王と妃 第171話 あらすじネタバレ感想
王と妃 171話 あらすじ (廃妃ユン氏の)無念を晴らすために
新たな人事が発表されました。領議政シン・スンソン。ユ・ジャグァンは大王大妃が大きな贈り物をくださったと言いました。シン・スンソンは仁粋大王大妃に挨拶に行きました。
「私は子を先に逝かせた罪人ゆえそれより先は入ってはなりません。」
仁粋大妃は簾を挟んでシン・スンソンに言いました。シン・スンソンは手前の部屋に座り外戚が要職に就くなど不文律だと断りました。仁粋大王大妃はシン殿しかこの難局を乗り切れないと言いました。
「今の朝廷には人材がいません。孫というのはつれないものですね。成宗は母親の前では王の威厳など消えてしまい幼子のように私に甘えたものです。でも今の主上は祖母の私をよそよそしい目でみてました。周知の事実なので隠し立てはしません。私は孫とは仲がよくありません。そこで義父にあたる領相(ヨンサン、領議政)大監が孫の世話をしてください。」
「おそれながら媽媽。殿下にお世話は不要でしょう。」
「主上の心の中は子供です。だから顔も知らぬ母親を恋しがっているのです。府院君(プウォングン)がしっかり世話をしてください。王位を守れぬとどうなるかは府院君なら知っているでしょう。」
シン・スンソンは仁粋大王大妃の最側近のハン・チヒョンになぜ自分を領議政に任命したのか尋ねました。ハン・チヒョンは殿下もご存じの人事だと言いました。
「もしや大王大妃様は摂政をなさるおつもりか?」
「とんでもない。殿下は子供ではありませんよ。大王大妃様がなぜ府院君を領議政に据えたのかお考えください。」
仁粋大王大妃はハン・チヒョンから摂政の話を聞いて疑り深い老人だと笑いました。
燕山君はシン・スンソンに義父上が領議政になるのは歓迎だと言いすぐに承政院の日誌を取り寄せました。シン・スンソンは青ざめました。
「記録は実録の編纂のためにすでに実録庁にもっていきました。それで承政院の日誌を読みたいのです。」
「殿下。史官ごときの日誌を読んではなりませぬ。」
「母上の死の真相を知るためだ。何がいけないのか。」
「殿下。父上の死後三年間は喪に服する決まりでございます。」
すると都承旨のカン・ギソンが震える手で日誌を盆に乗せ持ってきました。カン・ギソンは考え直すように燕山君に言いました。
「早く持って来い。下がりなさい。ここにいたら大王大妃に怒られますよ。私は罪人の子です。」
燕山君は机に置かれた日誌をめくりました。
シン・スンソンとカン・ギソンは部屋を追い出されました。シン・スンソンは都承旨に軽はずみだと怒りましたが後の祭りでした。
燕山君は涙を流しながら仁粋大王大妃は王妃ユン氏を廃位しユン氏の弟をも殺して滅ぼしたことを知りました。
夜の王の寝所の前。
シン・スグンは父シン・スンソンに殿下に日誌をもとにもどすよう上奏してくるというと、父は殿下はむせび泣いたあとに笑っておられたと引き止めました。
「はっはっはっは。はっはっはっは。だから殺されたので。これでは生きていられるわけがありません母上。母上・・・・。」
燕山君の号泣する声が漏れ聞こえました。
このことは都承旨カン・ギソンの報告により仁粋大王大妃の知るところとなりました。自分を罰してくださいという都承旨を仁粋大王大妃は怒鳴って下がらせました。何とか事なきを得た都承旨は部屋の外で大きなため息をつきました。月山大君夫人は燕山君が母のことを知りたいのは人として当然なので許すように言いました。
「泣いたですって?廃妃がどんな罪を犯したか知ったのに?はっ」
仁粋大妃は憎しみを募らせました。
政丞らは話し合いました。
ユン・ピルサンは王が日誌に関与したら実録が正しく記録できないので燕山君の閲覧はとんでもないことだと言いました。ノ・サシンは読むくらい当然だと反論しました。ユン・ピルサンはノ大監は領議政をやめてから分別を失ったと嫌味を言いました。ノ・サシンは怒りました。
「私が至らぬのです。責任をとって辞職します。」
領議政のシン・スンソンは言いました。
「お前が領議政になりたいのだろう。」
ユン・ピルソンはノ・サシンに言いました。ノ・サシンはユン・ピルサンに殿下の失脚が狙いなのだろうと言い返しました。
「廃妃が天からご覧なのです。」
