王と妃 第153話 追い詰められた王妃
あらすじ
夜。
仁粋大妃(インステビ)は王妃ユン氏廃位の懿旨(ウィジ)を出しました。
「王妃の悪事が露見したので王族と重臣とで話し合ってもらいたいのです。」
ノ・サシンはなぜ王妃ユン氏を廃位したいのかハン・ミョンフェに尋ねました。
孝寧大君と領議政のチョン・チャンソンとハン・ミョンフェが仁粋大妃に呼ばれました。ほかの重臣たちは宣政殿(ソンジョンジョン)で待つように命じられました。士大夫たちは成宗に尋ねようと意気込みました。右承旨イム・サホンは都承旨ヒョン・ソッキュにどちらかの味方ついたほうがよいと言いました。イム・サホンは王妃の味方になると自信たっぷりにソッキュに言いました。
孝寧大君とハン・ミョンフェとチョン・チャンソンら老人たちは仁粋大妃と話し合いました。
「王妃様の悪事とはまだ我々は教えてもらっていません。」
ハン・ミョンフェは言いました。
仁粋大妃は王妃が投書をしたと手紙を老臣たちに見せました。孝寧大君は手紙を読むと韓明澮に渡しました。
都承旨のヒョン・ソッキュは成宗と謁見をしていました。
数人の士大夫は成宗の寝所の前に集まってました。
チョン・ナンジョンはまた仁粋大妃の摂政がはじまりかねんので上奏しようと仲間に言いました。
吏曹判書のホ・ジョンと知中枢府事(チチュンチュブサ)のソン・イムはまずは成宗の意向を伺ってからにしようと言いました。大妃の干渉と王妃の廃位が彼らの重大な問題となっていました。
成宗の部屋。
ヒョン・ソッキュは成宗の近くに座っていました。
王妃の部屋。
イム・サホンは王妃の怒りの声をただ聴いていました。
便殿。
重臣たちは集まり事態について話し合っていました。
「廃妃となると王子が不憫です。」
「心配なのは王子ではなく我々の境遇です。」
「王子が即位なされば我々は一巻の終わりです。」
大王大妃の部屋。
キム・スオンは大王大妃と王大妃に様子を報告していました。
仁粋大妃の部屋。
「孝寧大君は王族の長であり領議政大監は官僚の長であり上党君(サンダングン、ハン・ミョンフェ)は元老大臣です。お三方の意見が国論になります。」
仁粋大妃は三人に言いました。
「中殿の行いはたしかに只事ではありません。ですが行いは殿下を害するためですか?」
孝寧大君は言いました。
「いいえ。中宮は主上に寵愛されています。主上を狙うはずがありません。他の側室に使うつもりだったのです。女人の徳とはつつましくしとやかな品行をさすので嫉妬は美しいことではありません。中国の皇帝は九人の側室を持っていたのに主上の側室はそれ以下なのに中宮が嫉妬するなど言語道断です。何度も中殿を戒めましたが中殿が反省するのはその時だけです。これ以上中殿を野放しにできません。今廃位すれば禍根を絶てるのです。」
「媽媽。王子を世子にするつもりですか?中殿を廃位されるのに?」
ハン・ミョンフェは言いました。
「王子(ウォンジャ)に罪はありません。」
仁粋大妃は王子(燕山君)を離しませんでした。
三人の長老たちは困り果てました。
孝寧大君は成宗に考えを聞いてみようと言いました。
王妃の部屋。
「廃妃だと?側室たちが私の王子を狙っているのです!それなのに私を追い出すとは。サモルや。今すぐカン・メギョン大監の家から王子を連れてきて。屈辱を受けて生きるより死んだほうがましよ。でも私が死ねば王子がいびられてしまう。いっそ一緒に死ぬわ。何をしておる。早く王子を連れてまいれ。王子や。王子や。母が受けた仕打ちを忘れないでおくれ。私が濡れ衣を着せられ追い出されたら必ずや母の恨みを晴らしておくれ・・・。」
王妃は涙を流して興奮していました。
キム・チョソンは部屋の外で王妃の声を聞き成宗のもとへ戻りました。
成宗の部屋。
「なぜ黙っているのだ!中殿をよんでまいれ!私が中殿に直接問いただしてやる。あの投書は誰に書かせたのか毒は誰を毒殺するためにつかうつもりだったのか。」
成宗も興奮していました。
「おそれながら媽媽。中殿媽媽は・・・・・・。」
王妃の部屋の前から戻ってきた尚膳キム・チョソンは言いづらそうにしました。
「中殿が倒れたのか?」
「そうではなく・・・・・・。恐れながら部屋の外に聞こえるほど号泣しておられ伝えることができませんでした。」
「王妃が泣いておるだと?」
「再度行ってまいりましょうか殿下。」
「もうよい。さがっておれ。」
尚膳が下がると成宗は涙を流しました。
王妃の部屋。
「私の鳴き声が外にも聞こえたでしょうね。皆肝を冷やしたはずよ。大妃に味方し私を追い出せば王子が即位したら報復されるはずよ。こういうときほどしっかりせねば。気を強く持っていれば窮地を脱せるわ。これしきのことで王妃の私が追放されません。とんでもないわ。」
