女め。人に従うことを少し覚えていれば・・・・・・。なんと愚かな・・・・・・。」
夜の廃妃尹氏の家。
左承旨は葬儀はどうするのだろうとつぶやきました。
「媽媽。死ぬに死ねぬほど悔しかったでしょう。アイゴー・・・。目を開けてください。母です媽媽。王子にさぞお会いになりたかったでしょうね・・・。媽媽・・・アイゴー・・・・・・。お体を覆える布団すら用意できませんでした。こんなに無念なことがあるでしょうか。媽媽。マーマー・・・。」
廃妃尹氏の母は娘の手を握って泣きました。左承旨のイ・セジャは母の鳴き声を聞いて少し同情しました。
仁粋大妃は成宗の部屋に行き王の傍に座りました。
「主上。お心が痛みますか?」
「大喜びすれば満足ですか?」
「主上。主上はこの国の主です。町にいる名もなき平民ではなく主上はこの国の君主です。だから国を第一に考えてください。」
「殺す必要はありませんでした。」
「君主が情にもろいと民が血の涙を流すことになります。世祖大王がそう言ってました。」
「世宗大王は徳で民を治めました。妻を捨てた王に従う民などいません。」
「君主ならときには妻も捨てねばなりません。必要なら私も捨ててください。私は主上のためなら喜んで死にます。」
「王子は?王子にはなんというのですかオマママ?」
「誰にも廃妃のことは口にさせません。」
「天が黙っていません。いつかは明らかになります。」
「王子の母親は罪人です。その罪人を慕うなら王子も罪人です。王子の様子を見るつもりです。」
「オモニ。埋葬だけは立派に営んであげてください。王族として送ってあげたいのです。」
「棺を届けさせました。それで十分です。輿を担ぎ埋葬する者と納官する尚宮を送りなさい。」
仁粋大妃は部屋を出ると内官に言いました。
「ご厚恩の極みにございます。」
内官は地面にひれ伏し泣きました。
「誰も泣いてはならぬ。一言でも廃妃のことを口にしたものは私が一族を根絶やしにしてやる。」
「これも埋葬せよ。あのひとが大切にしていたものだ。王子を守るぞ。何があろうと私は王子に王位を譲る。約束する。だから・・・安心して逝きなさい。すべて忘れてくれ。」
成宗は涙を流しながらノリゲも埋葬するよう都承旨に言いました。
仁粋大妃は燕山君(イ・ユン)の部屋に行き両手を差し伸べました。
「こちらに来なさい。私が王子の祖母なのよ。」
「・・・・・・。」
燕山君はおそるおそる仁粋大妃に近寄ると仁粋大妃は王子を抱きしめて泣きました。
夜明け前の廃妃ユン氏の実家。
「棺を出せ。さっさとしろ。」
武官は乱暴に命じました。
「棺が動きません。」
内官は武官に言いました。
奴婢たちが何人か集まり廃妃尹氏の棺を持ち上げようとしたら棺はびくとも動きませんでした。
「媽媽。動きたくないのですね媽媽。」
廃妃尹氏の母は泣き叫びました。
「下がれ。」
左承旨のイ・セジャは奴婢に命じノリゲを置きました。
「運んでみろ。」
「よいしょ。」
棺が軽くなりました。
葬式のベルが鳴らされましたが武官がそれを取り上げ武官と奴婢たちは行列を組み廃妃の母たちを置いてどこかへ行ってしまいました。廃妃ユン氏は生前に太祖の墓のそばに埋めるよう母に頼んでいましたがそれは実現しませんでした。
別の日の便殿。
成宗と重臣たちは集まっていました。仁粋大妃からの手紙が届きました。
「読んでみよ。」
成宗は命じました。
「思いがけぬ話を聞きたいそう驚きました・・・。しかし事が大きくなる前に手を打ち断罪したことは当然です。このことは王子を守るために必要な措置でした。このはからいにより人々は心の落ち着きを取り戻すでしょう。」
幼い燕山君は大きな石を池に投げました。
12年後の成宗25年。燕山君は十九歳になりました。
世子の燕山君(アン・ジェモ演)は池を見つめていました。斉安大君(チェアンテグン)は燕山君に声をかけました。
「父上がご病気です。今朝お部屋に行ったら私の顔もわかりませんでした。石を池に投げるとなぜ波紋が?世の理だと思います。石を投げると波紋が起きます。静かな波が輪を作りながら打ち寄せてくるのを見ると心が安らいだのです。斉安叔父上。皆私を見かけたら波紋のように逃げます。目があえば顔を背け話すとうつむきます。宮殿で働く者はもちろん母上まで目をそむけます。父上は私をご覧になると悲しげな顔をなさいます。おばあさまには睨まれよく叱りつけられました。私は疫病神ですか?なぜ避けられるのですか?」