するとユン・ピルサンは廃妃に反対したのはイム・サホンだけで廃妃が復位したら我々の命はないと言いました。
ノ・サシンはこのことをすべてハン・チヒョンに伝えました。
「廃嫡すべきでした。」
ノ・サシンは保身のために言いました。
シン・スグンは尚膳キム・チョソンに燕山君に取り次ぐように言いましたが燕山君は自分は罪人の子ゆえ会うことはならんと言いました。シン・スグンは部屋の前で跪き大王大妃がおられるうちはどうにもできないので部屋に入れてくれと頼みました。燕山君は大王大妃と聞いて悔しくて涙を流しました。
王大妃ハン氏は寝込んでいました。仁粋大王大妃は見舞いに現れました。斉安大君(チェアンテグン)は母は数日食事をしていないと言いました。
「主上が食事をしていないので・・・。」
王大妃は言いました。
「それでそなたが食事をしないというのね。はっはっはっは。」
仁粋大王大妃は笑いました。
「私の命は長くはありません。もっと早く死んでいるべきでした。成宗が受けついだ王位は本当は私の息子のものでした。」
「母上。それがどうしたというのですか。王になる権利を譲ったおかげで私は楽に生きられました。」
斉安大君は冗談を言いました。
「睿宗大王の子は成宗ではなく斉安大君(チェアンテグン)ですから。当然私の息子が王になるべきでした。」
「今までお恨みになりながら生きてきたのですか?」
仁粋大妃は言いました。
「私が死んだら胸を開いてみてください。ずたずたになっているでしょう。主上は私の孫も同然です。成宗は睿宗の後を継ぎになったので主上は私の孫も同然です。主上にまで責め苦を負わせるのですか。主上の望みをかなえてやってください。主上の無念が晴れぬ限りいつか宮殿に血の嵐が吹きます。」
「廃妃が犯した罪を知っているでしょう?王の顔に傷をつけたのです。側室を毒殺しようと砒霜(ピサン、ひそう)をもっていただけでも殺されて当たり前です。」
仁粋大王大妃は当然だと言いました。
「どうか主上の無念を晴らしてください。」
「そなたが私を恨んでいたことは知りませんでした。」
「媽媽の孫ですよ。哀れに思わぬのですか。主上はあたたかな母の情を知らずに育ったのです。」
仁粋大王大妃は帰りました。
「はっはっはっは。本当に無念なのは母上では?私は不要な枝です。茂りすぎた脇枝は切り落とされるのが世の常です。はっはっはっは。はっはっはっは。」
斉安大君(チェアンテグン)は諦観して笑いました。
部屋に帰った仁粋大王大妃は「廃妃の墓の上に一握りも土をかけさせぬ」と憎しみを募らせました。
尚膳キム・チョソンは燕山君に就寝支度をしようと尋ねると、燕山君は自分は罪人の子だと意地を張っていました。
イム・サホンは燕山君が廃妃尹氏の墓を放ってはおかぬと廃妃の母シン氏に燕山君は三日間食事も睡眠もとっていないと言いました。シン氏は十年以上草むらに横たわっている墓を移した程度で王妃様の恨みは晴れないと言いました。
「王妃様を死なせた者を残らず明らかにし殺すべきです。八つ裂きにしてさらし首にしたくらいでは足りません。媽媽の恨みはそれほど深いのです。」
シン氏は自分の憎しみをあたかも廃妃ユン氏が望んでいるかのように叫びました。
イム・サホンは廃妃ユン氏の廃位に反対し仁粋大妃に狙われたため十年以上も官職に就けないでいました。そこで自分の息子を睿宗息子成宗のの娘と結婚させ再起を図りました。イム・サホンの野心はあまりにも大きなものでした。
イム・サホンは宮殿でユ・ジャグァンと会い廃妃の復位は難しい、仁粋大妃の恩恵を受けている者から倒さねば国が滅びてしまうと言いました。ユ・ジャグァンは彼らを倒す機会を待っていると言いました。
「今回殿下は強硬な姿勢をとっておられる。簡単には退かんだろう。」
ユ・ジャグァンはイム・サホンに言いました。
「栄枯盛衰というのに仁粋大妃の勢いはいっこうに衰えん。嘆かわしい。」
「府夫人様はお元気か?府夫人が我々の奥の手だ。しっかりお世話をするのだ。わかっているな?」
「実はそのために参内したのだ。この際府夫人を殿下に会わせたら火の中に藁を入れたように殿下の憎しみが燃え上がるのでは?」
「その通りだな。直接会わせるのが一番だ。殿下が府夫人から廃妃の死にざまを知ったらいきり立つはずだ。」
「うん。」
「そうしよう。」
「だが会わせるほうほうが・・・。」