王妃はけろりとしていました。
成宗の部屋。
「どうやら私は人を見る目がなかったようだ。」
成宗は孝寧大君と上党君(サンダングン、ハン・ミョンフェ)とチョン・チャンソンに言いました。ハン・ミョンフェはまだ投書の送り主が明らかではないので犯人を捜すべきだと言いました。孝寧大君も真相の究明を支持しました。
「今日は遅いから・・・。」
「今なさいませ。そうすれば中殿媽媽の潔白を証明できるのです。」
韓明澮は成宗に言いました。
「義禁府判事(パンサ)を呼べ。」
仁粋大妃の部屋。
「今投書の犯人を見つけて何になるというの!」
仁粋大妃は声を荒げました。
「上党君(サンダングン、ハン・ミョンフェ)が廃位の根拠をしっかり固めるつもりでは?」
ハン・チヒョンは静かに言いました。
「甘いことを。上党君の意図はほかにあるのです。」
官僚の部屋。
チョン・チャンソンは投書は王妃のせいに決まってると言いました。韓明澮は犯人はひとりではないので何人も捕まるだろうと言いました。
「考えてもみよ。義禁府判事は左賛成のユン・ピルサンだ。淑儀ユン氏の親戚ではないか。中宮を廃位せよというにきまってる。」
チョン・チャンソンは言いました。
ユン・ピルサンはハン・チヒョンに呼び止められました。
「ご安心ください。中殿の悪事をあばいてみます。」
ユン・ピルサンは大妃の味方をしてユン淑儀を王妃にしようと思ってました。
「犯人は王妃です。王妃様一人だけで十分です。」
ハン・チヒョンは小さな声でささやきました。
成宗の部屋。
成宗はユン・ピルサンに王妃に毒や呪術書を渡し王妃を惑わした真犯人を捕まえよと命じました。ユン・ピルサンは下を向いたままにやりと笑いました。
ユン・ピルサンは王妃の侍女(内人)のサモルを連行しました。
「どうかお助けください王妃様ー!あーっ」
サモルは拷問にかけられました。
「あーーーっ。あーーーっ。きゃ~っ。」
「その女が白状するまで痛めつけろ!」
ユン・ピルサンは兵士に命じました。
王妃は部屋に軟禁されました。
サモルは何かを白状しました。
王妃の実家。
兵士は王妃の兄と妻と奴婢を捕らえました。王妃の母は突き飛ばされ泣きわめきました。
王妃の実家の奴婢の女性は拷問されました。
王の意思は明確ではありませんでした。大妃は廃妃の懿旨(ウィジ)を出しましたが国王は命令を実行しませんでした。
翌日の便殿。
ユン・ピルサンは呪術所は元谷城(コクソン)縣監(ヒョンガム)のイ・ギルブンの妻の実家から借り使用人が写し、投書は王妃の義姉が書き使用人に届けさせ毒は府夫人(王妃の母)が入手したと言いました。
王妃の部屋。
イム・サホンは王妃の部屋に入ると王妃は衣を脱ぎ髪を下して許しを待っていました。王妃は重臣たちはイム・サホンの知らせを聞いて後患を恐れていると踏みました。
ハン・ミョンフェの家。
韓明澮は当分静かになるだろうと言いました。
「何人か捕まって終わりだ。王子が即位すると血を見ることになるな。」
仁粋大妃の部屋。
成宗と仁粋大妃は茶を飲んでいました。成宗の表情に笑顔はありませんでした。
「この書物は芸文館(イェムングァン)から持ってきた后妃伝です。イェムングァンでもなかなか手に入らないものをハン・チヒョン殿は持ってきてくれました。李泌という者が唐の徳宗に告げるに願わくは陛下、宮殿に戻られた後この件は他言なさらぬように。もし他言なされば太子が危険です。その昔、廃してはならぬ者を廃し道を誤ったことがあり、廃すべき者でも廃さずに正しい場合もありました。嫉妬は女の常ですから。これはどういう意味でしょう主上。王妃にあるまじき行為とその罪により王妃を廃しようとする。だがその王子が即位すれば母親の事件を蒸し返し報復するかもしれぬ。ですが王妃を廃すれば報復をおそれた官僚が王子を殺害するはずではないですか。そういう意味なのではありませんか?」
「何がおっしゃりたいのです?お話ください媽媽。」
「主上。中宮を廃した後、王子も廃するのです。王子を廃嫡せず中宮だけを廃すればのちに大きな災いとなりましょう。」
「媽媽。私の息子です。まだ幼子ではありませんか!オマママ!」
感想
うーん。成宗の心があまり伝わってきません。成宗はほんとうに誰を愛しているのでしょうか??そこはやはりうまい演技で幼いころから感情を抑圧してきた成宗を演じているということですよね。「王と私」のようなギラギラとした成宗よりは「王と妃」のほうが自分を抑えて母の顔色をうかがい育てられた成宗らしいですね。もうちょっと映像がきれいだったらよかったのに。ユン・ピルサンもニヤリと悪党みたいに笑ったところは目立たない人物でもやはりよく考えられて演技されていますね。それとユン・ピルサンの行動ですが、癸酉靖難並みに速いですね一晩で決行するとは。