「世子殿下。私が王子なりそこねたのはご存知ですか?父の睿宗大王が亡くなられたときは五歳でした。せめて十四歳だったら国王になれたのですが。殿下はみじめだと思いませんか?」
「思いません。だからこそ叔父上が好きなのです。叔父上は気楽な立場です。楽器を弾きながら妓生と遊んでいればよいのです。私は叔父上がうらやましいのです。」
「私も殿下と同じ気持ちで落ち込んだことがあります。国王になりそこねたので笑いものになったと思い込んだのです。世間が笑っているようで怒りがこみあげました。ですが殿下は王位に就かれるお方です。あざ笑う者などおりません。殿下。」
「もう結構です。心配してくれるのは叔父上だけです。ジャウォンや。私のためなら何でもするか?」
燕山君は内官のジャウォンを呼びました。
「ないなんでもいたします媽媽。死んでみましょうか?」
ジャウォンは明るく言いました。
「今すぐ縄を持ってこい。」
燕山君は兵士に言いました。
「はい。」
「媽媽。何のために縄を?」
ジャウォンは言いました。
「王子なり損ねたと?私の境遇も大差ありません叔父上。」
内官のキム・チョソンはジャウォンが木に吊るされると報告を受け燕山君のもとに行きました。
「何をしておる。こいつの首を吊るせ。私のためなら何でもすると大口を叩いたな。」
「死ねとおっしゃるなら死にますが・・・。」
ジャウォンはおびえました。
「ならさっさと死ね。早く首を吊るせ。」
「あ~っ。」
ジャウォンは吊るされました。
「殿下。ジャウォンをお助けください。ジャウォンは殿下のお気に入りの内官ではないですか。」
キム・チョソンが駆けつけました。
「けしからんやつめ。私のためなら地獄へ行くといったでおろう。おのれジャウォン。肉親と思ってきたのにおのれ!」
燕山君は剣を振るいました。するとジャウォンの縄が切れて地面に落ちました。
「王になり損ねたですと?肝に銘じておきます斉安叔父上。」
仁粋大妃(大王大妃)の部屋。
官僚は成宗の脈が弱くなっていると報告しました。
ハン・チヒョンは成宗のお体が乾いていくら水を飲んでも乾いてしまうといいました。
「殿下はまだ三十八歳ですよ。お若いさかりです。私は月山大君の葬儀をこの間やったばかりです。」
仁粋大妃は言いました。
重臣の間に大王大妃は晋城大君(チンソンテグン、のちの中宗)ばかりかわいがっているとの噂が立ちました。
王宮の酒蔵。
イム・サホンは仕事中のユ・ジャグァンと出会いました。ユ・ジャグァンは司饔院 (サウォンウォン、宮中の酒を担当する役所)の提調(チェジョ)になっていました。
「イム殿は子息が殿下の娘婿になられて運が開けたな。」
「武霊君(ムリョングン)ユ・ジャグァン大監こそは?」
「私は学者なのに司饔院 (サウォンウォン)の提調なんて。仁粋大妃はよくこんな職に私を就けたものだ。」
ユ・ジャグァンはユーモアでイム・サホンを笑わせました。
イム・サホンは成宗が病気の噂は本当かと尋ねると「忙しくなりそうだ」と言いました。ユ・ジャグァンも機会が到来したと笑いました。
夜。
左賛成のハン・チヒョンの家に燕山君の義兄で都承旨のシン・スグンが尋ねてきました。
「大王大妃様は誰を王に決めましたか?」
「なんのことだか。大妃様が無用な風を立てると思うか。」
「あのお方ならやりかねぬ。仁粋大妃は世子殿下を気に入ってません。それは周知の事実でしょう。世子は廃妃の息子ですよ。殿下がなくなったら世子はそのあとを継いで王になれますか?私は今日その確約を得たいのです。」
仁粋大妃の部屋。
「私の息子はもう主上しか残っていません。その息子すら奪っていくのですから私がどれほどの罪を犯したというのですか。」
仁粋大妃はつぶやきました。
感想
内容は「インス大妃」とかぶってますね。「王と私」にも似たようなエピソードがありました。ここからはもう知ってるストーリーなので見なくてもいいかなと思いますが、こちらのほうがおもしろいので見てみようと思います。話はいきなり燕山君が世子の時代まで飛ばされましたね。成宗が聖君であるエピソードがどこにもありませんw歴史を知らない私としては納得できるようにその辺も描いてほしかったと思います。日本でも悪役でファンもいるというアン・ジェモが出てきましたね。オウドン(於干同)のエピソードを挟んで成宗がふしだらになっていく話もほしかったな!今回成宗は三十八歳ですからお亡くなりになるお年のようです。