「大監は殿下と親しい仲なのであろう?」
「だが殿下がお住まいの東宮には簡単に入れない。大王大妃の監視の目をかいくぐるのが問題だ。それに殿下の反応も予想がつかない。」
「祖母が生きているとわかれば殿下は大喜びなさるはずだ。情に飢えている方だからな。」
「殿下が私の家にいらしたときにおばあさまの存在をほのめかしたが殿下は興味がなさそうな様子だった。それで言うのをやめたのだ。流刑になった府夫人を家に住まわしているのは見方によっては大逆罪だからな。」
「殿下はおばあさまを追い返しはせぬだろう。虎穴に入らずんば虎児を得ずと言うだろう。危険を冒さねば有利にならぬ。道を探そう。府夫人(プブイン)を殿下に会わせるために。」
イム・サホンの府夫人の部屋。
府夫人の奴婢は世祖大王は温泉に療養に行った際に王に訴えたいことがあると民が行列をなしたことがあるので王宮の門前で待ってみたらと言いました。
王の部屋。
燕山君は尚膳キム・チョソンに廃妃の墓がどんな様子か見てこいと命じました。
「私の母がどのように葬られたか知りたい。墓をしかと見てきて報告せよ!」
キム・チョソンは武官を連れて山中の墓を見に行きました。ユン氏の墓と書かれた盛り土があり、穴が開いていました。キム・チョソンは険しい表情で穴を手で埋めました。
これを知った仁粋大妃は不孝者の君主が王座にいられますかとハン・チヒョンに燕山君の悪口を言いました。
王妃シン氏の部屋。
シン・スグンは大王大妃を怒らせた燕山君を懸念していました。
王の部屋。
「媽媽は健元陵(コノンヌン、初代太祖の墓)へ行く道沿いでお眠りでした。」
尚膳キム・チョソンは泣きました。
「健元陵(コノンヌン、初代太祖の墓)の道なら私は何度も通った。その辺りに母上がお眠りとなっているとは知らず私は母上のお傍を通り過ぎていた。母上は何も知らぬ私を見ていただろう。」
「マンガカウナイダ殿下。」
キム・チョソンは泣きました。
「それで、どんな墓だった?見た通り申してみよ。廃妃の墓ゆえそれほど立派ではなかろう。」
「殿下・・・。」
「報告できぬほど母上の墓は粗末なのか。」
「殿下ぁ・・・・。やんごとなき中殿媽媽のお墓とは信じられませんでした。墓かどうかも判然としないほど雑草が茂っておりました。盛り土には穴もあいてました。」
「本当だったのだな。盛り土が崩れて遺骨が見えそうだと言っていた。」
燕山君は涙を流しました。
大王大妃の部屋。
仁粋大王大妃は廃妃の墓を移すなんてとんでもないとハン・チヒョンに言いました。
「これほど情けないことはありますか。あの母親にしてこの子ありですね。」
「媽媽。廃妃の墓を移しても何も変わりません。殿下が成宗大王の遺言を守るのも孝行ですが無念の死を遂げた母親の魂を慰めるのも孝行では?」
「無念の死を遂げた母親ですって?私が悪いというのですね?」
「媽媽。」
「そういうことでしょう。」
「媽媽。私はただ・・・。」
「私が喜んで自決させたと思うの?国のために仕方なかったのです。いいでしょう。無実の人間に罪を着せたのです。わかりました。私が罪人ですとも。今日から水一滴口にしません。私は座ったまま飢え死にします。」
仁粋大王大妃は開き直りました。
王の部屋。
燕山君は母の遺体が獣に食われそうだった。士大夫の墓でも考えられぬので息子として見過ごせぬので墓を移し反対する者の首は容赦なく斬るので議政府は礼曹と相談し日を知らせるようにと命令しました。
仁粋大王大妃部屋。
「なりません主上(チュサン)!廃妃の墓に土を盛るなと先王がお命じになられたことをお忘れになったのですか主上ー!殿下はどうしようもなく卑しい血が流れているのよ。」
仁粋大王大妃は憤りました。
王の部屋。
燕山君は憎しみと悲しみで涙を流しました。
感想
どう考えても燕山君は人として正しいことをしているように思いますが仁粋大王大妃のせいで強硬な手に出ざるを得なかったという事情があったようですね。今のところ燕山君はたいして悪さをしているようには見えませんが、あの仁粋大王大妃と対抗するにはもっともらしい方法では逆らえませんので、凶暴にならざるを得なかったということなのでしょう。あと9話でこの物語も終わりのようですね。朝鮮の人はほんとうに復讐が大好きで、復讐のために罪を犯すことも是としているような印象を受けます。